特集 2017年6月7日
 

大富豪はトランプを使わない方がムズおもろい

記憶バトルロイヤルのスタートだ!
記憶バトルロイヤルのスタートだ!
「大富豪」というトランプゲーム、地域によっては「大貧民」とも言う。3が最弱で2(あるいはジョーカー)が最強というルールでカードを出していく。勝者(大富豪)と敗者(大貧民)は次の回で強いカードと任意の弱いカードを交換するためヒエラルキーがつくられるが、同じカードを4枚出せば「革命」とされて強弱が逆転し、大貧民にも勝ちの目が生まれる。

…と、いちおう大富豪のルールを書いてはみたが、今回はこのゲームについての記事ではありません。あれってトランプがなくても出来る、ということです。いや、厳密には、トランプがないならないでまったく別のゲームとして成立することが分かったのだ。それが難しくておもしろい、という話。
1984年大阪出まれ、2011年からベトナム暮らし。日本から3600km離れた土地で、ダチョウに乗ったり、ドナルドのコスプレをしたり、札束風呂に入ったりしている。

前の記事:「土曜の午後の半ドンランチ〜だいたい炭水化物〜」
人気記事:「ベトナムの丸亀製麺はパクチー盛り放題」

> 個人サイト べとまる

まずはゲーム風景を見てほしい

言葉で説明すると長くなるので、先にゲームの一幕をご覧に入れたい。まだこれだけじゃ分からないと思うけど、あとからそういうことか!ってなるはずです。
テーブル上には白紙のトランプ。
テーブル上には白紙のトランプ。
友人1「3」
友人2「4」
私「刻んできますねぇ」

友人3「じゃ…ここで9!」
全員「えーっ!?」
私「かき乱すな〜」

友人4「いいですよ、では2」
全員「えー」
友人4「次も私ですね…ここで、3を三枚!」
私「おー攻めすぎでしょー!」
全員「次、何があったっけ…?」
全員「次、何があったっけ…?」
一見すると大富豪をしているようだけど、彼らが持っているカードはすべて白紙。もっと言えば、これはただ盛り上げるために持っているだけで、カードはなくてもゲームは成立する。これに「妄想大富豪」という名前を付けた。では、どういうゲームなのか?説明します!

7年前からあたためつづけてきた自作ゲームだったり

名前をつけていることからお分かりだと思うけど、これは私が考えたゲームです。誰もがアプリでゲームをつくる環境をこしらえられる時代に、これはただ紙とペン、あと4人以上のプレイヤーがいればいい。あまりにシンプル…いや、しょぼいと言って良いかもしれない。

ただこれ、自分で言うのもほんと何なんだけど、そんな卑下する気持ちを差し引いてでも存分におもしろい!と思ってる。何なら世界中で流行るだろくらいに思ってる。それこそただのひとりの妄想じゃない、7年前から定期的にやりつづけて好評だったなりの確信があるんです。
今から五年前。相変わらず白紙を使ってる。
今から五年前。相変わらず白紙を使ってる。
熱意たっぷりなのはよく分かったよもう!と言われそうなところで、きっかけとゲームについて説明します。

妄想大富豪は「記憶バトルロイヤル」

7年前、友人たちと鎌倉へ向かう電車の中でのことでした。あまりにも暇すぎて、なんとなく口にした冗談とやってみた酔狂がことのはじまり。

私 「暇やな」
友人「暇やなー」
私 「大富豪やろうぜ」
友人「トランプないやん」
私 「出来るかもしれへんやん!妄想でやろう」
友人「…んじゃ、『3』」
私 「『5』」
友人「『7』」



友人「『3』」
私 「あれ、それ五枚目ちゃう?あかんあかん」
友人「あーそっか…って、これゲーム成立してる?」
私 「し、してるぞ!妄想や、妄想大富豪やこれ!」

ふつうに大富豪をする、だけど出すカードはなんだっていい。ただし、トランプとしての矛盾(同じ数字は4枚まで、ジョーカーは2枚まで)を起こしたらアウトになる。カードを出し切れば勝ちではなく、矛盾を起こせば負けるというゲーム。さしづめ「記憶力のバトルロイヤル」、記憶を頼りに矛盾をはらむカードを回避する様は、神経衰弱とマインスイーパーの要素があると言える。
推奨参加人数は4人以上。プレイヤーが好き放題にカードを出していって、それをホストが記録する。矛盾が生じたらチェックして、取り決めた数に達したらアウト。
推奨参加人数は4人以上。プレイヤーが好き放題にカードを出していって、それをホストが記録する。矛盾が生じたらチェックして、取り決めた数に達したらアウト。
ルールを整理すると…こんな感じ!
・基本は大富豪だが、何を出してもOK
・4枚同時出しによる革命(強弱逆転)はなし
・同じ種類のカードの同時出しは3枚までならOK
・出せるカードがないときはパス
・出せるカードがあるときのパスは二回までOK
・カードを記録するホストと、プレイヤーに別れる
・プレイヤーの人数は三人以上だとより盛り上がる
※パスとアウトの上限はプレイヤーの慣れで調整
ホストが記録していくものはだいたいこういう形式になる。
ホストが記録していくものはだいたいこういう形式になる。
大富豪を知っていることが前提だが、8を出したら強制的にターン終了になる「8切り」は取り入れてもそうでなくてもいい。といっても、大富豪自体にローカルルールが多いので、8切りを知らない人も多いとは思うけど。

では、イベントだ!実際にイベントをやってみよう。
今回は、ホーチミン市にあるあずきシェイクがおいしい、agataJapan.cafeのスペースを使わせていただきました。
今回は、ホーチミン市にあるあずきシェイクがおいしい、agataJapan.cafeのスペースを使わせていただきました。

ベトナムの大富豪はおしっこ我慢対決

私「今日はトランプを使わずに大富豪をしてもらいます」 友人「どういうこと?」
私「今日はトランプを使わずに大富豪をしてもらいます」 友人「どういうこと?」
まぁ、そうだよね。このゲームは説明が大変なのだ。

友人から、初対面の人(友人の友人)まで、8人のプレイヤーが集まってくれた。さて、このゲーム最大の壁がはじめのルール説明。気合を入れて説明を試みるものの、参加者の中にはベトナム人の友人もいるけど、そもそもベトナムにも大富豪そのものがあるのだろうか?

友人「ありますよ」
私 「あるのか!」

ベトナム人の友人によると、一応は似たルールで、直訳すると「上昇する」という名前のゲームが存在するとのこと。上昇する…「成り上がり」とでもいうべきか?ただし、ローカルルールとして、44556677といった四種の二枚の連続は2よりも強い、4444は順番を無視して出せるゲーム中で最強のカード、などがあるのだそうだ。

また、ベトナムでこのゲームは年末の小遣い稼ぎ(賭け事)として定着しており、お金のない学生においては水を飲ませ合ってトイレを我慢させる罰ゲームになるらしい。ルールがややこしい上にやけに体育会系ノリだ。

妄想大富豪・4つの魅力

理解を得られたところで、ゲーム開始!
プレイヤーの背後には、プロジェクターを投影して数字の状況が分かるようにした。
プレイヤーの背後には、プロジェクターを投影して数字の状況が分かるようにした。

足並みの揃わなさを楽しむ

友人1「3」
友人2「4」
私「刻んできますねぇ」

このゲームは、性格がモロに出る。ゲームの肝はいかに数字を覚えられるか。そこで少しでも覚えやすくするために、足並みを揃えるプレイヤーたちがいる一方で…。

友人4「3を三枚!」
私「おー攻めてきますねー!」

一気に飛ばしてかき回す人もいる。
余計なことを…!と思っていそう。
余計なことを…!と思っていそう。
なんでも出していいというルールが、プレイヤーの性格を露わにし、少しずつ刻む人もいれば一気に数字を飛ばす人もいる。生き残る個人プレイのようでいて、かつ全員で数字を埋めていくチームプレイでもあるので、展開がシッチャカメッチャカになるほどおもしろくなるのだ。
徐々に思い詰めた表情に。
徐々に思い詰めた表情に。

実はホストが誰よりも楽しい

友人「ヒントください、ヒント」
私 「えー、どうするかな」
くださいよ〜。
くださいよ〜。
悩むな〜。
悩むな〜。
私「だいたい…半分近く埋まって(4種類出て)ます」 友人「な、なるほど…!」
私「だいたい…半分近く埋まって(4種類出て)ます」 友人「な、なるほど…!」
ホストは状況が分かっているので、ヒントを出すことが出来る。ただし全員に伝えるので、誰かひとりが有利になることはなく、全員が出しやすくなるだけ。実際にホストをやった友人は「神になった気分だ」と言っていた。なるほど、確かに悩むプレイヤーを見ながら自分はすべての答えを知っている状況には全知全能っぽさがある。
友人「僕のカード見せましょうか?ほら」
友人「僕のカード見せましょうか?ほら」
全員「私も見せていいよ」
全員「私も見せていいよ」
全部白紙じゃねーかと、こういうおふざけも出来る。
全部白紙じゃねーかと、こういうおふざけも出来る。

終了後にゲーム状況を見て盛り上がる

友人「…9!」
友人「…9!」
ホスト「アウト!脱落〜」
友人「うわぁ、マジか…」
負けるとゲーム状況を見ることが出来ます。
負けるとゲーム状況を見ることが出来ます。
友人「うわー、これが…あー!まだ一枚あったんだこれ」
全員「すごい振り向きたい…!」
ゲーム終了後は感想戦で盛り上がる。
ゲーム終了後は感想戦で盛り上がる。

パスやアウトの結果から数字を推測する

ゲームも佳境に入ってくると…
記憶の世界に没頭するので表情が死んでいき…
記憶の世界に没頭するので表情が死んでいき…
思い詰めたり、
思い詰めたり、
終電帰りのサラリーマンみたいになったり、
終電帰りのサラリーマンみたいになったり、
独自の数字の数え方を編み出していったりする。
独自の数字の数え方を編み出していったりする。
友人「…13より上ってもうないよね?パス!」
私 「あります!よってそのパス…カウントされます!」
友人「えぇっ、嘘!?」
友人「えぇっ、嘘!?」
全員「ということは、1と2のどちらかあるってことか…」
全員「ということは、1と2のどちらかあるってことか…」
ここまで書いて、もしかしたらえらく難しいゲームだなと思われているかもしれないが、ずっとすべてを記憶していかなければならない訳じゃない。むしろすべて記憶できれば絶対に勝てるレベルだろう。これは、人数が多ければ多いほど、誰かのアウトや、パスが通るか通らないかという結果がヒントになる。その特徴こそがまさに、神経衰弱とマインスイーパーを掛け合わせたゲームなのである。

おもしろさが伝わっても伝わらなくても、やれば伝わる。

今回は初参加の人も多かったが、「おもしろい」と好評だった。短期記憶力を最大限まで活かさないといけないのでかなり頭を使うため、連続ではプレイできず、ちょっぴりスポーツのような要素もある。子どもの記憶力のトレーニングやボケ防止にも役立つかもしれない。

このゲームの魅力はやはりやってみないことには分からないので、会社の同僚や学校の友達と4人以上集まってぜひプレイに踏み込んでみてほしい。一度やれば、私がここまで力説するだけの魅力も分かってもらえるはず。
イベント後の打ち上げでも8人でプレイした、酒が入ると一気に難易度が高まる。
イベント後の打ち上げでも8人でプレイした、酒が入ると一気に難易度が高まる。

友人「周りから見たらあいつら頭抱えて何してんだって話ですよね」
私「ほんとそうだね」
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