特集 2017年6月21日
 

ベトナムの橋はドラゴンで火も水も吹く

この光景を週ニで見られます。
この光景を週ニで見られます。
橋が観光スポットになる場合、大抵の理由は「高い」だの「長い」だの。でも、ベトナムには、おそらく世界でも唯一の理由で観光スポット化している橋がある。頭部から、火と水を吹く。週ニで。
1984年大阪出まれ、2011年からベトナム暮らし。日本から3600km離れた土地で、ダチョウに乗ったり、ドナルドのコスプレをしたり、札束風呂に入ったりしている。

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頭部?あるんです!

これが火と水をお吹きになる「ドラゴンブリッジ」さん。
これが火と水をお吹きになる「ドラゴンブリッジ」さん。
この龍を模した橋は、見たまんまドラゴンブリッジと呼ばれる。ただ川岸を渡すだけの役割を務めるに留まらず、週末土曜日曜の夜9時になるとわざわざ通行止めをしてまで、その頭部から火と水を吹くのです。橋、本来の役割を放棄してまで!だ。
全長666メートル、橋としても立派なものです。
全長666メートル、橋としても立派なものです。
2013年3月末に開通したこの橋は、当初は「中国っぽいからダメ」という理由で批判に晒されたが(ベトナムと中国は1000年以上前からドンパチを繰り返していて仲悪め)、毎週末に火と水を吹き続けるその健気な姿勢もあってか、今ではスッカリとダナンの景色に溶け込んだ。そう、ドラゴンブリッジがある街の名前は「ダナン」という。パフォーマンスをお見せしたい気持ちは山々なんだけど、その前にちょっとだけこの街を紹介させてください。
昼間のお姿。
昼間のお姿。
橋から背中が山なりに飛び出している。青とか緑とか金とかにも光ります。
橋から背中が山なりに飛び出している。青とか緑とか金とかにも光ります。

「ハワイ」と「道頓堀」が混じり合う街・ダナン

海沿いの景色。
海沿いの景色。
ダナンは、海沿いの街でリゾートホテルも多いため、最近は日本のテレビでも取り上げられる機会が増え、「ベトナムのハワイ」とも呼ばれはじめた。ハワイに行ったことがないので比べられないが、その呼び名は取っ付きやすくもあるけどなんだかな、と思ってる。理由は、ダナンは海の街であると同時に川の街でもあるからだ。
「ベトナムのハワイ」は「ベトナムの道頓堀」。
「ベトナムのハワイ」は「ベトナムの道頓堀」。
ダナンを南北に貫くハン川には、ドラゴンブリッジを含めて4つの象徴的な橋が渡されている。昼間に見るとその土量の多さからキレイとは言えない黄土色のハン川だが、これが夜になると、ネオンで輝く街をさらに川面にも浮かび上がらせ、ダナンならではの美しい夜景を見せる。

この真っ暗闇に浮かび上がるギラついた色のネオンが、私に地元・大阪の道頓堀を思い起こさせるのだ。あの川幅が10倍くらい広かったらダナンのような景色になっているかもしれないし、溺れたときに助かりそうにないので阪神が優勝しても飛び込む人もいなかっただろう。

ダナンはシンガポールをモデルにしているといわれることもあって、ハノイやホーチミンとは一線を画する、近代的な趣が美しい景観です。また、古都・フエや、江戸時代には日本人も多く住んだ港町・ホイアンへもアクセスが良いし、郷土料理もオススメ!成田から直行便も出てるので夏休みにぜひ!…と、ダナンのPRをねじ込んだところで、ドラゴンブリッジの話に戻ります。

週末夜9時は橋の上がちょっとした縁日状態

ドラゴンブリッジの上は、夜景を眺めるのには良い場所で、平日でもそれなりの人が夜風で涼んでいるのだけど、火と水を吹く週末の夜9時になると橋の上はちょっとした縁日のように人が集まってくる。
わたあめや、
わたあめや、
ソーセージやポップコーン、
ソーセージやポップコーン、
ガスが抜ける前に売り捌けるのか?という量の風船。
ガスが抜ける前に売り捌けるのか?という量の風船。
9時前に撮影している人は地元の人ではなさそう。
9時前に撮影している人は地元の人ではなさそう。
風船がどこまでも目立つ。
風船がどこまでも目立つ。
知らない親子に占拠されていた借り物のバイク。
知らない親子に占拠されていた借り物のバイク。
この橋に立つと、南側には観覧車が見える。実はこれ、もともと滋賀県の琵琶湖のほとりにあった、建設当時世界最大だったイーゴス108。1992年建設、2001年に役目を終えて、2014年にサンホイールと名前を変えて、今はダナンの人たちに美しい夜景を見せている。
あれね。
あれね。
これはこれで関西のテレビ番組などで取り上げられたりと、ストーリー性のあるものなので興味があれば調べてみてほしい。さて、ところで今回はドラゴンブリッジだ。いよいよ、時間は夜9時に差し迫ってきている…!いつも火の来て水が来る、この肌に触れる熱気がいいんだな。さぁ、いつでも来いよ!!
前も!
前も!
後ろも!
後ろも!
いよいよかとカメラを構えだしたところー!
いよいよかとカメラを構えだしたところー!
ウィーン、ガッコン!ゴゴゴ…

ご覧ください、橋が人を襲う瞬間を!

ブシッ
ブシャアアアアア!!
ブシャアアアアア!!
水!?あ、火じゃなくて水が先なのね!?

あれ、でもこれ風向き的に…こっち来た!!
見物客「あああああああ!!」
見物客「あああああああ!!」
見物客「あああああああ!!」
見物客「あああああああ!!」
ビッショビショやで…
ビッショビショやで…
そ、そうなんです!というか、まさか今回もそうなるとは思わなかったけど…。えーとですね、ドラゴンブリッジはこの時間は周辺に交通規制が掛かることで、頭部からそれぞれ斜め方向の四隅に人が集まるのですが、そのときの風向きによって必ずいずれかの集まりがびしょ濡れになってしまうのです。

そのひとびとが逃げ惑う光景は怪物に襲われるパニックムービーのごとし。ただ私、前回も当たりで、1/4の確率でまさか今回まで当たりだとは思いもよらなかったけども。ただ、いつもは火の次に水だった気がするんだけどなー。
順番が変わったのかな?じゃ、次は火…
順番が変わったのかな?じゃ、次は火…
ブシッ

えっ
ブシャアアアアア!!
ブシャアアアアア!!
見物客「あああああああ!!」
見物客「あああああああ!!」
またかよ!?
終まいには「寒い」「冷たい」と帰りだす人まで。
終まいには「寒い」「冷たい」と帰りだす人まで。
あれ!?これまで二回連続で水が吹いたことなんてあったっけ!?というか、火は!?火!寒い!!どちらかというと火の方を撮りに来たつもりだったんだけど…!

三度目の正直だ…さすがにもう火

ブシッ

!?
見物客「あああああああ!!」
見物客「あああああああ!!」
どうなってんだよ!?
一周回って歓喜する子どもたち。
一周回って歓喜する子どもたち。
小川できてもうとるがな。
小川できてもうとるがな。
ノーカットでご覧いただけます。

結局、火は吹きませんでした。

後日、この件をダナンに住む日本人にもベトナム人にも話したところ、「ドラゴンブリッジが火を吹かない訳がないだろう」と信じてもらえず。なんだその絶対感。

自分の記憶の方を疑いはじめたところ、さらに次の週末を迎えて、Twitterでこちらの投稿を発見しました。
「今日は火をふく」と書かれているあたり、いつの間にやらダナンのドラゴンブリッジは気まぐれで火を吹くようになったようです。「火を見れたらラッキー」だと受け取ってもらえるのであれば、経費削減も兼ねられるので良策なのかもしれない。いや、折角来た人もいるんだから見せてやってくれよ。
前回火を見たときの写真を置いておきます。
前回火を見たときの写真を置いておきます。

びしょ濡れで笑える楽しみ方は羨ましい

まさかの水吹き三連発で火は見れなかったけど、人が逃げ惑う光景は日本にはない非日常感があっておもしろい。知らないで見ている人までびしょ濡れになってしまう可能性を考えると、お祭りでもなければ出来ないんじゃないか。そんな観光スポットを週ニで受け入れているダナンのひとびとを見ていると、なんとなくいい街だなと思った。
だからと言って、借り物のバイクはなるべく濡らしたくないけどなー。
だからと言って、借り物のバイクはなるべく濡らしたくないけどなー。
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