特集 2017年6月22日

水曜どうでしょう藤村DがデイリーポータルZに再ツッコミ!~一体どういうおつもりですか?~

藤村忠寿ディレクターと、変なことばかりしてる人たち。
藤村忠寿ディレクターと、変なことばかりしてる人たち。
大泉洋という人気タレントを世に知らしめた伝説の北海道ローカル番組「水曜どうでしょう」。

その番組内で、本来は裏方にもかかわらず冴え渡るツッコミをいれ多くの笑いを生み出してきた藤村ディレクターが、またまたデイリーポータルにやってきくれた!

今回も「1ミリの役にも立たねえ」とお叱りを受けるのか? それとも「その発想はなかった」と唸らせる事ができるのか? ドキドキのレポートをお送りします。

2016年12月に行われたイベントレポートはこちら
東京葛飾生まれ。江戸っ子ぽいとよく言われますが、新潟と茨城のハーフです。
好きなものは犬と酸っぱいもの全般。そこらへんの人にすぐに話しかけてしまう癖がある。上野・浅草が庭。(動画インタビュー)

前の記事:名鉄のナナちゃん人形の股を覗いてはいけない~地元の人頼りの旅 in 名古屋~

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今回も満員御礼。緊張がはしる楽屋

2017年5月27日(土)。藤村Dと我らがデイリーポータルZライター達によるトークイベント第二弾が東京カルチャーカルチャーで行われた。

今回も前回同様に、ライターのイチオシ記事を見てもらい、藤村Dに忌憚のない意見を聞くのが主旨である。

なお、ライター勢は前回とは違った面々。開始の2時間前には集合し、緊張感が楽屋を覆っていた。
緊張感ただよう楽屋。(この写真しかなかったけど本当に緊張してました)
緊張感ただよう楽屋。(この写真しかなかったけど本当に緊張してました)
かたや緊張を知らない藤村Dは30分ほど前に楽屋入り。2分ほど打合せした後、世間話をしていたらイベントの開始時刻がやってきた。
歓声と共に入ってきた藤村D。ピンク色がWebマスター林さん、手前が編集部の古賀さん。
歓声と共に入ってきた藤村D。ピンク色がWebマスター林さん、手前が編集部の古賀さん。

新鮮な気持ちで憤りを伝えたい

藤村D:前回のイベントの時はさ、デイリーをまあちょこちょこ見てたし、見たことがある記事もいくつかあったの。だけど今回はそれ絶対やめようと思ってさ。あれ以来あなたのサイトを一切見てません!

林:えっ! なんで見なくなっちゃうんですか!

藤村D:(量が多くて)うっとうしいし、これを機会に初見で見てみたいと思って。

古賀:新鮮な気持ちで叱ろうと?

藤村D:叱るわけじゃなくて、基本的には「どういうおつもりですか?」というのを問いただしたいわけ。初見で見て、新鮮な驚きを伝えようじゃないかと。ここにいる暇人の皆さんは記事読んでるだろうから分かると思うけど、あの、初めて見た時に感じる「あー…俺はなんて無駄な時間を過ごしちゃったんだろう」という気持ち。あの時の憤りを伝えたい。でも、たまにはあるからね、いいやつが。
我々への不満をホカホカの状態で伝えたいという藤村D。ありがたい、のか?
最初の登壇者は岩沢兄弟。岩沢兄弟といえば巨大ガチャ。
最初の登壇者は岩沢兄弟。岩沢兄弟といえば巨大ガチャ。
岩沢兄弟は、自分のいらないものと引き換えに他人のいらないものが貰える「巨大ガチャ」や、ニフティの社長を飛ばした「人間大砲」といった大作をいくつも作っている。

「欲望の永久機関 巨大いらないものガチャ」
「人間大砲のやりかた」


彼らはライターではないが、アバウトな注文でもきいてくれるとあって編集部に重宝されている。今回はその舞台裏を見せてくれた。
林: 「こんな感じの作って~」、と言うとすぐ作ってくれるんですよ。しかも低予算内で。

岩沢(兄):林さんから巨大ガチャの発注来たときは、ガチャガチャのイラストの横に「3m」って書かれてるだけで。それ見て3mの作らなきゃいけないのかあ、、と。

藤村D:こだわりがそこだけだったんだろうね。3mという大きさがね。
無茶振りがのび太レベルである。林さんの頭の中には「デカい=面白い」という確立した構図があるらしい。
藤村Dの後ろにある、仮装大賞に出てきそうな「得点表示タワー」も岩沢兄弟作。でかい。
藤村Dの後ろにある、仮装大賞に出てきそうな「得点表示タワー」も岩沢兄弟作。でかい。

技術のつかいどころ間違ってるって!

藤村D:これは欽ちゃんがやってるやつだ、すごい!

岩沢(弟):イケアのプラケースとデコトラの装飾に使う電球で作りました。でも、光る装置は自分たちでは作れないので、知人に「オリンピックのクライミング競技で使うタイマー装置の余ったやつ」を借りまして。NHKのBSで放送されているのと同じ装置使ってるんですよコレ。
低予算のため、技術を知恵と人脈でカバーした作品である。「ほー」と感心し、操作性をチェックする藤村D。レバーをあげるとピロピロ鳴りながら光が上がっていくが、同じ所に留めておく機能はない。逆に得点を下げることは可能。
藤村D:得点が下がるというのは仮装大賞でもないですよ! 留められないのが難点だけれども・・・。でも、この銀紙貼って、手作り感あふれるレバーがまたいいじゃないですか。これ、なにで作ってるの?

岩沢(弟):3Dプリンタです。

藤村D:なんでそこにハイテクつかってんだよ! これこそ何でもいいじゃねえか。
操作する人しか見えないレバーはこだわりの3Dプリンタ製。技術使うところ完全に間違ってる、とお叱りを受ける。
操作する人しか見えないレバーはこだわりの3Dプリンタ製。技術使うところ完全に間違ってる、とお叱りを受ける。

「な~るほど~!!」と唸りまくり

次に登壇したのは古参の住さん。コンビニのレシートをつかってうまいこと川柳をつくるという記事だ。藤村Dの世代が好みそうな作品で攻めてきた!

「コンビニのレシートで川柳を詠む」
「つま楊枝 トマトプリッツ ゆであずき」というレシート川柳。「これはアカデミック!」と興奮して得点を一気にあげる藤村D。
「つま楊枝 トマトプリッツ ゆであずき」というレシート川柳。「これはアカデミック!」と興奮して得点を一気にあげる藤村D。
藤村Dのあの野太い声で、噛みしめるように読みあげられるレシート川柳。あまりにも心にしみたのか、「うおぁー」と感心のため息をもらす。すごいぞ住さん!
住:これ、レジで一個ずつ渡さないとダメなんです。順番が大事なのでね。レジに頼むときに「ちょっと川柳を詠んでおりますので、この順番で」と言う。そうすると中国人の店員さんがこのとおりに打ってくれます。

藤村D:狙いにいってるんだね! これはすごい! なるほどぉ!
他にも、5・7・5に合わせ合計575円を狙っていることや、コンビニのなかでも短く表記されるファミマが良い、といったポイントを紹介すると「すごい」「なるほど」を連発。ご機嫌最高潮である。
調子に乗ってきた住さん。ファミマが川柳を作りやすいことをアピール。
調子に乗ってきた住さん。ファミマが川柳を作りやすいことをアピール。
「ボロネーゼ きのこ三昧 ピスタチオ」。なんと季語も入れてきている事でさらに得点アップ。藤村D「うまいっ!!」と声も大きくなり、観客から今日一番の拍手が湧き上がる
「ボロネーゼ きのこ三昧 ピスタチオ」。なんと季語も入れてきている事でさらに得点アップ。藤村D「うまいっ!!」と声も大きくなり、観客から今日一番の拍手が湧き上がる
絶賛されまくりの住さん。ホクホク顔で得意げな口調になってきた。しかし次の川柳で反省点を突かれてしまう。
「イカフライ うま塩あられ いもけんぴ」。藤村D「なんで同じパッケージにしちゃったかな。ラクしちゃだめ」と急に反省会モード。住さん「おれ何でこれスライドに入れてきちゃったんだろ」
「イカフライ うま塩あられ いもけんぴ」。藤村D「なんで同じパッケージにしちゃったかな。ラクしちゃだめ」と急に反省会モード。住さん「おれ何でこれスライドに入れてきちゃったんだろ」
藤村D:やっぱりね、「コレとコレとコレ、買います?」というのが面白いと思うの。この3品を選んだ、その人の今の生活っていうのがこう、垣間見えるみたいなね。

住:ちょっと何言ってるか分からないです。……ああ! 買ったものでね。そうですよね!

藤村D:たとえばこれはもう、ニートで金がない奴でしょ。さっきのピスタチオとボロネーゼを買ってる人とは詠んでる人の年齢層が違うよね。でも、うん、これはいい。電車の中で記事読んでるサラリーマンもこれは良し、と思うとおもう。できたら575円の出してほしかったなあ。

住:もし出たらレシートお送りしますね。
選ばれた3品からその川柳を詠んだ人の背景が浮かび上がるという楽しみを見つける藤村D。書いてる当人さえ気づかなかった新たな視点を教えてくれるとは、さすがである。
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期待の新人が登場!

お次は、笑顔となで肩がキュートな江ノ島くんだ。見たまんまだが食べ物系記事が多く、一部では「ネット界の石ちゃん」とも呼ばれている。

そんな彼がイチオシの記事は、シュークリームにストローを刺してクリームの甘さだけを存分に味わいたいという企画。楽屋では一番緊張していたように見えるが、大丈夫だろうか。

「コンビニのシュークリームのクリーム吸い比べ」
林さんのアメリカみやげのケチャップTシャツを着こなし完全にケチャップボトルになってる江ノ島くん。サポートで担当編集・安藤さんが横につく。
林さんのアメリカみやげのケチャップTシャツを着こなし完全にケチャップボトルになってる江ノ島くん。サポートで担当編集・安藤さんが横につく。

ツッコミも甘くなる藤村D

安藤:期待の大型新人なんですよ!

藤村D:うん、なんか「頑張れ!」と思っちゃう。前に出ていこうぜ!と応援したくなる感じだね。俺も頑張っちゃおうかな。いや、実は僕もね、シュークリーム大好きなの。吸うっていう行為、わかりますよ。

江ノ島:外側もおいしいんですが、メインはクリームですよね。藤村さんもクリーム派ですか?

藤村D:そうですそうです。俺がどれだけクリーム好きかというと、初任給で生クリームのパック2つ買ってきて、かき混ぜたボールのままで食うっていう。わかるわかる。江ノ島君にも、そういう夢があるんでしょ?

江ノ島:はい。でもやっぱりそのまま食うのは野蛮すぎると思うんです。上品にストローで味わいたいなと。

藤村D:そうかそうか、俺はちょっとワイルドにいきすぎたかな?
緊張からなのか、藤村Dのせっかくのフォローを台無しにする江ノ島くん。それでもなお甘やかす藤村D。
ストローで吸えました! の写真。
ストローで吸えました! の写真。
でも結局、「普通に食べたほうがいい」に全員票が入ったらしい。
でも結局、「普通に食べたほうがいい」に全員票が入ったらしい。
藤村D:これはなんのアンケート?

江ノ島:シュークリームはそのまま食べた方がいいか聞いたらこうなりました。

藤村D:江ノ島も手あげてるじゃねえか!

江ノ島:やっぱり皮と一緒に食べるのがいいですね。甘さしかない。

藤村D:…それに気づいたんだね。

江ノ島:大トロばっか食べてるとわかるんですが、飽きちゃうんですよね。

藤村D:……俺は、わかる。俺は今では甘いものあまり食べないけど。俺ね、昔売られてたバタークリームが一番すきなの。現代人は感じたことないだろうヌターッとした甘さが来るやつ。たぶんストローで吸うとそれに近いものが感じられるんだろうね。今は売ってないんだけども。

江ノ島:へー、それはぜひ食べたいですね。

藤村D:おい、さっきから会場中で俺とお前しか喋ってないぞ!
ストローで思う存分甘さを感じたいと言っていたのに、早くも意見を覆した江ノ島くん。そして会場全員の腑に落ちない気持ちを代弁するはずが江ノ島くんを必死にフォローする藤村D。

我々はいったい何を見させられているのだ。藤村Dのいつもの調子を狂わせるとは、さすが期待の新人である。
江ノ島くんの「結果、ローソンのシュークリームがおいしいです」の発言に対しても「君の場合は取材の主旨がだんだんズレてくるという大きな問題点があるね?」と優しく指摘してあげる藤村D。
江ノ島くんの「結果、ローソンのシュークリームがおいしいです」の発言に対しても「君の場合は取材の主旨がだんだんズレてくるという大きな問題点があるね?」と優しく指摘してあげる藤村D。
さて、次にやってきたのは毒をもつ生物が好きなライター、伊藤さん。豊富なボキャブラリーと軽妙なトークが光っていた。
毒好きライター伊藤さん。後半は毒の「ド」で固めてきたらしい。
毒好きライター伊藤さん。後半は毒の「ド」で固めてきたらしい。
伊藤さんは長年ハブを追い求めているがまったく見つからない、むしろハブより貴重な生物をたくさん発見した、というアカデミックな話をしたあと、蝉の抜け殻記事の話題へ。

「ドローンで飛ばせセミの抜け殻」

蝉は6年もの長いあいだ土の中にいたあと、羽化して無事飛んでいくけれど、残された抜け殻がかわいそうじゃないか、いまこそドローンで飛ばしてあげるべきじゃないか、というおせっかいな記事である。
超小型ドローンで抜け殻を飛ばし、無念を晴らしてやりたいと熱のこもった説明をする伊藤さん。
超小型ドローンで抜け殻を飛ばし、無念を晴らしてやりたいと熱のこもった説明をする伊藤さん。

主人公は蝉の抜け殻

藤村D:なんでわざわざドローンは小型にしたの?

伊藤:それは、ドローンが主人公じゃないと思ったからです。飛びたいのは蝉の抜け殻なんです。推進力のある大きなドローンはいくらでも売ってたんですけど、吟味して。最終的にはFacebookの怪しい広告で出てきたやつを思わずクリックして買いました。
ちなみに取り寄せるのに時間かかって記事提出が遅れたらしい。デイリーポータル全体に通じるところだが、情熱をかける所を間違えてるんだよな。
失敗を重ねつつも飛ばすことに成功! 満足げな伊藤さん。クルクル周ってたという抜け殻。
失敗を重ねつつも飛ばすことに成功! 満足げな伊藤さん。クルクル周ってたという抜け殻。
なんだろうこの悪夢みたいな写真は。
なんだろうこの悪夢みたいな写真は。
伊藤:飛んだドローンを眺めながら酒を飲むのもいいなと思いました。よく見るとドローンが光ってるのも、かっこいいなーと。

藤村D:だからもう、蝉の抜け殻どうでもよくなってるじゃんもう。

伊藤:蝉の抜け殻、写真だとブレブレになっちゃうんですよね。

藤村D:もう、主人公じゃないもん。

伊藤:でも見てください! この写真!
半分にちぎれた蝉の抜け殻と、プロペラが一部破損してるドローン。相打ちだ!
半分にちぎれた蝉の抜け殻と、プロペラが一部破損してるドローン。相打ちだ!
伊藤:着地の時、ドローンのプロペラに巻かれて抜け殻が粉々になっちゃったんです。 でも凄いんですよ、プロペラも一部破損して、相打ちなんですよ!

藤村D:だからなんだよ!

伊藤:両方頑張ったよねと。いま、殴りあった不良たちがお互いに「いいパンチ持ってんじゃねえか」と言い合ってる所ですよ。

藤村D:これが戦い終わった後の、ほんとの「抜け殻」状態な訳だ。いやあー、このストーリーの作り方は江ノ島君には無いところだね。ただでは起き上がらない。素晴らしい。でも最後はやっぱり「で結局、だから何だよ」ってなっちゃうけどな。
独りよがり記事が多いことを指摘し、点数はちょっと低めな結果に。
独りよがり記事が多いことを指摘し、点数はちょっと低めな結果に。
お次は最近、TVなどで有名になってきているあの人の登場だ!
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この方、有名な方でしょう?

お次は、普段見たこともないような生物を獲って食たべちゃうライター、平坂さんである。先ほどの伊藤さんも生き物が好きであるが、どちらかというと観察して楽しんでいるのに対し、平坂さんはゴリゴリのハンターだ。

最近よくTVに出ているので藤村Dも知っているという。
藤村D「この人もデイリーポータルだったの? 絶対離れた方がいいよ!」 林「ダメですよ! 江ノ島ばっかになっちゃうじゃないですか。」
藤村D「この人もデイリーポータルだったの? 絶対離れた方がいいよ!」 林「ダメですよ! 江ノ島ばっかになっちゃうじゃないですか。」
カミツキガメをさばいて揚げた所。手の爪の形状がそのままわかる。おいしかったらしい。
カミツキガメをさばいて揚げた所。手の爪の形状がそのままわかる。おいしかったらしい。
凶暴の代名詞であるカミツキガメを千葉で簡単に釣り上げちゃったり、アマゾンで電気ウナギを釣ってあえて水の中で素手で触ったりと、命を削って取材する平坂さん。

体力に自信ないから代わりにトンチをきかせ、近所の公園で撮影が済むような取材をしている我々と規模が違う。生き物が好きな藤村Dも終始興奮していた。

「香港のドブでアフリカの巨大魚「クラリアス」を釣る」
香港のドブ川にいた巨大魚も平坂さんなら簡単に捕まえてしまう。そして、食う。
香港のドブ川にいた巨大魚も平坂さんなら簡単に捕まえてしまう。そして、食う。
ホテルの人に許可をとり風呂場で解体。まさかこんな殺害現場のようになってるとは思ってないだろう。(掃除は入室時の2倍キレイにしたそうです)
ホテルの人に許可をとり風呂場で解体。まさかこんな殺害現場のようになってるとは思ってないだろう。(掃除は入室時の2倍キレイにしたそうです)
とにかく臭いので、牛乳や酒で洗い水ですすぐという工程を15回。さらに生姜とあわせ油であげ、臭みを飛ばす。
とにかく臭いので、牛乳や酒で洗い水ですすぐという工程を15回。さらに生姜とあわせ油であげ、臭みを飛ばす。

いかに「素材の味を殺すか」が勝負

平坂:普通に料理したら食えたもんじゃなかった! 石油製品の味がするんです。ドブの水に石鹸をといたみたいな味。

藤村D:いやわかんねえよ、食ったことねえよ!

平坂:今まで食べた生物のなかで一番まずかった。住んでる環境が悪すぎてドブの味がついちゃったんですよね。でも、捨てるわけにはいかない。なんとか美味しく食べようとおもって、上のような工程を繰り返したんです。

藤村D:これだけやったら大丈夫でしょう? ここまできたら!

平坂:いかに素材の味を殺すかが勝負です。料理人なんてね、素材の味を生かすとか言って、いい気なもんですよ!味を殺すというのがどんだけ大変なことか。とりあえずただのタンパク質の塊にしてやろうと思って。
結果、この表情。変わらず食えたもんじゃないが4日間かけて完食。「生命の神秘を逆に感じました」と名言。
結果、この表情。変わらず食えたもんじゃないが4日間かけて完食。「生命の神秘を逆に感じました」と名言。
もうなんか、TV番組以上の情報量だ。すべての情報が未知すぎて、藤村Dも「それでそれで?」と欲しがり屋さん状態である。挙句の果てに「TVで見てた人に会えてなんか嬉しかったわ」のミーハー発言をもらしていた。

記事のメリハリつきすぎだろ!

骨太な記事を炸裂させた平坂さんの次は、新人の一人megaya(メガヤ)くん。今回はふりかけの「ゆかり」が調味料の頂点だという事を熱弁しにやってきた。

「ふりかけの「ゆかり」が最高の調味料だと教えたい」
デイリーらしく日常感あふれる記事に一気に引き戻される。藤村D「デイリーの記事、メリハリつきすぎだろ!」
デイリーらしく日常感あふれる記事に一気に引き戻される。藤村D「デイリーの記事、メリハリつきすぎだろ!」
記事ではゆかりの色んな味わい方を披露している。特にこれ美味しそう!
記事ではゆかりの色んな味わい方を披露している。特にこれ美味しそう!

ゆかりは他の味を邪魔しないっす。ほんとそこだけ。

megayaくんは勢いよくゆかりの良いところを褒めたたえはじめた。藤村Dも観客も気圧されてポカンとなるが、よく聞くと「ゆかりの美味しさがプラスされるだけで、他の食べ物の味を邪魔しないっす」ということを延々繰り返している。しかしそれがサブリミナルのように脳に植えつけられ、「お、おう」と納得してしまう。

調味料をかけてしまうと普通はその味に引っ張られてしまうものだが、ゆかりにおいては違う、ということなのだ。
持ち運びできる、「ゆかりペンスタイル」で藤村Dにゆかりを食べさせる。「この味、他の味を邪魔しないっすよね?」「お、おう」
持ち運びできる、「ゆかりペンスタイル」で藤村Dにゆかりを食べさせる。「この味、他の味を邪魔しないっすよね?」「お、おう」
ゆかりが混ぜ込まれたレアなスイーツも用意。しかし好きすぎて記憶のないうちに開けて食べちゃってた事件。
ゆかりが混ぜ込まれたレアなスイーツも用意。しかし好きすぎて記憶のないうちに開けて食べちゃってた事件。
megaya:これがおいしいんですよ! プレゼントに持ってきました。ただ、おととい酔って記憶なくして、気づいたら開けて食べちゃってたみたいなんです。後で自分でもすごいビックリしちゃって。ちゃんと1週間前に買ってたのに…5個くらい食べちゃってました。

古賀:食べ物が好きというのを会場で説明するのに、先に開けてしまってるというのがすごい説得力!

藤村D:おいしさを伝えるのは一番難しいからね。あ、意外な味! これさ、クリームじゃなくて生地の方にゆかりが練りこんであるのね。

megaya:そうそうそう、この驚き! 伝わりました?

藤村D:塩パンとか流行ってるし、しょっぱい系は確かにイケるよ。あと、梅感が割と少な目なんだけど、ちゃんと梅を感じるよね。

megaya:そう! そして他の味を邪魔してないっす。これが「ゆかり」なんですよ!
結局、最初から最後まで「他の味を邪魔しないっす」を聞かされた我々。充分すぎるほど理解できたので、ある意味優秀な営業マンのようだった。藤村Dのお墨付きをいただいたmegayaくんは満足げに帰っていった。何のイベントだよ。
お菓子の残りを後ろにまわしたところ、さっそく2枚も食べてた江ノ島くん。この食いしん坊!
お菓子の残りを後ろにまわしたところ、さっそく2枚も食べてた江ノ島くん。この食いしん坊!
さて、残るは2人。そして藤村Dによるありがたいお言葉で締める。
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無茶振りを叶える担当、再来

お次は、よしだともふみさん。岩沢兄弟と同じくライターではないが、電子工作などの技術力で林さんの無茶振りをかなえる担当だ。
こちらはスイッチを入れると白目と黒目を入れ替えられ、目入れが永遠にできる電動ダルマ。単純なようでいて複雑な技術を使っているらしい。
こちらはスイッチを入れると白目と黒目を入れ替えられ、目入れが永遠にできる電動ダルマ。単純なようでいて複雑な技術を使っているらしい。
ニフティの社長の顔をデカくしたりもする。
ニフティの社長の顔をデカくしたりもする。
社長の顔の展開図。PDFをダウンロードすれば誰でも作れます。
社長の顔の展開図。PDFをダウンロードすれば誰でも作れます。
こうしたよしださんの作品は、一度開発すればみんなも真似できるため国内外問わず色々なところでワークショップが行われている。

「2時間で顔がでかくなるワークショップ」
ワークショップの様子。藤村D「この絵ヅラが素晴らしい!」
ワークショップの様子。藤村D「この絵ヅラが素晴らしい!」
よしだ:これは開発に半年くらいかかりましたよ。展開図をつくるプログラム書いたりして。

藤村D:やばいだろうこれ! 社長のより普通の女性のがすごく笑える。表情ふざけてないんだもん。この女性、純粋な瞳で絶対いい子でしょ。まっすぐな瞳で子供に向き合って、「お母さんだよ」って。

よしだ:なのに子どもがお父さんの肩に力入れてしがみついちゃって。デフォルメしてないから変な現実感あるんですよね。

藤村D:表情が普通であるだけに怖い。やばいなー。これがほんとの恐怖なんだな。

林:肉親が急にこうなったら、子供は「小さいころ、お母さんの顔が大きくなったような気がする・・・」ってずっとトラウマになるでしょうね。

よしだ:ちなみにこれは2時間かけて作るんですけど、このあと2秒で顔が大きくなる箱をつくって。アメリカ、中国、タイにも持っていきました。万国共通どこ行ってもウケるんですよ!
かぶるだけで顔がでかくなる箱。どこでもバカウケ。
かぶるだけで顔がでかくなる箱。どこでもバカウケ。

デカ顔=うんこレベル

藤村D:言葉が必要ないもんね。顔がでかくなるだけでこんなに面白いんだな。いやー、人って単純だねえ。これ、うんこと同じくらいのインパクトなんだろうね。

よしだ:ええ。…いや、そこまでですか?!
高度な技術を使って世界に笑顔をつくりだしているのに、最終的にうんこと同じにされてしまったよしださん。だが、2秒で笑いが取れるとはそういう事なのかもしれない。

金のニオイがする新人、登場!

お次は、「歩くたびに巨乳になってく装置」など無駄な工作を作りユーチューブにアップしている藤原さん。デイリーライターになったのは最近だが、早くも有望視されている。
藤原さんは、いつか無駄なものから有用なものを生み出し、CEO的な人から出資されたいという野望をもっている。
藤原さんは、いつか無駄なものから有用なものを生み出し、CEO的な人から出資されたいという野望をもっている。
今回はSNOWという、顔を可愛く盛るスマホアプリの機能を利用した装置を紹介。

「自分の顔だけ「盛れる」デバイス」

本来は自分のスマホで撮るときに可愛くするアプリだが、これを使えば他の誰かに撮られるときでも可愛く映ることができるという、画期的なデバイスなのである。
これは普通のSNOWの機能。
これは普通のSNOWの機能。
藤村D:右は不機嫌そうだけど、左は誘ってきてるような感じ。こんなに変わるんだ?

藤原:左を真実と思わせたいんですよね。自分の写真はどうにでもできるけど、飲み会とかで誰かに撮られると普通の方の顔がSNSで世界中に広められちゃったりする。そういう、イザという時でも自分だけSNOWで可愛くなりたいなと。何らかの力を働かせて。
装置を装着し(これがまず大変そう)、何らかの力が働いているところ。
装置を装着し(これがまず大変そう)、何らかの力が働いているところ。
ガチャガチャと色々動いた末、可愛く盛られた瞬間。藤村D「すげえ! かわいいー!」 後ろにいる藤原さんが動くと、画面の顔もちゃんと動く。
ガチャガチャと色々動いた末、可愛く盛られた瞬間。藤村D「すげえ! かわいいー!」 後ろにいる藤原さんが動くと、画面の顔もちゃんと動く。
藤原:むきだしの液晶パネルを買ってきてスマホにつなげたり、段ボールやカーテンレールを駆使して作りました。スイッチを押すと自動でモニターが降りてくるんですよ。スムーズにはいかないですけど。

藤村D:でも、これはすげえ! 後ろの人は全然違う顔なわけでしょう? 現状では段ボールが精一杯かもしれないけど、製品化となればもっと良いのが作れるだろうし。

藤原:これから投資をしてもらったり開発資金をいただいたらARとか? わかんないですけどそういうので、いつでも可愛く撮ることができるようになります。

藤村D:これは素晴らしい! 満点!! これすごくね、金のニオイがします。俺そういうの大好き。特許とる窓口になるわ。
見事、有終の美を飾った藤原さん。すかさず古賀さん「ほんとは江ノ島じゃなくて藤原さんが期待の新人なんですよ!」と本音をもらす。
見事、有終の美を飾った藤原さん。すかさず古賀さん「ほんとは江ノ島じゃなくて藤原さんが期待の新人なんですよ!」と本音をもらす。
最後は金のニオイをちらつかせることで藤村Dの心をガッチリつかむことに成功。工作自体は発展途上な感じは否めないけど、それを含めて可能性を感じさせるのだ。さすが、本物の期待の新人である。
ビシっと締めのお言葉をいただこう。
ビシっと締めのお言葉をいただこう。

総括と課題「自分たちでまず反省しろ!」

藤村D:前回よりもライターの幅広さを見せられた気がする。これが全員に受け入れられてるかは別としてね。

林:それはそうですね。江ノ島から平坂さんから藤原さんまで。ダイバーシティです。

藤村D:でも次はさ、2~3人で組んで書いてみたら? 「水どう」もそうだけど、俺だけじゃなくて大泉洋とか鈴井さんとか嬉野さんがいると、どっかで「おい!」と、「それはおかしいんじゃねえのか?」、と言う人が出てくる。
すると、ハッと目覚める瞬間があるわけよ。でも君たちは一人ひとりでやってるから、目覚める瞬間がない。


林:みんなボケっぱなしなんですよね。

藤村D:半年に一回俺がツッコミに来るわけだけどさ、俺が来る前に自分たちで反省しろよ!誰かと一緒に記事を作ると、見方の違いが出る訳ですよ。2人が合わさることで、一般人もついていけるようになるんだよ。

いきなりアマゾン行ってきました、とか、ゆかりについて熱弁ふるったりとか、行き過ぎると我々ついていけない時がある。でもこの二人がくっついたら一体どうなるのか。巨大魚にゆかりをかけるとかね? それをまた、江ノ島がストローで吸ってみるとか。


林:楽しそうですねそれ! それいいなあ。

藤村D:でもそれはね、絶対失敗するのよ。コラボって大概失敗するの。じゃあ何のためにやるかというと、お互いに反省をしろってこと。そしたら成長して、読み手も安心して読めるようになる。

林:なるほど、じゃあいくつかやってみようかな。次回は成長した記事を見せたいですね。

藤村D:「なんでソレとソレをかけあわしたんだよ!」と俺は怒るかもしれない。けれど、見てみたいね。デイリーポータルがさらに成長したところ。
また半年後に来るから!
我々には反省が必要だ!
我々には反省が必要だ!

また半年後!

という感じで、第二回目が終了。ライターだけでなく、デイリーを支えてくれているモノづくりの面々の苦労も見えて濃厚だった。また、新人が多かったからか、江ノ島くんの力なのか、前回と比べて藤村Dの優しさが垣間見えたのも面白かった。

新たな課題を念頭に入れつつ、また藤村Dを唸らせられる記事を書いていこう。
嬉しそうなケチャップ
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