特集 2017年6月29日
 

「サザエさん」世界の大人はメガネがかけられない 〜サザエさんキャラを描くコツ〜

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サザエさんの絵、ドラえもんの絵、描けるのは描けるのだが、本物と比べると、微妙なところであまり似ない。コツがあるのではなかろうか。

アニメ『サザエさん』そっくりなイラストが描けると評判のライター北村ヂンさんに聞いた。
1986年埼玉生まれ、埼玉育ち。大学ではコミュニケーション論を学ぶ。しかし社会に出るためのコミュニケーション力は養えず悲しむ。インドに行ったことがある。NHKのドラマに出たことがある(エキストラで)。

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北村ヂンに訊く

話を伺ったのはデイリーポータルZでも記事を書いている北村さん。
「私が描きました」みたいになっているが、この本は参考書である
「私が描きました」みたいになっているが、この本は参考書である
最近はいろいろな作品のタッチ(サザエさん風や藤子・F・不二雄先生風や)のモノマネをして人気だ。
サザエさん風ピコ太郎(こちらの記事より)
サザエさん風ピコ太郎(こちらの記事より
ナニワ金融道風トランプ(こちらの記事より)
ナニワ金融道風トランプ(こちらの記事より
そして生き方の表明かなのかはわからないが、今年のはじめから突然の絵柄がF先生風になったことが衝撃を与えた(主にデイリーポータルZ関係者に)。
最初の一回だけだと思ったがもうずっとこれで行くようだ。連載もののストーリー漫画で「主人公の絵柄が第一話と終盤でぜんぜん違う!」というのが話題になったりするが、これほど大胆な変わり方もないだろう。

今日はそんな北村さんに、サザエさんと藤子・F・不二雄タッチのポイントを教わる。…本家と無関係な人に教わるってなんなんだという気もするが、一度やってみよう。

F先生をリスペクトしてベレー帽を3つ買った北村さん

北村さんはF先生を意識してベレー帽をかぶっている。撮影の時だけではあるが、絵柄の変更とともに実際の北村さんにも変化が訪れた。

もしかしたら公の場で誰もツッコんだことがないかもしれないので、この場を借りて触れておこう(直接会ったとき散々言いましたが)。
ベレー帽は藤子・F・不二雄先生リスペクトだそうです
ベレー帽は藤子・F・不二雄先生リスペクトだそうです
最近知った情報としては、北村さんはこのベレー帽を3つ所有しているそうだ。

本物の藤子・F・不二雄先生のエピソードをもとに3つ揃えたわけではなく、1つの帽子をずっと使っているとすぐにダメになってしまうのが理由だという。北村さんがベレー帽を3つ持ってるのは、ただのF先生に憧れる人のエピソードだ。忘れてくれて構わない。

意外と簡単ではないサザエさん

さて、本題の『サザエさん』の絵である。簡単に描けるだろう、と思って僕が描いてみるとどうもおかしくなってしまうのだ。
ぼくが描いた『サザエさん』風の絵
ぼくが描いた『サザエさん』風の絵
以前の北村さんの記事で示されているように幾つかポイントはあるようだが、一体どこがどうおかしいのか、指摘してもらいたい。

その前に、北村さんにお手本を描いてもらおう。(いま無意識に「お手本」と言ってしまったが、北村さんはアニメ『サザエさん』とは何の関係もない。モノマネが得意なだけである。)
サラサラと描き上げる
サラサラと描き上げる
おお…
おお…
あっという間に描き上げた。ラフなタッチだが、本物と見まごうモノマネっぷりである。違和感がほとんどない。ぼくが描いた絵と一体どこが違うのか、具体的に教えてもらった。

鼻と口がちがう

まずパーツの形の違いを指摘してもらう。ぼくの絵だと、口と鼻の形がちがうらしい。
四角に近い鼻と、口はくちばしのようになっているのが特徴的だ。
四角に近い鼻と、口はくちばしのようになっているのが特徴的だ。
すこし角ばった鼻と、くちばしのような折り返しが付いた口を覚えておくとよい、とのこと。これをマスターしておけばいろいろなサザエさんキャラが描けるようになる。

くちばしがついていればにっこり笑ってる曲線でもいいが、北村さん的には波線のようになっているこの口がオススメだという。波型は描くのが簡単な上、「わかってる感」が出るそうだ。

なるほどと思うのだが、誰に対しての「わかってる感」なのかはわからない。

パーツの配置がキモ

顔のパーツについてはだいたいわかった。サザエさん一家はパーツの形はほとんど一緒だという。なので次に重要になるのはパーツの配置ということになる。

実際どうなっているかというと、サザエさんの登場人物は目の位置が特徴的だ。ふつう十字のアタリを描いたら、横線の位置に目が来るのだが、サザエさんだと鼻がくる。
ふつう左右の耳を結ぶ線上に目が来るのだが、サザエさんの登場人物(こども)は鼻が来る。大人はさらに鼻から上が、さらに上に上がってしまう。
ふつう左右の耳を結ぶ線上に目が来るのだが、サザエさんの登場人物(こども)は鼻が来る。大人はさらに鼻から上が、さらに上に上がってしまう。
先ほど覚えた鼻や口のパーツ、活かすも殺すも配置次第である。

大人はメガネがかけられない

さて、お気づきだろうか。サザエさんワールドの大人は、顔のパーツが中心線から上にずれている。つまりこの世界の登場人物は、大人になるとメガネが掛けられなくなるのだ。
大人はメガネがかけられない
大人はメガネがかけられない
そういえばカツオの友だち中島はレンズの中に目が入っているが、20歳(くらい)の甚六はレンズから目がはみ出している。甚六は大人なのだ。

うきえさんはメガネを掛けていないが、かけたらレンズから目がはみ出そうなので「大人」ということになる。小学校入試に出てくるかもしれないので覚えておきたい。

その他間違いやすいポイント

そのほかサザエさんキャラを描くときに間違いやすいポイント・覚えておきたいポイントをまとめた。
見て分かるとおり、肌の色はかなり大切だ
見て分かるとおり、肌の色はかなり大切だ
これだけ意識すれば髪型や服装に関しては自由だという。というか個性は髪型と服装で出さないともうどうしようもないらしい。

これだけでだいぶうまくなった気がする。
ネットで画像検索しながら「この絵はここがちょっと違う」とポイントを指摘。
ネットで画像検索しながら「この絵はここがちょっと違う」とポイントを指摘。
ネットで他の人が描いたサザエさん風の絵を見ながら指摘してもらった。言っていることは的確なのだが、サザエさん関係者でもないのに何様なんだという思いもこっそり芽生える。マーシーのTシャツ着てるし。

F先生作品の登場人物は頭と体のバランスを気をつけろ

続いてF先生の絵柄も教えてもらおうと思ったのだが、さすがにサザエさんほど記号的な学習法では無理そうだ。

そこで、北村さんが先生のモノマネするときに気をつけてることを聞いた。
イベントで描いたF先生風の似顔絵。これもそれっぽい。
イベントで描いたF先生風の似顔絵。これもそれっぽい。
F先生の描く人物は頭と胴体の比率が特徴的で、なかなか描くのがむずかしいのだそうだ。では、どうやったらF先生の描くキャラクターのバランスを習得できるのか。

その答えはこうだった。
定規だ。
定規だ。
定規で測って頭身のバランスを見極めながらイラストを描くのだそうだ。

なんだろう、まじめさを感じてきてしまった。まじめさがクオリティを担保している。明治時代の学生が西洋の学術を取り入れるころのまじめさだ。

部分でもいいからF先生っぽい絵を

こんなまじめさはなかなかできない。

不まじめなぼくのような人間でもF先生っぽさが出せるコツはないですかと聞くと(だんだん自分でも誰に何を聞いているのかわからなくなってきたが)、北村さんは肩の部分の描き方を教えてくれた。
これでF先生の作品っぽい腕が描ける!
これでF先生の作品っぽい腕が描ける!
たしかに後期のドラえもんはシャツの肩の部分がこうなってた気がする。これだけならぼくにでも描けそうだし満足感がある。

ただ、全身は描けないので、なんというか、ディアゴスティーニの創刊号ふろく「F先生の作品っぽい腕」みたいなものとして記憶にとどめたい。

モノマネモンスター

モノマネだけど、すごいまじめさだった。
モノマネ方面のまじめさが行き過ぎて、最近はいろいろなタッチのマネに手を出しはじめているようだ(北村さんのツイッター)。

このままでは自分を失ったモノマネモンスターになってしまうのではないかと不安になっているが、静かに見守りたい。

最後におまけ。
ドラえもんを描くときに人々がおかしがちな間違いを教えてもらいました。
「一般の人はここを間違いがち」とぽろっと言っていたが、ただドラえもんとF先生が好きなだけの無関係者である。
「一般の人はここを間違いがち」とぽろっと言っていたが、ただドラえもんとF先生が好きなだけの無関係者である。
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