特集 2017年7月12日
 

あのでかいアオサギも、みんな昔子どもだってね

小さかったけどみるみるでかくなります!
小さかったけどみるみるでかくなります!
体長93cm、翼を広げると約160cmにもなる翼竜のようにでかい鳥、アオサギ。都市河川や親水公園でも見られる身近な巨鳥だが、そんなアオサギにも小さい頃があるのだ。アオサギ博士と3ヶ月にわたって観察した。
1975年神奈川県生まれ。毒ライター。 普段は会社勤めをして生計をたてている。 有毒生物や街歩きが好き。つまり商店街とかが有毒生物で埋め尽くされれば一番ユートピア度が高いのではないだろうか。 最近バレンチノ収集を始めました。

前の記事:「北限よりちょっと南のハブに会いに行く」
人気記事:「夏は池袋で毒づくし! 毒毒毒毒毒毒毒毒毒展(もうどく展)」

> 個人サイト バレンチノ・エスノグラフィー

[3月25日]コロニーは恋のダンスホール

桜の花もぽつぽつと開きはじめた3月の終わり、東京メトロ東西線南砂町駅を降りてぶらぶらと仙台堀川公園を西へ行く。
アオサギ博士、白井剛(しらい たけし)さんの主催する「アオサギ繁殖地観察講座」である。
柵についた鳥の足跡のサイズがわかるように撮影中。
柵についた鳥の足跡のサイズがわかるように撮影中。
白井さんはライフワークとして多摩川を中心に身近なアオサギの行動や繁殖の生態の研究を20年以上続けており、現在では都留文科大学と和光大学で動物生態学の非常勤講師を勤める傍ら、都内近郊で街ナカの都市鳥などを観察して身近な自然保護を啓発する自然ガイドとして活動している。
アオサギや都市鳥の他に、鉄道、地形にも精通しているいろいろ混沌とした博覧強記の人なのだが情報量が増えすぎて進行に支障をきたすので今回はそれは置いておく。
アオサギや都市鳥の他に、鉄道、地形にも精通しているいろいろ混沌とした博覧強記の人なのだが情報量が増えすぎて進行に支障をきたすので今回はそれは置いておく。
思慮深そうな、でも実は何も考えてなさそうな感じで水際にぼーっと突っ立っているでかい鳥アオサギ。
来ないバスを待っているかのように1点を見つめている。
来ないバスを待っているかのように1点を見つめている。
エサを食べる時の表情の冷酷さがすごい。
エサを食べる時の表情の冷酷さがすごい。
でもよく考えたら小さい頃、つまりヒナ見た事ないよね。あれ昔は小さかったんですよね、と素朴な疑問をぶつけたら「それじゃあ見に行きますか」と臨時に講座を開いてくれたのだ。
仙台堀川の水路沿いに横十間川との合流地点を目指す。
仙台堀川の水路沿いに横十間川との合流地点を目指す。
護岸の壁画がかっこいい。
護岸の壁画がかっこいい。
たどりついたのは横十聞川親水公園。園内の川に囲まれたちいさな「野鳥の島」にアオサギ達がたむろしていた。
正面の中州が「野鳥の島」
正面の中州が「野鳥の島」
せっせと枝を運ぶ。
せっせと枝を運ぶ。
アサー!谷岡ヤスジのようなテンション
アサー!谷岡ヤスジのようなテンション
「ここはアオサギが繁殖期(2月〜8月ごろ)を過ごすコロニーになります。ここで巣を作ってつがいになり、子作りと子育てをします。規模は小さいですが都内ではもっとも巣が観察しやすい場所のひとつです」

――あー恋か。それでみんなハイテンションなんですね。
「見た目もテンションがあがります。婚姻色といってクチバシの色や脚の色が赤くなります。ピークの時は目も赤くなります」
右が繁殖期。クチバシだけでなく目も岩下の新生姜のようにピンキーになる。かのアリストテレスは「動物誌」の中で「交尾の時に騒ぎ立て、眼から血が出る」と解説しているが、言いすぎだろう。
右が繁殖期。クチバシだけでなく目も岩下の新生姜のようにピンキーになる。かのアリストテレスは「動物誌」の中で「交尾の時に騒ぎ立て、眼から血が出る」と解説しているが、言いすぎだろう。
――ところどころになんか挙動不審なのがいますね。
「ディスプレイといってオスがメスにアピールする求愛行動ですね。首を斜め下に伸ばしてクチバシを鳴らすスナップディスプレイや、首を伸ばしてぐーっとそり返るストレッチディスプレイなどがあります」
クチバシをカスタネットのように鳴らすスナップディスプレイ。わかりやすい動画でどうぞ。
ストレッチディスプレイ。昔エコーズのライブでボーカルの辻仁成がこんなポーズをしていた気がする。
ストレッチディスプレイ。昔エコーズのライブでボーカルの辻仁成がこんなポーズをしていた気がする。
けたたましい声がこだまするコロニーの周囲を回る。何個か巣は見つかったがヒナの姿は見られない。

「ガガガガ...と小刻みに鳴き声が聞こえてきますね。これはアオサギの幼いヒナの声なのでどこかで生まれている事は間違いありません。ただ、巣が木の奥の方にあったり、まだ体が小さくて外から見えにくいんですね。」

白井さんが観察しやすそうな所に巣を見つけた。
「親鳥が座っています。抱卵(卵を温めている)しているんでしょう。」
「親鳥が座っています。抱卵(卵を温めている)しているんでしょう。」
――隣でディスプレイしまくっているのがいますがあれはまだパートナーがいないという事ですよね。
「そうですね。抱卵しているすぐ隣なのでなんか残酷な対比ですね……」
「抱卵しているメスがこのオスに魅かれるなんて事はあるんですか?」「いやーないでしょうねー」
「抱卵しているメスがこのオスに魅かれるなんて事はあるんですか?」「いやーないでしょうねー」
この日ヒナは見られなかったが、後日この巣をまた覗きに行く事にした。

 ▽デイリーポータルZトップへ つぎへ>

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ
↓↓↓ここからまたトップページです↓↓↓