特集 2017年8月5日

移動動物園の動物たちがなんかヤバイ

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広場がある施設にて、動物が突然現れる「移動動物園」がたまに開催される。基本的には客集めのイベントのため、我々の興味をひくヤバめの動物ショーになりがちで、大好きである。

そこで「移動動物園」愛好家として今回は、特になんかヤバイ「移動動物園」TOP5を紹介したいと思う。
多摩在住のイラストライター。諸メディアにおいて、フマジメなイラストや文章を描くことを専門としながらも、昼は某出版社でマジメな雑誌の編集長をしたりするなど、波乱の人生を送った後に、新たなるありのままの世界へ。そんなデイリーポータルZでのありのままの業務内容はコチラを!(動画インタビュー)

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●1匹目「競い合うブタ」

そんなヤバイ(=最上級を意味する若者言葉)移動動物園だが、たとえばデパートの屋上なんかに、よく移動してくる。
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こちら、戦隊ヒーローショーなども行われがちな催し物広場であるが、このたびは、
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「ふれあい動物園」である。ふれあうっきゃない。基本子どもがメインターゲットだろうが、そんなの知らない。ちなみに移動動物園ではいろんな企画が行われるが、当所のメインイベントは、
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ブタレース。競馬をはじめいレース的なものに興味がない僕だが、ブタのレースとなると話が違う。どれ勝ってもいいよ感から、逆に興味が湧く。そこで早速、パドックとも言えるブタのたまり場にやってきたのだが、
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ブタ、やる気ゼロ。
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ブタ、すげぇ
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別に疲れてないはずなのに、えらい疲れてそう。
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なんだこれ。すでに豚バラのような自己放棄感すらある。
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目の死にっぷりもヤバイ。
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これはブタとディスられてもしょうがない。でもいざレースとなったら、競争ブタとして豹変してくれるのだろう。そして、レース開催の時刻が迫ると、スタッフさんの呼び込みが。
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レースに際して、まず4匹のブタのうちどれが勝つのか、予想できるとのこと。
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当てた方の中から抽選で何かインセンティブもあるらしい。すばらしいユーザー参加企画。が、どれが勝っても世の大勢に影響はない。
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しかしユーザーの食いつきはものすごく、レース会場を取り囲む。ちなみにレースのコース上には、
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さまざまな障害物が配置されていたが、ブタに対しての隠しトラップのごとく、
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ゴール前に
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大好物のビスケットがまかれることに! ブタ的にはキラーコンテンツとなるのだろう。
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そしてついに待ちに待ったブタレースが、スタート! 4匹のブタがもんどりうちながら、ゴールに向かってブヒブヒなだれ込んでくる!
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そのまま一気に、ゴール前の、先ほどのトラップポイントに来た時、
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!! 全ブタがそこで足を止めた! 全員下を向き、コース上に散布されたビスケットを、食らい始めた!
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ブタ単純すぎ。みんなして食いつきすぎ。
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ゴール前なのに、レースほったらかしでブヒブヒ食いつくブタども。ビスケット効果ありすぎ。コイツら競争者としての自覚はゼロか。
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なにこれ。何を見せられてるのか。そんな泥仕合のなか突然、何を思ったか、青のスカーフを付けたブタが、ひょっこり飛び出し、
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無事ゴールをしたのであった! 勝因はブタにしかわからない。たぶん気まぐれ。
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というわけで優勝は青のブタだったのでした! おめでとう!
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…ちなみに、レースの終了後、そんなブタたちを撤収する際なのだが、
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ケージが置かれ、全員ブヒブヒ言いながら
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吸い込まれるように入っていき、
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まさに「ドナドナ」のように運ばれていったのであった。
このように、管理もしっかり行き届いていたうえに、「ユアエルム」を歓喜と興奮の渦に巻き込んだブタレースを満喫できた移動動物園、さすがのヤバイパフォーマンスなのであった!!!
では次のところに移動してみよう!
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●2匹目「むさぼるアルパカ」

移動動物園は
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住宅展示場の広場にも来ることがある。
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動物で子どもを魅了して、親である大人も一緒に連れてくるモデル、と思われるが、僕の場合動物自体に大人が魅了されている点で、破綻している。

素敵な住宅が絢爛豪華に展示されている場だが、僕の興味は動物のみ。住宅に興味なさ過ぎて罪悪感は湧く。住宅関係者の方々ごめん。そしてこの地にはなんと、
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あのアルパカが来るらしい。アルパカ! カピバラ? アルパカ。名前は聞いたことあるけど、実物はすぐイメージしにくい動物アルパカ。なんかヒツジの首がヒョロ長くなったヤツだっけ?
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移動動物園と、もろに書いてあるのもグッとくるが、
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一緒にもももテンションMAX。ってことで移動してきたアルパカだが、いきなり
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パッカーン! そうそうこれ、アルパカまさに、なんかヒツジの首がヒョロ長くなったヤツだった。
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詳細データもあったが、間近で顔面をまじまじと見ると
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まつげが長い。まつなが。
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鼻もアホっぽくデカい。この思慮深くなさそうな顔。ヤバイ。不安になる。そして、もっしゃもっしゃと、エサをむさぼり食うアルパカ。
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ただただ、もっしゃもっしゃと。
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美味しそう、かどうかすら窺い知れない。なんだか
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どうかしたヤンキーのようにも見える。そしてももも興味津々だったのだが、
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アルパカ、
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ももへの食いつきハンパない。なんだこれ
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ももエサと思われているのか、もも食われるのか。どうやら、スタッフの方によると、「当アルパカの、アルパカちゃん、いつも犬と一緒に飼われているゆえ犬ともすごく仲良し」とのことだった。な~るほど。
ちなみに、スタッフの方のジャンパーによると、
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じつは別の移動動物園でも同業者の方だったのだが、「移動動物園の各現場に現れ毎回食いつきで写真を撮る変な大人」としてリストアップされてないか心配になったのであった。

ではまた次に移動してみよう!!
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●3匹目「デカすぎる犬」

移動動物園は
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スペースが潤沢にある空地にも、たまにやって来る。そんな住宅街の一角に、とある看板が。このたびは
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「ふれあいワンワンランド」!ということで「世界最大の犬も来ているよ!」とのこと。さすが移動動物園。そんなワールドクラスな犬が、こんな千葉の片田舎に、何しに!?と思い、日本代表の犬として、
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ももとやってきた。そんなヤバい犬が来てるのか!と、もものテンションも高まっている(たぶん)。おそらく同じ種として、それなりの緊張感を感じているのだろう(たぶん)。
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そこで近づいていくと、その犬についての説明書きが。
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名前はアイリッシュウルフハウンドですって。そうですか。では、そんな噂の世界一大きい犬とはどれほどデカいというのか、我々の前に現れたその犬が、コレだ!
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!! ? コレ…世界一なのか…!? デカいというか、
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細い。なんかヒョロっとしている。まじまじ見ていたら、四つんばいしてる痩せた人に見えてきた。まずい。
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世界一巨大だとされる犬に対峙し、ももも若干リアクションに困っている。
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でもかわいかったね。犬だし。ちなみに当移動動物園では、それ以外にも、他の犬にも触れ合えるようになっていた。
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あらいろんな犬が、かわいいわねぇ。うふふ。なかには、もろに柴犬も来ており、実物がいるので事足りているが、
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そんなと犬とは必ずそれなりの距離をとるもも。彼女のATフィールドはあいかわらず厚かった。こういう社交性のないところ、飼い主に似ている。
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「コミュ力は低いわ」

私的情報はさておき、このようにワールドクラスなヤバイ犬にも出会えてしまう、移動動物園なのであった!
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●4匹目「羽ばたくペンギン」

移動動物園は、各地に移動してくるが
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ついにこのたび、
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ペンギンまでも来るとは! 街なかにはそういないペンギン。こりゃ子どもは魅了されちゃうよね。僕はだいぶ大人だが。実際現場にても、看板で
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「ケープペンギンが来てるよ!」と! 知っている。だから来たのだ。そして噂のケープペンギンがまた
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いきなりいた! 説明によると
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アフリカのケープ(岬)にいるペンギンとのこと。移動動物園はそんな移動をも実現させてくれているのだ。そんな遠方から千葉にまで移動してきただなんて。

けど房総半島も形状はきもちアフリカっぽいしね。チーバくんならぬアーフリカくんがいたらわりと似る気がするしね。そんな地理的フォローはさておき、ペンギン君、基本は
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ダチョウ倶楽部が入りかねない簡易風呂に入っていたのだが、そこから、
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ひょこっと出てきた!
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あら歩いてるよ。氷の世界でもないのに。ヤバイ。かわいい。ピングーとかスイカのキャラとかあの辺のは好きではないが、
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これはかわいい。ひょこひょこと、身体を左右に揺らしながら歩くこの動物! 母性本能をくすぐられる!ないけど!
そして間近で見ると
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実物ペンギンのなんとチャーミングなことよ!
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まぁ出てきたところで、何ができるわけでもなく、何をしてあげられるわけでもないのだが。
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そんな羽ばたかなくていいけど、とにかく普段は味わうことのできない、非日常ペンギンカタルシスとともに、悠久のアフリカの地をも満喫できてしまう移動動物園なのであったッ!!

では最後の所に移動してみよう!
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●5匹目「刈られる羊」

移動動物園は、ショッピングモールの客寄せとしてやって来ることも多いが、最後はコチラ。
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羊の毛刈りショー♪である。ただの羊が見られるだけでもじゅうぶん非日常だが、毛刈りである。何も刈らなくても。
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人間の毛刈りにヒキはないが、おそらく力士の断髪式くらいの意義深さはあるのだろう。
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そして広場に設けられたちょっとした柵の中から登場してきた、ていうか取り出されてきた
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羊。羊はじめて見たけど、なんだこれ
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この覇気の無さ、なんかヤベぇ。そして羊と羊毛についてのお兄さんの軽快トークとともに、イベントは進行。その間も、お兄さんの足にがっつりはさまれる羊。
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!! 羊、無気力感がエグい。ヤベぇ、羊、なんかヤベぇ。そしてお兄さん、サービス精神から、僕ら観客のために羊が見やすいようにと、羊を右へ左へひきずって来てくれたのだが、
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羊!! されるがまま!! 何の意思も感じられないまま引きずられる羊、ダメ人間感がエグイ。羊ヤベぇ。
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そして市中引き回しの末に、ついに待ちに待った、毛刈りがスタート!
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お兄さんが慣れた手つきで、羊の毛の中に、バリカンをつっこむと… !!
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巧みなバリカンさばきに応じて、毛がモコモコと落ちていく! 肌があらわになっていく! なんとまぁ絵的にもわかりやすく。
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毛有り部分と毛無し部分のこの温度差。羊ヤベぇ。いわば、自身のアイデンティティそのものが喪失していくというのに、
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あいかわらず、無。羊ヤベぇ。そして5分ほどで一通り刈り終わり、
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羊毛という自分を覆っていた鎧を脱ぎ去り(おおげさ)自分らしさの檻から解放された(おおげさ)羊であるが、
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ヒョロヒョロ。肌色で、ヒョロヒョロ。
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毛がないとこんなにもヒョロついてる存在だったのね。
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一回りも二回りも小さくなり、見るからに肌寒くなった羊。ドンマイ。
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そして、ついでにお兄さんがサービスで、羊の口まで見せてくれた。羊って実は、歯が下にしか生えていないらしい。
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どっちでもいいけど、がっつり自らを剥き出しにされてるのに、あいかわらず、無。羊ヤベぇ。
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さらにサービス満点なお兄さん、なんと刈られた羊毛を、欲しい人にはプレゼント!とのこと。
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ありがとうお兄さん!とばかりに、僕もいただいてしまったが、
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…特に何の感慨もない。なんかべとべとしている。どうやら羊の脂らしい。やばい、いらない。隣りで観覧していた子供が
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わたあめを食べていたがそっちのほうが欲しかった。でもこの羊毛から様々な繊維作業が発展していったのだね。ありがとう羊毛。
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ちなみに、そんな羊毛をももに見せたら、
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クンクン匂いをかぎ、えらい食いつきだった。羊毛ゆえに羊の脂の匂いがついてほぼ「ラム肉」認識してしまった模様。このダメ犬ったら。
というわけで、毛刈りというアトラクションはさておき、羊という達観したスタンスをもつ生物との出会いに、すっかり感動してしまったのであった。
ありがとうお兄さん! ありがとう移動動物園!!
…では、そんな感じで、移動動物園のヤバイ魅力を堪能できたかと思うので、そろそろいいですよね。ではおやすみなさい…。

はい以上いかがでしたでしょうか今週の「実際の動物園は、遠いから行かない」。みなさんも移動してきたら行ってみてください。よろしくお願いいたします。
まだまだヤバイのいるぜ!
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