特集 2017年8月9日
 

片道5時間かけて、ところてん食べ放題に行ってきた

これは、よもぎ入りのところてん。少ないカロリーのために時間を費やすことは、贅沢なことだと学びました
これは、よもぎ入りのところてん。少ないカロリーのために時間を費やすことは、贅沢なことだと学びました
「伊豆半島にところてんの食べ放題ができるお店がある」と聞いたのは1年前のこと。
カロリーが少ないうえに、こんにゃくのようにおなかの中でふくらまない。しかも好物である。すごい。食べ続けることをやめる理由が見当たらなすぎる。

無限に食べられてしまうのではないだろうか。いや、意外とそうでもないのか。自分は一体どのくらいところてんを受け止めるキャパシティを持っているのだろう。まったく想像がついていない。

答えを知りたい。なにより食べてみたいので、片道5時間かけて行ってみることにした。
1981年群馬県生まれ。ライター兼イラストレーター。飲食物全般がだいたい好きだという、ざっくりとした見解で生きています。とくに好きなのはカレー。

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鈍行で行くと片道5時間かかる

ところてん食べ放題の存在は、1年前にライター鈴木さんのお母さんが教えてくれた。

お好み焼きの取材の合間にところてんを食べ出したわたしに「たしか、伊豆にところてんを食べ放題できるお店があります」と伝えてくれたのだ。
写真左が鈴木さん母
写真左が鈴木さん母
店名がわからなかったので、検索機能の力を借りつつ、お店の目星をつけた。ところてんには夏が似合う。行くなら今ではないだろうか。

片道5時間の内訳は次のとおりである。まず、自宅からJR熱海駅まで約2時間強。熱海駅から、伊豆急行に乗り換えて下田駅まで約1時間半。下田駅からは約50分バスに乗車。降りたあと、さらに約20〜30分道を歩く。
車窓とアルコール飲料は相性が良すぎる。飲まずにいられなくても仕方がない
車窓とアルコール飲料は相性が良すぎる。飲まずにいられなくても仕方がない
新幹線に乗る・踊子号に乗る・自家用車(持ってないけど)を使うなどの手だてであれば時間短縮はおおいに可能だ。だが、今は18きっぷのオンシーズン。どっぷりと鈍行に揺られてしまいたい。
下田駅に到着直後、ふぁーってなって周囲を撮り歩いていたら駅員さんが「撮りましょうか?」と聞いてくれた。浮かれている
下田駅に到着直後、ふぁーってなって周囲を撮り歩いていたら駅員さんが「撮りましょうか?」と聞いてくれた。浮かれている
働くウミガメには夏休み休暇があるらしい
働くウミガメには夏休み休暇があるらしい
みみ。何かが抜け落ちた状態の今が、前職の社長が飼っていた犬の名前。とくに思い出す必要のなかった情報が再来した
みみ。「み」と「み」の間の何かが抜け落ちた状態の今が、前職の社長が飼っていた犬の名前。とくに思い出す必要のなかった情報が再来した
下田駅バスターミナル付近。まるいかたちがたまらない
下田駅バスターミナル付近。まるいかたちがたまらない
うとうとと夢と現実の間を行き来しているうちに目的地に届けてもらえた
うとうとと夢と現実の間を行き来しているうちに松崎のバスターミナルまで届けてもらえた
松崎のバスターミナル
松崎のバスターミナル
バスターミナルに到着すると、360度全方位から土地の空気がせまってくる。目的地に直進するのがもったいなくなってしまい、まっすぐの道をくねくね歩いていると、徒歩15分くらいで到着のはずの道のりが倍にのびた。
ここ、ファミリーマートである。夏休みに浸食されている
ここ、ファミリーマートである。夏休みに浸食されている
同じくファミリーマートの中。冷凍のつりえさが売っている
同じくファミリーマートの中。冷凍のつりえさが売っている
ところてん以外の下調べをせずに来たために知らなかった。ここらへん、なまこ壁だらけなのだ。クリハラさんが大町さんに土蔵について聞いていた記事を思い出した
ところてん以外の下調べをせずに来たために知らなかった。ここらへん、なまこ壁だらけなのだ。クリハラさんが大町さんに土蔵について聞いていた記事を思い出した
店名、半立になっているところと壁面に塗られたところがある
店名、半立体になっているところと壁面に塗られたところがある
留められた漁船が海水に揺られる音が、満腹時のお腹のたぷたぷっていう音みたいに聞こえたのだけど、もっと他に良い例えがあるような気がする
留められた漁船が海水に揺られる音が、満腹時のお腹のたぷたぷっていう音みたいに聞こえたのだけど、もっと他に良い例えがあるような気がする
19時をまわり、日が沈みかかったころにやっとお店に到着した。
「さくら」。偶然にも、ライター鈴木さんの下の名前と一緒
「さくら」。偶然にも、ライター鈴木さんの下の名前と一緒
……のだが!
!
!
どうやら、営業時間を1時間くらいまちがって認識していたらしい。
ところてんのためにとっておいた空腹が存在感を増していく
ところてんのためにとっておいた空腹が存在感を増していく
ほかに食べものの食べられるお店どこ……と思いながら歩いている途中にぶちあたった。食べもののお店だけど、主に即食べられないものが売っているお店
ほかに食べものの食べられるお店どこ……と思いながら歩いている途中にぶちあたった。食べもののお店だけど、主に即食べられないものが売っているお店
天草を買っておこう。自主的に食べ放題ができる状況が整ってしまった
天草を買っておこう。自主的に食べ放題ができる状況が整ってしまった
翌日、再訪した。
ちなみに、食事した人は無料でところてん食べ放題。ところてんだけだと540円である
ちなみに、食事した人は無料でところてん食べ放題。ところてんだけだと540円である
入り口付近のでかいクマのぬいぐるみと、うっかり写りこんだ自分
入り口付近のでかいクマのぬいぐるみと、うっかり写りこんだ自分
きりもりしているのは、母と同世代か少し上くらいの女性だ。出たり入ったりあくせく働いていて、きちんと確認しきれてないが3、4人位いるような気がする。
目の前にずらっと自家製のお酒と調味料がならぶ
目の前にずらっと自家製のお酒と調味料がならぶ
局地的にロシア
局地的にロシア
実家を思い出す麦茶
実家を思い出す麦茶
ところてんは5種類あった。

5種類ってどういうことだ……?と思う人もいるのではないかと思うので解説する。うちわけは、麺状のところてん、ダイス状のところてん、抹茶味(ダイス状)、コーヒー味(ダイス状)、よもぎ入り(ダイス状)である。

味付けは、黒みつきなこか酢醤油かを選べて、コーヒー味用にミルクも置かれている。
セルフでよそう方式
セルフでよそう方式
セルフで味をつける方式。豪快な大きさの醤油とお酢のうしろには砂糖がかくれていて、きなこの後ろにあるのが黒みつ
セルフで味をつける方式。豪快な大きさの醤油とお酢のうしろには砂糖がかくれていて、きなこの後ろにあるのが黒みつ
もはや、ゼリーの域なんじゃないかとも思うのだが、原材料が天草で、つくりかたがところてんと同様ならば「ところてん」にカテゴライズされるらしい。広義なのだ。
スプーンとフォーク
スプーンとフォーク
小鉢の山
小鉢の山
よそったところてんに味付けを自分でほどこす。醤油とお酢の容器を右手だけで操作しようとすると腕の内側がぷるぷるする。
そして1杯目
そして1杯目
しまった。自分で配合した醤油とお酢の割合が黄金比率からだいぶ外れている予感がする。だからってダメというかんじでもないのだけど。

そうか。ところてんの味つけって、ざっくりでもよいものなのかもしれない。キャパシティが広いのである。そもそも、黒みつと酢醤油という異なる性格の2つを受け止めている寛大さだ。食感を楽しむものだったなぁとも思い返す。
2杯目は黒みつ
2杯目は黒みつ
ダイス状のほうがすくいやすいぞと学んだ
ダイス状のほうがすくいやすいぞと学んだ
輝いている
輝いている
2杯目まで食べてみて、むしろお腹が空いてきてしまった。なんとなくビールを頼む
2杯目まで食べてみて、むしろお腹が空いてきてしまった。なんとなくビールを頼む
3杯目
3杯目
4杯目 カロリーのない写真がつづきます
4杯目 カロリーのない写真がつづきます
5杯目 コーヒー味。コーヒーゼリーよりもさっぱりしている気がする
5杯目 コーヒー味。コーヒーゼリーよりもさっぱりしている
コーヒー味のところてんは、どう味付けて食べるのがよいのかと聞いたところ、「お好みで」とのこと。ミルクだけでも、砂糖を足すのでも良いし、黒みつときなこをかけるでもアリなんだそうだ。

で、まだ続くのか?と思った人すみません。続きます。
6杯目 正直なところ、まだお腹がすいてる
6杯目 正直なところ、まだお腹がすいてる
よもぎ入り。はじめて遭遇するところてんの色合いだ
よもぎ入り。はじめて遭遇するところてんの色合いだ
良い器を発掘してしまったので使った
良い器を発掘してしまったので使った
目で見ただけでも、葉っぱの繊維だ
目で見ただけでも、葉っぱの繊維だ
口が草を感じている。繊維のさくさくとした食感がこれでもか!と豪快に押し寄せてくる。勢いのあるところてんだ。
7杯目 抹茶。翡翠みたい!
7杯目 抹茶。ヒスイみたい!
8杯目 コーヒー味のところでんに黒みつだけをかけた。違和感ない
8杯目 コーヒー味のところでんに黒みつだけをかけた。違和感ない
そろそろ満腹かもしれないと一瞬思った。だが、すぐにぶり返してくる。想像していた以上にお腹にたまっていかない。
9杯目 よもぎに黒みつきなこ
9杯目 よもぎに黒みつきなこ
自分の中のところてんの概念を突破したような状態になった。よもぎの主張が高らかなところに、黒みつときなこ。和菓子のようなのに、そうでもない。なんという食べものなのだろう。いや、そうだったところてんなのだ。
10杯目 よもぎ入りに、しょうゆとお酢でさっぱり
10杯目 よもぎ入りに、しょうゆとお酢でさっぱり
美味しく食べられる上限はここかな、と手を止めたのが10杯目。
これは、店のメニューのごく一部
これは、店のメニューのごく一部
それにしても、店内の左右前後に運ばれていく食べ物のひとつひとつが、かなり美味しそうだ。ビジュアルの印象だけで、「美味い」の確定ボタンを押してしまってもいいんじゃないだろうか、と思うくらい。実際みんなとても美味しそうに食べている。あじまご茶定食が大人気のようすだ。

刻まれ、薬味と和えられたつやつやのあじ。使い込んだ釜で炊いたごはんに載せて、丼にしたりお茶漬けにしたりしている。横にはこんもり積み重ねられたかき揚げの天ぷら。

「あじには、自家製にんにく醤油をかけてくださいね!」お店の人が説明している声がよく聞こえてくる。
人のごはんを撮るのはしのびなかったので、覚えているかぎりを図説します
人のごはんを撮るのはしのびなかったので、覚えているかぎりを図説します
ひたすらところてんだけを食べているのは店内で自分しかおらず、こそばゆい気持ちになってきてしまった。
帰り道、「トラちゃんボタン」をはじめて目撃
帰り道、「トラちゃんボタン」をはじめて目撃
ちょっと調べてみたかぎりだと、静岡にときどきあるみたいだ
ちょっと調べてみたかぎりだと、静岡にときどきあるみたいだ
伊豆急行の鈍行、特急みたいなかたちで感激する
伊豆急行の鈍行、特急みたいなかたちで感激する
窓が大きくて最高
窓が大きくて最高
手羽先を食べるためだけに名古屋に行くという贅沢を聞いたことがあるけど、ところてんを食べるためだけに訪れる伊豆もかなり贅沢なことなんじゃないだろうか。
ところてんを食べ切ってから約1時間半後、下田駅に着いた時にはすでにお腹がすいていたので、スーパーで買ったお寿司を電車の中で食べた
ところてんを食べ切ってから約1時間半後、下田駅に着いた時にはすでにお腹がすいていたので、スーパーで買ったお寿司を電車の中で食べた

また行きたい

また行きたい。締めっぽい言葉としてなんとなく書いたのではなく、本気の「また行きたい」である。

あじまご茶定食が食べたい。自家製にんにく醤油かけて、もう食べられない!ってくらいにかき込みたい。ところてん、ごめん。次の機会ではあじまご茶定食が食事のメインをはることになるかもしれない。でも、同時進行でところてんも3〜4杯くらいは食べたいと思う。
帰り道、ぺったんこになったネギを見つけた。不憫なのに、あまりのぺったんこさに微笑んでしてしまうこの気持ちは何なのだろう
帰り道、ぺったんこになったネギを見つけた。不憫なのに、あまりのぺったんこさに微笑んでしてしまうこの気持ちは何なのだろう
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