特集 2017年8月18日
 

スタンプラリーの台紙に描かれた路線図を鑑賞する

スタンプは全然集めません
スタンプは全然集めません
ひと夏で、はかなく消えてしまう路線図がある。

鉄道会社が主催する、夏休みのスタンプラリー企画。駅を巡ってスタンプを押す、その台紙にはスタンプラリーのためだけに描かれた路線図が載っているのだ。
1975年宮城県生まれ。元SEでフリーライターというインドア経歴だが、人前でしゃべる場面で緊張しない生態を持つ。主な賞罰はケータイ大喜利レジェンド。路線図が好き。

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スタンプラリーの「台紙」だけを集めます

路線図が好きだ。好きすぎて鉄道会社の路線図だけでは飽き足らず、企業や施設が自前で作った路線図まで愛でている。施設のHPの「アクセス」のところに「電車でお越しの方」という表記と共に載っているアレ。勝手に「インディーズ路線図」と名付けている。
「インディーズ路線図」こういうやつです。自分に関係ある場所しか載っていないのがグッとくる。中央線なんか中野で終わっちゃう。
「インディーズ路線図」こういうやつです。自分に関係ある場所しか載っていないのがグッとくる。中央線なんか中野で終わっちゃう。
スタンプラリーの路線図も公式ではない「インディーズ路線図」だ。基本的にスタンプを置いている駅しか用事がないので、ざっくり省略した独特の形状になる。キャラクターコラボなどデザインも様々なうえ、期間が終わってしまうと二度と拝めない。蝉の一生か、はたまた打ち上げ花火か。はかない存在なのだ。
昨年10月から12月まで行われていた「私鉄10社スタンプラリー」。JRを抜いたの路線図が新鮮。
昨年10月から12月まで行われていた「私鉄10社スタンプラリー」。JRを抜いたの路線図が新鮮。
この夏も各社でスタンプラリーが目白押し。子供たち(と親御さんたち)がこぞって冒険に出かけている。ならばこっちも集めようではないか。スタンプではなく、路線図が載ってる台紙だけ。言わば「スタンプラリー台紙ラリー」である。
ラリー行程はこんな感じ。この他にも小田急(箱根 夏の思い出クーポン)、西武(スナックワールド 2017夏休み西武線スタンプラリー)もあるのだけど、気合いの都合で割愛。
ラリー行程はこんな感じ。この他にも小田急(箱根 夏の思い出クーポン)、西武(スナックワールド 2017夏休み西武線スタンプラリー)もあるのだけど、気合いの都合で割愛。
「スタンプラリー台紙ラリー」は小雨降る藤沢からスタート。目線が上になった代わりに口がへの字に。こういう連動する人形いる。
「スタンプラリー台紙ラリー」は小雨降る藤沢からスタート。目線が上になった代わりに口がへの字に。こういう連動する人形いる。
観光客でごった返す江ノ電乗り場。江ノ電プラレールがグルグル回っていた。かわいい。
観光客でごった返す江ノ電乗り場。江ノ電プラレールがグルグル回っていた。かわいい。
横浜、渋谷とターミナル駅を巡り、「京王電車スタンプラリー2017」をもらうためだけに井の頭線池ノ上駅へ。ホームで蝉の声を聞いてそういえば夏だとハッとする。あと「いのうえ」と1文字違いで親近感が湧く。
横浜、渋谷とターミナル駅を巡り、「京王電車スタンプラリー2017」をもらうためだけに井の頭線池ノ上駅へ。ホームで蝉の声を聞いてそういえば夏だとハッとする。あと「いのうえ」と1文字違いで親近感が湧く。
総武線に乗り換えて、東武と京成を目指し亀戸→船橋へ。船橋市限定の「ふなばし9路線鉄道スタンプラリー」もゲット。
総武線に乗り換えて、東武と京成を目指し亀戸→船橋へ。船橋市限定の「ふなばし9路線鉄道スタンプラリー」もゲット。
これくらい集まりました。
これくらい集まりました。
1日巡った結果、8社18種類のスタンプラリー台紙が集まった。うちの子には「そんなにスタンプ押すの!?」と驚かれた。安心したまえ。パパはスタンプは押さない。これから路線図を見るのだ。

キャラクターとコラボしても路線図はノーマル

スタンプラリーの花形といえばキャラクターコラボもの。登場するキャラクターがスタンプになっているものが多く、路線図にも駅の部分にキャラクターが描かれがち。自然と「この駅で待ってるぞ!」感が出るので、ポケモンの「ゲットだぜ!」感とすごく親和性が高い。
「ポケモンスタンプラリー2017」(JR東日本)スタンプ設置駅が全部で50駅もある。川越にいるのが「ガオガエン」。何度もガオガエンって言うと確かに川越に聞こえる。
「ポケモンスタンプラリー2017」(JR東日本)スタンプ設置駅が全部で50駅もある。川越にいるのが「ガオガエン」。何度もガオガエンって言うと確かに川越に聞こえる。
「お前はまだグンマを知らないスタンプラリー」(JR東日本)群馬に行かないともらえない……と思ってたら藤沢でもらえた。群馬を知らないままゲット。群馬のJR&私鉄がコンパクトにまとまる。
「お前はまだグンマを知らないスタンプラリー」(JR東日本)群馬に行かないともらえない……と思ってたら藤沢でもらえた。群馬を知らないままゲット。群馬のJR&私鉄がコンパクトにまとまる。
ただ、集めてわかったのは「駅=キャラクター」が実は少数派なこと。世界観に合わせてちょっとアレンジしているのもあるのだけど……
「京急線夏休みスタンプラリー」(京急電鉄)は仮面ライダーとプリキュアの2種類がある。こちらは仮面ライダーエグゼイド。ゲームがモチーフなので若干のサイバー感がある。
「京急線夏休みスタンプラリー」(京急電鉄)は仮面ライダーとプリキュアの2種類がある。こちらは仮面ライダーエグゼイド。ゲームがモチーフなので若干のサイバー感がある。
「京急線夏休みスタンプラリー(京急電鉄)」こちらはプリキュアアラモード。スイーツの世界観に合わせて駅もスイーツに。大師線や空港線といった支線がキャンディーの棒になっている芸の細かさ。
「京急線夏休みスタンプラリー(京急電鉄)」こちらはプリキュアアラモード。スイーツの世界観に合わせて駅もスイーツに。大師線や空港線といった支線がキャンディーの棒になっている芸の細かさ。
「銀魂」「ジャンプ」など、ほぼキャラクター感ゼロのスタンプラリー路線図も多いのだ。スタンプラリーのお祭り感に対して意外にも冷静な対応である。「いつも通りいくぜ」的なノリなのか。真面目に考えると視認性を優先した結果なのかもしれない。
「ジャンプwith東京メトロ スタンプラリー」(東京メトロ) スタンプ設置駅がジャンプのあのマーク。公式にはない線の細さにスタイリッシュさを感じる。
「ジャンプwith東京メトロ スタンプラリー」(東京メトロ) スタンプ設置駅がジャンプのあのマーク。公式にはない線の細さにスタイリッシュさを感じる。
「銀魂スタンプラリー」(東急電鉄)ほぼオフィシャル。定期券売り場にあっても全然違和感ない。
「銀魂スタンプラリー」(東急電鉄)ほぼオフィシャル。定期券売り場にあっても全然違和感ない。
「2017夏休み 京成電鉄スタンプラリー」(京成電鉄)ベイブレードバーストとプリパラの2種類。派手なキャラ展開に比べて路線図の冷静さたるや。
「2017夏休み 京成電鉄スタンプラリー」(京成電鉄)ベイブレードバーストとプリパラの2種類。派手なキャラ展開に比べて路線図の冷静さたるや。

オリジナルキャラの扱いの違い

鉄道会社によっては自社のオリジナルキャラを全面に押し出したものもある。今回集めたなかでは、相模鉄道の「そうにゃん」、東急電鉄の「のるるん」、江ノ電の「えのん」がスタンプラリーに登場していた。
(左から)「えのん」(江ノ電)、「そうにゃん」(相模鉄道)、「のるるん」(東急電鉄)。電車を模すか駅員を模すかに最初の分かれ道を感じる。
(左から)「えのん」(江ノ電)、「そうにゃん」(相模鉄道)、「のるるん」(東急電鉄)。電車を模すか駅員を模すかに最初の分かれ道を感じる。
最も激しくプッシュされていたのが「そうにゃん」だった。名前からして「なつやすみ そうにゃんスタンプラリー」。もはや冠番組のMC的存在である。バラエティにゲストで出演したグラビアアイドルに「これからこの子を押していくぞ」という事務所の気概を感じることがあるが、そうにゃんにも似たものを感じる。
「なつやすみ そうにゃんスタンプラリー」(相模鉄道) そうにゃんが相鉄100年の歴史を紹介してくれる。今回唯一有料の台紙(定価100円)
「なつやすみ そうにゃんスタンプラリー」(相模鉄道) そうにゃんが相鉄100年の歴史を紹介してくれる。今回唯一有料の台紙(定価100円)
東急電鉄の「のるるん」も、オリジナルグッズがあったりLINEスタンプになったりと東急内では露出が高いが、スタンプラリー路線図では露出は控えめ。ただ、スタンプ設置駅のマークとして表示され、「のるるんのシマ」であることを忘れさせない。
「親子でめぐろう!東急線電車スタンプラリー」(東急電鉄)スタンプ設置駅にシルエットとなって存在感を示す「のるるん」
「親子でめぐろう!東急線電車スタンプラリー」(東急電鉄)スタンプ設置駅にシルエットとなって存在感を示す「のるるん」
一方、都会の喧噪から離れた江ノ電は自由だ。大仏など可愛いイラストと共に、「えのん」がヨットやダイビングを楽しんでいる。ただ知って欲しい気持ちが高ぶりすぎて、駅の解説に「1日平均乗降人員」まで書いてしまう前のめりさも併せ持つ。
「えのんといっしょの夏休み電車スタンプラリー」(江ノ電)公式プロフィールによると、えのんくんは身長150センチ体重100キロ。「メタボだのん。。。」とのこと。
「えのんといっしょの夏休み電車スタンプラリー」(江ノ電)公式プロフィールによると、えのんくんは身長150センチ体重100キロ。「メタボだのん。。。」とのこと。
一桁台まできっちりと1日平均乗降人員をお届けするえのんくん。律儀。
一桁台まできっちりと1日平均乗降人員をお届けするえのんくん。律儀。
オリジナルキャラといえば、「ふなばし9路線鉄道スタンプラリー」も各社のキャラが大集合していた。なんせ文字通り、船橋市を通る9路線全てを使ったスタンプラリーなのである。

なんだか着物の人がいるな、と思ったら「ふなばし商品ブランドPRキャラクター 目利き番頭 船えもん」だそう。この人がペンギンやパンダをまとめているのか。
「ふなばし9路線鉄道スタンプラリー」この台紙をもらうために船橋をゴールにした。路線がクレヨンっぽいタッチで描かれていてかわいい。そして紙がめちゃくちゃデカい(A2サイズ!)
「ふなばし9路線鉄道スタンプラリー」この台紙をもらうために船橋をゴールにした。路線がクレヨンっぽいタッチで描かれていてかわいい。そして紙がめちゃくちゃデカい(A2サイズ!)

旅情感あふれるタイプ

最後に紹介するのはコラボやキャラクターと一線を画す、旅情感あふれる大人のスタンプラリータイプ。

例えば藤沢駅でもらった「東海道線(横浜〜国府津間)開業130周年スタンプラリー」(JR東日本)。名前からしてもう渋いし、なかを開けば明治期のモノクロ写真だ。しみじみとスタンプを押すも上下逆だった。不釣り合いなことはしないほうがいい。
「東海道線(横浜〜国府津間)開業130周年スタンプラリー」(JR東日本) 路線図的には一本道だが、レイアウトに格調の高さを感じる。
「東海道線(横浜〜国府津間)開業130周年スタンプラリー」(JR東日本) 路線図的には一本道だが、レイアウトに格調の高さを感じる。
大人のスタンプラリーは基本的に明朝体だ。スタンプを設置している場所には訪れる理由がきちんと存在しており、台紙にはその解説が載っている。もはやガイドブックの佇まい。「電車で行こう!大本山スタンプラリー」なんて、スタンプ設置場所は成田山 新勝寺・川崎大師 平間寺・高尾山 薬王院である。ありがたさが止まらない。
「電車で行こう!大本山スタンプラリー」京王、京急、京成の3社によるスタンプラリー。「京」が付く3社と、真ん中をつなぐ都営地下鉄だけを描いた路線図。なかなかのレアもの。
「電車で行こう!大本山スタンプラリー」京王、京急、京成の3社によるスタンプラリー。「京」が付く3社と、真ん中をつなぐ都営地下鉄だけを描いた路線図。なかなかのレアもの。
そして大人はスタンプラリーにかけるお金と時間が桁違いである。「夏の北海道スタンプラリー」(JR東日本)が特にすごい。舞台は北海道全土だ。スタンプ設置箇所は道内24カ所。南は函館、東は知床、北は稚内まで各地に散らばっている。試される大人の富。
「夏の北海道スタンプラリー」(JR東日本&JR北海道)礼文島のレストランもチェックポイントなので、稚内からフェリーで渡る必要がある。船まで使うとは思わなかった。
「夏の北海道スタンプラリー」(JR東日本&JR北海道)礼文島のレストランもチェックポイントなので、稚内からフェリーで渡る必要がある。船まで使うとは思わなかった。
4つのコースに分かれているから全部回る必要はないのだけど、コンプリートしたい大人もいるはずだ。子供たちが山手線でポケモンをゲットしているあいだ、大人たちは北海道でゆっくりとローカル線に揺られている。

DNAにもスタンプが押されているのか

特定の鉄道会社をピックアップしたり、デザインが特殊だったり、スタンプラリーの路線図はやっぱり楽しい。いまこの時でしか見られない「一点もの」のありがたさもある。

それにしても「あちこち回って集める」というスタンプラリーの基本は、老若男女みんな楽しめるものなのだなと思う。本能なのだろうか。「狩猟民族のころ狩り場を巡った記憶がDNAに染みついているのだ」とか、いかにもな理由をでっち上げておきたい。
スタンプ台にも各社特色があって面白かった。これは一番派手だった東急横浜駅。
スタンプ台にも各社特色があって面白かった。これは一番派手だった東急横浜駅。

『路線図ナイト3〜またまた路線図をながめて「いいねぇ〜」って言うだけの飲み会』開催迫る!


この記事に出てきた「インディーズ路線図」ほか、とにかく路線図を眺めて「いいねぇ」と愛でるだけのイベント「路線図ナイト」が、3回目を迎えました!

日時は 8月20日(日)18時。デイリーポータルZより井上マサキ&西村まさゆきさん、ゲストに大山顕さん! 体がなまりがちなお盆明け、路線図で暑気払いを! どうぞどうぞよろしくお願いします!

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