特集 2017年9月13日
 

久米島のハブはかっこいい

ハブよりよっぽど珍しいヘビ

ハブに会えないまま、久米島観光協会の主催する「ニブチの森散策ツアー」に参加する。
島の北西部に広がる「ニブチの森」にはラムサール条約に登録されている湿地があり、キクザトサワヘビなどの貴重な固有種も数多く生息している。その森をガイドの保久村昌欣(ほくむら しょうきん)さんと散策するツアーである。
保久村さんは久米島で生まれ育ち、農業を営む傍らガイドをつとめている。
保久村さんは久米島で生まれ育ち、農業を営む傍らガイドをつとめている。
歩き出すやいなや発見したヘビが事態を急展開させる事になるとは、今は知っているがその時はゆめ思わなかった。そのヘビがこれ。
クメジマハイ。思わず駆け寄ったが残念ながら絶命していた。
クメジマハイ。思わず駆け寄ったが残念ながら絶命していた。
炎天下の路上にもかかわらず生きてると勘違いするほどみずみずしい。死んでからそんなに時間は経っていないだろう。

久米島では超スーパー特別スペシャルレアーなヘビ「キクザトサワヘビ」の影に隠れているが、かなり珍しいヘビである。

コブラ科のヘビで、毒の強さだけならハブよりも強力だが性格がめちゃくちゃおとなしい上に体も小さく、何より人前に現れるのがごく稀なので人畜無害に近い、のだが……。保久村さんが驚きのハイエピソードを語る。
ピンポイントで顔をやられているが死因は不明、生きている姿を見たかった……。
ピンポイントで顔をやられているが死因は不明、生きている姿を見たかった……。
「ハイはハイウマトーサー(走っている馬を殺す)と言われ、ハブ以上にこのヘビを恐れている人はたくさんいます」

なんだそれ。ゴルゴ13ですか。
「尻尾の先で刺すような動作をするでしょう。そこから猛毒を出すと恐れられていて(実際、尻尾に毒はない)、ハイを見ると殺してしまうおじい(お年寄り)なんかもいるんです」

なるほど。それにしても走っている馬を殺すとは大仰な。ハイにしてみれば迷惑千万、「いや、走ってる馬とか止まってるアンドレ・ザ・ジャイアントとか言われても無理っすよ。あんたら見たんかい」と抗弁のひとつもぶちたくなるところだろう。
まだ全然森に入ってないのに盛り上がってきた。
まだ全然森に入ってないのに盛り上がってきた。
「あとね、クメトカゲモドキっているでしょう、あれもそんな風に猛毒を持っていると思われていたんですよ」
クメトカゲモドキも!走っている馬の方に同情しそうだ。
久米島の固有種。天然記念物に指定されており、採取は一切禁じられている。禁止ですからな。
久米島の固有種。天然記念物に指定されており、採取は一切禁じられている。禁止ですからな。
しかしトカゲモドキにはまったく毒はないはずだ。
「ハイと同じでね、尻尾を立てて威嚇する動作が、猛毒持ちだと怖がられていたんです。やはりそれで殺される事もありました。」
動画でどうぞ。尻尾をさそりのように立てている。繰り返すが毒はありません。
なんと不憫な。「いや、これ毒じゃなくてWi-Fi受信してんですよ、なんなら接続してもいいっすよ」と言ったところで通じる相手じゃなさそうだし。

ハブ愛を見込まれる

森に入り、ここに息づく木々とこの島の生活との関わりの興味深い話を聞きながら歩く。
日本最大のどんぐり、オキナワウラジロガシの見事な板根(板状になった根)SNSで「いい根!」をつけたい。
日本最大のどんぐり、オキナワウラジロガシの見事な板根(板状になった根)SNSで「いい根!」をつけたい。
で、そのどんぐり。でかい!
で、そのどんぐり。でかい!
やはりこの時間帯にハブに会う事はないが、痕跡はところどころに残っている。
ハブの抜け殻があったが最近のものではないとの事。
ハブの抜け殻があったが最近のものではないとの事。
足元を駆けていったガラスヒバァ。子供をあやしているような名前だが立派な毒へビ。
足元を駆けていったガラスヒバァ。子供をあやしているような名前だが立派な毒へビ。
「それにしてもクメジマハイを見られるなんてそうとう運がいいですよ。ハブよりよっぽど珍しいよ」

今までのハブ探しでも「よっぽど珍しい」枠にポジショニングされている方々にお会いできた。
石垣島で見つけたサキシマバイカダ。ハブより珍しいだろおい、と言われている。
石垣島で見つけたサキシマバイカダ。ハブより珍しいだろおい、と言われている。
奄美大島のヒャン。ハイと同じくコブラ科の毒へビで、え、ちょっとハブより珍しいじゃないのさ、と言われている。
奄美大島のヒャン。ハイと同じくコブラ科の毒へビで、え、ちょっとハブより珍しいじゃないのさ、と言われている。
しかし、探しても探しても肝心のハブはまったく見つからなかった、悲しい。私が政権与党の国会議員なら「隠蔽するな!公費でそば食うな!」と野次の集中放火を浴びせられるに違いない、政治家にはなりたくない。

そんなことを切々と訴えていると、その愚鈍さが保久村さんの心を動かしたというかずらした。
「ハブがそんな好きですか…じゃあね、ハブが見られそうなところを教えるから夕方にでも私の家に来なさい」
まじですか!そば食べてから行きます!
ふたたび「ゆき」の沖縄焼きそば。焼いてもうまい。
ふたたび「ゆき」の沖縄焼きそば。焼いてもうまい。
ブロックに付けられたポップな石敢當。昼間は集落を回ってこういうのを探しているので基本、いそがしい。
ブロックに付けられたポップな石敢當。昼間は集落を回ってこういうのを探しているので基本、いそがしい。

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