特集 2017年9月21日
 

コインパーキングの「空」「満」表示を鑑賞する

街で見かけた「空」と「満」をドット絵に書き起こして鑑賞した
街で見かけた「空」と「満」をドット絵に書き起こして鑑賞した
コインパーキングには、駐車状況をあらわす「空」と「満」の表示器が付いている。あそこに表示されているドットが、メーカーによって微妙に違っている。その違いを鑑賞してみた。
1983年徳島県生まれ。大阪在住。エアコン配管観察家、特殊コレクタ。日常的すぎて誰も気にしないようなコトについて考えたり、誰も目を向けないようなモノを集めたりします。

前の記事:「本物を味わえ 〜模造紙の本物、バランの本物、のしの本物〜」
人気記事:「戦車! 戦艦! 知られざる「ミリタリー陶芸」の世界」

> 個人サイト NEKOPLA Tumblr

コインパーキングの「空」と「満」

外を歩いていると、道路脇にチョロッと顔を出す看板がある。
それがコインパーキングの「空」「満」表示器
それがコインパーキングの「空」「満」表示器
都心部にはひっきりなしにコインパーキングがあり、それに付随して「空」と「満」の表示器(以降、「空満」と呼ぶ)が大量に立っている。意識しながら歩いてみると、交差点に差し掛かるたびに次から次へと「空満」が出現し、探さなくても自然と目に飛び込んでくる。
一時駐車の需要が高い場所に行くと、その辺一帯コインパーキングだらけ。手前に「空満」、その奥に「空満」、さらに奥に「空満」……
一時駐車の需要が高い場所に行くと、その辺一帯コインパーキングだらけ。手前に「空満」、その奥に「空満」、さらに奥に「空満」……
これだけ頻繁に「空満」があると、もう気になって仕方がない。でもほとんどの人は気にしていないようである。

日本には異様な数の自販機があるけれど、日本人はそれが当たり前になりすぎていて、もはや気にも留めない。それと同じ現象が「空満」にも起こりつつあるように感じた。こんなにいっぱいあるのだから、もっと気にしてもいいんじゃないか?
そんなことを考えて、密かに「空満」をコレクションしている。そして、その表示をドット絵に書き起こして記録している
そんなことを考えて、密かに「空満」をコレクションしている。そして、その表示をドット絵に書き起こして記録している
今回はそのコレクションを見ながら、「空満」の多様性に思いを馳せてみたい。

ドットの違いを楽しむ

「空満」をよく見てみると、同じ「空」や「満」でも、ドットの並びに違いがあることが分かる。
例えば、この3つの「空」を見比べて欲しい。ほら、全然違う! ドット以外にも、つい看板の様式(角丸の四角形で、どれも大きく「P」と書いてある)に目が行ってしまうが、今回はとりあえず「空満」だけに注目すべし
例えば、この3つの「空」を見比べて欲しい。ほら、全然違う! ドット以外にも、つい看板の様式(角丸の四角形で、どれも大きく「P」と書いてある)に目が行ってしまうが、今回はとりあえず「空満」だけに注目すべし
同様に「満」も見てみよう。特に違いが分かりやすいものを選んでみた。それぞれ全くの別物であると分かるだろう
同様に「満」も見てみよう。特に違いが分かりやすいものを選んでみた。それぞれ全くの別物であると分かるだろう
表示器を作っているメーカーによって書体が違う、というのが素直な見方である。しかし「空満」に限っていえば、書体というよりむしろ「ドット絵」に近いと思っていて、少ないドット数でいかに「空」と「満」を表現するか、ある種の職人技みたいな部分が透けて見える。
分かるだろうか、この微妙な違い。目をこらしてよーく見ると、わずか1ドットの攻防が繰り広げられている。ほとんど間違い探しレベル
分かるだろうか、この微妙な違い。目をこらしてよーく見ると、わずか1ドットの攻防が繰り広げられている。ほとんど間違い探しレベル
どんなドットであっても、見た目がそれなりならば意味は通じる。遠くから駐車場の状況が分かる、というのが表示器設置の目的なので、視認性が高ければ問題にはならないだろう。
しかしこういう微妙なさじ加減があることで、「空満」の生態系に多様性が生まれているのである。

……とはいえ多様性がありすぎるのも考えもので、思い立ってコレクションし始めたものの、わりと収集がつかなくなってきている。微妙に違うのが山ほどあるのだ。
例えば同じ運営元のコインパーキングでも、「空満」が違う場合があったりする。ぱっと見では区別できないため、調べ始めると沼にはまる
例えば同じ運営元のコインパーキングでも、「空満」が違う場合があったりする。ぱっと見では区別できないため、調べ始めると沼にはまる
ちなみにドット数は16x16が一番多くて、そこから±2ドットのサイズがほとんど。まれに20x20以上の高解像度(?)な表示器がある、といったレベルの世界である

「空満」をもっとよく見てみる

そんな「空満」をもっと拡大して見てみると、いくつかのタイプに分類できることが分かる。
表示器全体に等間隔でLEDが付いているマトリクスタイプと、「空満」部分にだけLEDが付いている空満専用タイプとがある
表示器全体に等間隔でLEDが付いているマトリクスタイプと、「空満」部分にだけLEDが付いている空満専用タイプとがある
マトリクスタイプだと、その気になれば「空満」以外の文字も作れる。緊急時に特別な表示を出すのが想定されているのかもしれない。
しかしそんな万能なマトリクスタイプは少数派であり、圧倒的多数派は空満専用タイプだ。
空満専用タイプは潔い。「空」と「満」を表示するためだけに生まれてきた専用機であり、それ以外のことは一切できない。その生き様がかっこいい
空満専用タイプは潔い。「空」と「満」を表示するためだけに生まれてきた専用機であり、それ以外のことは一切できない。その生き様がかっこいい
考えてみれば当たり前で、基本的に「空」と「満」しか表示しないので、それ以外の部分にLEDは不要なのである。
さらに拡大すると、抵抗やプリント基板上の印刷が見えるタイプもある
さらに拡大すると、抵抗やプリント基板上の印刷が見えるタイプもある
これを見て面白いなあと思ったのは、LEDの配置。空用と満用のLEDが、半ドットずれた位置に置かれている。目を薄めると、ぼんやりと「空」にも「満」にも見える。これをそのままキーホルダー化して、スイッチひとつで「空満」が切り替えられるようなグッズがあれば確実に欲しくなる。
そんな風に拡大して見ていたら、あるモヤモヤ物件を発見してしまった。一見すると何の変哲もない「空満」だが……
そんな風に拡大して見ていたら、あるモヤモヤ物件を発見してしまった。一見すると何の変哲もない「空満」だが……
拡大してみるとこんな感じ。矢印の部分を見ると、ドットの間隔が一定になってないのだ。うぎゃー! と、思わず声を上げてしまった。ドット絵を描いている人には伝わるだろう
拡大してみるとこんな感じ。矢印の部分を見ると、ドットの間隔が一定になってないのだ。うぎゃー! と、思わず声を上げてしまった。ドット絵を描いている人には伝わるだろう
LEDの間隔を自由にすることで、線に微妙な強弱を付けているのである。理屈はたしかに分かるのだが……見た目にも妙な不安感がただよう物件であった。実はこのタイプは意外と多い。

さて「空満」についての理解が深まってきたところで、次ページでは改めてドット表示を鑑賞していきたい。

 ▽デイリーポータルZトップへ つぎへ>

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ
↓↓↓ここからまたトップページです↓↓↓