特集 2017年10月4日
 

あの「さわやか」に行って、げんこつハンバーグを……食べない

この雑炊がうまい
この雑炊がうまい
静岡県限定のファミリーレストランである「さわやか」のげんこつハンバーグは、ここ数年で急激に知名度をあげた。

鉄板の上の肉塊を、ジューッと鉄板に押し付けるという、その暴力的な提供のされ方もさることながら、やはりハンバーグとしてうまいと話題になり、今や時間帯によってはかなり待たなければならないほどの人気店だ。
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。

前の記事:「目に映るものはすべて手がかりだ〜ここはどこでしょう34回」
人気記事:「あの「HG創英角ポップ体」の元となった直筆生原稿を見た」

> 個人サイト 新ニホンケミカル TwitterID:tokyo26

ローカルチェーン店がおもしろい

福岡の「ウエスト」や、石川の「8番らーめん」みたいな「その県、その地域にしかない」というローカルな外食チェーン店が大好物なぼくは、地方に行くと必ずそういった店に行くようにしている。
しかし、静岡の「さわやか」はなかなか行く機会をえられず、もたもたしているうちに、ネットで話題になり、完全にブームに乗り遅れてしまった。

このたび、静岡在住のライター鈴木さんに案内してもらって、初めて「さわやか」に行くことになった。
はい、さわやかに来ました
はい、さわやかに来ました
しかし、いまさら「さわやか」でげんこつハンバーグを食べた! なんて話、はっきり言って誰も見向きもしないと思う。

というか、デイリーポータルZではすでに取り上げている。
そこで、ここは心を鬼にして、げんこつハンバーグは我慢し、さわやかで、あえてハンバーグ(肉)を食べないレポートをしたい。

あの「さわやか」である。きっとハンバーグ以外のメニューもあって、それもおいしいはずだ。

普通に「さわやか」のげんこつハンバーグの記事が読みたい方は、Googleで「さわやか げんこつハンバーグ」と検索すればいくらでも良い記事が出てくるので、そちらをご覧いただくとして、こちらは胸をはって、オルタナティブな情報をレポートしたい。

「ハンバーグほんとに食べないんですか?」

「そんなわけで、今日は、ハンバーグは食べずに、他の料理を注文します」と鈴木さんに伝えたところ、彼女は「え、初めてですよね? ハンバーグ食べないんですか?」と目を白黒させたあと、失笑していた。
さわやかに来て、ハンバーグを食べない!?(失笑)
さわやかに来て、ハンバーグを食べない!?(失笑)
「え、ここそんなに笑うところ?」と思ったが、後にその意味がわかる。
わー、ハンバーグうまそう……
わー、ハンバーグうまそう……

メニューを広げると、ハンバーグばかりである。全体の90%はハンバーグか肉に関する料理だ。
ほとんどハンバーグ
ほとんどハンバーグ
しかし、そんななか、ハンバーグ以外の料理がいくつかあった。
ハンバーグ以外のメニューが1ページ分あった
ハンバーグ以外のメニューが1ページ分あった
右側のステーキに気持ちが持って行かれそうになったのだが、今回は、「梅しらす雑炊」を注文。
ハンバーグ以外のメニューを注文
ハンバーグ以外のメニューを注文
同行してもらった鈴木さんと、編集部の林さんもそれぞれ焼き野菜カレーと野菜ミートドリアにしてもらい、完全にハンバーグを食べない修行のような注文をする。

まるで病院のレストランのような

うまそう
うまそう
で、こちらが出てきた梅しらす雑炊だ。

ふつう、メニューの写真と実際に出てきた料理を見比べると、メニューの写真より見劣りするなということが多いけれども、この梅しらす雑炊は、メニューの写真通りのものがでてきた。

器の鉄板に、かろうじてハンバーグレストランっぽさが残るが、まさかハンバーグ専門のレストランのメニューのようには見えない。

見た目は完全に「和食さと」とか、病院のレストランで出てくる雑炊メニューのようだ。

あおさの香りだろうか、ほんのりと磯の香りもただよう。ただし、周囲のハンバーグやカレーといった匂いが断続的に割って入ってくる。これは仕方がないといえば仕方がない。
いただきます
いただきます
魚介のダシが利いていて甘くてうまい。甘くてうまい。江戸時代の農民がカステラ食べた時の感想みたいだが、実際に甘みがあるのだ。

たまごやしらすがうまいことアクセントになっており、優しい味ではあるが、単調ではない。真ん中の梅を崩してたべると、味がかわってこれまたうまい。

さらに「きざみわさび」という、つけあわせもついており、味を変える要素が二つもあるため、まったく飽きない。

これ、ハンバーグ専門店で味わうものには思えない。

鈴木さんによると、さわやかで、ハンバーグを頼まないひとはほぼいないという。
このハンバーグ以外のメニューは、何人かでやってきて、その中のひとりが、ハンバーグを食べるのはちょっとしんどいな……というときに、頼む。そういう位置づけのものらしい。

例えば、家族みんなでやってきて、子供やお父さんお母さんがハンバーグを頼む中、おばあちゃんは梅しらす雑炊を頼む……というような風景も容易に想像される。

梅しらす雑炊という、ハンバーグとは真逆に位置するようなものが、突然メニューにあるのはそういった意図があるのではないか?
うまいなー
うまいなー
あ、となりにハンバーグきた
あ、となりにハンバーグきた
……
……
やはり、どうしてもハンバーグは気になってしまう。げんこつハンバーグにそそられないわけがない。

これは人としての業である。

人類は生存するために、常にカロリーの高い食べ物を求め続けてきた。そして、高カロリーのものを「おいしい」と思うよう脳がプログラミングされているという。

梅しらす雑炊では、人類6500万年の歴史に負けた。

最初、鈴木さんが笑ったのは、人間としての業に抗おうとする人間の小ささを感じ取ったのだ。

「さわやかで、あえてハンバーグを食べない。なんて愚かなことを(失笑)」というわけである。

お釈迦様の手のひらで、竹槍をふりまわしているような気分になった。

カレーもミートドリアもうまいぞ

さて、梅しらす雑炊だけではなく、他に頼んだ料理もせっかくなので味見してみたい。
焼き野菜カレー
焼き野菜カレー
「焼き」の名にふさわしく、中身から器まで、いいぐあいにコゲがついている。
おいしー
おいしー
本来は、ライスと共に頼むのが普通なのだそうだが、カレーのみでもけっこううまい。

味見した林さんは「松屋のカレーのさらにうまいやつ」だという。つまり、けっこう本格的でスパイシーだということである。

レトルトカレーみたいなのが出てくると思ったけれど、さわやかはカレーにも手を抜いていない。
うまそうである
うまそうである
「うまみポルノだ」
「うまみポルノだ」
しっかりした味がついているうまいドリアである。サイゼリヤのミラノ風ドリアよりも具が多く、これは確かにビールが飲みたくなる。

ハンバーグの代わりにこれを食べるのも大いにありだと思う。

人類の歴史には負けたが、うまい

さわやかの梅しらす雑炊は、普通にうまかった。

しかし、みんなで、さわやかに行った時、ほんとうに食べたくて「梅しらす雑炊」をたのんだ場合、まわりから「具合悪いの?」とか「無理やり誘っちゃった?」といった気づかいをされる可能性があるので、普段から「さわやかの梅しらす雑炊が好きなんです」とアッピールしておくことが重要ではないか?

「さわやか」で梅しらす雑炊を頼みたいひとは、Facebookのプロフィール欄に「さわやかの梅しらす雑炊が三度の飯より好きです」と書いておくことをおすすめしたい。
さわやかにあったさわやかな雑誌
さわやかにあったさわやかな雑誌
 ▽デイリーポータルZトップへ  

 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ
↓↓↓ここからまたトップページです↓↓↓