特集 2017年10月16日
 

商談でボールペンを忘れた時に代わりが務まる文房具選手権

ボールペン以外の文房具で商談を乗り越えろ!
ボールペン以外の文房具で商談を乗り越えろ!
先日、仕事で商談に臨んだ際にボールペンを忘れた。商談の直前に焦ってカバンの中を漁るとマジックがあったので、やむなくマジックでメモを取ることにした。さらにその日はノートまで忘れてしまい、持っていた資料の裏側に書くしかなかった。

大事な商談中にメモを取らないわけにはいかないのでこの時はそうするしかなかったが、客観的に考えるとマジックで裏紙にメモを取っているという状況はかなりアホっぽく見えてしまうのではないだろうか。いや、マジックならまだセーフだろうか。

一体どこまでの文房具ならばボールペンの代わりが務まるのか、今後のためにも調べてみたい。
1992年東京生まれ。普段は商品についてくるオマケとかを考えている会社員。好きな食べ物はちくわです。最近子どもが生まれたので「人間ってすごい」と本気で感じています。

> 個人サイト 日和見びより

7つの文房具で検証

大人なら必携の文房具たち
大人なら必携の文房具たち
用意したのはこの7つのアイテム。ボールペンの代わりということであくまでも文房具に絞って検証を行う。

今回はニフティ人事部の米田さんにご協力をいただいた。
この満面の笑みがひきつることを彼女はまだ知らない
この満面の笑みがひきつることを彼女はまだ知らない
「ニフティの新卒向けサイトの制作」という依頼を受けた営業として商談に臨みたい。
この案件が決まれば今期の予算達成という大事な商談
この案件が決まれば今期の予算達成という大事な商談
社会人としてまずはしっかり挨拶
社会人としてまずはしっかり挨拶
早速商談に…あれ、ボールペンがない
早速商談に…あれ、ボールペンがない
慌ててカバンの中を探すと…
慌ててカバンの中を探すと…

①マジックインキ

昔ながらのタイプのマジック
昔ながらのタイプのマジック
まずは最近あまり見かけなくなったマジックインキである。子どもの頃このタイプのマジックを使うと気が付かないうちに必ず手にインクがついてしまった記憶があるが、この日は手を汚さずに使うことができた。これが大人の振る舞いである。

マジックであれば常に持っていてもおかしくはない。このサイズであればカバンにも忍ばせやすい。まだまだ許容できる範囲のはずだ。

そう思って書き始めたら驚いた。
字が下手なのはデフォルトです
字が下手なのはデフォルトです
予想以上に筆先が太く、細かい文字が書けないのだ。ノートにこのサイズで文字を書くだけで圧倒的な頭の悪さが漂ってくる。雰囲気がひらがななのも細かい字が書けないからなのだが、「漢字を知らないんだろうな」と思わせてしまう力がある。「ふいんき」と書いていないのがせめてもの救いだ。

ただはっきりと分かりやすいノートになるため、後から見返す時に楽かもしれない。
普段お客さんの前では見せないであろう表情
普段お客さんの前では見せないであろう表情
商談中、無意識にすごい顔になっていた米田さんに印象を聞いてみると

・マジックインキ自体を久しぶりに見た
・話に集中できない
・ボールペンを貸してあげたくなる
・細かいメモが取れるのか心配になる

とのことだった。決して良い印象ではないが、ボールペンを忘れた私を心配してくれている。これならまだ大丈夫だ。次回の商談で良い提案が出来れば、マジックインキを使ったことも笑い話になるだろう。雨降って地固まるとはこういうことを言うのである。

マジックインキの結果

②ポスカ

使ったのは大学の文化祭以来
使ったのは大学の文化祭以来
続いてはマーカーの代名詞ともいえるポスカだ。

うっかりボールペンを忘れてポスカしか持っていないわけだが、さらにうっかりして新品のポスカしか持っていなかった。初めて知ったのだが、使い始めのポスカはペン先までインクが到達しておらず、インクが出るまでしばらく紙にペン先を押し付け続けなくてはいけないのである。
固唾を飲んでインクが出るのを待つ米田さん
固唾を飲んでインクが出るのを待つ米田さん
ボールペンを忘れてただでさえ気まずいのに、インクが出るのを待って商談がストップするという二重の気まずさに襲われる。バスや電車なら5分、10分余裕で待てるがインクは1分待つのもかなりしんどい。忙しい社会人としてポスカはペン先までインクが染みた状態で持ち歩くことが大切だ。
米田さんの目が笑っていない
米田さんの目が笑っていない
せっかく複数色持っていたので大事な部分にアンダーラインを引こうと赤いポスカも使った。もちろんこちらもインク待ち。1本目の時にはインクが出た瞬間に多少の盛り上がりを見せたが、2本目は本当に気まずい沈黙が流れた。3本目として青もあったのだが、さすがに使う勇気がでなかった。
完成したメモからはマジックインキ以上におふざけ感が漂う
完成したメモからはマジックインキ以上におふざけ感が漂う
米田さんに印象を聞いてみると、

・ポスカの仕組みを初めて知った。
・1本目はまだ良かったが2本目は本当に何を待っているのか分からない。
・「3本目も待つのか…」という恐怖を感じていた。
・でも待ち時間がなければまだ大丈夫。
・(私のしている結婚指輪を見て)結婚しているのにポスカって大丈夫なのか不安になる。むしろ奥さんがどんな人なのか気になる。

とのことで、インク待ちに恐怖すら抱かせてしまっていた。やはり3本目は使用しなくて正解だった。そして結婚相手のことにまで興味を持たせてしまっている。むしろ営業として興味を持ってもらうことは大切なので、ある意味商談は成功しているのかもしれない。ただしインクは出していかないと絶対ダメ。

ポスカの結果

③クレヨン

12色セットの持ち味を活かすことができるか
12色セットの持ち味を活かすことができるか
どんどんいこう。次はクレヨンである。クレヨン自体、最後に使ったのがいつだか思い出せないくらい懐かしい。久しぶりに使うとこの柔らかい独特な書き味がクセになる。Wikipediaのクレヨンのページには「紙肌を反映した素朴なマチエールを持った、耐水性のある鮮やかな描線が得られる」と書いてあった。マチエールというのは作品の材質がもたらす効果という意味らしいが、高尚すぎるし、口に出したくなる単語すぎる。クレヨンは実は子どもだけに使わせておくには勿体ない文房具なのだろう。
出来上がったメモには3色しか使えていなかった。
出来上がったメモには3色しか使えていなかった。
せっかくの12色セットなのでカラフルにしようと思ったのだが商談中に色を使い分けることは意外と難しく、特に使い分ける必要のないところで赤と青を使うことしかできなかった。いつもなら3色ボールペンで事足りてしまうのだ。改めてボールペンは偉大である。

米田さんもその部分が気になったらしく、

・こんなに色があるのに3色しか使わないことに驚いた。
・サイトのイメージとかを絵で描いてくれるのかと思った。
・絵への期待があった分、裏切られた感じが強い。

という感想であった。

私は絵心がないので、描けと言われても描けないのだが、絵心があればクレヨンという選択肢はアリだろう。逆に私のように絵心がない人は期待を裏切りマイナスな印象を持たれてしまうので注意してほしい。

クレヨンの結果

④修正液

文房具界の名脇役を主役に据える試み
文房具界の名脇役を主役に据える試み
続いて修正液である。筆記具を忘れてカバンを探したら修正液しかなかった!というのは実際にありそうなシチュエーションだ。果たしてボールペンの代わりとして機能するのだろうか。
写真では全く分からないが、自分では筆跡が読み取れる。
写真では全く分からないが、自分では筆跡が読み取れる。
思ったよりも文字を書くことができた。光の当たり加減でかなり変わってくるのだが、書いている文字は認識できるので筆記に支障はない。

しかし米田さんにどんなサイトを作りたいのか聞いてみると「見た目で伝わりやすいサイトであることが重要」という回答があり、完全に責められている気分になった。相手からは何をメモしているのか全く見えないので、不安になるのも当然である。
「この人、大丈夫なのだろうか…」という気持ちを隠しきれない表情
「この人、大丈夫なのだろうか…」という気持ちを隠しきれない表情
米田さん曰く、

・ドッキリを疑うレベル
・驚きすぎて話すことが分からなくなる
・「ヤバい人」という感想しか浮かばない
・早く帰ってほしい

など散々な感想しか出てこなかった。実際に修正液しかない!という状況になったとしても、本当にヤバい人になりたくなければ修正液は使わないことをおすすめする。
こちらが完成したメモ。自分で書いたのに暗号を読み解いている気がしてくる。
こちらが完成したメモ。自分で書いたのに暗号を読み解いている気がしてくる。

修正液の結果

⑤ボールペンの替え芯

頑張れば細いボールペンと言い張れるかもしれない。
頑張れば細いボールペンと言い張れるかもしれない。
修正液は攻めすぎたので、初心にかえってボールペンの替え芯はどうだろうか。実はこれ、もっと序盤で試す予定だったのだが、順番を間違えてしまった。修正液の衝撃のあとでは、もはや違和感がないという結果となった。

実際使っていても普通のボールペンとほぼ遜色なくメモすることができた。今回は黒と赤の替え芯を用意したが、書いてみないとどちらの色か分からないことくらいしか不便なところがない。
タイトルの色を赤で書いてしまったが特に問題はない。
タイトルの色を赤で書いてしまったが特に問題はない。
米田さんも感覚が麻痺してきたのか、

・若手ならこれくらいはいそう
・抵抗感なし
・そんなに気にならない

と、久しぶりに肯定的なコメントを残してくれた。人間、慣れほど怖いものはない。

ボールペン替え芯の結果

⑥筆

東急ハンズで入手したミニ書道セット
東急ハンズで入手したミニ書道セット
さて、次は筆である。ボールペンを忘れて筆と墨と硯を持っている状況が分からないが、日本人の心を大切にするあまりそういうこともあるかもしれない。

まずは出していただいたお水を少し硯に注ぎ、墨を磨っていく。会議室が一気に風流な空気に包まれる。営業マンにとって本題に入る前のアイスブレイクは相手の心を掴むための大事なテクニックだが、心を落ち着かせて墨を磨ることで、お客さんと硯にむかひて、心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなくトークすることができるのだ。
まずい!薄墨だ!
まずい!薄墨だ!
しかし思った以上に墨が濃くなるのに時間がかかり、焦って書き始めてしまったら、予想を遥かに超える薄墨であった。拭いきれない香典感がある。これでは営業としては心もとないし、身内に不幸があったのかと心配されてしまう。おそらく最初に水を入れすぎたことが原因なので、商談で墨を磨る時には硯に注ぐ水の量に注意したい。
「うわっ…あなたの墨汁、薄すぎ…?」
「うわっ…あなたの墨汁、薄すぎ…?」
そして、ここでも際立つのが字の下手さだ。米田さんからも

・字を書き始めた瞬間、「達筆じゃないのかよ!」とツッコミたくなった

と言われてしまった。逆に

・達筆であれば味があって良いかも

とのことだった。先ほどのクレヨン同様、技術があればナシではないようだ。

筆の結果

⑦テプラ

今回の企画で初めてテプラを使った。
今回の企画で初めてテプラを使った。
最後はテプラだ。キーボードのように並んだボタンで文字を入力するとその文字が書かれた帯状のシールが生成される機械である。もはや文房具とは言えないかもしれないが、メモを取ることはできるのでボールペンの代わりとして成り立つだろう。
ここまでくると呆れた表情を浮かべることしかできないようだ。
ここまでくると呆れた表情を浮かべることしかできないようだ。
しかしこれまでテプラを使ったことがなかったので、操作に苦戦してしまい、思うようにメモがとれない。サイト作成に関する商談が進む中で捻り出すように出力できたのがこれだ。
しかもなぜか縦書き
しかもなぜか縦書き
米田さんはサイト作成について色々話してくれたにも関わらず、ウィウィーンという機械音を虚しく響かせながら出てきたのが「さいと」の三文字である。深夜の通販番組で売っている健康サプリメントでもここまで一粒に凝縮されてはいないだろう。

この後も商談では重要なワードが出てきたが、全然メモが追いつかなかった。
なんとか残せたのは「さいと」「予算30万」「すたいりしゅ」の3ワード。スタイリッシュは打ち方すら分からなかった。
なんとか残せたのは「さいと」「予算30万」「すたいりしゅ」の3ワード。スタイリッシュは打ち方すら分からなかった。
これには米田さんも

・テプラは怒れるレベル
・まじで意味が分からない
・なんでこの人を呼んだか分からなくなる

と大ブーイングだった。せっかくシールになっているので、最後に次回の商談予定を決めて日時をテプラで出力して渡そうと思ったのだが、「一旦検討しますので大丈夫です」と断られた。既に割と感覚が麻痺している米田さんにここまで言わせるとは、テプラ恐るべしである。

テプラの結果

許されるのはポスカまで、技術があればクレヨンと筆もOK

というわけで検証結果をボールペンの代わりがに務まる順にまとめると以下の通りである。
!
結論としてはマジック類までが許容範囲だった。ただ絵や字に自信のある人は得意分野の文房具をカバンに忍ばせておくことで、ボールペンを忘れたピンチをチャンスに変えることもできそうだ。

そして、デキるビジネスマンは修正液とテプラをボールペン代わりに使ってはいけない。いつかビジネス書を書く機会があったら、一番初めにそれを書こうと思う。

撮影に協力してくれた米田さんも商談にボールペンを忘れたことがあったと言っていた。一度もその経験をしたことがないビジネスマンは少ないのではないだろうか。そして実際には代わりになる文房具を何も持っていないことの方が多い。

そんな時は開き直って、「めちゃくちゃ記憶力いいんですよ、私」というしたり顔で真剣に話を聞くのが最も有効な手段ではないだろうか。
彫刻刀で板を削るというのもやってみたが、怖すぎてダメだった。
彫刻刀で板を削るというのもやってみたが、怖すぎてダメだった。
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