特集 2017年11月13日
 

寿司は不完全な料理なのではないだろうか

温泉からの寿司

さて、ここまで話を聞いたらどうしても池野さんのお寿司を食べたくなってくる。当初は食事をしないつもりだったが、がまんできない。

営業時間の都合で1時間後に再度お客として来店して、食べることにした。
蛇骨湯
蛇骨湯
1時間、どこかで時間をつぶさなくてはいけないな……。と思っていたら浅草の有名な銭湯がすぐ近くにあることに気付く。蛇骨湯だ。ありがたいことに手ぶらセットも完備されている。

浴槽のお湯が焦げ茶色である。ここ、銭湯だけどお湯は温泉だ。入ってみると、インタビューの緊張がどっとお湯に溶けてゆくようで、気持ちいい。

温泉を堪能していると、すぐに予約時間になり、あわてて再度寿司屋に向かう。
う、うまい……
う、うまい……
温泉の後のビールになってしまった。うまい。なんか最初の企画とだいぶ変わってきたな。まあいいか。
先ほどインタビューしていた池野さんに握ってもらう
先ほどインタビューしていた池野さんに握ってもらう
注文したのは「おまかせコース」。あれだけ「自由にするのが一番いい」という話を聞いたのに、自分からいろいろ注文するのは恐い。さっきのインタビューはなんだったんだ。
ヒラメ
ヒラメ
最初はヒラメだった。ほうほう白身魚から出るのだな。聞いたとおりハケで醤油が塗ってある。食べてみるとうまい。ちょううまい。白身魚の味を表現する言葉を持っていなくて申し訳ない。

そして気付いたことがある。ふだん、寿司に醤油をつけすぎだ、おれは。
スミイカ
スミイカ
こちらは塩でいただく。うまい。温泉には入らなくてもよかったかもしれないな、と今さら思った。全体的に幸せすぎて、味がよくわかっていない可能性が高い。
イワシ
イワシ
今年はイワシが豊漁で大変にオススメだという。食べて見るとこれがイワシか? ってくらい脂がのっている。は〜〜〜〜〜。とため息が出たが、これがいったい何のため息かわからん。
イクラ
イクラ
世の中にはよいイクラと悪いイクラがある。このイクラはどちらか? 言うまでもない、最高のイクラである。

ちなみに海苔も高いやつだと思う。海苔に関しては以前食べ比べを当サイトでしたことがあるので、味がわかった。
ボラの昆布締め
ボラの昆布締め
ボラ。僕としては「大量発生しがちな魚」というイメージしかない。あれを食べて見たいなんて思ったことはないが、食べるとうまい。
ヅケ
ヅケ
ヅケってクタっと柔らかいイメージがあったが、これは違った。キリッと立っているのだ。興奮して池野さんに「キリッとしていますね」言ってみたところ「いろいろなヅケがあるんです」とのこと。
中トロ
中トロ
今まで僕が食べたことのないタイプの中トロだ。はて、これは一体………?
なんだこれは……? わからない……。うまい……
なんだこれは……? わからない……。うまい……
考えていると池野さんから解説が入った。「血合いぎし」という中トロの中でもうまい部分だそう。まだまだ世の中わからないことだらけである。
車エビ
車エビ
醤油ではない何かが塗られている。聞いてみると「煮きり醤油」というものだそう。これがエビの味を引き立てる。

一手間加えた調味料で素材の味が引き立つなんて、そんなグルメマンガみたいな話が本当にあるんかいな、と常日頃から思っていたが、ここにあった。
コハダ
コハダ
読者の皆様は、こいつまさかコースで出てきた寿司の感想を全部書くつもりじゃないだろうな、と思っているかもしれない。そのまさかである。江戸前寿司なんてちゃんと食べたことがなかったし、インタビューの知的好奇心よりも心が揺れ動いてしまうのは仕方のないことだ。

コハダ、締め方がいい感じでちょううまかったです。
ホッキ貝
ホッキ貝
「何か食べたいネタはありますか?」と聞かれて僕が答えたのがこれ。コリコリしたやつ食べたいな、と思ったのだ。

ところが食べてみると、とても柔らかい。へえ〜これがホッキ貝なんですか、こういうの出てくると思わなかったですが、おいしいですね、と脳内の独り言が敬語になってしまう。
アナゴ
アナゴ
甘く柔らかい、ほくほくしていて香りもある。感動したのだが、こうして文章にしてみるいかんせん凡庸になってしまう。しょうがないことです。
タラコのわさび漬け
タラコのわさび漬け
タラコを辛子で漬けると明太子になる。本品はそのわさび漬けバージョン。当然うまい。

江戸前寿司のおまかせコース、知らない味が次から次へと出てくる。最高にうまくて楽しい。ひょっとしたら、完全な料理なのではあるまいか、寿司……。また来たい……。

記事タイトル大変失礼しました

今日食べたおまかせ寿司のコースは5,000円。ものすごく高い、というほどの値段ではない気がする。なにしろ完全な料理なのだから……。

ところで帰り際に池野さんが「僕たちは格好つけなくちゃいけない仕事なので、自分からは話せないこともあるんです。インタビュー楽しかったです」と言ってくれた。聞きたいことを聞いちゃうの、お互いスッキリしてよい。

取材協力
すしの野八

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