特集 2017年11月14日

ゆかりの香水を作ってみた

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過去に書いたのだけれど、ふりかけのゆかりが大好きだ。(「ふりかけの「ゆかり」が最高の調味料だと教えたい」

味ももちろん好きだが、あのシソの香りも大好きだ。ということで、いつでもゆかりの香りが楽しめるように香水を作ってみようと考えた。ゆかりはご飯にかける時代から、人間にかける時代へ。
大学中退→ニート→ママチャリ日本一周→webプログラマという経歴で、趣味でブログをやっていたら「おもしろ記事大賞」で賞をいただき、デイリーポータルZで記事を書かせてもらえるようになりました。嫌いな食べ物はプラスチック。(動画インタビュー

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みんな大好きゆかり
みんな大好きゆかり
友人と旅行に行ったときに僕以外のメンバーで香水のようなものをつけている友人がいた。良い匂いだった。これがモテる人とモテない人の身だしなみの違いなのかと痛感した。ただ、その友人に影響されて今更ながら香水を自分でつけるのもなんだか恥ずかしい。付け方間違えてキツイ匂いで会社に行って裏で噂されるのも怖い。

ならばどうすれば良いのか。答えは一つだ。自分が好きなものの匂いを身体から発するべきだ。こんなに自然なことはないだろう。そうなると僕の場合はゆかりの匂いを身体からさせるべきだ。きっとそうだ。そうに違いない。よし…じゃあ、ゆかりの香水を作ろう。(極端)
香水の作り方はものすごく簡単
香水の作り方はものすごく簡単
香水というものにまったく縁も興味もなかったので、いざやろうと思っても作り方の検討もつかない。しかし調べてみると意外にも簡単に作れることがわかった。

無水エタノールと精油(エッセンシャルオイル)を混ぜて数日置いておくだけで出来るらしい。簡単すぎるだろうと思っていくつかのサイトを見て回ったが、本当にそれだけらしい。ねるねるねるねの方が遥かに難易度が高い。あれ4ステップくらい工程あるからね。
精油には「レモン」や「ユーカリ」、「ローズマリー」など色んなものがある。
精油には「レモン」や「ユーカリ」、「ローズマリー」など色んなものがある。
精油というのは、植物の花と果実などの香り成分を抽出したものらしい。アロマなどにも使用される。それから無水エタノールはエタノール含有率が99.5%の液体だ。匂いを嗅ぐと一気に酔いそうになるくらい強いアルコールを感じる。理科室を思い出す匂いだ。
まずは試しに香水を説明どおりに作ってみる。
まずは試しに香水を説明どおりに作ってみる。
ゆかりの香水を作る前に、試しにネットで調べたとおりに無水エタノールと精油で普通の香水を作ってみることにした。無水エタノールを10mlと精油を20滴ほど入れてかき混ぜて完成だ。明日にでも香水屋をオープン出来るかもしれないと錯覚するくらい作るのが簡単だ。
ためしに嗅いでみたら匂いがきつかった…
ためしに嗅いでみたら匂いがきつかった…
どうやらエタノールと精油が馴染むまでに時間をおかないといけないらしい。きついレモンの匂いが鼻にダイブしてくる。これをそのまま会社につけていったら「初めて香水を買って、はしゃいで使いすぎちゃったやつ」になってしまう。精油を入れすぎたのかもしれない。香水屋を簡単にオープン出来るかと思ったが、やはり険しい道のりのようだ。そもそも香水屋って呼び方合ってる?

何回か香水作りをやってみて、20mlに対して精油が10~13滴くらいでちょうど良いことに気づいた。数滴変えるだけでこんなに匂いがかわるのかと感動した。ちょっと香水作りがおもしろくなってきた。
三島食品が出しているゆかりドリンク
三島食品が出しているゆかりドリンク
シソの精油はあるかもしれないが、三島食品が出している「ゆかりの精油」なんていうのはもちろん存在しない。あったとしたら三島食品も勝負をかけすぎだ。ということで色々と考えた結果、ゆかりドリンクを無水エタノールとまぜて香水にしてみることにした。

ゆかりドリンクは水で薄めて飲む原液タイプのものなので、精油と同じようなものだろう。ゆかりドリンクの原液と精油の違いはわからないがきっと近いものに違いない。人間思い込めばそれが真実になる。偽物も本物になるはずだ。つまりゆかりドリンクは精油だ。
試しに「無水エタノール」+「ゆかりドリンクの原液」で作ってみた
試しに「無水エタノール」+「ゆかりドリンクの原液」で作ってみた
試しにスプレーしてみたらベタベタした…
試しにスプレーしてみたらベタベタした…
当たり前であるがドリンクには糖類も含まれているので、身体にかけるとベタベタする。そして、冷静になって考えてみたら「無水エタノール」+「ゆかりドリンクの原液」では、「エタノールで割ったゆかりドリンク」を作っただけなのである。普通に考えたらわかる話だ。僕は何をやっているのだろうか。

ゆかりの匂いを濃くするために、エタノールの分量を減らしてしまえば、それはただただゆかりドリンクを身体にかけているだけになる。だとしたらもういっそ100%ゆかりドリンクを身体に浴びたい。

やはりゆかりドリンクは精油ではなかった。偽物は偽物だ。このままではダメだ。やり方を変える必要がある。ということで、今度はふりかけのゆかりを熱してみることにした。
熱湯を沸かして…
熱湯を沸かして…
ゆかりを投入する。熱してみて汁をだす作戦だ。ゆかりの純粋な汁を出すために水分は最小限にする。
ゆかりを投入する。熱してみて汁をだす作戦だ。ゆかりの純粋な汁を出すために水分は最小限にする。
火にかけたらブルーベリージャムみたいになった。
火にかけたらブルーベリージャムみたいになった。
ゆかりを熱するなんてことをしたのは人類でも僕以外にいないんじゃないだろうか。加工した完成品を再び火にかけて破壊するなんて、輪廻転生の理に反しているような行為である。ただこのブルーベリージャム状態のゆかりを食べてみたら、温かいし味が濃いし美味かった。これをご飯にかけて食べてみると「ごはんですよ」のようなゆかりになっていた。また一つゆかりの真理に近づいた。
コーヒーフィルターを使って純粋な汁だけを取り出す
コーヒーフィルターを使って純粋な汁だけを取り出す
純粋なゆかり汁の完成。
純粋なゆかり汁の完成。
ブルーベリージャムみたいなものをコーヒーフィルターでこしたら、赤ワインみたいなゆかり汁が抽出できた。少し舐めてみたけどものすごく濃い。しかも砂糖などは入っていないと思うので、ゆかりドリンクよりかは精油に近い形になっているはずだ。

さらにそれだけでなく、さっきの「エタノールで割ったゆかりドリンク」の失敗を活かして、ゆかり汁と精油をブレンドしてみることにした。

香水を作る場合は違う種類の精油をいくつか混ぜてブレンドしていき、新しい匂いをどんどんと作っていくようだ。無限の組み合わせがあり、そこに香水作りの楽しさがあるようだ。ということで今度はゆかり汁に精油も少し混ぜてみて、より香水に近づけてみることにする。
スプレーの先っぽで吸い取って…
スプレーの先っぽで吸い取って…
無水エタノールに混ぜていく
無水エタノールに混ぜていく
さらにそこに少しずつ精油を混ぜて調整していく
さらにそこに少しずつ精油を混ぜて調整していく
精油をあまり入れすぎるとゆかりの匂いが消えてしまうので、1滴ずつ入れて確認していく。それから試行錯誤シていく中で、色々な精油とゆかりを組み合わせいくと「ユーカリ」の精油と相性が一番良いことも発見した。ユーカリが一番ゆかりの匂いを邪魔しない。そしてスースーする匂いがシソの酸味とも合っている気がする。これでただの「ゆかりのエタノール割り」から香水に近づいた。匂いもさっきのゆかりドリンクよりも大分良い!!

あと香水は見た目も大事だろう。パッケージも作ろう!
ゆかりの袋っぽいパッケージを作成する
ゆかりの袋っぽいパッケージを作成する
印刷してスプレーに貼り付ける
印刷してスプレーに貼り付ける
ラベルを貼って完成!!

見た目的には香水というよりも虫除けスプレー感が強くなってしまった。しかし、まぎれもなくオリジナルの香水だ。世界で一つしかないゆかり香水がここに誕生した。
実際にかけて使ってみる
実際にかけて使ってみる
ゆかり香水をかけてみて今日一日で会社の誰かに気づかれるかどうかやってみることにした。ただ、写真のようにスプレーを身体にかけていたら友人に「そのかけ方は虫除けスプレーだよww」と笑われた。恥ずかしい。香水は手首につけるのが基本ということはなんとなく知っていたけど、無意識に身体にスプレーしていた。おしゃれ感が全然ない。
1日ゆかり香水をつけて仕事してみた
1日ゆかり香水をつけて仕事してみた
1日香水をつけてみたが誰にも何も言われることはなかった。やはり匂いが薄かったのかもしれない。精油の方は1滴でも鼻にツンとくるほど強い匂いがするが、やはりゆかりを熱した汁だけでは濃さが足りなかったらしい。

あとよくよく考えたら普段会社で「おはようございます」と「お疲れ様でした」以外は話さないので、そもそも何をつけていっても指摘されることなんてないのかもしれない。なんだか急に自分の生活が寂しくなってきた。

会社では意見を聞けなかったので、友人に感想を聞いてみたところ「アルコールの匂いが強すぎてゆかりの香り弱くない?」「なじませるとほのかにする気がする」ということを言われたので、やはり匂いが弱いようだ。

このままでは香水を作った意味がない。ということで、べつの使い方を考えてみた。
ゆかり香水でご飯を食べる。
ゆかり香水でご飯を食べる。
匂いが弱いにしても、せっかくゆかりの香りするのだからこれでご飯を食べてみることにした。もちろん直接かけるわけではない。そんなことしたらエタノールを飲むようなものである。

ゆかり香水を身体にかけて、それの匂いをかぎながらご飯を食べれば箸がすすむんじゃないかと思った。落語のうなぎのかぎ賃の発想だ。これが成功すればゆかりがないときに、ゆかり香水があれば無限に白飯が食べられることになる。果たしてそんな状況に巡り合うことがあるのか謎であるが。
手首にゆかり香水をかける
手首にゆかり香水をかける
なじませる
なじませる
匂いを嗅ぐ
匂いを嗅ぐ
白飯を食べる
白飯を食べる
手首を嗅ぐ、ご飯を食べる、手首を嗅ぐ、ご飯を食べる、手首を嗅ぐ、ご飯を食べる、手首を嗅ぐ、ご飯を食べる…

果たして何をやっているのだろうか。やる前からわかっていたがまったく持って意味がない。確かにゆかりの匂いはかすかにするが白飯は白飯だ。父と母も手首を嗅いでご飯が食べられるように僕を育てたわけではないだろう。この使い方は明らかに間違っていた。
やっぱりゆかりはご飯にかけるのが一番良い。
やっぱりゆかりはご飯にかけるのが一番良い。
昇天するほど美味い
昇天するほど美味い

やっぱり色々とやってみたがゆかりはふりかけのゆかりで完成品なのだ。香水も作ってみたが、ゆかりの完成度の足元にも及ばない。やはりゆかりは人にかけるものではなく、ご飯にかけてこそゆかりなのだ。

しかし、ゆかり香水もまだまだ可能性はあると思っている。これからもっと改良をくわえて改造していきたい。最終的には街中でゆかりの匂いする人が大量に出現し、自然とゆかりの需要があがり、コンビニやスーパーの全店舗で「ゴマ入りゆかり」や「生姜入りゆかり」を扱うようになって欲しい。ネットじゃないとなかなか手に入らないんだ…それが僕の野望だ。
香水の代わりにゆかりを手首にかけて匂いを嗅いでみたら、なんだかヤバイ感じの写真になってしまった。
香水の代わりにゆかりを手首にかけて匂いを嗅いでみたら、なんだかヤバイ感じの写真になってしまった。
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