特集 2017年11月27日

サンドイッチに怒っているので新しい具を考える

サンドイッチに対する問題提起です。
サンドイッチに対する問題提起です。
コンビニにはおにぎりとサンドイッチという小腹がすいたら食べたい2トップがいるが、最近、おにぎりの具の進化がすごい一方、サンドイッチの具が全然変わらない。一度怒りたいし、新しいサンドイッチの具を考えたい。
1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

前の記事:5つのメソッドで必ずできるコーラの早飲み講習会


まずはサンドイッチに対する説教からはじめます

サンドイッチに説教するため、屋上に呼び出した。
サンドイッチに説教するため、屋上に呼び出した。
怒られるために買われたサンドイッチたち。
怒られるために買われたサンドイッチたち。
「おまえたちはだめだ!」と一喝しながら「おまえたちがそんなんだから、深夜のコンビニにレタスサンドしか残らないんだよ…」となげく男の姿があった。

サンドイッチが好きなのだ。好きだからこそ、おにぎりのように多くの具を展開していかないサンドイッチの具に怒っている。

たまご、ツナ、レタス、サラダしかない。そろいもそろって、昔からずっと同じじゃないか。それに比べておにぎりたちはどうだ。
逆光でかっこよく撮れたおにぎりたち。
逆光でかっこよく撮れたおにぎりたち。
おにぎりの具は年々進化している。「こんな具もありなのか」とコンビニで腰をぬかしてしまった人も多いと思う。
「あんなドロドロしたものを具になんてできるのか!」と誰もが驚いた玉子かけごはんのおにぎり。おいしい。
「あんなドロドロしたものを具になんてできるのか!」と誰もが驚いた玉子かけごはんのおにぎり。おいしい。
「ねぎとろ!海産物なんて具にしかもコンビニに置けるなんて!」と技術の進化に未来への希望を誰しもが感じたねぎとろのおにぎり。おいしい。
「ねぎとろ!海産物なんて具にしかもコンビニに置けるなんて!」と技術の進化に未来への希望を誰しもが感じたねぎとろのおにぎり。おいしい。
寿司(これもおいしい)もあるし、
寿司(これもおいしい)もあるし、
なんでもありのおにぎりたち。(全部おいしい)
なんでもありのおにぎりたち。(全部おいしい)
自由奔放なおにぎりたち。最近、コンビニのおにぎり業界はなんでもおにぎりする傾向がある。我々、人間も固定概念にとらわれないクリエイティブさをおにぎりたちに学ぶべきだ。

そんなおにぎりたちに感心していると、サンドイッチの1つが声があげた。

「俺たちだって、進化しています。ちゃんと見てください!」
声をあげたのは「たまご好きの為のたまご」だった。
声をあげたのは「たまご好きの為のたまご」だった。
確かにおまえはがんばっている。たまごをこれでもかと胃袋にぶつけてくる。思わず買ってしまうのもわかる。だけど、たまごじゃん。

論破したところで、また別のサンドイッチが声をあげた。
おまえは誰だ!
おまえは誰だ!
見たことのないサンドイッチだった。「僕らだってがんばっているんですよ!」と燻製サバ(ドライトマトがアクセント)が大きな声では反論をしてきた。サンドイッチは燻製サバをいれてきたのだ。

こっちも反論しようとしたが、なにも言葉が出てこない。人見知りをするタイプなのだ。知らない人から強い口調で言われると言葉が出てこない。無言のまま向かい合っていた。
とりあえず、寒くなってきたので上着を着た。
とりあえず、寒くなってきたので上着を着た。
おまえなんか、
おまえなんか、
こうして!
こうして!
食べてやる!
食べてやる!
おいしい!
おいしい!
何も言えない気持ちがくやしくなり、食べてしまった。口より先に手が出た自分を恥じながらも、燻製サバのサンドイッチはフレンチの料理を食べているようなすてきな気分にさせてくれる。食べたあと、ごめんとつぶやいた。

しかし、がんばっているとは言え、おにぎりから見たら全然進化してない。「サバの燻製とか、進化しているじゃないですか!」とサンドイッチたちは言っているが、
そうやって、次にやることが決まっているのにつっかかてくるサンドイッチたちに「おまえらのそういうとこだぞ」と叱っておいた。
そうやって、次にやることが決まっているのにつっかかてくるサンドイッチたちに「おまえらのそういうとこだぞ」と叱っておいた。
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新しいサンドイッチを作ろう

ただ指摘しただけではダメだ。きちんとした改善案を出さなければならない。それが社会人というものだ。それなら新しいサンドイッチを作ってみようと思う。

自分だけで考えるよりも色々な人に作ってもらった方が多くのバリエーションがあるアイデアが生まれると思うので一緒に作ることにした。
左からデイリーライターのmegayaさん、ネッシーさん、さくらいさん、北向さん。
左からデイリーライターのmegayaさん、ネッシーさん、さくらいさん、北向さん。
参加者は私を含めて5名。果たしてどのようなサンドイッチが生まれるのか。そして、それはおいしいものなのか。ルールとしてはさむ具はコンビニ限定にした。フォアグラやキャビアを持って来られるとそれにしか目線が行かなくなるおそれがあるからだ。

カラムーチョのサンドイッチ

最初は私のサンドイッチだ。
優勝をする気持ちで来た。
優勝をする気持ちで来た。
私が作るのはコンビニに置いてありそうなサンドイッチである。
カラムーチョの形が少し残るぐらいくだいて、
カラムーチョの形が少し残るぐらいくだいて、
マヨネーズとあえたら、
マヨネーズとあえたら、
完成。カメラが美白モードになっていたのでより色白なサンドイッチになった。
完成。カメラが美白モードになっていたのでより色白なサンドイッチになった。
ポテトチップスとマヨネーズのジャンクさがおいしいだろうと考えた。ポテトチップスをカラムーチョにして辛みを加えたのもポイント。
皆さんに食べてもらおう。
皆さんに食べてもらおう。
おいしいと評判だったので、きっと優勝もありえる。
おいしいと評判だったので、きっと優勝もありえる。
「ポロポロとこぼれるかと思ったが、マヨネーズが入っているからか固まって意外に食べやすい」「このまま食べたら味が濃すぎるかもしれないが、パンにはさむとちょうどいい」「ビールにきっとあう」と最初にしてはかなりいいスタートである。
自分で作っておいて申し訳ないが、とてもおいしいのが作れてしまった。
自分で作っておいて申し訳ないが、とてもおいしいのが作れてしまった。
最初にしては高得点だ。これを超えられるのか!
最初にしては高得点だ。これを超えられるのか!
パティシエっぽい人が作るオムライスのサンドイッチ(小見出し)

次に作ったのは、megayaさんである。ゆかり好きで色々な料理にゆかりをかけているので、きっとゆかりで勝負するのだろうと思ったら違った。もしかして、優勝を狙っているのか。
料理人っぽい。
料理人っぽい。
取り出したのは、オムライスのおにぎりである。まさか、はさむのか。
はさんだ。
はさんだ。
ちゃんと網目にした。料理人の発想だ!
ちゃんと網目にした。料理人の発想だ!
パンではさむのだから、きれいにかけなくてもいいのではと料理ができない自分は思ったが、ちゃんと料理ができる人は細かい部分にも気をつかうのだろう。
megayaさんには相撲でしか勝てない気がする。
休日のパティシエっぽいなと思った。
休日のパティシエっぽいなと思った。
ごはんをパンではさんできた。
ごはんをパンではさんできた。
炭水化物between炭水化物である。これが食べてみるとかなりの高評価。
誰もがおいしいと言う。
誰もがおいしいと言う。
食べた瞬間「おいしい」「うまい!」の声が止まらない。「簡単なのにこれだけおいしいのはずるい」「もっと食べたい」と高評価だ。

チキンライスのうまみ、玉子の甘味、マヨネーズの酸味が絡み合い、想像を超えた味になった。

ただ、パンではさんだだけではここまでおいしくなかっただろう。マヨネーズがよいアクセントになっている。
優勝ができなかった悲しみが背中から出ている。
優勝ができなかった悲しみが背中から出ている。
書いているときもおいしいの声が止まらなかった。悔しいほどおいしい。
これはおいしいのでぜひやってほしい。
これはおいしいのでぜひやってほしい。

チキンラーメンの食べにくさが襲う

次に作ったのがさくらいさんである。2人が調理しているときからなにかをやっているのは見えていた。
チキンラーメンで勝負に挑む。
チキンラーメンで勝負に挑む。
こういう企画で料理をするときにチキンラーメンが出てくることが多い。我々はチキンラーメンに信頼をよせているのだ。みんなの希望がチキンラーメンへ。
玉子が入っているのも選んだ理由だそうです。オムライスに続けるか?
玉子が入っているのも選んだ理由だそうです。オムライスに続けるか?
作り方としては、少しのお湯で麺固め、スープ濃いめで作ったチキンラーメンをパンにはさむのだが、ここでこのサンドイッチの命運を分ける出来事があった。なんとバターを使ったのだ。
何気なく見ていたが、これが命運をわけるとは思わなかった。
何気なく見ていたが、これが命運をわけるとは思わなかった。
今回、調味料としてマヨネーズとバターを持ってきたのだが、ここまで誰もバターを使っていなかった。焼きそばパンのような感じになるのではと予想がされていたが、果たしておいしくなるのか。
チキンラーメンのサンドイッチ。
チキンラーメンのサンドイッチ。
味も気になるが、おいしさの感想よりも先に出てきたのが「食べにくい」だった。
持った瞬間から落ちていくチキンラーメン。
持った瞬間から落ちていくチキンラーメン。
そして、なんとか食べてみると
そして、なんとか食べてみると
おいしくない!
おいしくない!
「チキンラーメンの素材の味で勝負する」と事前に言って、マヨネーズをいれず、バターにしたのが裏目に出た。サンドイッチにしたとき、チキンラーメンとバターが全然合わない。バターの風味が強すぎるのだ。後味がずっとバター。(ちなみにマヨネーズにしたら少しはおいしくなった。)
ただ1人、ネッシーさんはおいしいと言っていた。怖いと思った。
ただ1人、ネッシーさんはおいしいと言っていた。怖いと思った。
チキンラーメンのサンドイッチは開発にあと10年かかると思う。
チキンラーメンのサンドイッチは開発にあと10年かかると思う。
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理想の玉子焼きサンドイッチ

味覚が怖いネッシーさんが作るのはたまごのサンドイッチだという。「コンビニに売っているたまごサンドはもっとぶ厚くあるべき」という理想に戻づいたサンドイッチだ。
たまごサンド過激派のネッシーさん。
たまごサンド過激派のネッシーさん。
後日、送られてきた玉子焼きのサンドイッチをまとめたレポート。愛がすごい。
後日、送られてきた玉子焼きのサンドイッチをまとめたレポート。愛がすごい。
まるで積み木のようにパンに乗せていく。
まるで積み木のようにパンに乗せていく。
「コンビニにはこれぐらい頑張ってほしいんですよ!」と力説しながら乗せていく。その横で「食べづらそう」とさくらいさんがぽつりと言っていた。「おまえが言うのか」と心でみんな突っ込んでいたことだろう。
味付けにも工夫。からしマヨネーズにした。
味付けにも工夫。からしマヨネーズにした。
高さが2センチぐらいある。
高さが2センチぐらいある。
切っても厚い。
切っても厚い。
コンビニに売っていたら二度見するビジュアル。ネッシーさんの理想のサンドイッチが誕生した。
食べるとき、見た目通りの食べにくさが存分に発揮されているようで、全員が上をむいて食べていた。そういう風習の食べ物みたいだ。
恵方巻を食べる光景に近い。
恵方巻を食べる光景に近い。
普通においしかった。
普通においしかった。

工夫がサンドイッチ

最後は北向さんである。ライターたちの中で、なんでもできる器用な男として有名だが、果たして料理の腕はどうだろうか。
じゃがりこ(たらこバター味)とのりたまで参戦。
じゃがりこ(たらこバター味)とのりたまで参戦。
じゃがりこをそのまま使うのかと思いきや、お湯でふやかしてポテトサラダ風にするらしい。

パンにバターを塗り、ふやかしたじゃがりこを乗せる。それで終わりではない、そこにのりたまごをかけるのだ。
これだけでもおいしそう。
これだけでもおいしそう。
しかもこれだけではなく、なんとトーストするらしい。絶対においしい。器用がすぎる。
溶かしたバターの上に、
溶かしたバターの上に、
先ほどのサンドイッチを乗せれば、
先ほどのサンドイッチを乗せれば、
完成!
完成!
作っている様子を見ただけでよだれが出た。しかも焼き目がより胃袋を刺激してくる。切った断面は思っていたよりもきれいじゃなかったが、問題は味だ。
これはうまい!
これはうまい!
バターとのりの風味豊かなサンドイッチにさせている。焼いて香ばしさを出したのも正解だった。欠点としては、おいしすぎて物足りない点である。
思わずガッツポーズ。
思わずガッツポーズ。
これも試してほしい。
これも試してほしい。
北向さんのサンドイッチもおいしかったが話し合った結果、megayaさんのオムライスサンドイッチが優勝となった。がんばったのでみんな優勝でもいいと思う。

サンドイッチたちよ、もっとがんばれ。

くやしくてもう1品作った

優勝したかったので、主催者権限でもう1品作った。秋田のいぶりがっこをイメージして、チーズ、たくあん、燻製たまごを混ぜたサンドイッチだ。

趣向と凝らしたのと売っていなかったのもあって、チーズは黒コショウ入り、しそ風味のたくあんになったが、きっとおいしいと思う。
そう思って作ったら「見た目が0点ですね」と言われ、
そう思って作ったら「見た目が0点ですね」と言われ、
味はすべてがバラバラで工夫のわりにはおいしくもない、まずくもない無の評価と言われた。
味はすべてがバラバラで工夫のわりにはおいしくもない、まずくもない無の評価と言われた。
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