特集 2017年12月18日
 

町工場が代官山でマルシェを開いたら凄い製品が集まった

工場マルシェに出ていた線路が配線で駅が電子部品のスマホケース。携帯の電波で発電して駅部分のLEDが光ります。
工場マルシェに出ていた線路が配線で駅が電子部品のスマホケース。携帯の電波で発電して駅部分のLEDが光ります。
古い住宅街を歩いていると、町工場と言われる小さな工場を見つけることがあります。音を立てて動いている機械が窓の隙間から見えたり、建物周囲に色々なパイプが走っていたり。個人的には、ああいった町工場に出くわすと、何を作っているか気になりワクワクします。

 そんな町工場の人が集まり、自分たちの持てる技術を使って作り出したオリジナルの製品を展示、販売するマルシェが開催されました。

 その名も「工場マルシェ」。開催場所はなんと代官山。工場のイメージとは正反対なオシャレな街で、工業製品が見られて、体験出来て、買えました。町工場の本気を見た。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。

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酔った勢いの企画が現実に

工場マルシェの会場は代官山蔦屋書店内の代官山T-SITE GARDEN GALLERY.。オシャレガスが充満していて、足を踏み入れたらオッサンは30分も経たず息ができなくなり死に至ると噂される敷地内での開催です。
大丈夫。オシャレですが工業の香りでオッサンでも息ができました。
大丈夫。オシャレですが工業の香りでオッサンでも息ができました。
会場内は多くの来場者で賑わっていました。かなりマニアックな展示と思われますが、みなさん興味深く出店者の方の話を聞いたり、ワークショップに参加したりしています。
全部で14の町工場が出店しています。
全部で14の町工場が出店しています。
まずはこのイベントの発起人であり、商品の展示も行っている北山さんと落合さんに話を聞きます。
左が北山さん。右が落合さん。どちらも町工場の社長さん。
左が北山さん。右が落合さん。どちらも町工場の社長さん。
北山さんは、電子部品や機器の製造販売などを行う会社の代表取締役。「完璧に計算された芸術」「プリント基板に新たな価値を」ということで、プリント基板を用いたアートな製品「moeco PCB ART」を出展しています。
後ろの絵も全部金属の配線で描かれています。 
後ろの絵も全部金属の配線で描かれています。 
こちらがその製品の一つ。配線やシルクパターン、電子部品で絵が描かれているスマホケースです。
新世紀エヴァンゲリオンとのコラボ商品。着信時などの電波が出る際にパイロットが搭乗している部分のLEDが光ります。
新世紀エヴァンゲリオンとのコラボ商品。着信時などの電波が出る際にパイロットが搭乗している部分のLEDが光ります。
元のデザイン画を回路図用のCADで描きなおしてプリント基板を製作。最後に樹脂で表面をコーティングして作られています(詳しくは製造工程の動画を見てください。)。

配線は基本的に直線なので、曲線部分は短い直線で細かく描かなければなりません。写真のものだと19万程の直線で描かれています。
こちらはマネークリップ。スイカをタッチするとLEDが光ります。
こちらはマネークリップ。スイカをタッチするとLEDが光ります。
デザインとしての基盤ですが、一部の配線や電子部品はちゃんと機能しています。表面で配線が重なるところは2層基板にして裏で配線、接続。アンテナで電波をキャッチし、電圧と電流を高めて電力に変える回路が組み込まれていて、それにより表面のLEDが発光します。
地図バージョンもあります。
地図バージョンもあります。
続いて、落合さんは金型設計などを行う会社の代表取締役。町工場3社とデザイナーでコラボして立ち上げたオリジナル文房具ブランド「Factionery」を出展していました。
見た目は普通だが、実は凄い定規。
見た目は普通だが、実は凄い定規。
例えば、落合さんが手にしている定規。一見、色のついた普通の金属製の定規のようですが、色々凄い作りになっています。仲間の町工場の持つ技術で高精度に切削。寸法誤差は1000分の1ミリ(1ミクロン)。文字やメモリも削って描かれているので長く使っていても消えません。デザイン的にも手に取りやすい形状となっています。
こちらは精密スプリング加工技術を用いて製作したカードスタンド。カードを刺す部分が見やすい角度に変更可能。
こちらは精密スプリング加工技術を用いて製作したカードスタンド。カードを刺す部分が見やすい角度に変更可能。
そもそも、北山さんと落合さんが自社や仲間の工場が持つ技術を使ってオリジナルの製品を作り、このようなイベントを開催するに至ったのには日本の町工場の持つ1つの悩みがあります。

日本では高い技術を持った多くの町工場がありますが、そのほとんどが大手企業の下請けをしているのが現状です。そのような状況から抜け出し、生き残る為にはオリジナルの製品を開発していかなくてはなりません。
工場マルシェには「新鮮なものづくり、そろっています」
工場マルシェには「新鮮なものづくり、そろっています」
北山さんは最初に女性物のアクセサリーをプリント基板で作り、試しに本業のである電気製品関係の展示会に出品したそうです。それが思いのほか人を集める。ならばとアクセサリーだけで別の展示会に出たところ、代官山蔦屋のバイヤーの目に留まります。その時、男性物の雑貨は何かつくれないかという話になり、出来上がったのがトップ写真にもある路線図のスマホケースです。

その後は、パッケージや価格設定などバイヤーからアドバイスを受けて商品としての価値を高めていきます。さらに「いいところを選んで置いてもらわないとブランドにならない」とバイヤーからのアドバイスを受け、ビッグサイトで開催されるギフトショーに出展。
ギフトショー前夜の証拠写真。ここから工場マルシェへの道が始まる。
ギフトショー前夜の証拠写真。ここから工場マルシェへの道が始まる。
その時、落合さんもギフトショーに出展していて、開催前の準備が終わった後に二人で飲みに行くこととなりました。明日から展示会だというのに、現状や将来など話をしていて深夜まで飲酒、泥酔。
再現映像。大きな事が酔った勢いで決まる。あるよね。
再現映像。大きな事が酔った勢いで決まる。あるよね。
そして、店を出て肩を組みながら宿泊先のホテルまで夜の街をフラフラと歩きます。そこで「何か面白い事しようぜ!」という話になり、工場マルシェの計画が始まることとなったそうです。

その後は、代官山蔦屋のイベント担当の方と相談したり、参加してくれる知り合いの工場に1社ずつ交渉したりと色々あり、最終的に開催にこぎつけたとのこと。

酔った勢いからのスタート。しかし、色々凄い物が集まっていました。次のページでそれらを紹介していきます。

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