特集 2017年12月21日
 

ガチャを自作してイベントで設置してみた試行錯誤の記録

ガチャの中身を自作し、本物のマシンに入れて設置してみた結果、いろんな知見が得られた
ガチャの中身を自作し、本物のマシンに入れて設置してみた結果、いろんな知見が得られた
ガチャガチャ(カプセルトイ)が好きだ。街で見かけたら、新商品のチェックを怠らない。机の上には、ガチャで手に入れたちょっとしたフィギュアがたくさん飾られている。いつか自分のオリジナルガチャを作りたい……。

そんなガチャ愛をこじらせた結果、ついに自分でガチャを作って設置するところまで行き着いてしまった。
1983年徳島県生まれ。大阪在住。エアコン配管観察家、特殊コレクタ。日常的すぎて誰も気にしないようなコトについて考えたり、誰も目を向けないようなモノを集めたりします。

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自分好みの「ガチャ」を作りたい

ガチャ。一般名称は「カプセルトイ」であるが、ここではガチャという名称で呼ぶことにする。専用のマシンに硬貨を入れてレバーを回すと、カプセルに入ったおもちゃがポロっと出てくる、あの「ガチャ」である。
これの話。スマホゲーのガチャじゃなくて、物質を伴う方のガチャ
これの話。スマホゲーのガチャじゃなくて、物質を伴う方のガチャ
世はまさにガチャ戦国時代。新製品がどんどん登場し、「なぜ作ったし」というツッコミを入れたくなるようなものが最近は多くなっている。
私の机の上にもたくさんのガチャが。ここは一軍の置き場なので、日々新しいのに入れ替わっている。特に信号機と押しボタンはお気に入り
私の机の上にもたくさんのガチャが。ここは一軍の置き場なので、日々新しいのに入れ替わっている。特に信号機と押しボタンはお気に入り
そんな風にガチャを愛でていると、「アレが出たらな〜」という願望がわいてくる。例えば、以前つくった「室外機」とか。エアコンメーカー監修の室外機ガチャなんて出た日には、無限に回してしまう自信がある。

ただもちろん商売なので、ある程度売れる見込みがないと商品としては成立しないだろう。あれが欲しい、これも欲しい、という願望はあるものの、自分好みのガチャが発売される可能性なんて低いし、素人が意見しても通りにくい。じゃあどうするか――自分たちで作ってしまえばよいのである。
いろいろあった末、オリジナルのフィギュアが入った本物のガチャマシンを設置するところまで行ってしまった。リアルガチャである
いろいろあった末、オリジナルのフィギュアが入った本物のガチャマシンを設置するところまで行ってしまった。リアルガチャである
自分たちで作るといっても、言うは易く行うは難し。ガチャをやるぞ! って決めてから数ヶ月間、慣れない作業に四苦八苦しながらトライ&エラーを重ねた。そして12月9日〜10日に開催されたYahoo! JAPANのイベントにて、ついに本物のガチャマシン設置の夢が叶ったのである。

そこに至るまでに何があったのかを、この記事では紹介したい。次にガチャを自作される方の助けになればと思うけど、果たしてそんな人はいるのか。

びっくりガチャの誕生

自作ガチャはもともと、本サイト主催で11月18日に行われた「第二回 ウェブメディアびっくりセール」向けに制作を開始した。なので、名前を「びっくりガチャ」という。

まずは何を作ったのかを見て欲しい。
【その1】【その2】街でおなじみ、歩行者信号機の中の人、「青い人」と「赤い人」!
【その1】【その2】街でおなじみ、歩行者信号機の中の人、「青い人」と「赤い人」!
【その3】こちらも街でよく見かける赤いやつ、「消火栓看板」!
【その3】こちらも街でよく見かける赤いやつ、「消火栓看板」!
【その4】【その5】【その6】すっかり日常に溶け込んだアイコン、「バッテリ残量」全3種!
【その4】【その5】【その6】すっかり日常に溶け込んだアイコン、「バッテリ残量」全3種!
【その7】フィギュアならどんな値動きにも動じない、話題沸騰「ビットコイン」!
【その7】フィギュアならどんな値動きにも動じない、話題沸騰「ビットコイン」!
【その8】高柳健次郎氏リスペクト、テレビ受像実験をイメージした「イ」!
【その8】高柳健次郎氏リスペクト、テレビ受像実験をイメージした「イ」!
以上、計8種類のフィギュアをラインナップした
以上、計8種類のフィギュアをラインナップした
一緒に制作した「TOKYO FLIP-FLOP」のメンバとチャットしながら考えたラインナップなのだが、自分たちが欲しいものを挙げていったらこうなった。どれも「なんか知らんけど欲しい」という数値化できない感性に基づいた商品であり、これが売れる根拠なんて何もない。しかし、作りたいから作るのだ。
この勢いだけで突っ走れる感じが、インディーズメイカーの醍醐味である。

他にも「アンテナアイコンのフィギュア」や「SDカードのフィギュア」などのアイデアがあった。このラインナップを見てお気づきかと思うが、どれもアクリルから切り出して作れるフィギュアになっている。その理由は、また後ほど。

「ウェブメディアびっくりセール」での運用

ガチャの中身はひとまず完成した。次はそれを売るためのガチャマシンが必要だ。とはいえ、素人がガチャマシンを運用するには悩ましい課題がある。

一番は置き場所の問題であり、幅90cmでバックヤードも狭い即売会のスペースにて運用するのはほぼ不可能と言っていい(特にコミケみたいな人が殺到するイベントでは、周りにも迷惑がかかる可能性が高い)。
そこで苦肉の策として、おもちゃのガチャマシンを導入することに。街でよく見るマシンをそのまま1/2サイズにしたもので、これなら小さくてもちゃんとガチャだと分かる
そこで苦肉の策として、おもちゃのガチャマシンを導入することに。街でよく見るマシンをそのまま1/2サイズにしたもので、これなら小さくてもちゃんとガチャだと分かる
それを「ウェブメディアびっくりセール」で自ブースに設置してみた。サイズ的には馴染んでいる
それを「ウェブメディアびっくりセール」で自ブースに設置してみた。サイズ的には馴染んでいる
硬貨は1枚しか入らない(お金を認識しているわけではなく、何らかのコインが1枚突っ込まれるとレバーが回せる仕組み)ため、一回100円という値段設定にした。原価を考えると明らかに安すぎるのだが、とりあえず「マシンの購入費用がまかなえればいいや」くらいで考えていた。
で、蓋を開けてみると……売れまくりだった。忙しすぎて、売れまくっている様子を撮影できなかったのが悔やまれる
で、蓋を開けてみると……売れまくりだった。忙しすぎて、売れまくっている様子を撮影できなかったのが悔やまれる
どれくらい売れたかというと、なんとびっくり300個! さすがは「びっくりセール」である。イベントが5時間=300分だったため、ちょうど1分に1個売れた計算だ。なかには10連ガチャ(10回連続)を引いてくれた方もいて、ありがたくて頭が上がらない状態に。

ただ実際に運用してみた結果、課題もいくつか見つかった。
【課題1】どう見てもおもちゃなので、大多数の人が「まさか本物の硬貨が使えるとは……」という反応だった。マシンの見た目は、ユーザの行動に影響を与える。結局、毎回のように「マシンにそのまま100円を入れて下さい〜」と誘導する必要があって声が枯れた
【課題1】どう見てもおもちゃなので、大多数の人が「まさか本物の硬貨が使えるとは……」という反応だった。マシンの見た目は、ユーザの行動に影響を与える。結局、毎回のように「マシンにそのまま100円を入れて下さい〜」と誘導する必要があって声が枯れた
【課題2】これはしょうがないのだけど、カプセルが一度に20個程度しか入らないため、ひたすらカプセルを継ぎ足す作業に追われることに
【課題2】これはしょうがないのだけど、カプセルが一度に20個程度しか入らないため、ひたすらカプセルを継ぎ足す作業に追われることに
【課題3】使用するカプセルが小さいため、ほとんどの人が上手く開けられないという事態が発生。左が今回使ったカプセルで、右は街でよく見かけるカプセル。結局、カプセルを代理で開ける作業にも従事した
【課題3】使用するカプセルが小さいため、ほとんどの人が上手く開けられないという事態が発生。左が今回使ったカプセルで、右は街でよく見かけるカプセル。結局、カプセルを代理で開ける作業にも従事した
一言でいうと、「売り子が一人、ガチャ専任で面倒を見続けなければいけない」という運用面での課題が浮き彫りになった。実際に5時間、休む暇なくひたすらお客さん対応とカプセル詰めに追われる状況になってしまい、労働環境としてはあまりよろしくない。

こういった同人活動は「好きでやってるんだから……」というので片付けがちだけど、持続可能であることも重要なため、ストレス要員を排除しなければならないのは実社会での労働と同じである。

今回の課題は主に「おもちゃのマシン」を使ったことの弊害である。そもそも、5時間で300回も使われるのが想定外だったわけで。
でも逆に考えてみるのだ。これだけ売れるんだったら、本物のマシンを設置した日にはチャリンチャリン(放っておいてもお金が入ってくる状態)も夢ではないのでは?

そんな浅はかな妄想をもとに、本物のガチャへとステップアップするのである。いや、してしまったのである。

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