特集 2017年12月25日
 

弟のクリスマスデートについていって実況する

出会いから恥ずかしさが全力疾走する

少しすると弟が駅に到着した連絡がきた。「着いた。どこ?」という無愛想な文字列が僕に届き、そのあとに弟が階段からあがってくる姿が見えた。

LINEで送って来た文字は無機質であったが弟の足取りは明らかに軽やかだった。それを見て僕もニヤニも止まらなくなる。弟にバレないようにする緊張感と、弟がこれからデートするという見てはいけないものを見てしまっている背徳感とが交差する。
弟と面識がないから隠れる必要はないのに、なぜかバレないようにコソコソとする安藤さん。服装的にもロシアのスパイに見えてきた
弟と面識がないから隠れる必要はないのに、なぜかバレないようにコソコソとする安藤さん。服装的にもロシアのスパイに見えてきた
安藤さんが撮影した弟の写真
安藤さんが撮影した弟の写真
僕だと目が合ったら発見されてしまう可能性があるので、安藤さんにお願いして弟の様子を探ってもらった。隠密行動をしているような楽しさがある。ミッションインポッシブルだ!!

ただ冷静になって考えてみると、今のところはただおじさん二人がスパイごっこをして、弟の盗撮をしてはしゃいでいるだけである。文章にすると犯罪の匂いすら感じる。

そんなトム・クルーズにはなりきれない我々二人が弟をこそこそと見守っていると、いよいよデート相手の吉岡さんが到着した。
あああああああああああああ!!出会った!!!!!
あああああああああああああ!!出会った!!!!!
そして二人でこっちに向かってくるーーーーーー!!!!
そして二人でこっちに向かってくるーーーーーー!!!!
なんだこれ…!思っていた数倍恥ずかしい…!
なんだこれ…!思っていた数倍恥ずかしい…!
吉岡さんは僕の知り合いであり、弟の彼女ではない。だがなぜだろう。「弟が女の子と一緒に歩いてきた」というだけなのにこの破壊力。なぜか僕の耳が一番真っ赤になっていた。恥ずかしくて笑いが止まらない。

冒頭でも言ったが僕は弟と歳が9つ離れており、「弟」というよりも「甥っ子」のような感覚に近い。弟が中学生の体育祭でリレーのアンカーを走るのを見に行ったときは冗談でなく涙がでた。「あの小さかった弟が走っている…!ちゃんと走っている…!!」とクララが立った名シーン並の感動があった。

その弟が女性と一緒にいる。なぜだろう。むず痒さが止まらない。いつもは自信満々な弟も緊張しているのか、僕の目を見ても「お…おう」と言った感じで軽く会釈するだけだった。照れているのだ。かわいいな、こいつ!!
まだ二人の距離が遠い。照れが伺える。
まだ二人の距離が遠い。照れが伺える。
今さらですが弟です
今さらですが弟です
弟には1週間前からこの企画をやるということを伝えてあったので、2時間という短い時間をどう使うのか自由である。恥ずかしさもあるがどんなデートするのか少し楽しみな気持ちもある。とにもかくにも、弟のデートを見守る企画がいよいよスタートする。

出会いでこれだけ恥ずかし思いをするのか…と考えると不安になる。カツ丼を食べたあとに、これから寿司とチャーハンと焼肉を食べにいくような、胃にずっしりとくる重みがある。寒天みたいな味もカロリーもないものが食べたい。

駅を急遽変えた弊害がでる…!

ここからは弟と吉岡さんの後ろをひたすらついていく
ここからは弟と吉岡さんの後ろをひたすらついていく
ここからは完全に弟に2時間まかせてあるので、どこに行くのかまったくわからない。後ろからひたすらついていくだけである。余談だけど、僕も初デートの場所を決めるのであればみなとみらいを選んでいる。考えが同じになるのはやはり兄弟の血を感じる。
ここからはときどき実況形式でお送ります
ここからはときどき実況形式でお送ります
後ろからついて歩いているとたまに弟の声が聞こえてくるのだが、完全によそいきのワントーン高い声なのだ。さらに敬語をちゃんと使っている。なによりもいつもは「俺」と言っているのに一人称を「僕」に変えている。もうその声も喋り方もすべてが初めて聞くものだったので、背中がぞわぞわとして落ち着かない。どのホラー映画をみるよりもよっぽどぞくぞくする。
10分ほど歩いてもなかなか目的地に着かない。だんだんと暗がりの方へ向かっていく。大丈夫か…?
10分ほど歩いてもなかなか目的地に着かない。だんだんと暗がりの方へ向かっていく。大丈夫か…?
しばらく歩いていたのだが、一向に目的地に着かない。それどころか直前に変更した集合場所であるみなとみらい駅に近づいている気さえする。

出発して10分くらい経つと、恥ずかしさが少し消えてきて、デートに対する不安と指摘したいイライラが募ってきた。ちゃんとエスコートできているのか?会話は盛り上がっているのか?と心配になる。会話も吉岡さんにリードしてもらっているようであった。年齢的には弟が大学1年生で、吉岡さんが大学4年生なので、仕方がないと言えば仕方がないことなのだが、そこは男らしく会話をリードしないと!!

やはりこういうのって外から見ていると、自分は出来なくても言いたくなるもんだな…!
二人が急に立ち止まった
二人が急に立ち止まった
なぜかUターンしてこちらに向かってきた
なぜかUターンしてこちらに向かってきた
どうやら道を間違えたようだ。これは素直に爆笑した。
どうやら道を間違えたようだ。これは素直に爆笑した。
ここに来て直前に集合場所を変えた弊害がでた。馬車道という普段あまり使わない駅からスタートしたので、どうやら弟は次に行く目的地へのルートがわからないようであった。

道を間違えた瞬間は大爆笑したが、少し歩いていくと気持ちが落ち着いてきて「なんで事前にリサーチしないんだよ…!」「ちゃんと一週間デートプランを計画する時間があっただろう…」「それじゃ男としてダメだろう!!!」と、弟に対する叱責の気持ちが湧いて出てくるようになった。かわいさ余って憎さ百倍というやつだ。
その後なんとか弟は軌道修正を重ねて、20分くらいかけてようやく最初の目的地に到着した。リサーチ不足が目に見えていて今のところ不安しかない。大丈夫か、弟よ。ちゃんとこのあとエスコートできるのか…?
その後なんとか弟は軌道修正を重ねて、20分くらいかけてようやく最初の目的地に到着した。リサーチ不足が目に見えていて今のところ不安しかない。大丈夫か、弟よ。ちゃんとこのあとエスコートできるのか…?

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