特集 2017年12月29日

チャーハン、マンション、ガンダムカット 2017年記事集 宇宙編

宇宙。
宇宙。
2017年にデイリーポータルZで公開された記事の総集編。今回のテーマは「宇宙」です。

最新の宇宙ニュースと一緒におとどけします。どうぞ!
インターネットにラブとコメディを振りまく、たのしいよみものサイトです。

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編集部安藤です。宇宙、好きですか。

僕は好きです。子どもの頃は宇宙と恐竜の図鑑ばかり眺めていました。あと水木しげるの妖怪辞典。

2017年は宇宙好きのみなさんにとってセンセーショナルな話題の多かった一年だったのではないでしょうか。デイリーの宇宙関連の記事と並べて振り返ってみましょう。

まずはデイリーからこの記事。

人類はチャーハンに宇宙を見た

宇宙チャーハンの作り方(北向ハナウタ)

チャーハン、それは遥かなる宇宙。
チャーハン、それは遥かなる宇宙。
デイリーの宇宙関連の記事といってまず出てきたのがチャーハン。

しかしみなさん、これまで誰があの半球の下を考えたでしょうか。ガリレオだってびっくりです。記事を書いた北向ハナウタさんを問い詰めました。
中華料理屋で、半球のチャーハンを鏡に乗せたら完全な球になるんじゃ?と思って書いた記事です。 思い出深いデビュー作なのですが"デビュー作が宇宙チャーハン"ってなんだよ、というふわふわした感じが意外と気に入っています。

次作のディスペンパック工場に行く記事でもチャーハンの素をやたらプッシュすることになり、このままでは『チャーハンの人』になってしまう、と静かに危惧してました(北向)。
そういえばこの記事は北向ハナウタさんのデビュー作だったんですね。宇宙からやってきた男、北向ハナウタに来年も注目です。

次も宇宙を感じさせる記事。小堀くんがマンションの建設予定地をライトセイバーにしています。
なぜだ。
なぜだ。
工作記事の本当の戦いは、記事が公開されたあとにはじまります。そうですゴミ(できあがったもの)どうするか問題です。

最終的にいろんな感情と一緒にゴミ箱にぶちこむのですが、最近に普通にほしいものを材料として買うという邪法を覚えました。EP8を観に行ったところ、カイロ・レンの株があがりまくりだったので、彼のライトセイバーの値段を再度確認したら、少しだけ値段があがっていました。(80%OFFから70%OFFに)
(小堀)
普通に欲しいものを材料として買って使えば記事おわった後も捨てずにすむ、というのは僕もライター10年くらいやって気づいたことです。小堀くんも気づいてよかったね。

ここで宇宙ニュースを

とつぜんですがここでリアル宇宙の話題をひとつ。

今年は秋に太陽系の外からやってきた天体「オウムアムア」が地球の近くをかすめて帰って行きました。詳しくはこちらの記事を。

太陽系に飛来した天体オウムアムア、極端な楕円形(ナショナルジオグラフィック日本版)

太陽系の外からやってきた天体が観測されたのはこれが史上初めてなのだとか。

天体オウムアムアについては「知的生命体が乗っているんじゃないか」「近すぎて地球にぶつかるんじゃないか」など大きな話題になりました。結局なにも乗っていなかったみたいだし、地球にもぶつからずにスイングバイして帰って行ったわけですが、それはもう興奮しました。
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ガンダムカットはガンダム知らなくてもできる

宇宙というのは僕たちの時代にはもっぱらアニメの中の話で、中でもガンダムには本当に影響を受けまくりました。僕が理系に進んだのもガンダムが5割くらい影響しています。きっとこの記事に出てくる床屋のお父さんもガンダムが大好きなはず。
と思って「ガンダムカット」にしてもらったら、お父さん、特にガンダムが好きなわけではないことが判明。
と思って「ガンダムカット」にしてもらったら、お父さん、特にガンダムが好きなわけではないことが判明。
器用な人がその創作意欲を爆発させた結果、すごい(主にでかい)物を作っちゃった系の珍スポットは他にもありますが、ここまでクオリティが高いのも珍しいと思います。

ガンプラの各パーツの寸法を測って、それを数倍にすることでリアルに造型しているらしいですけど、それにしても普通こんなモン作れませんよ(しかも独学で)。

本当は絵の学校に行きたかったのに、親の跡を継がなくちゃならないのでイヤイヤ床屋になったというエピソードも最高です。ガンダム像のクオリティの高さに比べて、本業(のはず)のガンダムカットのテキトーっぷりといったら……(北村)。
床屋のお父さん、ガンダムをあまり知らずにガンダムカットをメニューにしていたわけですが、詳しすぎて本当にガンダムみたいな髪型にされるよりましなのでは、と思いました。

あの場所がいよいよデイリーの記事に!

宇宙といえばデイリーでもついに本場を取材しました。ロズウェル事件のロズウェルです。僕たちが子どもの頃から何度目にしたかわからない墜落したUFOの写真、回収された宇宙人、そう、あのロズウェル。本当にあったんだ、という気持ちです。

UFOの本場、ロズウェルへ(べつやくれい)

エイリアン、木彫り。
エイリアンの木彫り。
この記事は、ロズウェルに着いてからのほとんどの写真が見どころなんですが…しいて言うなら2ページ目中央付近の「印象派みたいなエイリアン画」と3ページ目の終盤に出てくる「コーヒーを入れてくれてるけどこぼしているUFO」が描かれたコーヒーショップの写真でしょうか。

とくにコーヒーショップの絵は見れば見るほど状況のわからなさが魅力的で、入らなかったのをちょっと後悔しています。 あと、ひとつお詫びを。2ページ目(2、3コマ目)で「60年前にUFOが落ちた」と書いてしまったのですが、今年は落ちてから70年でした(たぶん写真のエイリアンは10年前に作られたもの)。
(べつやく)
印象派みたいな油絵エイリアン。
印象派みたいな油絵エイリアン。
こんなに有名なんだから、もう少しハイテクなお土産が並んでいるかと思ったロズウェルですが、宇宙人は主に木彫りでした。せめて三土さんが考えた浮かぶハンドスピナーくらいのレベル感がほしかった!
う、浮いてる…。
う、浮いてる…。
磁石を浮かせる、というだけの記事ですが、やってみると磁石どうしの距離や磁力など微妙なバランスがむずかしく、なかなか安定しませんでした。今までデイリーでやってきた中ではもっとも夏休みに工作みたいになったなと思います。

浮いて回っている、という感覚が気持ちよくて、しばらくのあいだ棚に飾って思いついたときに回してました。そういう意味ではハンドスピナーと同じだと思います(三土)。

AIは急激に進歩する

NASAが太陽系に似た惑星系を見つけたと発表したのも今年です。同じような発表は以前もあったんですが、今回は発見に至ったプロセスが話題になりました。なんと既存の膨大なデータをAI(人工知能)が解析して発見したのだとか。

惑星8個もつ恒星、AIが発見、太陽以外で初(ナショナルジオグラフィック日本版)

いままで日進月歩で進歩発展してきたAIですが、ある時点で急激に進歩が加速する、と予想されています。それがシンギュラリティ。
シンギュラリティ後の世界について、たれを手に思いをめぐらすライター江ノ島。
シンギュラリティ後の世界について、たれを手に思いをめぐらすライター江ノ島。
シンギュラリティに詳しい武さんに聞いたお話はいちいち面白くて、お店を出ると僕も江ノ島くんも周りの景色がまったく違ったものに見えました。未来っていうのはまだ来ていないって思っていたけれど、つい10年くらい前から考えると今なんて超未来ですよね。この話を聞いてから次の10年が楽しみになりました。
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いまがまさに未来

シンギュラリティも宇宙旅行もターミネーターも、どうせずっと先の話だろうなんて思っていませんか。僕は最近までそう思っていました。

だけどトランプ大統領は有人月面探査を40年ぶりに再開するって言ってるし、イーロンマスクのスペースXは2018年に月を周回するロケットの有人飛行を計画しています。さらにそのあと2023年には火星に向けての有人飛行まで計画中。

ほら、今はもう「未来」が現実のものになってきているんですよ!デイリーでは伊藤さんが未来を今の世の中に引っ張り出して形にしてくれました。
未来きたね。
未来きたね。
今から35年前に2020年東京オリンピックの開催を予言していた傑作「AKIRA」。

リアルにオリンピックを迎えるにあたってまた注目されるべき作品であることは間違いないが、それはそうとあのバイク四国に似てませんかという評論空間とは異なる水辺でクラムボンのようにかぷかぷ浮いている記事です。読んでも何も得られません。逆に何が得たいんですか、いいじゃないですか(伊藤)。
伊藤さんにコメントを求めたら最後かるくキレられました。

スペースワールドとつくば万博

スペースXの開発している新しいロケットは垂直に飛んで行ってまた垂直に帰ってきて着陸します。今まで使い捨てだったロケットを再利用できるため、安く宇宙へ物資を輸送できるのだとか。動画を見たとき「その発想はなかった!」と思いました。かつてのスペースシャトルとはまったく別物です。いわばスペースシャトルは過去のものとなったわけです。
さようなら、北九州のディズニーランド。
さようなら、北九州のディズニーランド。
北九州のディズニーランドのような存在で、これがなくなるというのは、北九州の酸素が薄くなる、のようなことです。スペースワールドに行く、となると思う一週間前から眠れないような存在でしたので、なくなると聞いて驚きました。またいつか別の星で会いたいです!(地主)
スペースワールドは2017年12月31日にグランドフィナーレを迎えます。しかしそれは単に閉園するのではなく、地球から417光年離れた星のネーミングライツを購入しスペースワールドと命名、そこに「移転」する、ということで話題になっています。かっこいい。
きっとスペースワールドはつくば万博のようにこれからも語り継がれることでしょう。
倉庫から出てきた!
倉庫から出てきた!
この記事は5年ほど温めながら写真を撮ってきたネタだったので、大好評で嬉しいです! 星丸の大看板は、カバーを開いた瞬間、とんでもないものに出会ってしまったという興奮で心臓が爆発しそうでした。さらに公開後は、つくば付近にとどまらず全国各地から「星丸痕跡」の写真をツイッターで続々と送ってもらえるという幸せ。実はこの取材の翌日に緊急手術になり半月入院してたんですが、この幸せで乗り切れたと言っても過言ではないです(加藤)。
コスモ星丸くんは30年経ってもかわいいっていうのもまたすごいと思いますね。
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宇宙ステーションが落ちてくる

2018年、年明け早々に注目しておきたい宇宙ニュースはなんといって「天宮1号」だと思います。
この数か月の間に、中国の宇宙ステーション「天宮1号」が地球のどこかに落ちてくる、という予測が出ています。

天宮1号はすでに宇宙で制御不能になっていて、今も徐々に高度を落としています。このままいくと今月か来月あたりに地球のどこかに落ちてくるとのこと。落ちてくる場所はまだ特定できていなくて、北緯43度から南緯43度までの間ならば可能性があるのだとか。

この話を聞いて家で地球儀を眺めましたよね。北緯43度だと日本列島ほとんど範囲内じゃん!と。
一家に一地球、ぜひ。
一家に一地球、ぜひ。
単純に「地球儀のトップメーカー」という言葉のニッチさに惹かれただけで取材に伺ったんですが、まぁ、知らない話ばかりで超面白い。「地球儀を作るとき、北半球と南半球はインドネシアを基準にしてくっつける」というトリビアを聞いたときは「なるほど!」と興奮しました(きだて)。

なるほど!こういう業界ならではのノウハウを聞いて回りたいですね。

なるほど!といえば長野のヘボコンもなるほど!的工夫の連続でした。なんと宇宙空間(の映像)をバックにへぼいロボたちが戦っています。なんだこれは。

ヘボいのに、ヘボくない!
ヘボいのに、ヘボくない!

ブラックホールに新展開

ブラックホールについての研究も近年かなり進んでいます。今年の初めには30億年前に起きたブラックホールどうしの衝突で、発生した重力派が観測されたりもしました。30億年前っていうと先カンブリア時代ですよ。そんな頃に生まれた波がいまになって観測されたのすごい。

重力波検出に成功、30億年前のブラックホール衝突(ナショナルジオグラフィック日本版)

高エネルギー加速器研究機構(KEK)では本気の加速器を見学させてもらいました。この加速器を使って宇宙の始まりの瞬間を観測する実験をやっていたりします。
加速器は一周3キロメートル、測定器も縦横高さ8メートル。すべてがでかい!
加速器は一周3キロメートル、測定器も縦横高さ8メートル。すべてがでかい!
ライターのとんちで難しい話をたとえるという企画でしたが、KEKの研究者が施設を案内しながらひたすらたとえ話で分かりやすく説明してくれました。聞きながら困ったことになったぞと焦りました。原稿に書き忘れたのですが、庵野秀明も見学に来たそうです。言われてみればエヴァンゲリオンにこんな感じの施設が出てきます。(林)。
デイリーで紹介したもう一つのブラックホールといえば沖縄のイカスミ汁。この黒さはすべての光を飲み込みます。
ひたすらに黒い。
ひたすらに黒い。

沖縄の郷土料理「イカスミ汁」はイカの身や豚肉、大根などが入っている汁物なのだが、いかんせん汁が漆黒のため何が入っているかわからない。

この特性を応用することで、明るい場所でもワクワクドキドキの「闇鍋」ができるのではないかと実験した。漆黒のイカスミ汁に具材が次々と呑み込まれていく様はまるでブラックホール。味はともかくとして、視覚によって脳が混乱するといはこういうことなのかもしれない(DEEokinawa
)。

地球上にブラックホールを作り出そうという研究は以前からなされているんですが、本当にできちゃったら何が起きるかわからないらしいです。それ、作らないで、って思いますよね。いや、見たい、やっぱり怖い。

われわれは宇宙に生きているのだ

今回まとめてみてわかったんですが、僕たちはかなり宇宙とシンクロした記事を書いていますね。これは宇宙人がライターの中にまざって人類を支配しようとしている証拠なのかもしれません。

これからもデイリーポータルZを読んで、宇宙に詳しくなろう!ラ・イ・ネ・ン・モ、ヨ・ロ・シ・ク・ナ~(のどをチョップしながら)

明日の総集編は「乱世編」をお送りします!おたのしみに!
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