特集 2018年1月10日
 

路線図の聖地ロンドンで、路線図マニアと路線図について語る

ただのファンとしてサインをもらう

ロンドン交通博物館のミュージアムショップでワオワオやっていると、英国人のナイスガイに声をかけられた。マーク・オーブンデンさんだ。
いぇーい
いぇーい
ショップでウロウロしている日本人はぼくたちだけだったのですぐにわかったらしい。
左から西村、オーブンデンさん、いちばん右の女性は、通訳をお願いしたロンドン在住のかおるさん
左から西村、オーブンデンさん、いちばん右の女性は、通訳をお願いしたロンドン在住のかおるさん
さっそくだが、オーブンデンさんに色々と聞く前に、サインをお願いしてしまった。
わーい
わーい
完全にただのファンだ。
やったー、サイン本になったぞ!
やったー、サイン本になったぞ!

もともと地図が好きだった

さて、長い前フリはここまでにして、路線図についていろいろ話を聞いてみたい。

そもそも、オーブンデンさんはなぜ路線図に興味を持ったのか? そのきっかけを知りたい。

オーブンデンさん「私は小さい時にやんちゃだったんですよ、電車に乗っている時に落ち着かなかったので、そんなとき、親に『ほら、この地図をみてごごらん』と路線図を手渡されたときから、興味があったんでしょうね」

――子供時代の原体験ですね。

オーブンデンさん「はい、妹や弟と一緒に、電車に乗って移動するときに、親が路線図を差しながら『次はどこかなー』と聞くんです」

――クイズだ。ご両親は子供をあやすための方便のつもりだったでしょうけど、後の人生を左右したんだ。

オーブンデンさん「車で移動するときなんかも、道路マップ……古いやつですが、渡されて今はどこかなーと、聞かれること多かったですね。それでだんだん地図や路線図が好きになっていったんでしょうね。マサはどうですか?」

――ぼくも、路線図というか、そもそも地図自体が好きで……今考えると、家にあった親のお古の地図帳を見ながら、日本列島をチラシの裏に模写するのが大好きだったんです、で、地名から漢字を覚えたりして、それが原体験……なのかな。

オーブンデンさん「私もです、まったく同じですね!」
もともと地図が好きなんですね
もともと地図が好きなんですね
路線図というものは、大きなカテゴリでいえば地図の仲間である。その地図に対する興味からどんどん広がって路線図にたどり着いた。そのプロセスはオーブンデンさんもぼくも同じであった。

こういう時に「シンパシーを感じる」という言葉を使うんだよな。まさに。

いちばん好きなのはキムさんの路線図

さて、オーブンデンさんの本には、世界各地の路線図が収録されているが、個人的にいちばん気に入っている路線図はあるだろうか?

オーブンデンさん「イエス、イエス、いろんな意味で好きなものはあるんですが……例えば、キム・ジハンさんの路線図がいちばんお気に入りですね」

――韓国のキム・ジハンさんの路線図、あの路線図はいいですよね。
これ、この路線図
これ、この路線図
オーブンデンさん「やはりバランスが美しいです、東京のあの複雑な路線図を、このような形に収めるというところが素晴らしいですね」

――キムさんは、少し前に会いに行って話を聞いたんです。その時におっしゃってましたが、東京の路線図は日の丸をイメージしてデザインしたそうです。

オーブンデンさん「あぁー、なるほど……たしかキムさんがデザインしたニューヨークの地下鉄路線図はハートマークでしたね」
ニューヨークはハート型
ニューヨークはハート型
――そうですね、キムさんは一年に一都市ずつ、テーマを決めて路線図を制作しているとおっしゃってました。

オーブンデンさん「たしか、雪の結晶のような路線図もありましたね。それはどこだかわかりますか?」

――あ、それは北海道ですね。あれも素晴らしい作品ですね。雪がたくさん降る北海道の島の形と、雪の結晶が似てたんです、偶然。
よくこんなの思いついたなーと、感心しかしない
よくこんなの思いついたなーと、感心しかしない
オーブンデンさん「あー、なるほど、北海道はひし形をしてますね」

完全に路線図マニア同士の情報交換会になっている。ロンドンまできてすることかこれ、という気もするが、今しばらくお許しいただきたい。

地下鉄路線図界の問題児・ニューヨークはどうか?

どんどん質問していきたい。地下鉄路線図好きの間でも、わかりづらい路線図として、しばしば話題になる「ニューヨークの地下鉄路線図」はどうなのか。

オーブンデンさん「オフィシャルで今使われているものは、あまりできが良くないですね。アンオフィシャルの路線図で運行列車ごとに色分けしたものがありますが、それが分かりやすい。マサはニューヨークに行ったことありますか」

――いや、無いです。

オーブンデンさん「OK、ニューヨークに行くと、まず紙の路線図を貰えます、しかし、それを見るため広げるととても大きくなる。それを見ていると、観光客丸出しになってしまう、ニューヨークの観光地はかなり限定されていて狭い範囲(マンハッタン島の一部)だけで十分なのに紙はやたらデカイんです」

――なるほど、路線図だけではなく、紙のデザインも大雑把な感じなんですね。
列車の行き先ごとに停まる駅も違うので書き表すのがたいへん
列車の行き先ごとに停まる駅も違うので書き表すのがたいへん

メキシコシティもあまり良くない

オーブンデンさん「メキシコシティもあまり良くないですね、優秀な路線図は、中心部が拡大されて見やすくなっているんですが、メキシコシティは、線も歪んでいて整理されてません」
歪んでるメキシコシティ
歪んでるメキシコシティ
――もう1つの方は路線が整理されてますね。駅ごとにシンボルマークも入ってますし。
!
オーブンデンさん「これはメキシコのマニアがデザインしたアンオフィシャルの路線図なんですよ」

――なるほど、非公式のものなんですね。日本にも勝手に路線図を作るのが趣味のひと、いっぱいいます。

路線図が好きな人たちは、日本だけでなく、世界中に居るらしいということがおぼろげながら見えてきた。なんだかたのもしくなってきたぞ。孤独じゃなかったのだ、路線図マニアは。

福岡のシンボルマークはよい

オーブンデンさん「シンボルマークといえば、福岡の路線図も良いですね」
シンボルマークがいちいちかわいいのだ
シンボルマークがいちいちかわいいのだ
――たしかに、福岡の路線図もひと駅ごとにシンボルマークがついていますね。祇園駅のシンボルマークはかわいくて好きなんです。
祇園山笠のやつ
祇園山笠のやつ
オーブンデンさん「シンボルマークのある路線図はとても珍しいです、メキシコシティと福岡の他には、ゴールドコーストの路線図がシンボルマークに近いものがあります」
イラストの路線図だ
イラストの路線図だ
オーブンデンさん「実際は、波のあるところを走るわけじゃないんですが、どこの駅になにがあるかをイラストで示したものですね」

地図から、少しずつ余計な情報を省いていき、内容を整理してデザインしたものが路線図であるけれど、このゴールドコーストの路線図は、形はもちろん、位置関係なども大胆に変わっている。しかし、路線図としての用は足りている。根本的な「路線図とはなんなのか?」ということを考えざるをえない。

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