特集 2018年1月11日
 

琵琶湖疏水の船下り試乗会に参加した

琵琶湖疏水第一トンネルクルーズ

さてはて、いよいよ始まった琵琶湖疏水の船下り。まず最初に待ち構えているのは、当然ながら先ほど見た洞門より始まる第一トンネルである。

未知の領域に少しだけ緊張しつつ、ボートは100年以上前に掘られたトンネルの内部へと進んでいく。
第一トンネル突入! テンションが最高潮に達した瞬間である
第一トンネル突入! テンションが最高潮に達した瞬間である
まず最初に驚いたのは、出口の光が見えるということだ
まず最初に驚いたのは、出口の光が見えるということだ
この第一トンネルは大津と山科を隔てる長等山を貫いている。全長2436mとかなりの距離があるのだが、入口から出口の光が見えることにビックリした。このトンネルが山を一直線に掘り抜いていること、および暗闇における光の強さを実感した次第である。

またトンネルの内部が意外と汚れていないことにも驚かされた。水路ならではの少し独特な匂いはするものの、トンネルの壁は総じてキレイである。もっとも、これは船下り事業を興すにあたり、高圧洗浄で清掃したからのようであるが。
トンネル内部の右側にはロープのような線が二本続いている
トンネル内部の右側にはロープのような線が二本続いている
ガイドさんによると、この二本の線のうち上のものは電気を通していたケーブルで、下のものは京都から大津へと流れに遡って行く際に船を曳く為のロープとのことである。船運が途絶えて久しいながらも、船運の為の設備が残っていることに感動だ。

さてはて、ボートは出口の光に向かって進んでいくものの、見える景色は先ほどからまったく変わらない。まぁ、2km以上あるのだから、当然と言えば当然であるが。……そんなことを考えていたところ、ふと前方からチョロチョロと水が落ちるような音が聞こえてきた。
トンネル内に湧き水が噴出しているのである
トンネル内に湧き水が噴出しているのである
山を貫くトンネルとなると、途中で水脈の一つや二つにぶち当たることとなるのだろう。トンネルの壁には排水の為の穴が穿たれているようで、あちらこちらからからこのように水が噴き出していた。現在のような重機などない明治時代前期、湧き水の出るトンネル工事は想像を絶する過酷さだったに違いない。

やがてボートは「中央」と記されたタグのある地点に差し掛かった。どうやらトンネルの半分を通り過ぎたようである。と、その少し先で、ガイドさんに右側の壁に注目するよう促された。
すると、何やら窪みのようなものが現れた
すると、何やら窪みのようなものが現れた
そこには……文字が刻まれた扁額が!
そこには……文字が刻まれた扁額が!
少々ブレてしまったが、なんとか四文字見ることができた
少々ブレてしまったが、なんとか四文字見ることができた
これは琵琶湖疏水を発案した当時の京都府知事、北垣国道による揮毫だそうで「寶祚無窮(ほうそむきゅう)」と刻まれている。「皇位は永遠である」という意味らしい。

それにしても、こんなトンネルの真ん中に扁額が掲げられているとは驚きだ。かつて船が行き来していた頃は、船員がかがり火の中で眺めていたのだろうか。船運が途絶えてからは、誰にも見られることなく暗闇の中にひっそり存在し続けていたことを考えるとなんだか泣けてくる。船運の復活により、この扁額が再び日の目を見ることになるのは実に喜ばしいことだ。
しばらく進んでいくと、前方に壁が黒い帯のようになっている部分が見えた
しばらく進んでいくと、前方に壁が黒い帯のようになっている部分が見えた
天井に穴が開いており、水が滝のように落ちているのだ
天井に穴が開いており、水が滝のように落ちているのだ
地上に繋がっている、第一竪坑である
地上に繋がっている、第一竪坑である
ちなみに地上から見る第一竪坑はこんな感じ
ちなみに地上から見る第一竪坑はこんな感じ
この琵琶湖疏水第一トンネルはトンネルの両端からのみ掘り進めるだけでなく、深さ47mの竪坑を掘って内側からも掘り進めるという「竪坑方式」が採用された。この工法によるトンネルは、鉱山の坑道以外では日本初だという。

雨でもないのに流れ落ちている水は湧き水で、その量はシーズンによって変動するそうだ。まるで滝のような湧き水が噴き出す中、手掘りで掘削していたというのだから凄まじいものである。実際、殉職者も多かったようだ。
さらに進むと、再び天井に穴が
さらに進むと、再び天井に穴が
深さ20mの第二竪坑、現在は民家の敷地内にある
深さ20mの第二竪坑、現在は民家の敷地内にある
第一トンネルの西口近くにある第二竪坑は、トンネルを掘り進める為の第一竪坑とは違い、採光と換気の為に掘削されたという。第一竪坑よりも規模が小さく、湧き水もないのでかなり地味な印象だ。いちおう上を向いて竪坑の写真を撮ろうと試みたものの、一瞬で通り過ぎてしまい失敗してしまった。
第二竪坑を通過すると、程なくして出口だ
第二竪坑を通過すると、程なくして出口だ
何だか随分と久しぶりにシャバに出たような感じである
何だか随分と久しぶりにシャバに出たような感じである
出発から約20分で第一トンネルを抜けた。北垣国道の扁額に水が落ちる竪坑など、トンネル内に入らなければできない体験を満喫でき、既に物凄い満足感である。しかし琵琶湖疏水は始まったばかり、琵琶湖疏水の船下りはまだまだ続くのだ。

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