特集 2018年1月12日
 

でかいゼムクリップを作って挟まれたい

最終的にはゼムクリップとデートします
最終的にはゼムクリップとデートします
ゼムクリップが好きだ。画期的で便利なアイテムが次々と出てくる文房具業界で、「挟む」という機能だけを長年に渡り提供し続けるゼムクリップはどこか孤高の存在に思える。また針金を折り曲げただけというシンプルな構造にも余分のない美しさを感じる。

そんなゼムクリップの素晴らしさをもっと堪能したい。身体中でゼムクリップを感じたい。挟まれたい。そんな一心で巨大なゼムクリップを作った。
1992年東京生まれ。普段は商品についてくるオマケとかを考えている会社員。好きな食べ物はちくわです。最近子どもが生まれたので「人間ってすごい」と本気で感じています。

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身の回りのものが丁度良いサイズであることに気がつく

早速、作ったゼムクリップをご覧いただこう。
全長145cmの巨大さ!高学年の小学生くらいある
全長145cmの巨大さ!高学年の小学生くらいある
大きすぎて脳がこれをゼムクリップだと理解するのに時間がかかるが、忠実にゼムクリップの機能を再現した。普通のゼムクリップが3cm程度なので約50倍のサイズだ。実は写真では横に普通のゼムクリップも置いているのだが、小さすぎて全く見えない。
ハリウッド映画で言えば巨大すぎて人類が力を合わせても勝てないタイプの敵
ハリウッド映画で言えば巨大すぎて人類が力を合わせても勝てないタイプの敵
通常、ゼムクリップといえば複数の紙をまとめて挟む時に使われる。
ゼムクリップ自体が小さいため邪魔にならないのが利点
ゼムクリップ自体が小さいため邪魔にならないのが利点
これを巨大ゼムクリップでやるとこうなる。
本来の機能を全く果たしていない
本来の機能を全く果たしていない
残念ながらA4サイズの紙では挟むことすら出来ない。「大は小を兼ねる」ということわざがあるが、今回に限ってはため息が出るほどの大の兼ねなさだ。おとなしく別なものを挟もう。

しかし探してみると家の中には巨大ゼムクリップで挟める大きなものがあまりない。
カーテンは挟むことでカーテンの良さが失われた
カーテンは挟むことでカーテンの良さが失われた
お風呂のフタは挟まれるとミニチュアっぽくなる
お風呂のフタは挟まれるとミニチュアっぽくなる
一番しっくりきたのが段ボール。挟むというゼムクリップ本来の機能が活かされている
一番しっくりきたのが段ボール。挟むというゼムクリップ本来の機能が活かされている
挟んでしっくりくるものがないということは、家の中が使い勝手の良いサイズの道具ばかりということである。普段は意識しないが、身の回りは使いやすい道具に溢れているのだ。でかいものを作るとそんな当たり前すぎて意識していなかったことに気がつくことができる。

もちろん、使いやすいサイズ感を度外視した巨大ゼムクリップは使い勝手がすこぶる悪い。何かひとつ挟むのにも一苦労である。ただ大きすぎてその違和感にニヤニヤしてしまう。巨大ゼムクリップは便利さと引き換えに面白さを手に入れたのだ。人類もそろそろその境地に至るべきだろう。

屋外では現代アートになる

巨大ゼムクリップはでかすぎて家の中ではパフォーマンスを発揮しきれなかったので公園にやってきた。
こうやって持つためにゼムクリップはこの形になったと言われても疑わないくらいのフィット感
こうやって持つためにゼムクリップはこの形になったと言われても疑わないくらいのフィット感
公園まで巨大ゼムクリップを運ぶ際、すれ違ったカップルが「これ楽器かな?」と話していた。持っている写真を見返すと確かにトロンボーンあたりの楽器っぽい。めちゃくちゃ低い音が出そうだ。

とりあえず目の前にあった車止めを挟んでみた。
いきなりアーティスティックな佇まい
いきなりアーティスティックな佇まい
外で使うと一気に現代アートっぽさが出てくる。ゲリラ的に街中に出現してSNSで拡散されるタイプの作品だ。
一緒に映ると完全に作品と作者だ
一緒に映ると完全に作品と作者だ
もはや複数のものをまとめるというゼムクリップの機能は果たされていないが、ただ何かを挟んでいるだけでちょっとおしゃれな雰囲気が漂う。いいぞ、巨大ゼムクリップ。

勝手に愛着が湧いてきたところでいよいよゼムクリップに挟まれよう。
これまでで一番良い挟まれっぷりが出た!
これまでで一番良い挟まれっぷりが出た!
ついにゼムクリップに挟まれることが出来た。ものを挟んだ時に比べて、人はリアクションが出来る分、挟まっている感がちゃんと出ている。より挟まっている感を出すには出来るだけ真上から撮影するのがコツだ。明日やってくるかもしれないゼムクリップに挟まれる瞬間のために覚えておいてほしい。

巨大ゼムクリップの作り方

読者の皆さんのゼムクリップへの挟まれたさも絶頂に達しているはずなので、作り方を紹介しておこう。
材料は全て近所のホームセンターで調達した
材料は全て近所のホームセンターで調達した
使用するのは水道管などに利用される塩ビパイプだ。これをつなぎ合わせるだけのお手軽設計である。
色々な太さが売られているので違う太さを買わないように注意したい
色々な太さが売られているので違う太さを買わないように注意したい
並べるだけでほぼゼムクリップだ
並べるだけでほぼゼムクリップだ
あとはテープで固定していくだけだが、塩ビパイプは硬い素材なので全てのつなぎ目をガチガチに固定してしまうと何も挟めなくなってしまう。
テープの色が違うのは途中で白いテープがなくなっただけです
テープの色が違うのは途中で白いテープがなくなっただけです
そこで真ん中の曲がり部分は少し隙間がある状態でテープ止めをした。そうすることでこの部分に可動性が生まれ、ゼムクリップの要である「挟む」という行為が可能になる。
あっという間に形状が完成した
あっという間に形状が完成した
さすがにこれではパイプ感が強すぎるため、全体をゼムクリップ特有のメタル調に仕上げる必要がある。どうやって加工しようか悩んでいたが、ホームセンターにうってつけのアイテムが売っていた。
その名もメタルテープ。ゼムクリップを作るために生まれてきたような アイテム
その名もメタルテープ。ゼムクリップを作るために生まれてきたような アイテム
シールになっているため、直接貼り付けるだけの親切設計だ。ゼムクリップが大きすぎて途中でもうひとまき追加で買いにいった。こういうのはだいたい足りなくなるので最初からふたつ買っておこう。これを全体に貼り付ければ完成である。
あとは好きなものを挟むだけ!
あとは好きなものを挟むだけ!

ゼムクリップ劇場「デート」

挟まれたことで一気に親近感が湧いたため、最後にゼムクリップとのデートをどうぞ。
やってきたのはゼムクリップのスマートなフォルムに似合う街、自由が丘
やってきたのはゼムクリップのスマートなフォルムに似合う街、自由が丘
デートで文房具屋は外せない
デートで文房具屋は外せない
「私のほうが上手に挟めるよ〜」
「私のほうが上手に挟めるよ〜」
ちょっと疲れたからベンチで休憩
ちょっと疲れたからベンチで休憩
その後二人は公園へ。
童心に帰って楽しむ二人
童心に帰って楽しむ二人
「初めてのブランコ楽しい!」
「初めてのブランコ楽しい!」
しかし、楽しい時間はあっという間に過ぎていく。

「はぁ…」
「はぁ…」
「ゼムクリップ、どうしたの?」
「ゼムクリップ、どうしたの?」
「私、今日は帰りたくない…」
「私、今日は帰りたくない…」
このあと二人は仲良く暮らしました。
このあと二人は仲良く暮らしました。
めでたしめでたし。現場からは以上です。


でかいものはそれが「ある」ということが嬉しいので、「どう使うか」にはあまり興味がなかったりする。例に漏れず今回のゼムクリップもそうだ。だから作り上げた段階で既に目的が達成されている。つまり使いみちがない。分かりやすくいうと、ゴミと化している。

新しく文房具屋を始めて店舗のモニュメントを探しているそこのあなた、差し上げますのでご連絡お待ちしています。
「自らゼムクリップに挟まれにいく」というおそらく人生で最初で最後の動きも残しておきたい。
「自らゼムクリップに挟まれにいく」というおそらく人生で最初で最後の動きも残しておきたい。
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