特集 2018年1月26日

角の洋品店のウインドウサインが素敵だった

こういうウインドウサインをみまもりつづけました
こういうウインドウサインをみまもりつづけました
最寄り駅近くの交差点角に洋品店がある。

ビルの1階で、婦人服やカバンなどが並び、やや高めの年齢層が対象のような、私鉄の駅前に1軒くらいはある感じの店で、最初はあまり気にしていなかったのだけど、ショーウインドウに貼られた手作りのウインドウサインが季節ごとにこまめに貼り替えられているのに気づいて、なんか素敵だなと思い、なんとなく定点観測的に写真を撮りはじめた。

それが6年前。気づいたら写真がかなりたまったので、ちょっと見てください。
1974年東京生まれ。最近、史上初と思う「ダムライター」を名乗りはじめましたが特になにも変化はありません。著書に写真集「ダム」「車両基地」など。
(動画インタビュー)

前の記事:どっちがルミネでどっちがミロード?(デジタルリマスター版)

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値下げでセール

手元に残る写真の中でいちばん古いのはこれ。日付を見ると2012年1月16日だそうだ。
この寒さに ほしい品々 値下げで セール
この寒さに ほしい品々 値下げで セール
お店は交差点の角にあって、この大きなショーウインドウは車通りの多い道に面している。写真左に見える道を右の方に行くと駅で、お店の入口もそちらに面している。

斜めから撮っているのは、正面からだと自分の姿が写り込んでしまうのと、反射でウインドウサインがよく見えなかったからである。あとこの写真を撮った位置の真横に電柱があるので、定点観測の目印に良いかなと思った、ような気がする。
サインの部分を少し拡大してみた
サインの部分を少し拡大してみた
何で撮りはじめようと思ったか、もう正確には覚えていないけれど、この「値下げでセール」というフレーズが独特で妙に気になった気がする。あとワープロかパソコンで出力した文字を切り抜いた、ように見えて、大きさとか形とか微妙にバランスが気になる部分があって(「値下げ」とそのあとの「で」とか)、そのあたりも引っかかったのだと思う。

しかしとにかく手作りな感じがいい。そしてこれが、およそ10日後にこう変わった。
2012年1月27日撮影
2012年1月27日撮影
値下げでセールはそのままに、裏に紫色の幕が張られ、「冬物用品 当店価格より さらに 50~30%OFF」が追加された。冬物商品一掃の決意が感じられる変化である。

と思ったのだが、それはまだ甘かった。
2012年2月9日撮影
2012年2月9日撮影
本当の冬物一掃は2月に入ってからだった。ポップな書体で斜めに表された「最終処分セール」、そしてセールが重複しているゆるさがいい。

しかし右側のドアをよく見ると「この寒さ続きそう」と煽っていて、長年お店をやっている店主の商魂逞しい部分を感じることもできる。

あと見守っている者からすると「この寒さに ほしい品々」は生かしつつ、「値下げで」を「最終処分」に置き換えているのが「本当に最終なんだな」と思わせてくれる。

季節が変わる

その後、吹く風の冷たさが緩んできた頃、ウインドウサインは劇的に変化した。
2012年3月1日撮影
2012年3月1日撮影
いよいよ春スタートである。ショーウインドウの下には花も飾られて、見た目にも冬物が一掃された華やかさがある。後に、僕はいつの間にかこのお店のウインドウサインで季節の移ろいを感じるようになったことに気づくのだ。

ただしよく見ると、この時点ではまだ冬物最終処分セールは続いているらしい。
2012年4月7日撮影
2012年4月7日撮影
しかし4月に入ると寒い日もほとんどなくなり、ようやく春が来た、という思いを実感するだろう。そんな心を見透かすように「やっと春本番セール」がスタートだ。

ちなみに、写真を撮るのは通勤途中で余裕のあるときなので、遅刻しそうで駅まで走っている日とか、雨で傘をさしている日とか、休みの日は撮っていないので、日付は必ずしもウインドウサインが変わった日ではないことをご了承ください。

ところで右側の貼り紙を見ると「当地でお世話になって39年」とあるので、このお店が開店したのは1973(昭和48)年だということが分かった。僕より1歳上である。
2012年4月30日撮影
2012年4月30日撮影
やっと春本番、かと思ったらファッションの世界の移ろいは早い。5月でもう「初夏」である。
そして皆さんそろそろお気づきだと思うけれど、このお店は何かにつけてほとんど常にセールを催している。セールの概念を見失いそうになる。

と思ったらまたそれが裏切られるのだ。
2012年7月4日撮影
2012年7月4日撮影
前の写真から2ヶ月ほど空いているけれど、その間にほかのウインドウサインに変わったかどうか分からない。もしかしたら取り損なったのがあるかも知れない。けれど、とにかく7月頭にはこんなウインドウサインになっていた。

「夏涼しくすごす品 お買得取揃え」

初めてセールではない期間を目撃した。このお店のポリシーは「常にセール」だと思っていたけれど「お買得」かも知れないと思った。
2012年8月31日撮影
2012年8月31日撮影
たぶん7月、8月中は大きな変化がなかったと思うけれど、8月の終わりになって「夏物全品値下げ クリアランスセール」がはじまり、夏が終わる、という若干の寂しさを突きつけられた。その事実の前には「セ⤴︎ル」という右上がりの表示の意味などどうでも良かった。

あと「クリアランスセール」なんて物言いが、パルコとか丸井だけのものじゃないぞ、という気概を感じる。
2012年9月7日撮影
2012年9月7日撮影
夏物クリアランスセールで思いのほか商品が掃けてしまったのか、それから約1週間後には秋スタートセールが始まった。季節を感じさせるシックな色合いに、所在なげに配された「AUTUMN」が寂しさを引き立てている。
2012年10月11日撮影
2012年10月11日撮影
いよいよ秋本番である。しかし見守っている立場からすると、春先の「ほしい品々」などを使いまわして発展させていたことを考えると、このフレーズなら前月の「秋」と「セール」は利用できたんじゃないか、などと余計なお節介を言いたくなる。

あと「AUTUMN」はなぜひと月で消えてしまったのか。
2012年11月16日撮影
2012年11月16日撮影
そう考えるとこれも贅沢な変化である。「秋」や「お買得セール」の位置(や角度)はほとんど同じなのに、色を変えるためにすべて貼りなおし。

というか、後ろに透けて見える商品や陳列棚も毎回ガラリと入れ替わっていて、いやもちろん商売なんだから当たり前なのかも知れないけれど、それでもこういった個人商店ってそんなに活発に動いているような印象を持っていなかったので新鮮な驚きだった。

1年が終わる

このお店のウインドウサインが気になりだしてからおよそ1年が経った。年末、最後の更新はオーソドックスかつ力強いものだった。
2012年12月11日撮影
2012年12月11日撮影
「おしゃれをお買得」という独特の言い回しもさることながら、「歳末感謝セール」の極太明朝体っぽい力強さに、地元への感謝と「売って、売って、売り抜くぞ!」というような決意が感じられる。
「ール」だけ色が変わって見えるのは、実際そうだったのか反射によるものなのか覚えていない。

というわけで、僕が気づいただけでも1年間で12回ウインドウサインが更新された。平均して月イチペース。数年、いや10年近くホームページを放置している身からすると肩身が狭い思いである。本当に尊敬する。

そうして、ウインドウサイン観察は2年目を迎えるのだった。
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新年から魅力爆発

あけましておめでとうございます。こちらはいま2013年1月8日、この日が僕の新年初出勤だったのかどうかはもう分からないけれど、いつものお店のショーウインドウには、これまでと様子が違う初売の貼紙をしてあるのを目撃した。
これまでにないタイプ
これまでにないタイプ
年末から「おしゃれをお買得」というキャッチコピーは継続しつつ、「今ついてる当店価格より」「初売」「冬物値下」という、脈絡があるんだか微妙な手描きのポスターが、なぜか左右非対称の山型に貼られていた。じわじわ良い。新年からこのお店の魅力が爆発していると思うんだけど、2ページ目まで来た皆さんには分かってもらえるだろうか。
2013年1月25日撮影
2013年1月25日撮影
1月下旬になると初売は終わり、冬物一掃セールが始まった。金色に輝く「クリアランスセール」の太字は、来たる春に向かっての心の高揚が見え隠れしているようで、見守っているこちらもうきうきしてくる。

1年も続けて見ているので、ウインドウサインにこちらの心情を勝手に乗せる、ちょっと面倒臭いファンになってきてしまった。

サインが消えた!?

その後まったく動きがないまま2月が過ぎ、3月に突入した。例年なら(って1年しか知らないけど)「春スタートセール」が始まっておかしくない頃である。冬物一掃が思うように進まないのか、それともこれまでにない大作を準備しているのか、やきもきしていたところ、3月3日に動きがあった。
ウインドウサインがなくなった!!
ウインドウサインがなくなった!!
2ヶ月以上続いた「おしゃれをお買得」のキャッチコピーもなくなり、1月につけられた赤い腰帯以外、すべての文字がなくなってしまった。

どうしたのだろうか、疲れちゃったのだろうか、もうあの素敵なウインドウサインは見られないのだろうか。などと不安になりながら数日、横目に見ながら前を通り過ぎていたのだが。
2013年3月7日撮影
2013年3月7日撮影
きたー!!
ついに今年も「春スタートセール」が始まり、僕の冬も終わりを告げた!華奢な「春」と、だんだん太くなってくるように見える「スタートセール」の対照も面白いし、躍動感あふれる「SPRING」の配置も心踊る。

今年もどんなウインドウサインを出してくるのか楽しみだ。

新セールが続々登場

2013年4月28日撮影
2013年4月28日撮影
と思ったらまた文字が消え(右側のドアに「お出かけ、お集まり、ご旅行、等々 春の装いセール」という張り紙はあるけど)、
2013年5月4日撮影
2013年5月4日撮影
ゴールデンウィークに「初夏のさわやかセール」という昨年はなかったセールが始まった。水色が確かにさわやかである。
2013年5月22日撮影
2013年5月22日撮影
さらに途中でテコ入れ策として「さわやかセール」ののぼりが追加された。あるんだね、こういうのぼり。
2013年6月4日撮影
2013年6月4日撮影
その後6月に入ると「さわやかセール」ののぼりはそのままに「つゆを快適にセール」に引き継がれた。「セール」の力強さが際立つ。
2013年7月10日撮影
2013年7月10日撮影
7月中旬になるとつゆが明けたのか、ただの「快適にセール」と進化した。
しかし「快適にセール」って何だ。店内エアコン効いてます、みたいな感じだろうか。店側の状況報告。

アバンギャルドに進化

2013年7月17日撮影
2013年7月17日撮影
これはかなり衝撃を受けた。夏夏夏夏って。しかもグラデーションしている。これまでにない大胆さ。もしかして僕が継続的にチェックしているのがバレているのではないかと焦った。
あとこのお店で多用される「おしゃれをお買得」に「取揃え」がくっついたフレーズはかなり気に入っている。
2013年8月14日撮影
2013年8月14日撮影
しかし今年も8月中旬になると夏物処分セールがはじまり、夏の終わりが見えてくる寂しさを感じさせ、
2013年9月8日撮影
2013年9月8日撮影
9月に入ると一旦リセットされて、
2013年9月10日撮影
2013年9月10日撮影
その後、ついに秋がスタートした。「AUTUMN」は今年も健在である。しかも「SPRING」同様2ヶ所に配され、昨年の寂しさはなくなった。と思ったら...、
2013年10月19日撮影
2013年10月19日撮影
なんだか寂しい感じに再度リセットされ、
2013年10月31日撮影
2013年10月31日撮影
10月下旬に「秋いっぱいセール」というかわいらしいセールが開始された。それにしても文字の微妙な揺れは意図的なのかどうなのか。

あたたかな品々

2013年11月21日撮影
2013年11月21日撮影
秋も深まった11月下旬、「あたたかな品々で WINTER」という、アイドル曲の歌詞にありそうでないようなキャッチフレーズを引っさげて、冬物スタートセールがはじまった。ここでよく使う「品々」って表現いいな。あたたかなしなじな。
2013年12月17日撮影
2013年12月17日撮影
その後、年末になると毎年恒例の「歳末感謝セール」が行われ、1年が締めくくられた。黄色い紙に書かれた「良い品、良い柄 お買い得」というフレーズもいい。良い柄。「お買い得」と「お買得」など送り仮名が統一されていないのも気になるけれど、このお店なら良いかと思えてしまう。

というわけで、今年1年もおつかれさまでした。大まかな更新を数えるとやっぱり12回。すばらしくコンスタントである。

そして観察は翌年も続いてしまうのだった。
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新年から値下げ!値下げ!

年が明けて2014年。つい一昨年くらいの気がするけれど、もう4年前である。笑っていいとも!が終わったり、ソチオリンピックが開催されたり、「ダメよ~ダメダメ」が流行ったりしたらしい。そう考えると確かに4年くらい前だな。
2014年1月6日撮影
2014年1月6日撮影
年明け早々に新しい要素を出してきた。「新春初売り出し」の細丸ゴシックである。これ切り抜くの大変だっただろうなあ。そして新年から積極的に全品値下げのアピール。あと何気に「!」が初登場の気がする。
2014年2月1日撮影
2014年2月1日撮影
ひさびさに半分残して更新。新春初売り出しが冬物クリアランスセールに取って代わった。この濃いピンクもこれまでになかった積極性を感じる気がする。

カメラが変わりました

2014年3月4日撮影
2014年3月4日撮影
3月に入るとこれはもう毎年恒例と言っていい「春スタートセール」。しかしやっぱり気になる要素はあって、控え目に配されてどこにかかっているのか分からない「春物」がこのお店らしい。

ちなみに個人的な話をすると、この写真から撮影がiPhone5Sになった。確か、それまで使っていた4Sを落として割ってしまったのだ。
2014年3月24日撮影
2014年3月24日撮影
昨年夏に見られた季節を繰り返す技。「さわやか春春春セール」である。なんと読めばいいのだろう。
2014年5月5日撮影
2014年5月5日撮影
その後、「風薫る五月 初夏のお買得セール」が2年ぶりに開催。
2014年6月14日撮影
2014年6月14日撮影
昨年は「つゆを快適に」だったこの時期のキャッチコピー、今年は「つゆを元気に」だった。そういう細かい変化に気づくのもずっと見てきている縁である。

のいきい

2014年8月18日撮影
2014年8月18日撮影
うだるような暑さの中、ひさびさに衝撃作の登場である。
「暑さのりきり」の、特に「り」が、読むとちょっと舌足らずな感じがしていい味を出している。そして「夏夏夏クリアランス」という、絶妙にリズムも取りづらく韻も踏んでいない、なにもかかっていない感じ。最高にいい。「夏」がもう一文字多ければふたりの愛ランドのリズムで歌えるのに、そうじゃないところだ。僕が好きなのは。
2014年8月19日撮影
2014年8月19日撮影
と思ったら前の写真のは未完成だったようだ。翌日、後ろにオレンジ色の幕が追加され、夏夏夏クリアランスはまさに炎天下のような熱気に包まれた。
2014年9月12日撮影
2014年9月12日撮影
しかし今年もまた夏が終わり、秋がスタート。今年は赤い細帯が1本引かれたスタイリッシュなデザインとなった。どうした垢抜けたぞ。

AUTUMN メイン張ります

2014年10月9日撮影
2014年10月9日撮影
これまで単独で配置され、特にフレーズと絡むことのなかった「AUTUMN」がメインに。「AUTUMN みつかります」という抒情的なフレーズで秋のお買得セールに花を添えた。
2014年11月11日撮影
2014年11月11日撮影
「冬を おしやれに あたたかく 取揃えお買得セール」という、これまでの要素を全てつぎ込んだようなフレーズ。「取揃えお買得セール」という言葉の並びはこのお店の真骨頂である。
2014年12月9日撮影
2014年12月9日撮影
そして2014年も終わりに近づき、歳末感謝セールがやってきた。「冬あたたかく」という心のこもったメッセージが添えられ、幸せな気分で年越しを迎えることができた。

だいぶ長いけどまだ続きます。
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2015年を駆け足で

年が明けて2015年。3月に北陸新幹線が開業します。
2015年1月10日撮影
2015年1月10日撮影
前年から「冬あたたかく」を持ち越し、そこに「よろしくお願い申し上げます」と続ける独特のセンスは今年も健在で嬉しい。
2015年1月26日撮影
2015年1月26日撮影
その後はお馴染み冬物最終クリアランスセールを挟んで、
2015年3月4日撮影
2015年3月4日撮影
これも毎年恒例の「春スタートセール」。このところブームの「春春春」仕様である。というか、このお店は春と秋に必ずスタートセールを催していて律儀である。いちばん服が売れる季節の変わり目なのだろうか。
2015年5月13日撮影
2015年5月13日撮影
「風薫る五月初夏のお買得セール」もドリームジャンボ宝くじのようにすっかり根付いた。その後、
2015年6月2日撮影
2015年6月2日撮影
「夏本番へ」という新フレーズが登場し、
2015年7月14日撮影
2015年7月14日撮影
「夏快適に」とお買得セールが続いた。
2015年8月3日
2015年8月3日
この年は例年より早く、8月初旬にはもう「夏物全品売りつくし」が始まった。どうしたんだ。冷夏だったのだろうか。「うりつくし」という文字の絶妙なバランスも素晴らしいし、夏夏も徐々に小さくなって、去っていく様子を感じられる、傑作の呼び声高い更新である。
2015年9月26日撮影
2015年9月26日撮影
変化球メインのこのお店が、ついにど真ん中のストレートを投げてきた!「おしゃれの秋」。それも衝撃だけど、真ん中にあるもうひとつの「秋」が何を表しているのか、ファンとしては気になってニヤリとしてしまう。
2015年11月24日撮影
2015年11月24日撮影
しかしまたすぐに変化球に戻った。「冬 お買得 取揃えセール」とまあ、このお店のスタンダードと言えるフレーズだ。
2015年12月15日撮影
2015年12月15日撮影
そして年末は毎年行われている「歳末感謝セール」。更新は年10回で、内容的には比較的大人しい1年だったと思う。

この翌年、2016年ももちろん観察を続けたので、簡単に振り返りたい。

2016年を急いで振り返る

2016年1月5日撮影
2016年1月5日撮影
営業はしていたようだけど、毎年貼られている「初売」がなかった。その後もしばらく寂しいウインドウが続いたのだけど、
2016年2月1日撮影
2016年2月1日撮影
やはり新しい要素を出してきた。後ろの腰帯に深い三角形の切れ込みを入れてある。どういう意図かは分からないけれど、目を引くことは確かである。

でもセール名がなく単に「冬物当店価格より更に30~20%OFF」は少し寂しい。
その後、春がスタートし(2016年3月3日撮影)、
その後、春がスタートし(2016年3月3日撮影)、
なぜか「SPRING」「春」が追加され(2016年3月12日撮影)
なぜか「SPRING」「春」が追加され(2016年3月12日撮影)
さらに「春の」が追加され(2016年4月6日撮影)
さらに「春の」が追加され(2016年4月6日撮影)
「へ」が気になる「初夏よりつゆへ夏へ」(2016年5月13日撮影)
「へ」が気になる「初夏よりつゆへ夏へ」(2016年5月13日撮影)
いままで1度もなかった「バーゲンセール」というフレーズが満を持して登場(2016年7月31日撮影)
いままで1度もなかった「バーゲンセール」というフレーズが満を持して登場(2016年7月31日撮影)
明朝体とゴシック体を織り交ぜつつ夏物全品一掃セール開催(2016年8月30日撮影)
明朝体とゴシック体を織り交ぜつつ夏物全品一掃セール開催(2016年8月30日撮影)
ここまでお付き合いいただいた方はお気づきかも知れないけれど、なんだかこの年はウインドウサインに力強さがない気がした。フレーズもシンプルだし、心揺さぶられる言い回しがまだ出ていない。

あと夏物全品一掃セールは「値下げ価格よりレジでさらに20%」と「さらに30%」のポスターが交互にこれでもかと貼られていて、投げ売り感がはんぱない。大丈夫だろうか。

静かな1年

その後、例年通り「秋スタートセール」が行われ、
2016年10月7日撮影
2016年10月7日撮影
2016年10月19日撮影
2016年10月19日撮影
「秋深まり冬近く」という新フレーズとともに「秋オータムセール」という新たなセールが行われたが、シンプルなゴシックっぽい字体もあっていまひとつ(僕の中で)盛り上がりに欠けた。って余計なお世話ですよね。

そして年末には恒例の
2016年11月30日撮影
2016年11月30日撮影
歳末感謝セールだがこれも力強さを感じない。どうしたんだろう。燃え尽きかな。
そんな変化の少なかった2016年が終わり、2017年の幕が開いた。

運命の2017年

年明けに通るとショーウインドウはがらんとしていて、下の方に年始の挨拶が貼ってあるだけだった。
2017年1月5日撮影
2017年1月5日撮影
もうあの独特のエネルギーを感じるウインドウサインは見られないのだろうか...。そう思っていた矢先、
2017年1月9日撮影
2017年1月9日撮影
不死鳥蘇る!!

個人的には2015年の秋頃以来のパワフルな更新である。「決算」という、そういえば商店でよく見るけどこのお店では初めてではないか、という単語も飛び出し、「冬物バーゲン」というド直球を投げつつ、「割引値下」という表記にこのお店の空気感がちゃんと出ている。「当店価格より30%20%10%OFF」の力強さはこれまでになかったと思う。

欲を言えばどこかで色を変えて欲しかったけど(めんどくさいファン)。
2017年3月7日撮影
2017年3月7日撮影
すっかり元気を取り戻し、3月に入ると春春春スタートセールも無事開催。しかもポップ体っぽい!よく見えないけど文字の下の絵はつくしやタケノコなど。絵を取り入れるのも新機軸である。
2017年4月10日撮影
2017年4月10日撮影
さらに「春の装いお買得セール」という新セールがスタート。久々の「お買得セール」に僕の目は潤んだ。春の左側の火の玉のようなものは竜に乗った子供の絵である。もはや完全復活、以前よりパワーアップと言って良いのではないだろうか(勝手にスランプにしていただけだけど)。
2017年5月12日撮影
2017年5月12日撮影
これは見にくいのだけど「母の日の好適品お買得!」という貼り紙がしてある。
好適品!と思わず声に出してしまった。いいよね好適品お買得。

衝撃のラスト!そして伝説へ…

2017年5月19日撮影
2017年5月19日撮影
そして夏を前に、今年も「初夏からつゆへ夏へ」、「初夏のお買得セール」というこれ以上ないスタンダード作品が掲示された。色使い、書体、配置、重なる初夏など、どれをとってもこのお店のものと一目で分かる仕上がりだ。

ここまでが僕が撮影したこのお店のウインドウサインのすべてである。実はこの直後に引っ越しをしてしまい、その後は見る機会がなくなってしまったのだ。

そこで、今回およそ7ヶ月ぶりにお店の前に行ってみた。時期的には初売りが終わって冬物一掃セールが始まっている頃かな、などと想像しながら、定点観測をしていた電柱の横に立ったとき、僕はあっと声を上げてしまった。
2018年1月24日撮影
2018年1月24日撮影
なんと角の洋品店はなくなり、跡地は不動産屋になっていた。さまざまな文字で彩られたあの大きなショーウインドウも改装され、不動産の情報がびっしり貼られた窓に姿を変えていた。

どういうことか誰かに話を聞きたかったけれど、不動産屋も定休日のようで誰もいなかった。僕は呆然としてしばらくそこに突っ立っていた。たぶん部屋を探している人にしか見えなかったと思うけれど。

あとがき

その後調べたところ、どうやら洋品店は僕が引っ越してから1ヶ月もしないうちに閉店していたらしい。どんな運命だ。閉店の理由は不明だけど、まったくそんな雰囲気を感じていなかったのでただ驚いた。

いずれはお店の人にお話をうかがってみたい、できることならウインドウサイン作りを手伝ってみたい...、などと密かに思っていたのだけど、冷静に考えると、お店の人にしてみれば5年間もこっそり写真を撮っていた人って、...キモいよね。
せめて閉店したあと不動産屋が入る前を見たかった
せめて閉店したあと不動産屋が入る前を見たかった
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