特集 2018年2月16日
 

「道の上の駅」がすごくいい

道路の上空にあるプラットホームになぜか惹かれるのです。こういうやつ。
道路の上空にあるプラットホームになぜか惹かれるのです。こういうやつ。
ぼくは鉄道の高架に惹かれていて、その名も「高架下建築」という写真集を出したこともある。

高架が道路をまたぐのは珍しくないが(そもそもそのために高架にするのだから)、道路の上がちょうど駅という例は少ない。

少ない、と思う。たぶん。詳しいことは今後じっくり調べていこう。まずは手始めに今回、いくつかの「道の上の駅」を巡ってみたので、その様子をお伝えしたい。

同好の士、とまでは言わないまでも、せめて何を言っているのか理解してくれる人がいますように。
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。

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日本一(暫定)

今回、8か所の「道の上の駅」を巡った。

結論から言うと、西日暮里駅がすばらしかった。
本稿執筆現在暫定日本一の道の上の駅・西日暮里駅。そのホームからの眺め。向こうから道路がやってきて、足元の下をくぐっていく。とてもいい。
本稿執筆現在暫定日本一の道の上の駅・西日暮里駅。そのホームからの眺め。向こうから道路がやってきて、足元の下をくぐっていく。とてもいい。
JR山手線線・京浜東北線の駅である西日暮里駅。とりたてて有名な商業地というわけでもなく、近くに職場があったりお住まいでない方はあまりなじみがないのではないか。谷中や千駄木が近いが、この駅から向かう人は少ないと思う。

しかしこれからは違う。日本一の(暫定)すばらしい道の上の駅として混雑が予想される。そうなるといいな、と思う。
道路から見たホーム。いい。すごくいい。
道路から見たホーム。いい。すごくいい。
そもそもいったい道の上の駅のどういう部分に惹かれるのか。

説明したいのだが、うまく説明できない。

とりあえず、道の先の上空に、こっちを向いて人が並んでいる、という光景がおもしろいと思う。

あと、路上の人もホーム上の側の人も、おたがい相手をほとんど意識していない、という点にも興味をそそられる。

平面的にはすぐ近くにいるのに、立体的に隔てられているというだけで、全くの別世界になってしまうことが、ぼくにとってはとても面白く思えるのだ。しかも道の上の駅の場合、改札によってルール的にも隔てられているため「別世界度」がより大きい。

道路にいる人、特に自動車に乗っている人は、あっというまにこの光景から過ぎ去ってしまうが、ホームにいる人は列車が車でそこにしばし立ち止まっている。そして、それぞれの交通はいわゆる「ねじれの位置」にあって、交わらない。

強いて理屈を付けるとしたら以上のようなものになる。が、最終的には「なんか、良い」としか言いようがない。

「わかる!」という人がいますように。

日暮里駅の北にあるけど西日暮里

ところでこの西日暮里駅。隣の日暮里駅と近すぎないか。
地図上で測ったら、ホームの端と端の距離は420mしかなかった。近すぎる。東京駅ホームの長さと同じぐらい。(?OpenStreetMapへの協力者)
地図上で測ったら、ホームの端と端の距離は420mしかなかった。近すぎる。東京駅ホームの長さと同じぐらい。(?OpenStreetMapへの協力者)
11両編成の山手線の長さは220mだというから、一番後ろの車両が西日暮里を離れたとき、先頭車両はすでに日暮里までの半分以上を通過していることになる。車内アナウンスも「次は〜」と「まもなく〜」の両方を言う暇がない。

きけば、先にできた地下鉄千代田線との乗り換えのためにあとから作られた駅だそうだ。現在の山手線駅の中では一番新しく、昭和に開業した唯一の駅という。日暮里駅の西にあるわけでもないのに西日暮里の名前になっている理由も、ここらへんにあるのだろう。
1963年の航空写真を見ると、西日暮里駅はなくただの高架だ。(国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より・整理番号・MKT636/コース番号・C5/写真番号・20/撮影年月日・1963/06/26(昭38)に加筆加工)
1963年の航空写真を見ると、西日暮里駅はなくただの高架だ。(国土地理院「地図・空中写真閲覧サービス」より・整理番号・MKT636/コース番号・C5/写真番号・20/撮影年月日・1963/06/26(昭38)に加筆加工)
そういった経緯で、駅間が短いのだな。なるほど。品川と田町の間に建設中の駅と、どちらが駅間短いのだろうか。

まさか駅前広場にケチを付けることになるとは

話を元に戻そう。

西日暮里に匹敵するすてきな道の上の駅は他にはないものか。

「あそこ、そうだったな」と思い出したのは中野駅だ。
中野駅到着。線路に見える緑色の鋼製部材が、下に柱がないことを、つまり道路が走っていることを示している(たぶん)。高まる期待。
中野駅到着。線路に見える緑色の鋼製部材が、下に柱がないことを、つまり道路が走っていることを示している(たぶん)。高まる期待。
まずはホームからの眺め。たしかに道路がこちらへ向かって伸びている。しかし……
まずはホームからの眺め。たしかに道路がこちらへ向かって伸びている。しかし……
道路から。まごう事なき道の上の駅だ。しかし……
道路から。まごう事なき道の上の駅だ。しかし……
記憶通り、中野駅のホームは道の上にあった。

しかし。しかし、なんか、ちがう。あんまり盛りあがらない。

なぜかというと駅前広場があるからだ。
駅前のバスロータリー空間が「道の上の駅感」を損なっている。
駅前のバスロータリー空間が「道の上の駅感」を損なっている。
これはちょっといただけない。

そもそもまだ「道の上の駅」の面白さを十分に説明していないにもかかわらず「これはダメ」とか言っちゃってもうしわけないのだが、これはダメだ。

たぶん、なんというか「道度」が低くなっちゃっているからだと思う。道が広場の一部的な雰囲気になっちゃっているのだ。いるのだ、とか言われても困ると思いますが、そうなんです。
ホームと道路が「別世界的」に立体交差している! という感動が駅前広場によって薄まっちゃっている、という図。図にしてまで主張するようなことか。
ホームと道路が「別世界的」に立体交差している! という感動が駅前広場によって薄まっちゃっている、という図。図にしてまで主張するようなことか。
まさか駅前広場にケチを付ける日が来るとは思わなかった。駅前広場にしても「えっ、そんなわけわかんないことでダメとか言われるの?!」と解せない気分だろう。すまん。でもがっかりなんです。

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