特集 2018年2月22日
 

「姉妹」制度があった中学時代の話

どうぶつさん消しゴムでの再現画像でお送りします。
どうぶつさん消しゴムでの再現画像でお送りします。
高校まで沖縄で育ったのだが、県外の人に必ず驚かれる話がある。「中学時代の姉妹制度」の話だ。

ざっくりいうと、先輩、後輩、友達…という関係性に加えて「姉分」や「妹分」なるものが存在した。
1990年沖縄生まれ。現在はOLとして活動しています。営業日のお昼休みに毎日更新する「今日の休憩」というブログを運営しています。

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「姉妹」制度とは何か

わたしの通っていた学校は那覇にあり「日本で下から2番目の学力」と言われている中学だった。ちなみに最下位は隣の中学である。

ヤンキーもおらず、悪いイジメもなかった。が、地区の女子の間では独特の制度があった。それが姉妹制度だ。

しくみを説明します。
(1)中学に入学すると、2年の先輩から「妹分になってほしい」と言われる
(1)中学に入学すると、2年の先輩から「妹分になってほしい」と言われる
(2)後輩に断る権利はないので、言われたら「OK」の返事をする。
(2)後輩に断る権利はないので、言われたら「OK」の返事をする。
これでみごと!「姉妹分」という関係がスタートしました。ちょっとわけわかんないと思いますが、もう少しお付き合いください。

姉妹分は何をするかというと、基本活動はかんたんで
お手紙やプリクラの交換を週1ペースでします。仲がよければよいほど、周りに羨ましがられる。
お手紙やプリクラの交換を週1ペースでします。仲がよければよいほど、周りに羨ましがられる。
そして学校にはこのような姉妹分が無数にいる。妹・姉はそれぞれ1人しか作っていけない原則です。
そして学校にはこのような姉妹分が無数にいる。妹・姉はそれぞれ1人しか作っていけない原則です。
先輩は、かわいい子や目立つ後輩を妹分にできると、学年女子内でのステータスがあがる。「あの女を手に入れたのか!」状態だ。超人気な子は、小学6年のころから予約が入っていた。
姉分がいる1年も「イケてる女子」として認定され、キラキラ生きることができるのだ。
なかよしアピールのため、姉妹はイベントごとによく写真をとる。うざいカップルばりに「ラブラブ」アピールが3年間、繰り広げられる。
なかよしアピールのため、姉妹はイベントごとによく写真をとる。うざいカップルばりに「ラブラブ」アピールが3年間、繰り広げられる。
「こわ…」となっている方。私も入学時「何この制度…終わった……」と思った
そして散々説明している自分はというと、ご覧の通り前髪を分けずにピンで止めている状態だったので妹分のお誘いはなかった。そう、1年の頃は……。
そして散々説明している自分はというと、ご覧の通り前髪を分けずにピンで止めている状態だったので妹分のお誘いはなかった。そう、1年の頃は……。

「手紙」がすごいやつが強い

5月に入ると、学校女子の3割が「姉妹」とか言い出し、みんなが手紙を書きはじめることになる。

このあと重要なのが「いかに素敵な手紙を作れるかどうか」だ。
みなさんが想像しているであろう手紙はこうですが
みなさんが想像しているであろう手紙はこうですが
姉妹分の封筒はこうだ。胸焼けがすごい。でも、よくみると黒字に修正ペンで書くという当時では画期的な工夫がなされている。
姉妹分の封筒はこうだ。でも、よくみると黒字に修正ペンで書くという当時では画期的な工夫がなされている。
みんな教室内で手紙を書き、もらった手紙も教室で読む。その様子はみんなが見ている。

作る手紙がステキなほど同級生には「センスのある人」と思われ、もらったほうは「こんなに素敵な手紙をもらうほど愛されている」と羨ましがられるのだ。必須スキルだった。
立体にし、キラキラのりをちりばめ、水玉加工されたやつ。こういう装飾がうまかった子は、いまネイリストになっていたりするからおもしろい。
立体にし、キラキラのりをちりばめ、水玉加工されたやつ。こういう装飾がうまかった子は、いまネイリストになっていたりするからおもしろい。

姉妹分だけじゃない! ひろがる家系図

姉妹は、あらゆるイベントごとに写真を撮り、プリクラを撮り、絆を深めていく(アピールをする)。しかし、学校に存在するのは「姉妹分」だけではない。
たとえば自分の姉が、気に入った男の後輩を「弟分」に誘うじゃないですか
たとえば自分の姉が、気に入った男の後輩を「弟分」に誘う
すると、同じ学年に「同じ姉を持つ男女」ができます。この男女は「双子分」になる。ついてこれてますか。
すると、同じ学年に「同じ姉を持つ男女」ができます。この男女は「双子分」になる。
男子は手紙などは書かず、ただ姉に愛され、定期的に菓子を与えられたりする。(なんの意味があるかは今でもわからない)

目立つ先輩に声をかけられた男子は、そのあとモテたり……などよい効果もある。

また、この「分」制度は学校だけでなく、他校にも及んだ。近くの中学の気になる子を「文通分」として誘うのだ。部活の大会で会うたびに、手紙を交換する。
最終的なイケてる中学女子の家系図。おそろしい。
最終的なイケてる中学女子の家系図。おそろしい。
もちろん、文通分も各校1人限定というルールがある。お手紙交換をし「学外のステキな女子とも親密なんだぞワリャァ」というアピールにいそしむ。大人より忙しい日々である。

しょうもねえ制度の中にうまれる謎の絆

と、いろいろ説明してきたが、私は1年の頃キラキラに恵まれなかった。

しかし2年になり運動部に入ったことから(?)なぜか突然「妹分オファー」をもらった。その先輩はとてもバレーがうまく、人気のある人だった。誘われて数日後、いきなりイケてる女子から「遊ぼう」と言われたのを覚えている。怖い。

1年間ずっと、手紙をしている子たちを「しょうもねえ」「うざい」「つまらんやつらめ」と内心バカにしていた。

しかし、いざ先輩に呼び出され「妹に…なってほしい…」と言われると
雷に打たれたようなトキメキが我が身を走った
雷に打たれたようなトキメキが我が身を走った
他人に「好きだから、あなたと手紙をする関係になりたい。そして妹と呼びたい」と言われた事実に震えた。この人は何を言っているんだ。

しかももらった手紙に「ひかるだいすき」と書いていた。一瞬で先輩が大好きになった。すぐ返事を書いた。反体制から、余裕の大寝返りである。

二人で階段で待ち合わせをし、進路の話をしたりした。やさしい先輩と定期的に手紙をすることは大変うれしく、手書きの文字を見るのが毎週の楽しみだった。

姉分が卒業し、自分も3年になって「妹分」を作った。下の子から「姉」と言われ手紙をもらうのも震えるほど嬉しかった。
と過去を美化しようとしていたところ、友達から「お前からもらった手紙な、
と過去を美化しようとしていたところ、友達から「お前からもらった手紙な、“だいすピ”とか書いてるぞ終わったな」と連絡がきた。一生かけてつぐなうしかない。
卒業後、大人になり「なんだったんだあの制度」話で同級生と毎回全員の胃が死ぬ黒歴史トークになる。本気でもう戻りたくない。しかし、中学生のいとこに聞くと、なんとまだその文化はあるらしい。おそろしい島である。

他の地域の子に聞くと、手紙をかく文化をあったが、誰かを独占するような関係はなかった、そうだ。あの苦労は一体なんだったのか……。

くせ字の工夫合戦もすごかった

この記事を書くにあたり、たくさん手紙を発掘したのだが「字」での競争もすごかったことを思い出す。
たとえば「か」「ね」のバリエーション。これらの書き方でいかにオリジナリティを出すかが問われ、誰が書いたのか一目瞭然だった。すごい能力だ。
たとえば「か」「ね」のバリエーション。これらの書き方でいかにオリジナリティを出すかが問われ、誰が書いたのか一目瞭然だった。すごい能力だ。

絶対戻りたくないな〜と思いつつ「いまどきの若者はぁ」といいたいけど言う資格が一切ないのでニコニコするしかない と反省しました。もし似たような現象が起きた地域があればぜひおしえてください。
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