とくべつ企画「激辛」 2018年2月28日
 

止まらない汗「北極ラーメン」との戦い

汗と涙と勇気のストーリーです。
汗と涙と勇気のストーリーです。
蒙古タンメン中本というラーメン屋がある。「辛うまラーメン日本一」のキャッチコピーで有名なラーメン屋だ。カップラーメンにもなっており、その辛さとうまさにファンが多い。

看板商品は「蒙古タンメン」というラーメンでこれも辛いのだが、これを上回る「北極ラーメン」がある。これは北極ラーメンに戦いを挑む男の物語である。
1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。

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辛さに弱いので対策をする

今回の特集は激辛である。激しく辛いと書いて激辛。辛いのは好きでだが、最近辛いものを食べると翌日が大変である。トイレにずっといる。ましては激辛である。激しくトイレにいる可能性がある。

今回行くのは「蒙古タンメン中本」だ。大学生の頃に行ったことはあるが、看板商品のラーメンがかなり辛くそれ以来行った記憶がない。ましては1番辛いとされる北極ラーメンなんて食べたことがない。

無事に終わりたい。そんな願いをかなえてもらうために神社へ向かった。
健康とは関係ないが十分ご縁がありますようにと15円をさい銭箱に入れた。
健康とは関係ないが十分ご縁がありますようにと15円をさい銭箱に入れた。
神様どうか、お腹が無事でありますように。
神様どうか、お腹が無事でありますように。
あと、不労所得で暮らしたいです。
あと、不労所得で暮らしたいです。
願掛けをした。これで大丈夫だと思うが念のため色々と準備しておこう。体をいたわるための食べ物を買ってきた。
スーパーで買ってきたんですよ。
スーパーで買ってきたんですよ。
まずはチーズ。
まずはチーズ。
乳製品が辛さがおさえてくれるみたいなのをネットで見たので買った。辛いラーメンにチーズトッピングするとおいしいというのもネットで見た。ネットにはなんでも載っている。
飲み物はお茶。
飲み物はお茶。
お茶の渋みが辛さを和らげてくれるらしい。これもネットで見た情報だ。効果があるかわからないがカテキン2倍のやつにした。2本飲めば4倍だ。10本飲めばすごいことになる。
レモン汁。
レモン汁。
レモンの酸味が口の中にある辛みを消してくれるらしい。これもネットで知った情報だ。これを直接飲む破天荒な人を見たことがないが、これからの人生破天荒に生きていきたいので辛くなくても飲もうと思う。
デザートにあんぱん。
デザートにあんぱん。
あんぱんはネットに載っていなかったが、あんこの甘さが辛さを中和してくれるのではないかと思った。あと、たまにあんぱんを食べたくなるときがあってそれが今だった。薄皮クリームパンもおいしい。

準備万端である。何も怖いものはない。辛いものどんとこいである。あ、だめだもう一個ある。
ヨーグルトドリンクを食べる前に飲む。チーズも乳製品だが飲めないので(頑張れば飲めるかも知れないが頑張る必要はないので)別枠です。
ヨーグルトドリンクを食べる前に飲む。チーズも乳製品だが飲めないので(頑張れば飲めるかも知れないが頑張る必要はないので)別枠です。
よくインドカレー屋に行くとラッシーが出てくる。あれは牛乳に含まれるタンパク質が辛さの元となるカプサイシンから守ってくれるというちゃんとした理論がある。おいしいだけじゃないのだ。これを事前に飲むことで胃を守る。これで大丈夫だ。
編集部安藤さんと行く。辛いのは好きだが次の日が胃に来るタイプらしい。あとバナナが好き。この日も持ち歩いていた。
編集部安藤さんと行く。辛いのは好きだが次の日が胃に来るタイプらしい。あとバナナが好き。この日も持ち歩いていた。
絶対にお腹をくださない決意を胸にヨーグルトを飲んだ。
絶対にお腹をくださない決意を胸にヨーグルトを飲んだ。

裸一貫でいどむことになりました

エレベーターで中本へ向かう。2人の間には未知のものに対する緊張感があった。
緊張感と不安感を持ってラーメン屋に行くのは初めて。
緊張感と不安感を持ってラーメン屋に行くのは初めて。
すでに赤い。
すでに赤い。
外観から「辛いよ」と心に訴えかけてくる。しかし、こちらは対策をしているのだ。大丈夫。そう思いながらメニュー表を眺めていたところ、衝撃的な張り紙を見つけてしまった。
終わったと思った。
終わったと思った。
持ち込み禁止である。確かにそうだ。別の食べものを持ち込まれたらお店は迷惑である。こうなったら気合いで乗り切るしかない。「いや、全然辛くないですよ」と言いながら食べてやりたい。変な闘争心が湧き始めた。やるっきゃない。

中本には「北極ラーメン」「冷やし味噌ラーメン」の2品が辛さのトップに君臨している。温かいラーメンのトップが「北極ラーメン」で9辛、つけめんの「冷やし味噌ラーメン」が
10辛である。(中本では辛という単位がある。基本の蒙古タンメンが5辛。最高が10辛である。数字が多いほど辛い。)

店員さんに聞いたところ冷やし味噌が単位上は辛いが、熱いラーメンの方が辛く感じるらしい。
安藤さんは「どれもおいしそうだなー、どれがいいかなー」とメニューを悩んでいた。
安藤さんは「どれもおいしそうだなー、どれがいいかなー」とメニューを悩んでいた。
うらやましさを感じつつも、安藤さんは「やっぱり基本を食べたい」と蒙古タンメンを頼んだ。
これが蒙古タンメン。見ただけでよだれが出てくる。
これが蒙古タンメン。見ただけでよだれが出てくる。
店内に入ってすぐに安藤さんの蒙古タンメンがやってきた。味噌ベースのスープに麻婆豆腐が乗っており、それがスープに溶け込み辛さを与えている。煮込まれた野菜たちは甘く感じるのでちょうどいい箸休めになる。
一口食べて「辛いね!これ!」と普通のでも辛そうだ。北極が怖い。
一口食べて「辛いね!これ!」と普通のでも辛そうだ。北極が怖い。
普通のメニューでも十分辛いらしい。しかし、辛いことは辛いが、おいしく食べられるギリギリの辛さで「これおいしいね!はまりそう!」と好評だ。

そして、やってきた北極ラーメン。
絶対に辛いやつが来た。
絶対に辛いやつが来た。
赤い。ラーメンが赤い。いや、赤くないのでは?と疑問をはさむ余地もなく赤い。神頼みやヨーグルトも飲んで対策をしてきたが、対策の意味がなくなるのではないかと不安になる。これは覚悟して食べなければやられる。ちょっと安藤さんに食べてもらおう。
悲鳴をあげた。
悲鳴をあげた。
スープを一口飲んだだけなのだが、この表情。言っても一般的に売られている商品だ。「おおげさですよー」と言いながら自分も食べてみた。
おおげさだと思いながらも恐るおそる食べてみるが、
おおげさだと思いながらも恐るおそる食べてみるが、
一口目ですぐに水。
一口目ですぐに水。
辛さが広がって中に極上のうまさが出てきたかと思ったらまた辛さがやってくる。辛さとうまさの鉄砲隊だ。(グルメレポートみたいなことを言いたかった。)

そして、辛さは痛さへと変わり、水への感謝の気持ちが芽生えた。こんなにおいしい水を飲んだのは初めてかもしれない。ありがとう水。
途中「これ入れる?」と唐辛子を差し出してきたが一言も「ほしい」と言ってない。
途中「これ入れる?」と唐辛子を差し出してきたが一言も「ほしい」と言ってない。
食べれば食べるほど汗が出てくる。
食べれば食べるほど汗が出てくる。
水を飲んでも口の中が火事である。どうにかしなければ、そうだトッピングだ。一応、念のためにチーズを買っておいたのだ。

店員さんは「入れてもそんなに辛さは変わんないですよ」と言っていた。しかし、世の中にはやってみないとわからないことがある。きっとチーズが辛さをまろやかにしてくれるはずだ。
チーズを入れても、
チーズを入れても、
辛い!
辛い!
チーズの風味がおいしさをアップさせているが、辛さは変わらない。店員さんも言っていたもんな。いや、まだだ。ご飯だ。塩辛いおかずもご飯があれば食べられるじゃないか。
ご飯と食べれば辛くなくなるのでは?
ご飯と食べれば辛くなくなるのでは?
いや辛いな!
いや辛いな!
ずっと辛さが攻めてくる。サッカーだったら15点ぐらい入れられている。誰も止められない。止めてよ。
水も止まらない。
水も止まらない。
どうすることもできない辛さをテーブルをにぎることで我慢する。
どうすることもできない辛さをテーブルをにぎることで我慢する。
もだえているときだった。カウンターに座っていた女の子たちが話しかけて来た。

「北極食べているんですか? 私たちも食べたんですけど辛いですよね? 30分ぐらいかかっちゃいました!」

――え、でも完食したんですか?

「なんとかですけど食べました! あ、あと少しじゃないですか!?頑張ってください!!」

食べきったのか、あの北極をこんな若い女の子たちが。水を飲んでテーブルをつかんでいる場合じゃない。なんのために来たのか。北極を食べるためじゃないか。やってやる。やってやるさ!
辛さに耐えながら食べ進む。
辛さに耐えながら食べ進む。
あと一口!
あと一口!
食べきった!
食べきった!
長い戦いだった。20分以上はかかっただろう。食べきったあと店員さんがやってきた。

「食べきったんですね! すごい! おめでとうございます!」

――すごく辛いですね。常連の方とかよく食べてますけど尊敬します。

「食べていると慣れますよ。最初、キムチとかも食べられないぐらい苦手でしたけど味噌タンメン(そこまで辛くないラーメン)を食べていたら、蒙古タンメンを食べられるようになったので大丈夫です!」

僕にも北極ラーメンを平然と食べられる日が来るのだろうか。まだ見ぬその日を待ちわびながら中本を後にした。半分残していた飲むヨーグルトが袋の中で漏れていた。
気づいたらピッチャーを飲みきっていた。
気づいたらピッチャーを飲みきっていた。

激辛は戦いだ

食べきったあと、すがすがしく心が晴れやかな気持ちになった。困難な目標にいどみ打ち勝ったからだろうか。その日の夜はとてもよく寝ることができた。お腹がどうなったのかは聞かないでください。
こちらからは以上です。
こちらからは以上です。
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