特集 2018年3月1日

“プロフィール帳”は大人になっても更に楽しい!

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「プロフィール帳」をご存知だろうか。
90年代、小学校の女子たちはこぞってプロフィール帳を書きあっては交換していたものだ。あれを今、大人たちでやりたい。
埼玉生まれ、神奈川育ち、東京在住。会社員。好きなキリンはアミメキリンです。右足ばかり靴のかかとがすり減ります。(インタビュー動画)

前の記事:あなたのやってみたいプチ贅沢、代行しました。

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「プロフィール帳って何?」という方も多いと思うのでざっくり説明すると、主に小学生女子をターゲットに作られた、好きなものや趣味などといったさまざまな質問が並ぶファンシーな記入用紙だ。「サイン帳」と呼ぶ地域もあるらしい。
大体かわいいキャラがあしらわれている
大体かわいいキャラがあしらわれている
誕生日や血液型など基本的な情報から
誕生日や血液型など基本的な情報から
好きなものを答えていくコーナーまで
好きなものを答えていくコーナーまで
当時の女子たちはプロフィール帳を手に入れては配り歩いてお互いの仲を深めあっていた。
とにかく彼女たちは交換することに命を燃やし、プリクラやぷっくりしたシールなどもその交換の対象となった。
集めたらファンシーなバインダーに綴じる
集めたらファンシーなバインダーに綴じる
男子によってはプロフィール帳が回ってくる者と全く縁のない者がいて、そこには幼心になんとなくヒエラルキーを感じたものだ。

プロフィール帳を書いてみよう

さて、付き合いの長い間柄でも知らないことは意外と多い。改まって自己紹介をする機会もそうそうないものである。
そんな乾いた現代社会にこのプロフィール帳が一石を投じるのでは、と思ったのだ。

本日ご協力いただいたのはこのメンバー。
左上から編集部林さん、古賀さん、藤原さん、下段左からライターべつやくさん、北村さん、筆者(自分の写真を撮り忘れた)
左上から編集部林さん、古賀さん、藤原さん、下段左からライターべつやくさん、北村さん、筆者(自分の写真を撮り忘れた)
会議に遅れて参加した西村さん、ネッシーさんにも書いていただきました
会議に遅れて参加した西村さん、ネッシーさんにも書いていただきました
ネッシーさんはこのあとプロフィール帳を紛失しかけます。

プロフィール帳、少しずつ進化してます

パステルカラーで統一されたスヌーピーのプロフィール帳を配布すると、女性陣から歓声が上がった。かわいい!当時より進化している!とのこと。
べつやく:当時はルーズリーフのちっちゃい版みたいなのを回してた。ノートの子もいた
古賀:えーかわいい!いまフルカラーなの!?
筆者が小学生のときもこんなパステル調の色使いだった気がする。
尚、今回の記事はこちらの二人の会話が多くを占めます
尚、今回の記事はこちらの二人の会話が多くを占めます
今もしっかりプロフィール帳は存在し、東急ハンズにもその一角があった。
質問事項も当時より今風になっていたので紹介したい。
1.SNSのIDを書く項目がある
小学生に主流のSNSってなんなのだろう
小学生に主流のSNSってなんなのだろう
2.「好きなテレビ・動画」という言い回し
「動画」という項目、いかにも今っぽい
「動画」という項目、いかにも今っぽい
見たことのない項目にへー、ほー、と唸った。
これ作るためにメーカーはいろんな調査してるんだろうな。東急ハンズに並んでいたものはすべてカミオジャパンというファンシーグッズの企画制作会社のもの。とても気になる会社である。
みんなも考えてみよう
みんなも考えてみよう
あと、どのプロフィール帳にも心理テストがあるのだけど、こんなんありましたっけ?

喋りながら書くのが良い

さぁうだうだ眺めていないで、さっそく書いていこう。
古賀:やっだー!『ラブなおしゃべり』とかあるじゃん!
べつやく:これねー、生々しくなるよね
古賀さんは終始「やっだー!」を連発していた。
確かに生々しい。愉快なインターネットのままでいたいので質問には黙秘権を行使できることにした
確かに生々しい。愉快なインターネットのままでいたいので質問には黙秘権を行使できることにした
プロフィール帳を埋めながら話していると、知らなかった過去が掘り起こされたりする。発端はニックネームの記入欄に差し掛かった北村さん。
北村:おれ高校時代"ファックマン"って呼ばれていたんだけど、書いて大丈夫?
べつやく:いじめられてたの?
北村:尖っていたから…すべての写真にファックユーのポーズして。だんだん略されてファックって呼ばれてた
べつやく:高校の時知り合いじゃなくてよかった
左から、古賀っち、べつ、ファックマン
左から、古賀っち、べつ、ファックマン
時が違えば交わらなかった二人だ。ニックネームの話題、出だしからICレコーダーの音が割れるくらい盛り上がっていた。
これは黙々とやるよりワイワイ喋りながらやるのが正解のようだ。
Q.もらってうれしいプレゼントは?
北村:アマゾンギフトかなー
古賀:けっこうお米とかねー
:電池とか
古賀:電池もいいですよねー!
文字に起こすとなんでもない会話なのだけど、あとで録音を聴き返すとみんな楽しそうだ。
全員で同じ質問に答えていくという行為には謎のグルーブが生まれる。
小学生はもらって嬉しいプレゼントに”お米”と書かない(あと「不老所得」は「不労所得」ですね)
小学生はもらって嬉しいプレゼントに”お米”と書かない(あと「不老所得」は「不労所得」ですね)
Q.生まれかわるなら何になりたい?
:菜々緒かなー…
古賀:菜々緒ですよね

菜々緒で満場一致。来世の正解が出ました、菜々緒です。
なにこの時間、和やか…
なにこの時間、和やか…
北向:ブランド難しいですよね(ユニクロと書いた)
古賀:わたしブルボンにした
一同:「「「あー」」」
:信頼できる
べつやく:そしたらわたしは八社会かな
古賀:わかる!

八社会、初めて聞いた。私鉄系のスーパー(小田急ストアや東急ストアなど)8社が共同で設立したプライベートブランドだそうだ。とにかくハズレがないらしい、思わぬ生活の知恵が手に入った。 でも多分『好きなブランド』としてメーカー側が求めてる答え、これじゃないだろうな。

我々は大人になった

こうして子ども向けに作られた媒体に真正面からぶつかっていくと、良くも悪くも大人になったなーと感じさせることが多い。
大人になったと思うこと1:初恋の定義
『初恋はいつ?』の問いに、べつやくさんが「どれを初恋だと思うかじゃない?」と漏らしていた。
この質問、後で見返すと14~17歳の間で答えているひとが多かった。小学生だったら絶対に書きようのない年齢だなー。"初恋の定義"はその人の年齢によって変わるものなのだ。興味深い。
ちなみに筆者の初恋は5歳、相手は幼稚園の先生だ
ちなみに筆者の初恋は5歳、相手は幼稚園の先生だ
いま彼女は50歳くらいだろうか、少し目を背けたい事実に気づいてしまった。
大人になったと思うこと2:漢字が書けない
大人になった我々はとにかく字が書けない。読める、けど書けない。携帯でせかせかと調べながら書き進める様子が散見された。
あの頃よりたくさんの漢字を知っているはずなのに、書ける漢字はむしろ減っているかもしれない
あの頃よりたくさんの漢字を知っているはずなのに、書ける漢字はむしろ減っているかもしれない
藤原:好きな動物、「かば」を「かぼ」って書いた。

ひらがなが怪しい大人もいる。
大人になったと思うこと3:気の使い合いになる
中でも大人らしさを発揮したのが"れんそうゲーム"のエリア。『おもしろい人』や『やさしい人』など思いつく人の名前を書いていく気遣いゾーンだ。
直感では決められない大人たちを悩ませるコーナー
直感では決められない大人たちを悩ませるコーナー
小学生だったらクラスの友人から選ぶのだろう。今回はデイリーポータルZのメンバー内で選んでもらった。

古賀:『おもしろい人』が難しい…
べつやく:みんな”おれがおれが!”になるので書きづらい
古賀:この集団は”おもしろさ”でしのぎを削っているから…

アイドルグループだったら『かわいい人』が気の使い合いになるかもしれない。当時の我々は相手との関係性や配慮・今後の身の振りまで考えて書いていただろうか。
悩みに悩み、ライターのリストで調べ始めるふたり
悩みに悩み、ライターのリストで調べ始めるふたり
べつやく:やさしい人…橋田さん(編集部)かな
古賀:エッジ立ってるときあるよ?

橋田さん、エッジ立ってるんだ。もう少し詳しく聞きたかった話。

北村:誰かに優しくされたっけな…

北村さん…


古賀:『かわいい人』も難しいよね
べつやく:ねこって書いておこうかな

※著者注:ねこは人じゃない

べつやく:『めんどくさい人』だと簡単に書けるんだけど
古賀:褒めるの難しいよね
北村:『話が長い人』も書ける
褒めるのは苦手でも悪口ならスラスラ出てくるデイリーポータルZメンバー
褒めるのは苦手でも悪口ならスラスラ出てくるデイリーポータルZメンバー
大人は悪口が得意だ。
べつやく:『かっこいい人』も難しい
古賀:平坂さん※とか。毒に強いところ

べつやく:生命力の強さね

小学生だったら無いかっこいいの基準、”毒に強い”。

※平坂さん:毒ガエルを完食したりする

べつやく:『頭がいい人』もせめぎあいになるね
古賀:藤原でよくない?
べつやく:藤原だなと思ったけど、そう書くのは癪だから

藤原:・・・。
:おれ完全に勝負を避けて”siri”って書いた
気の使い合いから勝負を避けたひとがいた
気の使い合いから勝負を避けたひとがいた
ふたりもいた
ふたりもいた
北村さんは芸能人を書いていた。のん(能年玲奈)が好きらしい。わかります
北村さんは芸能人を書いていた。のん(能年玲奈)が好きらしい。わかります
芸能人誰が好き?という話も普段なかなかしないからか楽しかった。古賀さんが小栗旬好きだということもこの日初めて明るみに出た。
西村さんは吉岡里帆が理想のタイプらしい。ラーメンをすすってほしいらしい。

このれんそうゲーム、埋めていくのは大変だったけど単純に楽しい。

書いたら見せ合おう

プロフィール帳を一通り書き終わったら全員で見せ合った。
プロフィールをシェアしましょう
プロフィールをシェアしましょう
藤原さんはマイベスト3に『好きなひらがな』を書き連ねていた。
マイベスト3とは、自分で好きにタイトルを決めて勝手にベスト3を選ぶコーナーだ
マイベスト3とは、自分で好きにタイトルを決めて勝手にベスト3を選ぶコーナーだ
べつやく:「を」好きなの?
古賀:わかるわかる
べつやく:わたしあんまり好きじゃない

「を」に対する好き嫌いを知る機会なんて自分の人生にあると思わなかった。

北向:「ふ」が1位なんですね
藤原:「ふじわら」の「ふ」

藤原さんは藤原の「ふ」が好き。

B型のいない編集会議

古賀:べつやくさんってAB型なんだね
べつやく:血液型って意外と知らないよねー
血液型ってこの年齢になると会話に出てくることが少ない
血液型ってこの年齢になると会話に出てくることが少ない

偶然なのかこの日は8人集まってひとりもB型がいなかった。だからどうしたという話だけど、へーと思ったのでお伝えしたい。血液型の話っていつも大抵そういうものだ。

お互いの好きなものを見比べている時にもひと盛り上がりあった。
『好きなテレビ・動画』で林さんと藤原さんが「昔のCM」かぶりをしたのだ。
こんなことでかぶるものか
こんなことでかぶるものか
北村さんと筆者も『将来の夢』が「安定」でかぶった。安定は、したいと思ったのだ。

大人だって心理テストをする

すっかり忘れていたけど最後に心理テストの結果も発表した。
パーティーで仮装をすることになったよ。あなたはどんな仮装をしたいかな?
A.妖精
B.魔法使い
C.おばけ
D.ドラキュラ
北向えー、これは”まわりから見たあなたの印象がわかっちゃうかも!?”とのことです
一同:なんで!?

北向:『妖精』と答えた方
:はい!
北向:あなたは優しくて癒し系なひとです
一同:おー
:素で照れた

林さん素で照れていました。
北向:『魔法使い』と答えた方
べつやく:わたしだ
北向:あなたはオシャレで大人っぽい人です
一同:おー
べつやく:まぁ大人だから…
左から、おばけ、魔法使い、おばけ
左から、おばけ、魔法使い、おばけ
ちなみに残りの全員は『おばけ』で「面白くておちゃめな人」でした。誰もいなかったけど『ドラキュラ』は「しっかり者で頼りになる人」。
心理テストは、盛り上がったような、そうでもないような。
北村:なんの根拠もない心理テストだ
古賀:みんな褒められててよかったね
北村:もっと嫌われているやつとかいるよ


北村さん、最後にファックマンらしい部分が出ちゃっている。

そうか、みんな質問に答えたいのだ

記入をしながら北村さんがプロフィール帳をwebサービスにしてもいいんじゃないかと言っていた。

そうなのだ、Ask.fmに質問箱、Sarahahと世は質問サービスに溢れかえっている。みんな誰かに質問をされたいのだ。
質問されたい、質問に答えたい、それを共有したい、という人々の思いを限りなくコンパクトにまとめたのがこの”プロフィール帳”だったのだと思う。

いつもの仲間と、初対面の人たちで、研修のアイスブレイクに、これは思いのほか無限の可能性を秘めているぞ、すごいぞプロフィール帳。

あの頃の未来に僕らは立っているのかな

『将来の夢は?』の質問にべつやくさんが「今がもうだいぶ”将来”だからなー」と答えていたのが妙に胸に刺さった。そうか、小学生の時よりグッと我々は将来にいるのだ。
林さん、スヌーピーの横に定年の話を書くひと初めて見ました
林さん、スヌーピーの横に定年の話を書くひと初めて見ました
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