特集 2018年3月29日

スパイスを漬けた塩麹をファミチキにかけたらうまくなる

マスタードシードを漬け込んだ塩麹もうまいです。
マスタードシードを漬け込んだ塩麹もうまいです。
2011年から2012.年頃にかけてブームになった塩麹。かなり認知されて今も色々使われています。しかし、多くの人が買ったはいいがどう使ったらいいか分からず放置。作ったはいいが持て余した。なんて人が多いのではないでしょうか?

確かに塩麹はおいしいのですが、ベースは塩味。醤油麹とか魚醤麹なんてバリエーションもありますが、そちらはあまり売っていません。そして、甘酒と違ってそのまま飲めるという訳ではないので、塩ベースの味のみでは使い方に悩む人も多いかもしれません。

 そんな方に朗報です。持て余した塩麹でスパイスを漬けませんか。いえ、大量には要りません。塩麹大さじ3杯程度から出来ます。そして、出来たものは、今ある料理にちょっとかけるだけで味を大きく飛躍させます。
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

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色々楽しめるスパイス漬け塩麹

スパイス漬け塩麹の作り方を説明します。まずは肉でも野菜でも幅広く合わせられるマスタードシードを漬けたスパイス漬け塩麹です。
粒マスタードの中に入っているやつです。
粒マスタードの中に入っているやつです。
マスタードシードは、その名の通りマスタードの原料。粒マスタードの中に残っているツブツブと同じものです。おでんに使う和からしがありますが、どちらもアブラナ科のカラシナの種という点では同じです。

和からしはオリエンタルマスタードシード。マスタードにはブラックマスターシード、ブラウンマスターシードというものが使われます。マスタードにしたときに出てくる成分が異なり、和からしの方が鼻にツンときます。
マスタードシードは少し大きなスーパーか、デパートの食品売り場とかで売っています。こちらはエスビー食品のもの。
マスタードシードは少し大きなスーパーか、デパートの食品売り場とかで売っています。こちらはエスビー食品のもの。
その他、マスタードと和からしでは、酢を入れるとか製法の違いもありますが、その辺りは各自調べてください。

では、マスタードシード漬け塩麹の作り方です。マスタードシードと塩麹。あと、保存用の瓶。ジャムの瓶ぐらいの物で大丈夫です。最後にフードプロセッサーも使います。
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熱湯やアルコールで殺菌した瓶にマスタードシードを入れます。今回は大さじ2杯入れました。
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続いて塩麹を瓶に入れます。粒マスタードが大さじ2に対して、塩麹が大さじ6ぐらいです。適宜調整してください。
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かき混ぜてマスタードシードが全体に馴染むようにします。あとはフタをして冷蔵庫へ。2、3日に1回程度かき混ぜて、約10日間保存します。
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10日ほど保存すると、こんな感じに粒が膨らんでいます。これをフードプロセッサーに入れて粒マスタードを砕き、ペースト状にします。
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フードプロセッサーが無ければすり鉢とかでも構いません。粒を完全にすり潰すのは大変なので、おおよそで構いません。
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ペースト状になったら、また殺菌した小瓶に戻して完成です。
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出来上がったマスタードシード漬け塩麹は、市販されている粒マスタードと比べると、辛さはかなりマイルドで旨味が強く、粒マスタードというよりもマヨネーズ感覚で使える調味料となります。
普通のマヨネーズと味はかなり違いますが、ちょっとピリッと辛みのあるマヨネーズ風調味料ということで。
普通のマヨネーズと味はかなり違いますが、ちょっとピリッと辛みのあるマヨネーズ風調味料ということで。
肉によし、魚によし、野菜によし。かなり幅広く使える調味料です。しかも、そのままの塩麹と違い、シンプルで奥深い旨味に加えて、スパイスによるまろやかな風味が入ります。
粒マスタードの代わりに茹でたウインナーに添えて。 
粒マスタードの代わりに茹でたウインナーに添えて。 
粉末状のマスタードを塩麹に入れて混ぜれば近い物はできます。ただ、熟成された穏やかな風味が感じられるのは、粒で漬け込んでペースト状にしたものになります。
当然ビール飲むよね。
当然ビール飲むよね。
また、マスタードシードではなく、粉末状のマスタードを入れて10日ほど置くと言う手もありますが、出来上がりの辛味や風味がかなり下がってしまうので、粒で漬けてすりつぶすのがオススメ。出来上がったものも、長く置いておくと香りが落ちてくるので、あまり一度に多く作らないほうがいいようです。
ビールが手放せないうまさ。粒マスタードよりもマイルドで上品。ウインナーの味が引き立ちます。
ビールが手放せないうまさ。粒マスタードよりもマイルドで上品。ウインナーの味が引き立ちます。
写真では、粒マスタード代わりにウインナーに添えましたが、今の時期ならこんなものにもオススメです。
菜の花のマスタードシード漬け塩麹がけ。
菜の花のマスタードシード漬け塩麹がけ。
茹でた菜の花にマスタードシード漬け塩麹をかけます。和からしを使った菜の花の辛子和えという料理がありますが、あれよりももっと辛さがマイルド。そして塩麹の程よい酸味と、麹由来の甘味や旨味が菜の花のほろ苦さと合わさって心地よく感じられます。
これは日本酒飲むよね。
これは日本酒飲むよね。
菜の花以外にも、茹でたタケノコなどにも合います。カマボコなどシンプルな味の物に醤油代わりとして使えます。更に、酢やオリーブオイルなどを加えてドレッシングとして使うことも出来ます。色々オススメです。
日本酒が手放せないうまさだね。 
日本酒が手放せないうまさだね。 

クミンシード漬け塩麹をファミチキにかけるとよりうまくなる

次はクミンシード漬け塩麹です。和食のイメージの塩麹だが、クミンシード漬け塩麹は、かなりエスニックな味の塩麹になります。
クミンシード。インド、ネパールなどのカレー屋に行くと感じるあの香りです。
クミンシード。インド、ネパールなどのカレー屋に行くと感じるあの香りです。
こちらもクミンシード大さじ1に対して塩麹大さじ3ぐらいで瓶に入れ、かき混ぜつつ10日ほど冷蔵庫で保管し、すり潰せば出来上がります。
香りは超エスニック。
香りは超エスニック。
見た目はマスタードシード漬け塩麹と大して変わりませんが、香りはかなり異なります。辛くないマイルドなカレーとでもいいましょうか。塩麹の塩気と旨味にガンジスの流れを感じます。
これだけでも十分美味しいですけどね。もっとうまくなります(当社比)。
これだけでも十分美味しいですけどね。もっとうまくなります(当社比)。
これに合わせるのは羊肉などちょっとクセのあるもの。あと、揚げ物系でしょうか。ファミリーマートで売っている骨なしフライドチキンのファミチキにかけて食べてみたところ、そのままよりもかなりうまい。
爽やかでより上質な感じになるのです。
爽やかでより上質な感じになるのです。
油の強さを程よくおさえ、スッキリと上質な味わいにします。脂の旨味、塩麹の旨味。そこへ、漬け込むことによって落ち着きのでたクミンの香りが合わさり、軽快な後味に変えていきます。これはかなり合います。
付け合せのソースとして売り出してもいいレベルじゃないか。
付け合せのソースとして売り出してもいいレベルじゃないか。
クミンの味はパクチーと同様に好みが分かれる味なので、個人差は出ると思いますが、クミンシード漬け塩麹かけファミチキはオススメです。

あと、クミンシード漬け塩麹はこんな料理でもいけます。
砂肝のコリコリした食感。いいよね。
砂肝のコリコリした食感。いいよね。
茹で砂肝のクミンシード漬け塩麹がけです。砂肝の独特な風味と、クミンシードの香りがよくあいます。下に敷いてあるキュウリも、その青臭さがクミンシード漬け塩麹にあうので、砂肝無しでクミンシード漬け塩麹和えキュウリサラダなんてのもアリかと思います。

ホアジャオ漬け塩麹はサラダチキンに合う

続いてはホアジャオ(花椒)漬け塩麹です。
日本の山椒よりも香りも辛さも強め。
日本の山椒よりも香りも辛さも強め。
ホアジャオは中国原産で、四川料理などに良く使われます。日本の山椒と同じミカン科の植物ですが、種類が異なります。同じように3対1で小瓶に入れて作ります。
辛味は少なくなるが香りがいい。
辛味は少なくなるが香りがいい。
そのままのホアジャオをかじるとかなり辛いですが、これはあまり辛くありません。香りは山椒に似た爽やかな香りが感じられます。
厚揚げは焼いただけでいいおつまみになる。
厚揚げは焼いただけでいいおつまみになる。
ホアジャオ漬け塩麹は比較的アッサリしたものに合うようです。焼いた厚揚げで試してみました。程よい塩気にホアジャオの香りが入り、穏やかな旨味が感じられます。
これも日本酒向けだね。 
これも日本酒向けだね。 
そして、ホアジャオ漬け塩麹は、コンビニで売っているサラダチキンにも合います。
切って盛ってかけるだけ。
切って盛ってかけるだけ。
サッパリとしたサラダチキンに塩麹の旨味が加わり奥深い味になります。ホアジャオ漬け塩麹は、湯がいた鶏ささみとか、少しワサビを入れて刻んだ山芋にかけてもいけそうです。

かなり濃い目の黒胡椒漬け塩麹

最後は黒胡椒漬け塩麹です。
黒胡椒だけはすり潰してからがいいかもしれない。
黒胡椒だけはすり潰してからがいいかもしれない。
作り方は他の物と同じです。塩麹に漬け込みすり潰します。ただ、黒胡椒だけは他の物と異なるところがあります。
黒い。香りもかなり強め。 
黒い。香りもかなり強め。 
粒で作るとかなり色が黒くなります。そして、他のもの違って、粒がなかなか潰れません。香りもかなり強いので、黒胡椒に関しては粒で漬け込まず、ミルで挽いてから漬け込むのがいいかと思います。
豚バラカルビ焼き黒胡椒漬け塩麹乗せ。
豚バラカルビ焼き黒胡椒漬け塩麹乗せ。
黒胡椒漬け塩麹は他のものよりも、かなりスパイシーです。合わせるなら油の強い物の方がいいでしょう。焼いた豚バラカルビに乗せてみました。かなりスパイシーで刺激的ですが、塩麹の作用なのか脂がスッキリとかんじられます。
かなり濃い目ですがこれはこれで美味しいです。
かなり濃い目ですがこれはこれで美味しいです。

時間はかかるが少量から出来ます

スパイス漬け塩麹は、スパイス大さじ1に塩麹大さじ3ぐらいからの量で作ることができます。10日ほどかかりますが、冷蔵庫に入れておいて、時々瓶ごと振ってかき混ぜればいいので、割と楽にできます。フードプロセッサーは要りますが、気になるかたは試してみてください。

おそらく他にも漬け込んだらうまくなるスパイスがあるはずなので、知っている方、発見した方がいましたら教えてください。

どこかのスパイスメーカーでスパイス漬け塩麹作ってくれないですかね。既にありますか?無かったらお願いします。
そのまま舐めても酒の肴として割といけます。 
そのまま舐めても酒の肴として割といけます。 
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