特集 2018年4月2日
 

なぜ明太子が博多名物なのか、ふくやの社長に聞いてみた

家庭用と贈答用は何が違うの?

主夫目線の質問で恐縮ですが、家庭用と贈答用って値段がだいぶ違いますけど、何が違うんですか?
うちの場合は、材料の質に大きな違いがあるということはありません。質の悪いものは仕入れませんから。一番の違いは、皮が切れているか、切れていないか。 これは見た目の問題だけではなく、切れてしまうと、そこから調味液が余計に染み込んでしまうので、味のコントロールが厳密にできないからです。贈答用の方が、我々の狙った味になっています。
おおお、納得の答えです。
魚卵には産卵口という放卵用の穴があるのですが、ここが大きすぎるものも調味液を吸い過ぎるので、贈答用としてはNGです。 下になるので見えない部分ですが、味の仕上がりに影響があるので。家庭用でも充分美味しいですが、たまに贈答用を食べてみると、やっぱり違うってなると思いますよ。
贈答用はなかなかのお値段ですね。
贈答用はなかなかのお値段ですね。
私より味覚の鋭い官能検査員というのが工場にいまして、彼らが食べて納得しない場合は、容赦なく家庭用や加工用に回します。これくらいいいんじゃない?っていうときも容赦ないんで怖いですよ。
社長も恐れる官能検査員だ。ところで明太子の味って、時代に合わせて変わっているんですか?
昔は冷蔵ではなく常温保存だったこともあり、塩分濃度が8〜12%と高かったんです。時代に合わせてお客様の嗜好が変わっていくため、そのまま味を変えないと、塩辛いという声が増えていく。そこでアンケート結果なども踏まえて味付けを調整してきたことで、今は4%を切ってます。私は月に1キロくらい明太子を食べていると思いますが、コレステロール値も尿酸値も正常ですよ。
時代に合わせて塩分が下がっているのは、塩鮭や梅干しと一緒ですね。
昔はおかずが少ない中で、どれだけご飯が食べられるかが良い副菜の条件でしたので、塩辛いものが多かったんでしょう。 一切れあればご飯三杯みたいな。ただ昔の塩辛い明太子を懐かしむ人もいらっしゃいますので、国産タラコと無殺菌唐辛子を使った、創業当時に近い味の『復刻』という商品も出しています。これをご飯に薄ーく伸ばして食べるとうまいんですよ。
今はハクハクに勤務している、初代社長の頃からの社員であり『復刻』の開発に携わった橋田さん。復刻、ものすごくご飯がすすむ味で超好みでした。
今はハクハクに勤務している、初代社長の頃からの社員であり『復刻』の開発に携わった橋田さん。復刻、ものすごくご飯がすすむ味で超好みでした。

イタリアから明太スパゲティが逆上陸するかもしれない

韓国以外の海外でも、明太子は食べられているんですか?
海外に持っていって明太子をいきなりみせると、悪い意味でウォーっとなります。『ディスカスティング!=むかつく、気持ち悪い』って感じですよ。明太子の形を見て美味しそうって思うのは、日本でそういう文化で育っているからなんです。
博多で最初に明太子を発売した時のお客さんと似た反応ですね。
外国でも受けそうなチューブ状になった明太子『ツブチューブ』も試食できる。とろろ入りがおいしかった。
外国でも受けそうなチューブ状になった明太子『ツブチューブ』も試食できる。とろろ入りがおいしかった。
もう味の問題以前。『内臓だ!きもい!』ってなるので、海外では粒状のものしかヴィジュアルイメージとしても出さないですね。粒ならキャビアなどもあるので、多少抵抗感が減るみたいです。現在の販売先は、台湾、香港、シンガポールなどですが、ヨーロッパ上陸も狙っています。イタリアやスペインは魚卵をけっこう食べますし、ボラやマグロの卵で作ったボッタルガというカラスミに近いものをパスタにして食べるので、明太スパゲティもいけるんじゃないかなと。
まさかのイタリアで明太スパ!
本場に明太スパゲティがないために、日本の高級イタリアンに『明太子を使いませんか?』って営業しても、『帰れ!うちは本格イタリアンだぞ!』っていわれちゃうんで。何十年後かにイタリアの若者から、『なにいってんの、明太スパゲティはイタリアの料理だぜ』って言われたいですね。
レギュラーの13.5倍辛い辛皇(ホットエンペラー)を試食して苦しむ社長。「うわー。これがなかなか……クセになるんです!」
レギュラーの13.5倍辛い辛皇(ホットエンペラー)を試食して苦しむ社長。「うわー。これがなかなか……クセになるんです!」
といった川原君、いや社長の話を踏まえて、後日ハクハクの見学へと向かったのだった。
ありがとうございました!
ありがとうございました!

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