特集 2018年4月3日
 

靴下で神経衰弱をすれば、もっと靴下のことを理解できるかもしれない

「靴下ハイ」になりました。
「靴下ハイ」になりました。
洗濯物を取り込んでたたむ時、靴下のもう片方が見つからない。厄介な問題である。

ならいっそそういう体験をゲームにしてみたらいいのではないか。
1987年東京出身。会社員。ハンバーグやカレーやチキンライスなどが好物なので、舌が子供すぎやしないかと心配になるときがある。だがコーヒーはブラックでも飲める。

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靴下のペア探しが厄介だ

技術が進化のより、掃除や食器洗いを機械が丸ごとやってくれるようになった昨今だが、「全自動洗濯物たたみ機」はまだ一般家庭には普及していないように感じる。取り込んだ洗濯物の山をよきところに置いて、そこから一着一着、人の手でたたんでいくしかないのだ。

特に厄介なのが靴下である。あれはペアを探してたたむ必要があるのだ。しかし適当に取った一枚と同じものが見つからない。
「これだ!」と思って並べてみたら少し色が違う。黒や紺の靴下でよくこういうことが起
「これだ!」と思って並べてみたら少し色が違う。黒や紺の靴下でよくこういうことが起
勘違いして間違えたペアのまましまってしまう時もある。そういう時は履いてから気がつく。
勘違いして間違えたペアのまましまってしまう時もある。そういう時は履いてから気がつく。
朝、急いでいる時間だったりすると、ペアを探し直している時間もないのでそのまま会社に行ってしまう。きっと仕事のパフォーマンスは悪いだろう。靴下を互い違いで履いている社会人が、仕事がうまくいって賞賛を浴びている図はちょっと想像できない。

靴下のペア探し、厄介だ。ならばいっそ、そういうゲームとして捉えてみよう。探すのが楽しくなるかもしれないし、ペアを見つけるコツが分かるかもしれない。

16ペアの靴下を用意

靴下でペアを探すゲームをしようと思い、たくさん靴下を用意した。
色んなワゴンセールで買いました。
色んなワゴンセールで買いました。
並べると、こう。
並べると、こう。
撮影当日のお昼頃、お店を回って買い集めた。大半の靴下が真っ黒に見えるが、肉眼で見るとどれも微妙に色が違う。そして形や模様、生地の質感が違う。ただ、遠目で見るとこのように全部同じように見えるのだ。双子くらいの微妙な違いしかない。これは間違えてもしょうがないんじゃないか。今までの自分を慰めてあげたい。
例えばこれは、かなり真っ黒に近い色で、太めの毛糸でできていてもこもこしている感じ。
例えばこれは、かなり真っ黒に近い色で、太めの毛糸でできていてもこもこしている感じ。
これは他の靴下より少し細い。色は、少しグレーがかっていて薄くてよく伸びそうな生地。
これは他の靴下より少し細い。色は、少しグレーがかっていて薄くてよく伸びそうな生地。
ポロの靴下はポロのロゴがあるので見分けやすい。
ポロの靴下はポロのロゴがあるので見分けやすい。
そして並べてみて気が付いたのだが、色違いのつもりで買った靴下が、全く同じ色だった。
黒と紺だと思っていたのにどちらも黒かった。既に翻弄されている…!
黒と紺だと思っていたのにどちらも黒かった。既に翻弄されている…!
洗濯物を取り込んで靴下をもさもさと探す、あの感覚が蘇ってきた。ゲームを行うので、タグを外して混ぜておこう。
山にすると、凄みが出た。
山にすると、凄みが出た。
混ぜる。ぞくぞくした。
混ぜる。ぞくぞくした。
混ぜると、今取り返しのつかないことをしている、という感覚がじわじわやってきた。料理が下手な人間が、溶いた卵をフライパンに入れる瞬間の気持ちと似ている。ジュワーと言いながら卵が固まっていく。もう元には戻れないのだ。

神経衰弱をしてみよう

いや、戻せるはずだ。やってみよう。ただの16ペアの靴下の山である。これのペアを探すゲーム、つまり神経衰弱をしてみよう。
こういうことだ。
こういうことだ。
ペアをバラバラにして並べて、見えないように紙をかぶせた。これを2枚めくってペアができたら1ポイント、ポイントを取った人は外すまでターンが続く。神経衰弱と同じルールだ。
編集部の藤原さんと対戦しました。
編集部の藤原さんと対戦しました。
上の写真からもわかる通り、「やってみましょう」となって盤面と対峙した時の絶望感がすごい。靴下の山を見てどうしようどうしようと思っていたのに、なぜ僕たちは紙をかぶせたのか。
と思ったら、藤原さんが適当にめくってグレーの靴下を揃えていた。
と思ったら、藤原さんが適当にめくってグレーの靴下を揃えていた。
誰の人生にも影響を与えない、すごくどうでもいい奇跡が起きたが、その後の神経衰弱はやはり難航した。
2枚めくって、ペアかどうか少し考える時間がある。
2枚めくって、ペアかどうか少し考える時間がある。
めくると「おっ…?」「んん?」と声が上がる。
めくると「おっ…?」「んん?」と声が上がる。
手元に持ってこないとペアかどうか分からないのだ。
手元に持ってこないとペアかどうか分からないのだ。
「そろ…ってます、ね!」
「そろ…ってます、ね!」
トランプでやる神経衰弱ならめくった瞬間にペアかどうかがはっきり分かる。数字が書いてあるからだ。それに対して靴下のアイデンティティーはやはり微妙である。「ちょっとグレーがかっている」とか「なんか長め」とか、そういうぼんやりした特徴しかない。だから2枚目をめくった時の「おっ…!」という空気感は新鮮でおもしろかった。
この瞬間。みんなが少し前のめりになる。
この瞬間。みんなが少し前のめりになる。
揃うと嬉しい。
揃うと嬉しい。
試合が中盤に差し掛かると、場所を覚えておかなければいけない靴下が増える。その時、靴下の特徴を短く的確に表して名前を付けておくと便利である。僕の場合は、色と形で覚えていった。
一通り見て、こんな感じの特徴があると思った。
一通り見て、こんな感じの特徴があると思った。
これらを組み合わせて「真っ黒の短い靴下」とか「濃いめのグレーの縦縞がはっきりしたやつ」という感じで名前を付けていく。
ポロの靴下はポロ。覚えやすいので「ポロはチャンス」という雰囲気があった。
ポロの靴下はポロ。覚えやすいので「ポロはチャンス」という雰囲気があった。
この日のゲームには黒ポロ、濃いグレーポロ、グレーポロ、紺ポロ、チェックポロの5ポロが存在していた。

神経衰弱として楽しく成立しました

はじめは「難しすぎるんじゃないか」という意見もあったが、やってみると神経衰弱として素直に楽しんでしまった。洗濯物をたたむ時もこういう気持ちで望めばいいのだ。
終盤で大量ポイント、という神経衰弱でよく起きるやつも起きた。(紙が置かれていない靴下が、もうペアが成立したもの)
終盤で大量ポイント、という神経衰弱でよく起きるやつも起きた。(紙が置かれていない靴下が、もうペアが成立したもの)
やってみて思った、靴下を見分けるポイントはこちらである。
色を頼りにしがちだが、かなり覚えにくいので注意した方がいい。
色を頼りにしがちだが、かなり覚えにくいので注意した方がいい。

最後までできた

コツをつかんだのか、中盤からは順調にゲームが進み、
9ペア(机上段)-7ペア(机下段)で、藤原さんが勝ちました!
9ペア(机上段)-7ペア(机下段)で、藤原さんが勝ちました!
「勝因は、分かりやすいグレーの靴下を確実に取ったことですよねー」とか話し合っていた。真面目だ。
「勝因は、分かりやすいグレーの靴下を確実に取ったことですよねー」とか話し合っていた。真面目だ。

競技を変えてみたらどうか

意外とゲームとしてしっかり楽しんでしまった。では競技を変えてみたらどうだろうか。靴下の別の側面が見えてくるのではないだろうか。
こう並べて、
こう並べて、
少し遠くからペアを探す、というルールに変えてみる。
少し遠くからペアを探す、というルールに変えてみる。
自分で考えておいてなんだが、並べてみて「マジかよ…」と思った。なんかもうクラクラしてくる。
離れた場所から2枚の靴下を指定して、撮影をしてくれていたライターの井口さんにペアかどうかジャッジしてもらう。
離れた場所から2枚の靴下を指定して、撮影をしてくれていたライターの井口さんにペアかどうかジャッジしてもらう。
意外なものがペアだったりする。面白い。
意外なものがペアだったりする。面白い。
これが靴下のペアを探す人間たちの笑顔である。
これが靴下のペアを探す人間たちの笑顔である。
結果は同点だった。僕は終盤、この4枚を見分けられなくてすごく苦労した。今見ても同じに見える。
結果は同点だった。僕は終盤、この4枚を見分けられなくてすごく苦労した。今見ても同じに見える。
最初の競技に引き続き、とても楽しかった。相変わらず並べた際の絶望感はすごいが、一生懸命見ているとペアに見えるものも出てくるのだ。(写真を見ると同じものが散らばっているようにしか見えないが、肉眼ではもう少し見分けがつく。)難易度がちょうどいい。

やはりこの気持ちだ。絶望的な状況を何とかしようと試行錯誤するところに面白さが生まれる。洗濯物をたたむ時もこうありたいと思った。
この競技で分かったこと。遠くから靴下を見る時は気をつけよう。
この競技で分かったこと。遠くから靴下を見る時は気をつけよう。

あと5種目もやった

なんと、あと5つもの靴下を使った競技を試していた。続けて紹介したい。
靴下、小さい箱に収納対決。
靴下、小さい箱に収納対決。
これ、当時は気がつかなかったがペアの話が関係なくなっている。靴下16足を机に広げて、その迫力に当てられてしまっていたのかもしれない。「靴下ハイ」になっていたのだ。
藤原さんが下の段に6足も入れていた。ポイントは、薄い靴下を選んで少なく折って入れること。
藤原さんが下の段に6足も入れていた。ポイントは、薄い靴下を選んで少なく折って入れること。
靴下、飛ばし対決。
靴下、飛ばし対決。
靴下を輪ゴム鉄砲のように伸ばして飛ばす。
なんかすごくちょうどいい接戦であった。
なんかすごくちょうどいい接戦であった。
ポイントは、よく伸びる靴下を選ぶことと、飛ばす瞬間にうまく反動をつけること。
靴下、脇の下に入れ対決。
靴下、脇の下に入れ対決。
筆者の脇にはたくさん靴下が入って「才能がある」と褒められた。
筆者の脇にはたくさん靴下が入って「才能がある」と褒められた。
何がポイントだったかも分からない。気がついたら脇の下にたくさん靴下が入っていた。
靴下、グラデーションに並べ対決。
靴下、グラデーションに並べ対決。
ポイントはよく見ること、そして3人で協力すること。もう対決じゃなくなっている。
ポイントはよく見ること、そして3人で協力すること。もう対決じゃなくなっている。
きれいだ。
きれいだ。
靴下で靴下と書き対決。
靴下で靴下と書き対決。
「なんか文化祭みたい!なんか文化祭みたい!」と興奮しながら作っていた。
「なんか文化祭みたい!なんか文化祭みたい!」と興奮しながら作っていた。
今見ても文化祭みたいでいいなと思う。
あとスイミーも作った。明るいグレーの靴下がスイミーだ。
あとスイミーも作った。明るいグレーの靴下がスイミーだ。
魚なのですしざんまいのポーズを取ることに。これも文化祭っぽい。
魚なのですしざんまいのポーズを取ることに。これも文化祭っぽい。
靴下なのであしざんまいだ。
靴下なのであしざんまいだ。
最後はもう対決でもないしペアの話がどこかにいってしまったが、ここまでで得られた知見をまとめるとこのようになる。
!
要らない知識が多い感じがするが、全部この身で体験したことである。きっと何かの役に立つと思う。

ポロと認識してしまう僕たちの目

撮影中、井口さんが「ポロのロゴ、よく見ると全然馬と人じゃないんですね」と言った。
本当だ。
本当だ。
ミシンがけを失敗してぐじゃぐじゃに塗ってしまった跡に見える。これが靴下のそれっぽい場所にあるだけで馬と人だと認識してしまうのだ。これが、僕たちがポロから受け続けた教育の成果である。
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