特集 2018年5月2日

日本をインドに(むりやり)してしまえ

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20代以前は知らないかも、というより私も世代じゃないんだけど、かつて「日本をインドにしてしまえ!」と叫んだロックバンドのボーカルがいた。

筋肉少女帯の『日本印度化計画』という曲のフレーズだ。しかし、それからおよそ30年が経った今、日本がインドになるそぶりは見えない。当然だが、ならばこの手で勝手にしてしまおうじゃないか!日本をインドに。
1984年大阪生まれ。2011~2019年までベトナムでダチョウに乗ったりドリアンを装備してました。今は沖永良部島という島にひきこもってます。(動画インタビュー

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インドの写真をチョキチョキチョッキン

インドの手先になって日本への支配を手引きしてまえ!という訳でもなんでもない。そんなことしたら外患罪でしょっぴかれてしまう。それにしても、「インドの手先」って昭和の特撮に出てくる強敵っぽい響きでそそるな。なんとなくターバンに武器がたくさん仕込まれていそうだ。

で、インド化のやり方はいたってシンプル。
インドの写真を切り抜いて、
インドの写真を切り抜いて、
透明な下敷きに貼って、
透明な下敷きに貼って、
写真を撮るだけ。
写真を撮るだけ。
このサイズじゃ巨人だ。
このサイズじゃ巨人だ。
いやぁ、なんというか…工作って難しいですね。

いけると思ったが想像を超えて雑だった。終始こんな感じなので、完成度の期待値はここに留めて読んでもらった方がお互いにしあわせです。
だが、人には引き下がれない時がある(大量につくったから)。
だが、人には引き下がれない時がある(大量につくったから)。
これはご覧の通り、印刷した紙をハサミで切り抜くだけという超アナログな方法を取っているけど、当初はトリミングした画像データをひとつひとつ塩ビ板(透明な板)に印刷する予定だった。が、それはさすがに費用がかさむので、紙を切って貼るだけの手法に切り替えた訳。
つまりこんな感じでトリミングしていた。
つまりこんな感じでトリミングしていた。
背景を黒くすると、たちまち次元の狭間を迷える人に。
背景を黒くすると、たちまち次元の狭間を迷える人に。
ハサミで切るならとっととコンビニにでも行って写真をそのまま印刷すればいいのですが、なぜかここで私は印刷用データにわざわざトリミングしようとしてしまっていたのね。んで途中で、俺はアホか、どうせ切るならこの時点でトリミングする必要全然ないやんか、って気づいて。

つまり、ハサミの切り抜きとPCのトリミングが頭の中で混同してしまっていたんだけど、それって現実世界で作業を戻したいときに心の中のControl+Zを押しちゃうものだなぁと思って。どう転んでも説明が分かりづらいものになるので、意味不明だったらスルーしてもらって大丈夫です。

東京をインドにしてしまえ

それでは本題に戻って、さっそく日本をインドにしたい。まずは予行練習ということで、東京でやってみよう。
名もなき河川に来てみた(いやあるけど)。
名もなき河川に来てみた(いやあるけど)。
ちなみに今回使うインドの写真は、すべて編集部の安藤さんから拝借した。定期的にインドの写真を撮ることがライフワークらしい。すごいな。インドは好き嫌いが分かれる国だと聞くが、好きになれる人には人間としてのたくましさを感じてしまう。

とかいいながら自分は行ったことがないから確かめようがなく、行った人の8割方は「毎日腹壊した」「道を尋ねたらウソをつかれる」って言うんだから、実像以上にハードルを上げすぎているだけなのかもしれない。

ともかくもそういう訳で、安藤さんによる写真についての説明もキャプションとして交えつつ日本をインドにしてしまっていきたいと思います。
インド写真1、『野良犬が多いのもインドの特徴です。朝に清掃員が集めたゴミを、トラックが回収するんですが、それが犬の食卓や寝床になります。牛と違ってハードな扱いを受けていますが、なんとなく幸せそうです』
インド写真1、『野良犬が多いのもインドの特徴です。朝に清掃員が集めたゴミを、トラックが回収するんですが、それが犬の食卓や寝床になります。牛と違ってハードな扱いを受けていますが、なんとなく幸せそうです』
ゴミの上に横たわる、そんな犬を重ねて…
東京をインドにしてしまえ!
東京をインドにしてしまえ!
あ、さっきよりはハマった気がするな。
インド写真2、『雰囲気的にバナラシの路地じゃないかなと思います。路上のきたなさ、牛、バイク、とインドを表す要素がうまく入っています』
インド写真2、『雰囲気的にバナラシの路地じゃないかなと思います。路上のきたなさ、牛、バイク、とインドを表す要素がうまく入っています』
そんな牛を重ねて…
東京をインドにしてしまえ!
東京をインドにしてしまえ!
牛も割とそれっぽくなったんじゃないか。
犬も牛も、少しだけボカすとよい感じに。
犬も牛も、少しだけボカすとよい感じに。
透明な下敷きも完全な透明とはまったく言えないので、錯覚を覚えさせるほどではないが、画像加工でボカして立たせたい位置の解像度に合わせると割とそれっぽくなる。できれば加工はしたくなかったが、もともと無理のあった企画だったことが分かったので妥協させてほしい。

このまま東京で撮りつづけたかったが、スケジュール上の都合から次の撮影場所は金沢ということなりました。

金沢も神戸も大阪もインドにしてしまえ

金沢へ。
金沢へ。
そう、河川敷!ここでしか撮れないものがあるからね。なぜならば、インドといえばあの川があるから…。
そう、河川敷!ここでしか撮れないものがあるからね。なぜならば、インドといえばあの川があるから…。
インド写真3、『バナラシ・ガンジス川の午前中の風景。対岸は不浄の地と言われているので誰もいません』
インド写真3、『バナラシ・ガンジス川の午前中の風景。対岸は不浄の地と言われているので誰もいません』
そんなガンジス川のほとりで涼んでいる人を重ねて…
金沢をインドにしてしまえ!
金沢をインドにしてしまえ!
やはりちょっとボカすのが肝だな。
やはりちょっとボカすのが肝だな。
この河川敷の方には段差がなかったためか、下段にいる人たちが実際以上に小さく見える。ガンジス川の方は階段のまま川に入る形になるので、その条件にそっくり当てはまる場所は日本じゃなかなかないのかもしれない。
インド写真4、『たくさんの人がバスを待っている様子を撮りたくて道に出たんですが、全員がこちらを向いたためカメラ目線が凝縮された写真になりました』
インド写真4、『たくさんの人がバスを待っている様子を撮りたくて道に出たんですが、全員がこちらを向いたためカメラ目線が凝縮された写真になりました』
バス停ではないが、すごく体幹の良い人たちという設定で無理やり土手に重ねてみた。
バス停ではないが、すごく体幹の良い人たちという設定で無理やり土手に重ねてみた。
世代や性別がバラバラの人たちが大人数で河川敷にいると、なぜか親戚一同で夕日を眺めている気になってくる。たぶんAlways三丁目の夕日でそんなシーンがあったからだろうな。
インド写真5、『場所はバナラシだと思います。インドはこうやって路上で野菜や雑貨を売る人が多いんですが、だいたいみんなやる気がないです』
インド写真5、『場所はバナラシだと思います。インドはこうやって路上で野菜や雑貨を売る人が多いんですが、だいたいみんなやる気がないです』
金沢城の石垣に重ねると…
金沢城の石垣に重ねると…
めちゃくちゃ気持ちよさそう。
めちゃくちゃ気持ちよさそう。
多少暗い方が細部をごまかせてより現実感が増す。
多少暗い方が細部をごまかせてより現実感が増す。
インド写真6、『選挙期間中だったようで、いたるところで選挙演説が行われていました。道に落ちているのは候補者と支持者がまいた花です。演説が終わっても特に誰も片付けません』
インド写真6、『選挙期間中だったようで、いたるところで選挙演説が行われていました。道に落ちているのは候補者と支持者がまいた花です。演説が終わっても特に誰も片付けません』
ちょうど広いスペースがあったので…
ちょうど広いスペースがあったので…
と、これはいくらなんでも無理があった。本来のローアングルだと写真を滑り込ませるスペースが足らない。
と、これはいくらなんでも無理があった。本来のローアングルだと写真を滑り込ませるスペースが足らない。
インド写真7、『インドでは建築の足場を竹で組んでいました。資材を運ぶのは自転車です』
インド写真7、『インドでは建築の足場を竹で組んでいました。資材を運ぶのは自転車です』
所変わって神戸某所の道路…
所変わって神戸某所の道路…
うん、けっこうしっくり収まった。
うん、けっこうしっくり収まった。
インド写真8、『デリーかな。状況は忘れました!』
インド写真8、『デリーかな。状況は忘れました!』
大阪の路地…
大阪の路地…
これも意外なほどしっくり。
これも意外なほどしっくり。
あっ、ビル風が!!
あっ、ビル風が!!

日本印度化計画はラクじゃない

完成度はお察しなんだけど、それでも写真で見ると撮影中に肉眼で見ていたよりもいくぶん錯覚は強くなり、楽しめた。途中であえてボカしたらなんとなくそう見えたように、奥行きを一致させてそこにあるように見せられるかどうかが鍵なんだろう。ノウハウは、前々回記事にした『「現実化したフォント」がおしゃれなのでマスターしたい』に通じる気がする。

それに、最後の大阪の、ちょっとうらぶれた感じのある場所だと違和感がなかった。インド化するにしても、相性はあるらしい。同程度の、「アングル」「奥行き」「衛生面」を意識すれば、そこそこインド化できるのかもしれない。今度は一度現地に飛んで研究しようじゃないか。

ちなみに、インド化だインド化だと言ってるが、そもそも最初は香港に行ったときに有名な看板群を見て、「これ日本の街並みに重ねたらなんでも香港になるんじゃない?」と思ったことがきっかけでした。それじゃバリエーションがなさすぎるので、結局やらなかったけど。
やっぱり本物の見ごたえはあったよね。
やっぱり本物の見ごたえはあったよね。
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