特集 2018年5月18日
 

温泉街の理容器具マニアの夢の店へ

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鳥取にある三朝温泉。鳥取は砂丘のイメージが強かったが、実は有数の温泉地でもあるのだ。

そんな三朝温泉には、理容器具コレクターがご主人の、“理容器具マニアの夢の店”がある。実際に訪れるまでは「理容器具? なにそれ?」とピンと来ていなかったが、お店にて理容器具の魅力と奥深さをこれでもかと知ることになる。
1986年生。大人げない大人を目指し、日夜くだらないことを考えています。ちぷたそ名義でも活動しています。

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三朝温泉
三朝温泉
鳥取にある三朝温泉。鳥取の真ん中ぐらいにある倉吉からは路線バスを使って20分ほど。レトロな雰囲気の温泉街で、とにかく自然・自然・自然……自然がすごい!
温泉本通り
温泉本通り
この温泉街自体レトロですごくいい雰囲気で、大自然を見ながら入ることができる温泉や足湯があるかと思えば、今はやっていなさそうだったけど「ヌード」という看板があったりする。目的のお店の隣も元はストリップ劇場で、現在は町内外の催しの発表の場として貸し出す芝居小屋になっている。

梶川理髪館

梶川理髪館
レトロな店構えの理髪店です
そんなレトロな三朝温泉の温泉本通りにあるお店、「梶川理髪館」。今年で創業100周年という老舗の理容店だ。中で実際に施術をしてもらうことができる理容店でありながら、理容博物館を兼ねている。理容博物館とは……?
店内。理容アイテムがすごい!
店内。理容アイテムがすごい!
入店すると目の前に広がる、店主の梶川さんが収集した18世紀から20世紀までの様々な理容に関するアイテムたち……! レトロな理容器具に囲まれた店内は、そこだけゆっくりと時間が流れているようだった。
レトロで貴重なアイテムがたくさん並ぶ
レトロで貴重なアイテムがたくさん並ぶ
こちらはお店が忙しくない時なら、コレクションを展示しているスペースを見学することができる。とはいえ、見学させていただいた日もお客さんが入っていたが見学をさせてくれた。お店の見た目は街の小さな理容店だし、もしかしたら入るのに躊躇するかもしれないが勇気を出して入ってみてほしい。いざ入店すると別世界が広がっている。
この人形も理容に関係がある
この人形も理容に関係がある
アメリカの古い理容器具コレクターの団体「NSMCA」の初の東洋人会員でもある店主の梶川さんに、店内のコレクションを見せて頂いた。
リアルですごい。左から北軍の兵士、床屋の主人、南軍の逃げてきた兵士
リアルですごい。左から北軍の兵士、床屋の主人、南軍の逃げてきた兵士
上で見せてもらっているのはイギリスの人形。これも理容に関するグッズであり、南北戦争がモチーフの人形。北軍の兵士と南軍の逃げてきた兵士の人形、そして床屋の人形というセットである。なんで兵士と床屋の組み合わせなのかというと、南軍の逃げてきた兵士を床屋さんがバスタブにかくまっているところに北軍の兵士が来るというストーリーがあるんだそうだ。
床屋人形
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子供が施術されている床屋人形
日本では見たことがなかったが、アメリカでは様々な床屋の人形「床屋人形」が作られた。梶川理髪店には、そんな貴重な床屋人形が多数置いてある。どれもこれもユーモラスでかわいい! 
精巧に作られている
精巧に作られている
ご主人によると床屋だけではなく歯医者さんの人形も存在し、そちらは比較的手に入りやすいけど床屋人形は手に入りにくいのだとか。店内どこを見ても何かしらこういうアイテムが視界に入ってきて面白い。こうした理容に関するアイテムを、店主の梶川さんは主にネットオークションなどで収集を続けているんだとか。
髭皿(ひげざら)
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下に切り込みの入ったお皿
この不思議な形状のお皿は髭皿といい、西洋の理髪店で髭を剃る時にアゴの下に当てて使われたもの。特に古伊万里の髭皿は最も美しいといわれてヨーロッパの王侯貴族に珍重されていた。そんな貴重な品も見ることができる。
お菓子がのっている皿も……
お菓子がのっている皿も……
店内でお話を伺いながらお茶をごちそうになったのだが、その時にお菓子がのっている小皿も髭皿モチーフだった。
髭皿だ>
髭皿だ
細部までご主人のこだわりを感じる……!
ご主人の髭皿コレクション
ご主人の髭皿コレクション
ちなみに、髭皿のコレクションは今まで所持していたものは全て写真で管理されていた。すごい! 理容グッズが好きで今もたくさんの理容グッズに囲まれて……。とはいえ、もともと理容グッズが好きだったというわけではなく、コレクションし始めたのは約30年前、お仕事にしてからなんだそう。
逆回転時計
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なんとなく異世界で見た時計みたいだ
気になるアイテムがたくさんある中で私が気になったのはこれ。これは逆回転時計というもの。そう、逆さまになっているのだが、これを鏡越しで見ると……。
鏡越しで正しい時間を見ることができる
鏡越しで正しい時間を見ることができる
鏡越しで正しい時間を確認することができる。お客さんは鏡越しに時間を確認することになるので、そんな時に便利なアイテムというわけなのだ。逆回転時計も店内でいろいろなものを目にすることができる。
マスタッシュカップ
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普通のティーカップに見えるが……
店内に展示されているものはだいたい何かしら理容に関するアイテムなのだ。もちろん、この一見普通のティーカップに見えるものもそうで、これは「マスタッシュカップ」と呼ばれるもの。マスタッシュは口髭の意味でそれはどういうことかというと、実際に物を見せて頂く。
お分かりいただけただろうか
お分かりいただけただろうか
これは名前の通り「口髭を生やした紳士用のカップ」。せっかく整えた口髭を汚さないようにとカバーがついている。これがあれば髭を汚さずに飲み物を飲むことができるというわけなのだ。
シェービングマグ
いろんなデザインのシェービングマグ
いろんなデザインのシェービングマグ
この一見おしゃれなマグカップに見えるものももちろん理容アイテム。これらはシェービングマグといい、髭剃り用の石鹸を泡立てる容器。19世紀中ごろのアメリカの理髪店ではこれに客の名前を入れてキープすることが流行した。
ビフォー・アンド・アフター>
ビフォー・アンド・アフター
マグの両面にリアルな顔が作られているこのマグ「ビフォー・アンド・アフター」はイギリス製の1920年ごろのもの。左側が髭剃り前、右側は髭剃り後で髭剃り後の表情はきりっとしている。この他にも、店内は初めて見るような貴重なアイテムがたくさんあって、それぞれの用途を聞くだけでも発見があって面白かった。
バーバーショップ
カルテット
バーバーショップカルテットのCD
バーバーショップカルテットのCD
この日のBGM は「バーバーショップカルテット」というジャンルの音楽。19世紀のアメリカ、社交場でもあった理髪店に集まる男たちの中から自然発生的に生まれ、黒人音楽の影響を受け完成さたといわれている。こういう音楽ジャンルがあるというのも目からウロコだった。なんとなく楽しそうなので歯医者さんとかコックさんもバンバンやってほしいと思う。
こんなレトロな空間で施術してもらえるの最高だと思う
こんなレトロな空間で施術してもらえるの最高だと思う
こちらの人気のメニューの顔そりエステ、飛行機の時間があったので体験できなかったがぜひ体験してみたかった……。顔そりエステはクレンジングにはじまりタオル蒸しやマッサージ、顔剃りや美白マスクで丁寧に肌を磨いてくれるお店人気のメニューで、肌がつるつるになると評判だ。男性用の顔そりメニューも女性用のものもある。
お店の裏側にある河原温泉
お店の裏側にある河原温泉
三朝温泉は街の至る所に温泉もあるし、なんなら温泉街にある神社の手水も温泉という温泉地だ。こっちにきて温泉も入れるし、温泉に入ったあとに顔そりエステを体験したら最高に仕上がるんじゃないだろうか……。あああ、体験してみたかった……。

理容器具、奥が深くて面白い

大正から昭和のマッチラベル、かわいい!
大正から昭和のマッチラベル、かわいい!

何気なく足を止めたお店だったが理容の長い歴史や発見、そしてご主人のこだわりを随所に感じられる素敵なお店だった。理容器具は一見しただけでは何に使うものかわからないものが多くて、それがまた面白い。紹介したのはほんの一部なので、三朝温泉に行った際には立ち寄ってみて欲しい。旅先などで美容室や理容室の類にふらっと入る、という発想が今までなかったのが旅の楽しみとして理容室めぐり、というのもアリなのかもしれない。

取材協力

梶川理髪館・理容史料館
〒682-0123
鳥取県東伯郡三朝町三朝903-3
TEL:0858-43-2126
URL : http://barber.394u.jp/
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