特集 2018年5月24日
 

親の家にピザ窯を作るというテロ行為

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ピザ窯を自宅に作りたいがスペースがない。そこで田舎にある親の家で作ることにした。ピザ窯は1時間で作れるにもかかわらず、美味しいピザが焼けるのでおすすめです。
父は数学教師。母は国語教師。姉2人小学校教師という職員室みたいな環境で育つ。普段はTVCMを作ったり、金縛りにあったりしている。

前の記事:「のり弁文書を実際に作る」
人気記事:「いろんな生物の第二形態を作ってみる」


あなたはDIYに興味がありますか?YESであるなら、ピザ窯が作りたいはずだ。
コアラがユーカリを好むように、DIY好きの夢はピザ窯。これはもう自然の摂理。
しかし、ピザ窯を作るにあたって、ふたつの問題が存在する。
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ひとつめの「作るのがめんどくさい」これは調べてみたら簡単な方法があったので、後ほどご紹介させていただきたい。

ふたつ目の、「場所がない」。こちらはやっかいだ。ピザ窯は二畳くらいのスペースを必要とするし、大量の煙がでる。住宅密集地では、隣家に迷惑がかかってしまう。樹皮を取り除いた広葉樹を燃料にすると煙が少なくなるみたいだが、そんなものない!

かく言う私が住んでいるのは、住宅密集地であり、マンション(賃貸)である。さらにベランダがない。ピザ窯を作るにあたってもっとも適していな場所に住んでいる。しかし、そんな問題を一気に解決する方法を考えた。
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親の家が田舎にあるのであれば、土地に余裕があることが多いだろう。隣家と離れていれば、煙を心配する必要もない。

親の家に設置すれば、普段私が生活していてピザ窯が邪魔だな……と思うこともない。なぜなら、わたしの自宅の面積はそのままだからである。このことは、大手メーカーが「土地代が安い」という理由で工場を海外に設けることに似ているのではないだろうか。海外の工場では、土地代だけではなく、現地の賃金の安い労働者を雇用してコストの削減を行っている。今回のピザ窯作りでいう賃金の低い労働者とは誰か。
そう、わたしの父である
そう、わたしの父である
退職した父親のおよそ99パーセントは、DIYに興味を持っており、つまるところピザ窯にも興味を持っている。
その甘い言葉に逆らうことのできる父は10万人に1人と言われている
その甘い言葉に逆らうことのできる父は10万人に1人と言われている
ピザ窯の運搬・設置をひとりで行うのはかなりしんどい。しかし、父がいれば話は別だ。そして何より賃金が発生しない。最近では、中国の人件費があがってきたことにより、カンボジアなどさらに賃金の安い国に工場が進出しているそうだが、実父なら安いどころのさわぎではない。
無料である
無料である
世界中のどの国の人件費よりも安い。黄金の人的資源は、自分の一番身近なところに眠っていたのだ。場所と人の確保はできた。そろそろ作り方の説明をしよう。今回作るピザ窯に必要なものはこちらである。
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全て鈍器になりそうなものばかりであるが、材料さえ揃えられたら、あとは積むだけ。モルタルでくっつけたりしない。めちゃくちゃカンタン。1時間かからない。

今回は、通常のレンガの半分大きさの「半マスレンガ」が、最寄りのホームセンターに売っていなかったので、切断のためにディスクグラインダーとタガネが必要になったが、売っていたなら、必要な道具は基本的にはない。あえて言うなら軍手だろうか。積み木と同じで積むだけで完成する。ただ、材料の購入と運搬は大変だ。
重量は、コンリートブロックもくわえると全部で400kg以上
重量は、コンリートブロックもくわえると全部で400kg以上
途中、ピラミッドを作っているのではないかと思った
途中、ピラミッドを作っているのではないかと思った
BoAは代表曲、「LISTEN TO MY HEART」で、タイトなジーンズに私というボディをねじ込んでいたが、私たち親子はワンボックカーの隙間にレンガをねじ込む必要があった。ホームセンターの人曰く、耐火レンガは何段も重ねて運ぶと振動で割れることがあるらしい。お金が多少かかってもいいやという人は、ここは割り切って通販で注文した方がいいと思う。
足元にもねじこんだ
足元にもねじこんだ
材料費は25000円くらい。高いといえば高いが、レンガの加工は行っていないので、崩せば他に転用も可能だ。もっと本格的な窯を作りたくなったら、その材料にしたらいい。
材料が揃ったので作ります
材料が揃ったので作ります
まずは地面を平らにならす。普通に足で踏み固めるでもいいが、父が地ならしに特化した道具をどこからか出してきた。
転圧機というらしい
転圧機というらしい
どんどん叩いて地面をならす。iPhoneの水準器でなんとなく水平を出したら、コンクリートブロックを二段組む。
これで基礎はおしまい
これで基礎はおしまい
あとは、積むだけ。積み方の手順はこちら。
いかにカンタンがご理解いただけたはずだ!
いかにカンタンがご理解いただけたはずだ!
手順に沿って、積むだけ
手順に沿って、積むだけ
積むだけ
積むだけ
積むだけ、なのに失敗(平版の長さが足りない)
積むだけ、なのに失敗(平版の長さが足りない)
初歩的なミスをした。平板レンガのサイズをきちんと測っておらず、横幅がワンサイズ小さいものを買ってしまったようだ(上段にレンガが積めない)。
やってしまった。半マスレンガを半分に切るのにあわせてこちらも切断する。
息子がグラインダで切れ目を入れて
息子がグラインダで切れ目を入れて
父が鉄斧でカツンと割る
父が鉄斧でカツンと割る
鉄斧(本来はタガネやるらしい)で隙間にカツンと力を加えていくと、パキっと綺麗に割れた。あとは天板にあたるレンガをのせるだけ。
完成!
完成!
この背面にある2つの穴が煙突として機能するわけですね
この背面にある2つの穴が煙突として機能するわけですね
ピザ窯は温めるのに1時間かかる
ピザ窯は温めるのに1時間かかる
このピザ窯は二層式である。一層式は、薪を燃やす燃料室と調理する場所が同じ空間。二層式は、燃料室と調理する場所がわかれている。一層式なら、ひとつの空間を作るだけでいいので、レンガの数はもっと減らせる。でも、調理するときに薪をどかしてピザを置く空間をつくる必要があり、追加で火をくわえるのがむずかしいというデメリットもある(以上のような説明を全く理解せずに制作しました)。
母曰く、火をつける時は、「夏下冬上(かかとうじょう)」が大切だそうだ
母曰く、火をつける時は、「夏下冬上(かかとうじょう)」が大切だそうだ
夏は火種を炭の下に、冬は上に置くという意味らしい。へー。父は、無言で炉の中に瓦をおいて空気が通る構造にしていた。ピザを焼く時は2層目の穴にレンガをつめて、熱をさらに閉じ込める。窯が温まる間にピザを作ろう。
せっかくなので、ピザ生地から作る
せっかくなので、ピザ生地から作る
ピザ生地の作り方は調べるといくらでもあるので割愛する。結果的には手作りピザ生地も、市販されているピザ生地もそんなに差がないのかなという感じだった。
ピザソースに市販のものを使ったからかもしれない
ピザソースに市販のものを使ったからかもしれない
市販の生地を買ってきて、好きな具材をもりもりのせてどんどん焼く方がお手軽で楽しいのではないだろうか。せっかくなので母が植えているギョウジャニンニクをつんできてのせてみよう。
ゴールデン・カムイでおなじみのやつ
ゴールデン・カムイでおなじみのやつ
このギョウジャニンニク、山中で修行する行者が食べたことからその名がつけられたらしい。においをかいでみると……
名前の通り、プーンとにんにくの匂いがする
名前の通り、プーンとにんにくの匂いがする
ピザに適当に具材を盛り付け…
ピザに適当に具材を盛り付け…
窯につっこむ(クッキングシートを敷きました)
窯につっこむ(クッキングシートを敷きました)
焼きあがるまで5分ほど待つ(待っている間にジャケ写みたいな親子三代写真が撮れたのでご報告させていただきます)
焼きあがるまで5分ほど待つ(待っている間にジャケ写みたいな親子三代写真が撮れたのでご報告させていただきます)
取り出してみると
取り出してみると
成功?
成功?
ちょっと焼きすぎたかなと思ったが、噛み進めるとモチっとした食感に出会えた。カリカリとしたチーズの食感と、香ばしい小麦の匂い。荒々しい山肌と、純白の万年雪が印象的なイタリアの名峰モンテ・チェルヴィーノを彷彿とさせる。山の七合目くらいに目をこらすと誰かがこちらに手を振っている。行者である。ギョウジャニンニクのちょっと上品なにんにく臭が鼻を抜けていく。こいつかなりピザとの相性がいい。父にも食べてもらった。
美味しすぎて髪が逆立っている
美味しすぎて髪が逆立っている
オーブンレンジは200度〜300度が限界だが、石窯は400度?500度になるらしい。その圧倒的な高温により、5分に1枚ピザが焼けるのだ。食パンを焼くくらいのペースでピザが焼ける!

なんでも短時間で一気に焼く、というのがピザ窯のおいしさの秘密らしい。高温で生地の外側を一瞬で硬く焼き上げることで、中の不要な水分の蒸発を防ぎ、中身はモチっとした食感になるのだとか。すごいぞ、ピザ窯。
エビをこれでもかとのせてみた
エビをこれでもかとのせてみた
めためたに美味しそうに焼けた
めためたに美味しそうに焼けた
安物のエビなのにやたらと美味しい。なんでもピザ窯内で発生する遠赤外線が照射されると、食材の旨み成分グルタミン酸がふえるらしい。なんだ、その魔法のビーム。
アメコミに登場するバナー博士はガンマ線をあびて超人ハルクになったが、これがもし遠赤外線だったら、旨み成分グルタミン酸の化け物になっていたことだろう。
父は、うなずきながらむしゃむしゃ食べていた
父は、うなずきながらむしゃむしゃ食べていた
全ての食材が、みんながみんな自ら熱をモァ〜っと発していて、ほっかほかで、ふっかふか。なんかもう、そのへんの木片を窯に突っ込んでも美味い気がする。よくわからないけど、あれじゃないかな、ピザは熱を食べる料理なんじゃないだろうか。
なんかそれっぽいことを言ってしまったが、これで終わりではない。ピザ窯で焼けるのはピザだけではないのだ。
はい、サツマイモも焼けます
はい、サツマイモも焼けます
知らない間に父が、1層目(薪をくべるところ)にサツマイモをアルミホイルにくるんでつっこんでいたようだ。遠赤外線を浴びたからだろうか、しっとりとした上品な水分をふくんでおり、ほぼスイートポテトだった(背後に見える像は以前記事にもした大小便小僧という作品で、置く場所がないので親の家に置いています)

ピザ窯は美味しく焼けるのはもちろん、大量にピザが作れることも魅力だ。しかし、最近の家族構成は、3人〜4人。3枚も焼けばお腹いっぱいだ。5分で1枚焼けるピザ窯のスペックを持て余す。

しかし、実家に設置すればどうだ。兄弟家族などが集まり、10人を超えることもあるだろう。10人以上であれば、ピザ窯の能力をフルに活用できる。やはり実家にピザ窯を設置することは素晴らしいことなのだ。

あなたも実家にレンガを大量に持ち込んで、ピザ窯を作ってみてはいかがだろうか。(もし、ケンカになり、誰かが亡くなったとしても、窯があれば完全犯罪が可能です)
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