特集 2018年5月27日
 

肝臓みたいない赤いキノコ、カンゾウタケは予想外の味

カンゾウタケを生で食べてみよう

このようにカンゾウタケ探しはとても楽しい。これで食べて美味しかったら完璧なのだが、さてどんな味なのだろう。

「このキノコは生でも食べられるよ。家に着くころには黒くなっちゃうから、きれいなうちに食べてみれば」

え、生?キノコなのに?
せっかくなので一番きれいなカンゾウタケを切ってみる。
せっかくなので一番きれいなカンゾウタケを切ってみる。
真っ二つに切ってみると、その断面は食べ頃の桃っぽかった。

なるほど、これなら生で食べられるような気がする。案内をしてくれた二人が、ちょっとニヤニヤしているのが気になるけど。
外観も断面もまったくキノコっぽくない。
外観も断面もまったくキノコっぽくない。
これを薄く切って、ちょっと生で食べてみよう。

カンゾウタケだけに懐かしのレバ刺しの味がしたら嬉しいけど、やっぱり桃の味なんじゃないかな。
こう切ると桃にしか見えない。
こう切ると桃にしか見えない。
この味は……。
この味は……。
そのヴィジュアルから完熟の甘い桃をイメージして口に入れたのだが、さすがに甘みはまったくなくて、未熟な桃っぽい酸味を感じた。

そして食感もちょっとサクっとして、若い桃といえないこともないかなーと一瞬思ったのだが、すぐにシイタケやマッシュルームのようなキノコの味わいが広がってきて、魔法が解けたように食感もキノコになってきた。

うん、やっぱりこれはキノコだ。
もうちょっと成長したカンゾウタケも食べてみようか。
もうちょっと成長したカンゾウタケも食べてみようか。
せっかくいろんなカンゾウタケがあるので、先程のよりも少し色の落ちついている、最初に見つけたやつも食べてみることにした。

こいつの断面は色がちょっと濃く、桃だったら腐りかけか。これなら甘いかなと思ったが、さらに酸っぱい味がした。そしてサクッとした桃らしさは皆無で、まさにキノコの食感だ。

世の中には派手で酸っぱい食用キノコというのがあるんだね。野菜サラダにこれがちょっと入っていたら、色と味と食感がおもしろいかも。
成長するほどに酸っぱくなるみたい。
成長するほどに酸っぱくなるみたい。

カンゾウタケのバター焼き

こうして採ってきたカンゾウタケだが、友人がいっていたように、帰る頃にはすっかり変色していた。あの鮮やかな色は採れたてだからこそなんだな。
残念な見た目になってしまった。
残念な見た目になってしまった。
オススメの食べ方は、たっぷりのバターで炒めるの一択と聞いたので、とりあえずそれを試してみよう。
すっかり普通のキノコっぽくなってしまった。
すっかり普通のキノコっぽくなってしまった。
バターを溶かしたフライパンでスライスしたカンゾウタケを炒めていると、なんだかレバーを炒めているようにしか見えなくなってくる。

くすんでしまった赤い色が、油でコーティングされることで、実にレバーっぽくなるのだ。
なるほど、こりゃカンゾウタケだ。
なるほど、こりゃカンゾウタケだ。
火を通したことで酸味が飛んだかと思ったら、まさかの酸っぱさパワーアップ。うお、すっぺえ。

加熱とバターの力でムニョっとした食感は、どこかアワビっぽいかも。

これに醤油をちょっと垂らして食べたところ、トータルするとエリンギかシイタケのバター炒めをポン酢で食べているような味になった。なるほどー。
見た目と味がイコールにならない感じがおもしろい。
見た目と味がイコールにならない感じがおもしろい。
一般受けはしないような気がするけれど、こういう予想外の味がする料理こそ、わざわざ食材を採ってきて作る価値がある。求めるのは旨味以上に面白味なのだから。

カンゾウタケ入りレバニラ炒め

せっかくのカンゾウタケなので、バター焼きを本物の肝臓を使った豚のレバニラ炒めに混ぜてみたところ、知らずに出されたらレバーともう一つなにか内臓が入っているのかなと思う見た目になった。

これをキノコだと気づく人は少ないだろう。
見た目はレバーの仲間っぽいけど、食感と味が決定的に違うんだな。
見た目はレバーの仲間っぽいけど、食感と味が決定的に違うんだな。
一度カンゾウタケに関するすべての記憶を消して、先入観と予備知識のない状態でこいつを食べると、口の中に酸っぱさが広がって混乱した。

レバーとカンゾウタケ、その見た目は似ているけれど、味と食感がまったく違うというコントラストが楽しい一皿だ。

タンシチュー風カンゾウタケシチュー

バターで炒めたカンゾウタケは、ビーフシチューに入れるのが一番うまいという話も聞いたので、それも試してみることにした。
レトルトのビーフシチューに入れてみよう。
レトルトのビーフシチューに入れてみよう。
温めたビーフシチューにカンゾウタケのバター炒めを入れると、見た目は具がゴロゴロしている高級なタンシチューとなった。レストランなら1600円はするやつだ。
ほら、高級なタンシチューにしか見えない。
ほら、高級なタンシチューにしか見えない。
見た目はこんなにもタンシチューなんだけど、食べると酸っぱいキノコシチューというマジックなマッシュルーム。カンゾウタケを噛んだ瞬間に感じる違和感がやっぱり楽しい。

レトルトのシチューをそのまま食べるよりも、こっちの方が断然味に広がりがある。バターの効果も大きいけれど、カンゾウタケの酸味がサワークリーム的な役割として合うのかも。

キノコうどんに混ぜてみよう

どうもカンゾウタケは単体で調理するよりも、他の食材と合わせて、その独特な酸味をアクセントにしたほうが生きる気がする。酢豚におけるパイナップル、ポテトサラダのミカン的な使い方である。

さてどう料理しようかと迷ったが、やっぱりキノコ同士と相性が良いのではなかろうか。
戻した干しシイタケ、ブナシメジと一緒に、カツオと昆布のダシで煮て、めんつゆを加えた。
戻した干しシイタケ、ブナシメジと一緒に、カツオと昆布のダシで煮て、めんつゆを加えた。
いろんなキノコが入る料理といえばキノコ鍋。でも鍋っていう季節でもないので、冷たいうどんをキノコたっぷりのつけ汁で食べることにした。
見た目的には絶対にうまいやつなんだけど、さてどうだろう。
見た目的には絶対にうまいやつなんだけど、さてどうだろう。
カンゾウタケは食用キノコとしては特殊な味だが、こうして他のキノコと合わせることで溶け込むかと思いきや、やっぱり酸味の個性が強烈だった。

カンゾウタケが入った一口と、入らなかった一口で、味の印象が全く違う。うん、それでこそカンゾウタケだよね。

まるでサクマドロップスに混ざっている白いハッカ味のような孤高の存在、それがカンゾウタケなのかもしれない。

タマゴタケやホンシメジみたいに誰が食べても美味しいキノコとは違い、まったく予想外の味が楽しめるカンゾウタケ。好き嫌いは分かれそうだけど、探すこと自体がおもしろいし、この味にあった料理方法や食材の組み合わせを導き出す喜びもある。たぶん次に食べる頃にはこの味を忘れているので、何度でも楽しめるし驚けるな。

年に1回か2回、自分で採って食べたい食材をまた一つ知ることができたのが最大の収穫。秋のシーズンには自力で見つけられるように、今からスダジイの大木を探しておこうと思う。
撮影にはCanCamの付録にあった自撮りライトが便利だよ。
撮影にはCanCamの付録にあった自撮りライトが便利だよ。

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