特集 2018年6月11日
 

アーティチョークの少なすぎる可食部分を味わう

アーティチョークを茹でる

こうして持ち帰ったアーティチョークだが、いただいた食べ方のペーパーには新しい程おいしいから早く食べろと書いてあるので、さっそく調理を開始する。
まずは塩水に浸けて虫退治。特に何も出てこなかった。
まずは塩水に浸けて虫退治。特に何も出てこなかった。
そういえば店のおばあさんが、茎の中も食べられるよと言っていたが、断面を見て納得した。

なるほど、これは食べられそうだ。せっかくなので、つぼみ一緒に茹でて味を確認してみよう。
抹茶味のシュークリームみたいな断面。私が幼虫ならこの中で過ごしたい。
抹茶味のシュークリームみたいな断面。私が幼虫ならこの中で過ごしたい。
鍋にお湯を沸かして、つぼみと茎を投入。茹で時間は20〜30分と結構長いようだ。

茎の茹で時間はまるっきり謎だが、つぼみと同じでいいかな。
つぼみが浮かないように、この上からお皿をかぶせて落とし蓋にした。
つぼみが浮かないように、この上からお皿をかぶせて落とし蓋にした。
茹で加減の目安だが、ガクをむしって取れれば食べ頃の合図である。で、ガクってどこだっけ。総苞片という部分のことかなと確認しつつ、つぼみを包む巨大なウロコみたいなやつを引っ張ってみる。

初めての作業なので茹で加減の判断ができるのか不安だったが、なるほど、こういうことかという手ごたえだ。
ちょうど良い茹で加減になると、ガクが抵抗なく抜ける。
ちょうど良い茹で加減になると、ガクが抵抗なく抜ける。
試しに15分で引っ張ってみたところ、これは確かに固すぎるなというのがわかる。

しばらく待つと茹で湯からホクホクとしたデンプン質の香りが立ちこめて、小さいつぼみは20分でガクがスッと抜け、大きいつぼみは25分くらいがちょうどよかった。

アーティチョークのつぼみを味わう

アーティチョークの調理行程は以上である。ただ茹でただけ。もちろん様々なレシピは存在するだろうけど、まずはやっぱりシンプルに食べたい。

本来は丸のままで可食部分に辿りつくべきなのだが、あまりにもつぼみの内部構造がわからなかったので、真っ二つにカットする。花托捜索だ。

可食部分である『花托』ってどこだろうと画像検索したら、例のハスの花ばかりが出てきて焦る。リンクは貼らない。
ブーメランパンツいたいな部分が花托で、アーティチョークハートと呼ばれる一番うまい部分らしい。
ブーメランパンツみたいな部分が花托で、アーティチョークハートと呼ばれる一番うまい部分らしい。
まずはガクを外しながら、その付け根にちょっとだけある柔らかい部分を歯でこそげるように食べすすめる。

口に入るのはものすごく少ない量だが、イモやクワイみたいなホックリした味と香り、そしてちょっとした甘さを感じる。そしてキク科の苦みが少々。なるほど、こういう味なのか。
ガクをむしり、ちょっとずつ味わっていく。十二単(じゅうにひとえ)みたいだ。
ガクをむしり、ちょっとずつ味わっていく。十二単(じゅうにひとえ)みたいだ。

それにしても可食部分が少ないぞ。こりゃ貴族の食べ物か。これに比べたらタケノコなんて、とても良心的な食材に思えてくる。ヨーロッパには『タケノコ剥ぎ』ならぬ『アーティチョーク剥ぎ』という言葉がありそうだ。

アーティチョークのガクを食べていると、なんだか焼き菓子の紙カップにこびりついた部分を歯でこそげている子供みたいな気持ちになる。全然貴族じゃないけど、なんだか楽しい。
もったいないので、ガクの付いていた部分も歯で削り取るようにして食べた。
もったいないので、ガクの付いていた部分も歯で削り取るようにして食べた。

これがアーティチョークの花托なのか

続いてはメイン部分である花托である。

なんだかイソギンチャクみたいな断面だ。ずいぶん小さくなっちゃったなぁ。
このブーメランパンツみたいな部分が花托らしい。
このブーメランパンツみたいな部分が花托らしい。
花托上部のモニョモニョした部分は、苦い上に繊維質でおいしくないので外す。

さあ花托とやらを歯でガリガリと削り取ってやろうかと思ったのだが、軽く引っ張ったら内側のパーツがポコっと抜けてしまった。食べやすいじゃないか。
きっとここが一番うまい場所だな。
きっとここが一番うまい場所だな。
分離した花托をポイとそのまま口に入れると、タケノコ、ソラマメ、キク、イモ、クワイといった様々な食材達が、脳裏に浮かんでは消えていく。味覚、触覚、嗅覚に、これらの要素がちょっとずつ感じられるのだ。

なんだこの食の走馬灯発生装置みたいな食べ物は。胃袋には全然堪らないけれど、大切に食べるからこそ脳にものすごく満足感がある。
ちょっとした中毒性を感じる味。
ちょっとした中毒性を感じる味。
最初はちょっと苦味が気になったが、だんだんとこの苦みが愛しくなってくる。

花托をとった残りの部分も、苦味と硬さの許容範囲ギリギリまで責めさせていただいた。

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