特集 2018年6月25日
 

創作意欲の大洪水にもみくちゃにされた、ヘボコン in アメリカ3年目レポート

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ヘボコンは技術力の低い人限定のロボコンだ。本当にロボットを作るスキルのない人が、適当に作った「自称:ロボット」を使い無理やりロボット相撲で戦うというイベントである。今回レポートするのは5月中旬にアメリカで開催したミニ大会。Maker Faire Bay AreaというDIYやものづくりの大規模フェス的なイベントの一角で行ったものである。

熱気が溢れすぎてちょっと大変ですらあった現場の様子を、ここにレポートしたい。

告知:今週末6/30に、東京でヘボコン2018開催します!チケット発売中→詳細はこちら
インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変な音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。

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とにかく盛り上がったぞ

細かいことは後回しにして、とにかく盛り上がった!このことだけは胸を張って言いたい。言いたい気持ちが強すぎて「盛り上がったぞ」というメッセージだけが込められた動画をわざわざ作ってしまった。再生ボタンを押して現場のヴァイヴスを感じてほしい。
元はといえば、同イベントの日本版であるMaker Faire Tokyo(今年も8/4〜5、出展します!)の運営の皆さんに、2年前にご招待いただいたのがきっかけである。それから3年目の今回まで毎回参加させていただいている。
アメリカは、というべきか、Maker Faire Bay Areaは、というべきか。とにかく来場者全員の参加意欲がすごくて、軽い気持ちで参加型イベントをやるともみくちゃにされてしまうレベルである。

試合のレポートの前に、まずはそのあたりの話からしていこう。

子供の洪水

Maker Faireは3日間の日程があって、ヘボコンは2日目の朝から始まる。
Maker Faireオープン直前。ロープのむこうにすごい人が待ち構えている
Maker Faireオープン直前。ロープのむこうにすごい人が待ち構えている
開場直後からブースで受付をして、参加登録をした人は13時以降のトーナメントに向けて、作業スペースでロボットを作ることができる。ルール上はそうなっている。

しかしフタを開けてみるとこうだ。
オープンと同時に人がドバーッとやってきて
オープンと同時に人がドバーッとやってきて
ヘボコンブースでも、作業スペースには出場枠数に対して明らかに多すぎる人たち
ヘボコンブースでも、作業スペースには出場枠数に対して明らかに多すぎる人たち
繰り返しになるが、とにかくみんな参加意欲がすごいのだ。
用意してあったおもちゃがすごい勢いで減っていく
用意してあったおもちゃがすごい勢いで減っていく
ロボットの動力として中国から取り寄せていたおもちゃが、みるみるうちになくなっていく。数はちゃんと出場者ぶん用意したはずなのに、受付ペースに対して明らかに減りが早い。おかしい。

それもそのはず、ブースの雰囲気で「なんか作っていいらしい」と解釈した子供たちが、大量のにブースに流入していたのだ。受付とかガン無視で。
そして早くも底をつきつつある部品
そして早くも底をつきつつある部品
開場後15分、早くもピンチである。当たり前の話だが、出場者ぶんの部品が足りないとイベントが続行できないのだ。中国からはるばる1か月かかってやってきたおもちゃ、そして日本の100均で買いこんで、その3倍の送料を使ってやってきた雑貨たち。
急遽、おもちゃを半分に分けて翌日分は確保
急遽、おもちゃを半分に分けて翌日分は確保
並行して、装飾用だった万国旗でブース外周を囲み、受付してない人が入れないように。
これは翌日の写真だが、ロープを手配してさらに防御力を上げた
これは翌日の写真だが、ロープを手配してさらに防御力を上げた
こうやって出場者以外の人を入れないようにすることで、最悪の事態を食い止めた。そして次の瞬間、思い出す。これ、去年も同じことやったわ(学んでない)
初日の出場枠は10時のオープンから1時間もしないうちにいっぱいに!
初日の出場枠は10時のオープンから1時間もしないうちにいっぱいに!

衝動の断片

こうして初日の朝から、来場者の有り余る参加意欲によって蹂躙されたヘボコンブース。おかげで、テーブルの上には数々のロボット未満の断片が出来上がっていた。
板にテープを巻いたもの
板にテープを巻いたもの
何かのパーツをテープでふさぎ、まんなかに穴をあけたもの。車輪を作ろうとしたのかもしれない
何かのパーツをテープでふさぎ、まんなかに穴をあけたもの。車輪を作ろうとしたのかもしれない
持つところのついた粘土
持つところのついた粘土
手に持っているのは板でできた飛行機
手に持っているのは板でできた飛行機
これはかなり形になりかけていて惜しい
これはかなり形になりかけていて惜しい
櫛を組み合わせた何か
櫛を組み合わせた何か
方向性はよかったと思うのだが途中で放棄された動力部
方向性はよかったと思うのだが途中で放棄された動力部
この親子が作っていたのは…
この親子が作っていたのは…
顔!
顔!
目的とか計画性が一切感じ取れない、「とにかく何か作りたい」という衝動をひと口サイズに小分けにしたみたいなオブジェたち。僕はこういう洗練されていない創作物がめちゃくちゃにいとおしくて、元はといえばそれをたくさん見たくて始めたのがヘボコンなのである。それが、どっさり!

蹂躙の跡に残された豊穣。さながらナイル川の氾濫のようであった。

次々出来上がっていくロボット

会場全体がそんなテンションなので、正式に受付を済ませた出場者たちもどんどんロボットを完成させていく。小学生くらいの子供がほとんどで、使う材料も初見にもかかわらず。
恐竜のおもちゃをアルミホイルで包んだもの。なんだこの愛おしさは
恐竜のおもちゃをアルミホイルで包んだもの。なんだこの愛おしさは
同じ恐竜のおもちゃを使っていても
同じ恐竜のおもちゃを使っていても
それぞれ武装の方向性が違う
それぞれ武装の方向性が違う
本物のカッターナイフ。それはやめて!
本物のカッターナイフ。それはやめて!
危険物を使ったロボットは毎年登場する。そういう時は運営チームでそっとカバーを作ってはめておく。
かっこいいサングラスに見立てているのはヘッドフォンだ
かっこいいサングラスに見立てているのはヘッドフォンだ
馬をユニコーンにする子が多い
馬をユニコーンにする子が多い
日本だとユニコーンってこうやって工作のモチーフになるほどの人気キャラじゃないように思う。異国のメルヘン観という感じがした。
まだ小さいのにけっこう物騒な感じで仕上げてきた女の子
まだ小さいのにけっこう物騒な感じで仕上げてきた女の子
初期衝動を最後まで煮詰めるのに成功した例
初期衝動を最後まで煮詰めるのに成功した例
そしてこの顔である
そしてこの顔である
今回一番凝ってたロボ。というかジオラマ。ジオラマごと自走する
今回一番凝ってたロボ。というかジオラマ。ジオラマごと自走する
これ全部ロボット。
これ全部ロボット。
テーブルの上にずらーっと並ぶ、自称:ロボット。これでもごく一部である。

なにぶんその場でパッと作るので、凝った必殺技があったり作戦が凝ってたりという面白さはない。でも恐竜をそのまま使わないでアルミホイルに包んでみたり、ロボットだって言ってるのにジオラマになってたり、そういう突拍子もなさがある。そこにスパイスとして一つまみ加えられているのが、そこはかとなくにじむ異国情緒というか「外国の子供ってこうなのか」感。3年目になっても、新鮮味が一切色あせない理由である。

そんなロボットたちが暴れまわる、トーナメントの様子は次ページからお伝えしたい。

参加メンバー

と、その前に、ここでちょっと余談を挟ませてほしい。今回イベントを手伝ってくれたメンバーを、僕の思い出と謝辞を兼ねて少し紹介しよう。

むかない安藤

まず編集部から。毎年誰かしら編集部からサポートに来てもらっているのだが、今年は安藤さんが来てくれた。安藤さんといえばライフワークである「むかない安藤」だが、米国でもそのむかなさをいかんなく発揮してくれた。
デカ顔の出展で来ていた林さんのTwitterより、宿泊先のAirBnBの庭に生えていた柑橘を皮ごとかじる安藤。
デカ顔の出展で来ていた林さんのTwitterより、宿泊先のAirBnBの庭に生えていた柑橘を皮ごとかじる安藤。
動画の撮影ではない、プライベートむかないである。3コマ目の表情は皮をむかないことよりも実がすっぱかったことが原因。歯や顎は強いが酸味には弱いという意外な弱点が明らかになった。

ずっと果物食べてたみたいな紹介になってしまったが、現場でも英語が喋れるのでめちゃくちゃ頼りになった。

エイドリアン

動かなくなった車を、ハンドクリームをグリス代わりにして一瞬で直したところ
動かなくなった車を、ハンドクリームをグリス代わりにして一瞬で直したところ
シカゴやデンバーでRobot Riotというヘボコンのインスパイアイベントを開催している、エイドリアン。去年からMCをやってくれている。

プロでもないのに司会がめちゃくちゃうまいのに加え、本業がロボットエンジニアなので工作要員としても最強である。
エイドリアンが見本用に作ったヘボコンマスターロボ。
エイドリアンが見本用に作ったヘボコンマスターロボ。
言うまでもなくモデルは僕である(左。前日時差ボケで眠れなかったので生気がない)
言うまでもなくモデルは僕である(左。前日時差ボケで眠れなかったので生気がない)
彼は去年から参加してくれているが、去年は僕の英語力が底辺だったのでほとんど話が通じなかった。それが1年たって、それなりに会話ができるようになったのが今年の成長ポイントである。
そんなわけでワンピースが好きだとかどうでもいい話は英語で聞きだせたのだが、ヘボコンの進行の話とかは確実に伝えるため、英語のわかる人に通訳をお願いする「大事なことなので日本語で失礼します」メソッドを採用した。

トムさん

まんなかでカメラ持ってくれてるのがトムさん
まんなかでカメラ持ってくれてるのがトムさん
2年前はすべての物資を日本でモノタロウとかで買って送っていたのだけど、それは送料も高いしあまりに非効率すぎる!ということで去年から現地で買い出しや機材調達などしてくれているのがトムさん。トムさんといっても現地在住の日本人で、智也さんである。僕(ダイジュ)も海外では呼んでもらいやすいようにダイさんとかにしたいのだが、Die(死ぬ)さんになってしまうのが悩ましいところである。

ボランティアの皆さん

最終日終了後に撮影(別日に来てくれた方もいて、全体ではこの2倍くらい!)
最終日終了後に撮影(別日に来てくれた方もいて、全体ではこの2倍くらい!)
なにぶん、開場と同時に大量の人がなだれ込んでくる現場である。3人や4人で仕切るのは到底無理なので、現地在住の日本人ボランティアの皆さんにお手伝いいただいた。職業は学生から航空会社のCAさん、翻訳者にNASA勤務(!)まで幅広く。今回のために遠くロサンゼルスや、バンクーバーから来てくれた人もいた。さらに今回は夫婦参加で日本人以外のメンバーも2人参戦(奥さんが日本人)。
おかげで翻訳は頼めるわ時差ボケのアドバイスは聞けるわスペイン語はできるわ、めちゃくちゃに万能なチームであった。

こういった方々のご協力で今年のヘボコンは無事に開催できた。この場を借りてお礼を申し上げます…!

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