特集 2018年7月1日
 

書き出し小説大賞第149回秀作発表

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書き出し小説とは、書き出しだけで成立したきわめてミニマムな小説スタイルである。

書き出し小説大賞では、この新しい文学を広く世に普及させるべく、諸君からの作品を随時募集し、その秀作を紹介してゆく。(ロゴデザイン・外山真理子)
雑誌、ネットを中心にいろいろやってます。 著書に「バカドリル」「ブッチュくんオール百科」(タナカカツキ氏と共著)「味写入門」「こどもの発想」など。最近は演劇関係のお仕事もやってます。

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マンションの駐輪場は自転車を停める場所ではなく、蚊を大量発生させる場所だと思えてならない。それでは今回もめくるめく書き出しの世界へご案内しょう!

書き出し自由部門

ひまわりの首を切り落として君が来る。
さくさく
逃げ出したシマウマが一瞬だけ横断歩道と同化した。
人馬一体勘
ファミマの入店音は退店音でもある。
井沢
カセットデッキを肩に担いでラジオ体操会場に向かう。
xissa
どんなに素敵な比喩でも、映像化すればどれも同じになる
伊勢崎おかめ
これは私に名前を授けた女子高生を探す物語。
ふじーよしたか
特定の飲食チェーン店をひいきする。それは戦争に似ている。
つんざくざくろ
「どうか幸せでいてくれ」彼はそう言って、私に愛用のスタンガンを差し出した。
柊一花
雨蛙は、素直に、あなた色に染まった。
りよん
牛が遠い。どうすればいい。
正夢の3人目
ザリガニしか、笑っていない。
大伴
わがままな猿が京劇に怯えている。
ビールおかわり
ねちょねちょが、取れない。
オメガ
テレビで報道される立て籠もり犯が、気がつけば皆、年下になった。
よしおう
出汁の染みたスーパーボールは弾まなかった。
terayo
午前、ラジオ出演。昼、蕎麦を食う。帰途中島に会い談笑。世界の終わりまであと四日。
高田
寝過ごして、冥王星。
ポン酢助兵衛
寸評

●さくさく氏「ひまわりの首」夏休みの絵日記っぽさとスプラッターっぽさが同居している。
●井沢氏「ファミマの入店音」当たり前のことを当たり前に書くことでも文学性は得られる。
●伊勢崎おかめ氏「どんな素敵な比喩」たしかに!比喩はイメージの共有であって形にするものではないかも。
●正夢の3人目氏「牛が遠い」この寝言感!大伴氏の「ザリガニ」オメガ氏の「ねちょねちょ」も寝言度高し。
●よしおう氏「立て籠もり犯」高校球児がいつの間にか年下になる的な。
●terayo氏「出汁の染みた」高野豆腐的な球体を想像しました。

つづいては規定部門。今回のモチーフは久々の名前シリーズ「ボブ」であった。
ボブ祭りのはじまりです。

書き出し規定部門・モチーフ「ボブ」

ボブを基準に体操の隊形に開け!
terayo
ボブの握る寿司はシャリがでかい。
unnnunn
ボブの65銀で名人の「参りました」がでた。
八王寺義昭
先ほど、5-2で中日の勝利とお伝えしましたが、正しくはボブでした。
むべんべ
この街では、物をなくした時は「ボブに盗られた」というらしい。
muddom
ボブと言い争う相手に祖母は「ファックさんも落ち着いて!」と何度も諌めた。
ぴすとる
「敗者復活戦で会おうぜ」そう言ってボブは、廃れたスタジアムの女子トイレへと入って行った。
桜草
「80年代の富良野にはまだ私を受け入れる土壌が出来ていなかった」ボブは述懐する。
菅原 aka $UZY
「ボブにしてください」。美容師は神父となり、私に同じ洗礼名を授けた。
ウチボリ
「未来はボブよ。それ以上は言えない。」それだけ言うと占い師は店じまいを始めた。
うにねこ
茶室に躙りこむと、正座したボブの頭に茶筅が乗っていた。
レッチェ
蛹になったボブはだいたい5日から1週間で羽化し、第二形態となります。
砂布巾
テストの答案用紙の氏名欄にボブと書かれてある。また武田だ。
ハモンイベリコ
ボブは、丁寧な暮らしを心掛けていた。
にら将軍ハルナ
文章題の中でボブはいつだってスターだった。それが僕にできる唯一の、償い。
義ん母
昨年はボブ枠2に対して、3000の申込があった。
魚子
母さんがボブのために買ってきた茶碗には、カヌーを漕ぐ父と子の絵が描かれていた。
トニヲ
ボブが僕たちを騙し続けたのは、母国にセブンイレブンを作るためだった。
sureyoucan
ボブにも流星群を見てもらいたくて、車椅子の前輪を少し浮かせた。
ろっさん
波打ち際に書いたボブの文字だけ消えない。
茂具田
頭のてっぺんにサボテンの花。それがボブだ。
綺楽利
またボブが背中でレーンを滑っている。
アイアイ
今日の二人羽織はボブと組む。
ウチボリ
ボブだけが私の授業を真剣に聞いてくれた。そしてボブだけが赤点を取った。
Mch
ボブとボンバーマンをするが、ボブは度々ブロックとボムに自らを挟んで自爆した。
コンパスゼット
4人グループのLINEで、既読4がついた。ボブだ。
あごまがり
「私が、二代目ボブですか」初代ボブは頷いた。
AIR田
いよいよボブに半額シールが貼られる。そのときだった。
梶塚ウダツ
その大柄の外人は、肩に大きく「保父」と彫っていた。
うにねこ
ボブ!そっち女湯!!
xissa
ボブとだけ書かれた名刺。
正夢の3人目
ボブみが強いが、フェルナンドだ。
正夢の3人目
ボブの俳句は全て季語だ。
住民パワー
「私が先鋒を務めます」とボブは言った。
たこフェリー
蒸発した父はボブという源氏名で働いていた。
セロニアスうんこ
60兆の腸内細菌と一緒だと思うと、ボブは寂しくなくなった。
昼行灯
「もう300人は斬っただろうか」なおも増殖を続けるボブを前に、サムライはため息をついた。
tonkotutarou
「これはボブの分!」と別のボブが殴った。
ベランダ
寸評

毎回異常な盛り上がりをみせる名前ネタ。今回の「ボブ」も質、量とも申し分なかった。解説の必要はないだろう。そのぶん紹介作品を増量した。さて、あなた好みのボブは見つかっただろうか?

それでは次回のモチーフを発表する。
次回モチーフ
「涼しい」
梅雨も開け本格的な夏が到来した。今年は猛暑が予想されているそうだ。そこで次回のテーマは「涼しい」。うだるような暑さの中、せめて文章の中でくらい「涼」を感じたい。一読の清涼剤となるような書き出しを募集します。締め切りは7月13日、発表は7月15日を予定しています。下記の投稿フォームから部門を選んで送って下さい。力作待ってます!
最終選考通過者
ミラン/kwsk/シンチク/ひじりん/ジェングウ/夢雀/藤井星羅/
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