特集 2018年7月10日
 

鍵盤ハーモニカで吹き語りはできるのか

鍵盤ハーモニカ工場見学

目的は達成したように思うが、せっかくなので鍵盤ハーモニカの工場を見せてもらった。
本社の隣が工場になっています。
本社の隣が工場になっています。
鍵盤ハーモニカをはじめとする楽器の製造は、今でも完全に機械化されているわけではなく人の手とか感覚による部分が多く残っているのだとか。もちろんプラスチック製の大量生産品なんかになると完全に機械生産なのかもしれないけれど。

ここ鈴木楽器製作所の工場でもたくさんの職人さんたちが楽器を作っていた。
これは音が鳴る「リード」部分を打ち出しているところ。
これは音が鳴る「リード」部分を打ち出しているところ。
これがリードのもとになる金属板。真ん中で色が変わっているのは微妙に厚さを変えているから。
これがリードのもとになる金属板。真ん中で色が変わっているのは微妙に厚さを変えているから。
工場の中は流れ作業ではなく、専門の機械に職人さんが一人ずつついて操作している。機械もコンピューターまかせではなく、そのほとんどを職人さんが目で見て動かしていた。

途中までだとおそらく誰も鍵盤ハーモニカを作っているとは思わないだろう。時計なんかを作る精密機械の工場みたいだ。
打ちぬいたリードを一枚のプレートにスポット溶接していく。
打ちぬいたリードを一枚のプレートにスポット溶接していく。
鍵盤ハーモニカは中が見えないので、どうやって音が出ているのかわからないと思うのだけれど、基本的にはハーモニカと同じで、リードと呼ばれる薄い金属板を、吹いた息で振動させて音を出している。つまりこの金属板が音を決める心臓部ということだ。
まっすぐだったリードに風が通るよう、ほんの少しだけ曲げて持ち上げる工程。
まっすぐだったリードに風が通るよう、ほんの少しだけ曲げて持ち上げる工程。
いかにも楽器を作っていそうなメモ。
いかにも楽器を作っていそうなメモ。
こういう工場を見せてもらうといつも感動するのだけれど、それぞれに特化した機械があるのだ。メガネ工場にはメガネを作る機械が、ドーナツ工場にはドーナツを揚げる機械がある。

そしてその作業に特化した機械を見ると、完成した製品を見る目が変わる。あー、ここあの機械が作ったんだ、と。
リードが正しい場所に溶接されているか、すき間は適正か等を判別する機械。
リードが正しい場所に溶接されているか、すき間は適正か等を判別する機械。
リード部分の制作と組み立てだけでもたくさんの職人技が段階を経て注入されていた。当たり前だけどそれぞれの段階にはそれぞれの意味があって、その意味を聞くとなるほどー、と思う。それらを全部通過しないと鈴木楽器の鍵盤ハーモニカとして出荷できないのだ。
この方製造本部長です。
この方は製造本部長です。
ここまではリードを本体に取り付ける、いわば機械的要素だったが、ここからは音を合わせる楽器的要素に移る。
リードを機械的に振動させながらその振動数をレーザーで計測、振動数を合わせるよう厚さを削る機械。
リードを機械的に振動させながらその振動数をレーザーで計測、振動数を合わせるよう厚さを削る機械。

工場内がなんだか楽し気

この工場が他の工場と決定的に違うのは、機械の作動音に混ざって鍵盤ハーモニカの音が聞こえてくるところだ。そのため真剣ななかにも、なんとなく楽し気な雰囲気が漂っている。
リードを手で持ち上げる職人。この人にしかできない技らしい。
リードを手で持ち上げる職人。この人にしかできない技らしい。
鈴木楽器製作所の鍵盤ハーモニカでは、機械と職人とで2回、音を合わせる調律の工程が入る。
機械で調律されたリードを、次は人が調律する。リード一枚一枚鳴らして手で削り、音を聞いてまた削り、の繰り返し。全ての鍵盤について、これをやるのだ。
機械で調律されたリードを、次は人が調律する。リード一枚一枚鳴らして手で削り、音を聞いてまた削り、の繰り返し。全ての鍵盤について、これをやるのだ。
日に160台くらい調律できれば一人前らしいです。
日に160台くらい調律できれば一人前らしいです。
鍵盤ハーモニカはたとえばクラス全員で同じ旋律を吹いたりすることが多いため、少しの音のずれが重なると大きなずれになって聴こえてしまうという。だからたとえ子ども向けの楽器でも調律は厳しく行う必要があるのだ。多田さんは自分では楽器をやらないが、聞けばどこのメーカーの鍵盤ハーモニカだかわかりますよ、と言っていた。やっぱり好きなんだと思う。
ここはほぼ最終段階。鍵盤をボディにおさめていく。
ここはほぼ最終段階。鍵盤をボディにおさめていく。
プロモデルになると、さらに完成したあとの「慣らし」まで人の手で行うのだとか。正直ここまで「手作り」だとは思っていなかったので、さっき鼻で吹いたことをちょっと申し訳なく思っています。

他の楽器もおもしろいぞ

鈴木楽器製作所には工場の他にいろいろな楽器が展示されているスペースもあった。これがまた最高におもしろかったのでざっと紹介したい。
部屋に入りきらない楽器が廊下に置かれていたりする。
部屋に入りきらない楽器が廊下に置かれていたりする。
ハモンドオルガンという楽器。宮城さんが興奮していたのですごいものなのだろう。右側にある箱がスピーカー。
ハモンドオルガンという楽器。宮城さんが興奮していたのですごいものなのだろう。右側にある箱がスピーカー。
こちらは低音だけを切り取ったシンセサイザー。そういえば学校で見たことある気がする。
こちらは低音だけを切り取ったシンセサイザー。そういえば学校で見たことある気がする。
でかいハーモニカ。
でかいハーモニカ。
和楽器も。
和楽器も。
和楽器は伝統的に動物の皮を材料に使っていたりするのだが、それに対して子どもたちが抵抗なく使えるよう、鈴木楽器製作所では化学繊維に置き換えたものを作っているのだとか。
伝統と配慮とのせめぎ合いは技術が仲介していました。
伝統と配慮とのせめぎ合いは技術が仲介していました。
和楽器には漢字でプレートが入れてあるのがかっこよかった。
和楽器には漢字でプレートが入れてあるのがかっこよかった。
鈴木楽器製作所の工場は小学校の社会科見学でも人気なのだとか。たしかに自分たちが使っているメロディオン(鍵盤ハーモニカ)を職人さんたちが作っているところを見ると「うわー、いいもの買ってもらったなー」と思って大切に練習すると思います。

触るとぜったいほしくなる

鍵盤ハーモニカの吹き語り、という長年の夢をメーカー本社で実現できたことも収穫だが、なにより鍵盤ハーモニカ工場で見た、ゆるいイメージとそれを支える職人技とのギャップにやられました。たぶん僕も宮城さんもプロモデルを買うと思います。
多田さんにごちそうしてもらった餃子がまた最高に美味しかったです。そうだ、浜松は餃子の町だった。
多田さんにごちそうしてもらった餃子がまた最高に美味しかったです。そうだ、浜松は餃子の町だった。


鍵盤ハーモニカのイベントはこちら。
鈴木楽器製作所の多田さんも来るので見かけたら声をかけよう。



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