特集 2018年7月12日
 

どんぶりで神経衰弱をすると楽しい

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こんな感じでどんぶりにおかずを入れていく。これに蓋をした状態で神経衰弱をやっていく
トランプで神経衰弱というゲームがあるが、大人になってからやることが少なくなった。なぜなら神経が衰弱するからだ。

通常の神経衰弱もおもしろいのだが、もっと楽しくできる方法を思いついたのでやってみることにした。
大学中退→ニート→ママチャリ日本一周→webプログラマという経歴で、趣味でブログをやっていたら「おもしろ記事大賞」で賞をいただき、デイリーポータルZで記事を書かせてもらえるようになりました。嫌いな食べ物はプラスチック。

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トランプの神経衰弱というゲームはほとんどの人がやったことがあると思うが、あれを「食べ物でやってそろえたら食べられる」というルールでやったら盛り上がるんじゃないかと思った。なぜならトランプの神経衰弱と違って、獲得したときの喜びが倍増するからだ。カードがそろうよりも「やった!寿司がそろった!寿司が食べられる!!」となった方が嬉しいに決まっている。

ということで、今回は「どんぶり神経衰弱」というゲームを考えたので、実際にやってみることにした。ルールをまとめると以下のような感じだ。
簡単に言うと、神経衰弱をやって食べ物を獲得していき、最終的にそれらを使って「美味しそうなワンプレートランチ」を作れた人が優勝というゲームだ
簡単に言うと、神経衰弱をやって食べ物を獲得していき、最終的にそれらを使って「美味しそうなワンプレートランチ」を作れた人が優勝というゲームだ
【どんぶり神経衰弱のルール】

1.どんぶりにご飯、おかずを入れて蓋をする
2.神経衰弱とルールは同じく、順番に蓋を開けていきそろったら獲得
3.最後に自分がそろえたご飯とおかずを使って、ワンプレートランチを完成させる
4.一番食べたくなるワンプレートランチを完成させた人が勝ち

※獲得したご飯やおかず類はすべて使用しなければいけない
神経衰弱というゲームは、後半戦になってくると取得したカード枚数の差が明確になり、勝敗がわかりきってしまう場合がある。しかし、今回やる「どんぶり神経衰弱」では、おかずを多く獲得しているからといって勝つとは限らない。なぜなら最終的に獲得した食べ物で作るワンプレートランチが美味しそうかどうかで決まるからだ。
今回はLIFEというスーパーで色々と食べ物を調達した。全員にそれぞれ均等にわけると主食+おかず3品になるくらいの食料を買った。写真は主食となる白飯、寿司 焼きそば、オムライス。主食は数が限られているので、いかに確保するかが今回のゲームの鍵になってくる
今回はLIFEというスーパーで色々と食べ物を調達した。全員にそれぞれ均等にわけると主食+おかず3品になるくらいの食料を買った。写真は主食となる白飯、寿司 焼きそば、オムライス。主食は数が限られているので、いかに確保するかが今回のゲームの鍵になってくる
さらに今回はゲーム性をもたせるために、食べ物の他にカードをいくつか入れることにした。場にあるどんぶりを混ぜる「シャッフル」、誰かと食べものを交換できる「交換」、 誰かの食べ物を場に戻せる「剥奪」など邪魔できるものを入れておいた
さらに今回はゲーム性をもたせるために、食べ物の他にカードをいくつか入れることにした。場にあるどんぶりを混ぜる「シャッフル」、誰かと食べものを交換できる「交換」、 誰かの食べ物を場に戻せる「剥奪」など邪魔できるものを入れておいた
ゲームを始める前にまずはどんぶりにお惣菜を入れていく。この時点でちょっと楽しい。
ゲームを始める前にまずはどんぶりにお惣菜を入れていく。この時点でちょっと楽しい。
白飯、焼きそば、寿司、サラダ、焼き鳥、コロッケ、肉団子、バンバンジー…など様々な食べ物があるので、準備している段階でそれぞれ「食べたいもの」、「食べたくないもの」がでてくる。

全員で黙々とどんぶりにおかずを入れているようで、腹の中では欲しいものを思い描いている。すでにゲームは始まっているのだ。ざわ…ざわ……ざわ…
今回はデイリーポータルZの編集部の方々に参加してもらった。(左から編集長の林さん、記事を書いてるmegaya(僕)、石川さん、橋田さん)
今回はデイリーポータルZの編集部の方々に参加してもらった。(左から編集長の林さん、記事を書いてるmegaya(僕)、石川さん、橋田さん)

なんでもない惣菜が輝いて見える

食べ物を入れたどんぶりに蓋をして、それを順番にめくっていく。基本的には神経衰弱とルールはまったく一緒だ。
食べ物を入れたどんぶりに蓋をして、それを順番にめくっていく。基本的には神経衰弱とルールはまったく一緒だ。
蓋をあけたときに「おお!シャケだ!シャケが出たぞ!!」と頭の悪い歓声が沸き上がる。
蓋をあけたときに「おお!シャケだ!シャケが出たぞ!!」と頭の悪い歓声が沸き上がる。
通常の神経衰弱は数字が書いてあるカードをめくるだけなので、ゲームはたんたんと進んでいく。しかし今回のどんぶり神経衰弱では開けると食べ物がでてくるので、そこに感情がともなってくるのである。

人間とは不思議なもので、蓋をしているものの中身がわかったときにうれしさがこみ上げてくる。包装されたプレゼントを開けるときのワクワク感に近いかもしれない。ただ今回の場合は、自分たちで隠して自分たちで喜んでいるのだから、自作自演の誕生日パーティーのようなものである。
寿司がでたときは「寿司は食べたい!!」「寿司は欲しい!!!!」と全員から黄色い歓声がでるほどテンションがあがった
寿司がでたときは「寿司は食べたい!!」「寿司は欲しい!!!!」と全員から黄色い歓声がでるほどテンションがあがった
逆にサラダのようなものがでたときはがっかりムードになる
逆にサラダのようなものがでたときはがっかりムードになる
蓋を開けたときに食べたいものが出たときにはテンションが上がるが、食べたくないものが出たときには一気に表情が暗くなる。サラダに至っては「なんだ、草か…」と言われるほどだった。もちろんサラダが嫌いというわけではなく、サラダだと「蓋を開けたときのワクワク感」に中身が比例していないのだ。
蓋をあける瞬間は思わず笑顔になる 
蓋をあける瞬間は思わず笑顔になる 
しかし、時間が経つごとにだんだんと全員の顔が暗くなってきた
しかし、時間が経つごとにだんだんと全員の顔が暗くなってきた
ゲーム開始直後は和やかなムードで進んでいったが、途中からあることに気づいた。まったく誰も当たらないのである。神経衰弱は簡単にそろうイメージがあったので、今回のゲームもテンポよく進むかと思っていた。しかし開始15分以上経っても誰もそろわないのである。現状ではただ蓋を開けてお惣菜を覗いているだけの、マニアックすぎる遊びをしているだけだ。

ゲーム開始時の「おお!寿司だ!!寿司がでたぞ!!!」というテンションはどこかに言ってしまい、「誰か当ててくれ…」というムードが漂いだした。
ゲーム性を高めるために入れた「シャッフル」が凶悪すぎた…
ゲーム性を高めるために入れた「シャッフル」が凶悪すぎた…
場をすべて混ぜてしまう「シャッフル」カードがなかなかそろわない要因の一つでもあった。シャッフルがでた瞬間に今まで覚えていた配置がすべて無意味になるのだ。しかもどんぶりが30個以上ある中で、なぜか3人目くらいで必ずと言っていいほど毎回このシャッフルカードを誰かが引くのだ。シャッフル地獄だった。
全員が真顔で蓋をあけるだけで、ただただ時間が過ぎていく。
全員が真顔で蓋をあけるだけで、ただただ時間が過ぎていく。
実は当たりがでにくいには他にも理由がある。「神経衰弱は同じ数字が4枚ある」という当たり前のことに僕らは気づいていなかったのだ。今回のゲームでは同じ食べ物のペアが1つずつしかないので、確率は通常の神経衰弱の半分なのだ。

しかしそれに気づかず「なかなか当たらないな…」「なんでだろうね?」「運が悪いのかもね」と全員が首を傾げていた。すでに神経が衰弱していたのだ。
しかし、ついに… 
しかし、ついに… 
当たりがでた!!!!
当たりがでた!!!!
ようやく当たりがでたので全員から拍手が湧いた。蓋を開けただけで拍手が湧くのはこの空間だけであろう。もしくはチンパンジーが初めてどんぶりを開ける実験に成功しときだけだ。とにもかくにもうれしい。自然と両手をチンパンジーのように挙げるほどだ。

当たったうれしさの相乗効果もあるからだろうか、スーパーのなんでもないお惣菜がいつもよりも美味そうに見えるのだ。普段は簡単に手にすることのできるスーパーのお惣菜が、ゲームを通して獲得することによってこんなにも愛着が湧くものになるとは思わなかった。獲得したのがエビの天ぷらだったから家で飼おうか迷ったくらいだ。
そして僕に続くように橋田さんは「焼きそば」をゲット。やっぱり思わず両手を挙げてしまう嬉しさがある
そして僕に続くように橋田さんは「焼きそば」をゲット。やっぱり思わず両手を挙げてしまう嬉しさがある
石川さんは「オムライス」を獲得した。「両手にオムライス持つとバカっぽくて良い」ということもわかった。一生役に立たない知恵だ。
石川さんは「オムライス」を獲得した。「両手にオムライス持つとバカっぽくて良い」ということもわかった。一生役に立たない知恵だ。
一人まったく当たらない林さん。目を細めてどんぶりを透視しようとしていた
一人まったく当たらない林さん。目を細めてどんぶりを透視しようとしていた

だんだんと駆け引きが生まれてくる

焼きそばに続いて寿司も橋田さんは獲得した。焼きそばと寿司の組み合わせを見るとすたみな太郎を思い出す。
焼きそばに続いて寿司も橋田さんは獲得した。焼きそばと寿司の組み合わせを見るとすたみな太郎を思い出す。
開始30分でようやく林さんも食材を獲得。きんぴらごぼうを手に入れただけなのにこの笑みである。
開始30分でようやく林さんも食材を獲得。きんぴらごぼうを手に入れただけなのにこの笑みである。
最終的に「美味しそうなワンプレートランチ」を作ることが目的なので、このゲームは主食を獲得しているかどうかで安心感が全然違う。「ただただ取得した数を増やしていけばいい」というわけではないというのがこのゲームの難しいところだ。主食がないと一気に寂しいワンプレートになってしまう。
「交換」や「剥奪」というカードを引くことによって、相手を邪魔することもできるのも忘れてはいけない。交換を使われて自分のお気に入り食材を奪われたときの悲しさはマリアナ海溝よりも深い。
「交換」や「剥奪」というカードを引くことによって、相手を邪魔することもできるのも忘れてはいけない。交換を使われて自分のお気に入り食材を奪われたときの悲しさはマリアナ海溝よりも深い。
橋田さんは「交換」を使って石川さんのオムライスをサラダと変えていた。石川さんはさっきオムライスを両手で持ってあんなにはしゃいでいたのに… 

橋田さんはすでに「やきそば」と「寿司」という主食を獲得していたが、石川さんのオムライスを奪うことによって敵の主食を0にするという作戦だ。現状ではたしかに石川さんには草(サラダ)しか残っていないのでかなり不利な状況。有効な戦法である。

しかし、この交換が後に勝敗を左右することになるとは誰もこのとき知らなかったのである…!
ゲーム終盤になると、ただ闇雲に獲得するだけではなく駆け引きも大事になってくる。
ゲーム終盤になると、ただ闇雲に獲得するだけではなく駆け引きも大事になってくる。
自分がすでに獲得した食べ物とのバランスを考えて、欲しいものを取っていく必要がある。つまり確実に取れる食材があっても、自分が欲しいものでなければ「あえて見逃す」という戦法もありなのだ。交換カード狙いで相手の食材を奪うことを優先する選択肢もある。

自分で考案しておいて言うのも恥ずかしいが、思ったよりも奥が深いゲームだ。
ゲーム開始から15分くらいは当たりが出なかったので、林さんが何回か腕時計を見て時間を気にしていたので冷や汗が止まらなかった。途中から怒涛の展開で進んでいってよかった。
ゲーム開始から15分くらいは当たりが出なかったので、林さんが何回か腕時計を見て時間を気にしていたので冷や汗が止まらなかった。途中から怒涛の展開で進んでいってよかった。
1時間近くかかってようやくすべてのどんぶりがなくなった。普通の神経衰弱ならここで終わりであるが、どんぶり神経衰弱はここからが勝負である。獲得した食材をワンプレートに並べて美味しく見えるかどうかが大事なのだ。いざ、勝負!!

勝負の鍵を握ったのは草

それぞれ獲得した食べ物をお皿に並べていく
それぞれ獲得した食べ物をお皿に並べていく
最終的には獲得した食べ物はわりと均等にわかれ、それぞれに主食とおかずがバランスよく行き渡っていた(なによりも編集部の人たちが昼飯抜きという状態にならなくてよかった)。

しかし、全員のお皿を並べてみるまで勝負は決してわからないのだ。それぞれが神経衰弱で獲得したワンプレートランチを見ていこう。
石川さんのワンプレートランチ。なぜか東南アジアっぽさが全面にでている。
石川さんのワンプレートランチ。なぜか東南アジアっぽさが全面にでている。
橋田さんはお祭りの屋台のようなセットになった。色が茶色くて男飯っぽい。
橋田さんはお祭りの屋台のようなセットになった。色が茶色くて男飯っぽい。
僕はかなりガッツリ食べられる上に、野菜や魚もそろったバランスの良さ。優勝できる自信があった。
僕はかなりガッツリ食べられる上に、野菜や魚もそろったバランスの良さ。優勝できる自信があった。
林さんはデパートの12階くらいにあるレストランのお子様ランチのようだった
林さんはデパートの12階くらいにあるレストランのお子様ランチのようだった
判定はここまでカメラマンを担当してもらっていた編集部の藤原さんの独断と偏見にお任せした。
判定はここまでカメラマンを担当してもらっていた編集部の藤原さんの独断と偏見にお任せした。
あくまで神経衰弱なので運だけで完成させたワンプレートランチであるため、それぞれのセンスなどは含まれていない。しかしここまで真剣に勝負して獲得した愛着の湧いた食材たちである。自然と負けたくない気持ちが湧いてくる。
藤原さんが優勝に選んだのは石川さんの「東南アジアっぽい」ワンプレートだった。
藤原さんが優勝に選んだのは石川さんの「東南アジアっぽい」ワンプレートだった。
最終的な順位は左から1位、2位、3位、4位となっている。僕は自信があったがビリだった…
最終的な順位は左から1位、2位、3位、4位となっている。僕は自信があったがビリだった…
石川さんが優勝した理由としては、サラダやインゲンが入っていて、色味的にもバランスがよかったので圧勝だったということだ。あんなにみんなでいらないと言っていた草(サラダ)がまさか勝利の決め手になるとは…

ちなみに僕は圧倒的にビリだったらしい。理由としてはカボチャとイモ(コロッケ)でお腹いっぱいになるからだ。まさか藤原さんがコロッケをイモとして捉えられる人間だとは思っていなかった。自信があっただけに悔しい。
スタッフで美味しくいただきました
スタッフで美味しくいただきました

今回はスーパーで買ってきた安い食材でやってみたけれど、みんなで料理を持ち寄って中身をそれぞれ知らない状態でやってもおもしろいかもしれない。その方がより蓋を開けたときのワクワク感が増して良さそうだ。あとは高級食材をいくつか入れてみたり、白飯を6個くらい入れてハズレを作ってみたりしても楽しくできそうだ。

蓋をあけるという動作だけで、スーパーの冷えたお惣菜が感動的にうれしいものになるのはよかった。この感動はぜひ体験してみてほしい。ただし、この記事を書く前にテストプレイとして家で一人でやってみたら、寂しすぎて血を吐きそうになったので絶対に誰かとやってほしい。
藤原さんの評価の通りカボチャとイモは胃にずっしりときた。腹がパンパンになってキツかった。
藤原さんの評価の通りカボチャとイモは胃にずっしりときた。腹がパンパンになってキツかった。
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