特集 2018年8月22日
 

畳で何でも作っちゃう熱い人に会ってきた

ボディが畳、ってことは、この織地は…
ボディが畳、ってことは、この織地は…
あるイベントで、全身畳でできた人に会った。正確には、全身を畳で作った雑貨でコーディネートした人だ。なんだろう、この感じ、見たことない種類のデザインだぞ。頭がざわつく。

聞けば、れっきとした畳職人の方だった。そういえば私は畳を作るところって見たことない。他の雑貨も見たいし、これは取材しかない!と、千葉の先の方まで行ってきました。
1970年群馬県生まれ。工作をしがちなため、各種素材や工具や作品で家が手狭になってきた。一生手狭なんだろう。出したものを片付けないからでもある。性格も雑だ。もう一生こうなんだろう。

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いろんな意味でアツい工房

トップの写真も、取っ手が刀の柄だったりとものすごいインパクトなのだが、私が初めて彼に会ったときにカウンター食らったバッグがあるので見て欲しい。
規格外のインパクト。どこから鑑賞すべきか。
規格外のインパクト。どこから鑑賞すべきか。
しかも蓋を開けたら虎が出た。一休さんを呼んでこい。
しかも蓋を開けたら虎が出た。一休さんを呼んでこい。
どうだこの衝撃。皆さんも、これで私と同位置からの認識スタートということになったと思う。ではまた話を進める。
この日はお盆前で、例の酷暑であった。高速バスで東京湾を渡り、袖ヶ浦のターミナルで降りると、その方が車で迎えに来てくださった。挨拶もそこそこに乗り込むと、また目に飛び込んで来るのは畳だ。
滑らなそうだし理にかなっている。落ち着いて心静かに走れそう。
滑らなそうだし理にかなっている。落ち着いて心静かに走れそう。
ここにも畳。本当はもっと畳があちらこちらにあしらわれていた。
ここにも畳。本当はもっと畳があちらこちらにあしらわれていた。
なんという畳への愛、こだわりか。千葉はネズミの国だと思っていたが、畳の国でもあるのか。

とかなんとか思いつつ、田園地帯をしばらく走ると「株式会社 畳deCo物」の作業場兼倉庫に到着した。
人の作業場を見るのってなんて楽しいんだろう。
人の作業場を見るのってなんて楽しいんだろう。
おお、さすがの畳チェア。気持ち良さそう(実際気持ち良かった)。
おお、さすがの畳チェア。気持ち良さそう(実際気持ち良かった)。
畳ハンモック!めっちゃ平らで乗るとき怖かったが、乗ってしまえば空飛ぶ畳!あはは!
畳ハンモック!めっちゃ平らで乗るとき怖かったが、乗ってしまえば空飛ぶ畳!あはは!
そしてこのハンモッキングしてる私の後ろにいらっしゃるのが、畳deCo物 代表の飯島義紹さんである。眼光鋭く畳をしつらえるが、話せば気さくなお兄さんである。今日はよろしくお願いします。
さて、さっそく畳の作り方を見せていただけますまいか。
いいですよ、と1枚30kgはある畳床(たたみとこ)を取り出す。ちなみにこの下の木の作業土台はもう誰も作ってないそうだ。
いいですよ、と1枚30kgはある畳床(たたみとこ)を取り出す。ちなみにこの下の木の作業土台はもう誰も作ってないそうだ。
この畳床に、い草と糸で編んだ畳表(たたみおもて)をきっちり美麗に張っていくのが、畳職人の腕の見せ所なのだ。ちなみに畳床自体は、「床屋(とこや)」さんが藁で製造したものを仕入れて使うのだそうだ。
畳の大きさや形を変えるのに、畳床をこういう専用の包丁でザクザク切って行くという。す、すごい作業…
畳の大きさや形を変えるのに、畳床をこういう専用の包丁でザクザク切って行くという。す、すごい作業…
切って行くと藁がほつれそうなものだが、1回でズバッと切ればほつれないとか。手を入れるほどにバラけてくるという。何事も無駄な手は増やさないに限る(ほつれたら自分で縫って留めるそうです。壮大なほつれ止め…)。
畳表を床に仮留め。
畳表を床に仮留め。
もう片方を少し浮かせて、あえてたわませて張る。
もう片方を少し浮かせて、あえてたわませて張る。
こうすることで、最後に畳床をまっすぐにしたときに、ビシッと張れるのだそうだ。考えるだけ
で気持ちいい。
機械で縫うことも多いそうだが、今回は手で縫い上げてもらう。
機械で縫うことも多いそうだが、今回は手で縫い上げてもらう。
これですよ、畳屋さんと聞いてイメージするシーン。間近で見られて感激だ。長い針って、どうにも職人らしさを感じる。

機械縫いだと簡単な縫い方になるそうだが、手縫いでは「パチーン!」という音で、きっちりと締め上げたという合図になるのだという。丈夫で長持ちするらしい。

ピッチリ。
ピッチリ。
畳の縁(へり)は、普段は機械で縫っているという。やおら飯島さんが棚の奥から引っ張り出してきたのは、畳用ミシンだ。昭和50年代の機械で、とても丈夫なのだそう。
ザ・無骨。
ザ・無骨。
専用レールをセット。このレール、20万円ですって!
専用レールをセット。このレール、20万円ですって!
なんとも壮大なミシンである。
なんとも壮大なミシンである。
当たり前だが、縫えてるなぁ。自分が小さくなったみたいな感覚だ。
当たり前だが、縫えてるなぁ。自分が小さくなったみたいな感覚だ。
1枚仕上げるのに、1時間もかからないくらい。機械だと、20分くらいで終えてしまうそう。
意外な速さな気もするが、1度に何枚も受注するだろうことを考えると、それもそうか。
「今はどこも機械ですね。ボタン押して終わり。田舎とか、狭い都内の畳屋さんとかでは手縫いでやってたりするけど。」

畳の世界も、我々が知らないだけで多くの変遷があったのだ。
畳の縁も、変遷があった。このファンシー柄、どこで使うねんと思ったら保育園で需要があるんだって!
畳の縁も、変遷があった。このファンシー柄、どこで使うねんと思ったら保育園で需要があるんだって!
飯島さんは、高校を出た後の11年間は畳材料の会社に在籍。しかし「本物の畳」を作りたいとの思いから畳職人の道を志し、4年前に独立。

同時に、畳での自由な表現を求めて、小物製作も開始する。「ないものは作れ」の精神で。そうだ、ないものは作ればいいのだ。何でもやるのだ。

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