特集 2018年8月27日

猛烈に渋い未熟なクルミで真っ黒い酒(ノチーノ)を作る

まだ緑色のクルミを使って、ノチーノという真っ黒いお酒を作ってみた。
まだ緑色のクルミを使って、ノチーノという真っ黒いお酒を作ってみた。
果実酒といえば、梅、カリン、レモンなどを思い浮かべるが、イタリアには未完熟の青いクルミとウォッカで作る、ノチーノというリキュールがあるらしい。

試しにと作ってみたのだが、これが私の知っている常識と全く違う工程で、できあがった結果が不安になるほど真っ黒だったのだ。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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5月22日 川原で若い木の実を発見

5月後半のある日、なにか食べられるものはないかと川原を歩いていたら、見慣れぬ木の実が落ちていた。

梅にしては細長いようだが、なんだろう。
謎の青い木の実を発見。なんだか表面がペタペタしている。
謎の青い木の実を発見。なんだか表面がペタペタしている。

上を見上げて、この実がなっている木の葉っぱなど確認して、ようやく理解した。どうやらこれは野生のクルミのようだ。

クルミというと茶色くて硬い木の実というイメージだが、木になっている段階ではそのまわりに果肉がある。ギンナンと一緒だ。これはその若いやつ。

そういえば若いクルミを使って、イタリアではノチーノと呼ばれるリキュールを家庭で作っていると話を聞いたことがある。日本でいったら梅酒みたいなものだろうか。
まだ青いクルミ、これが後のノチーノである。
まだ青いクルミ、これが後のノチーノである。
その場で軽くネットで検索してみると、ノチーノは『聖ヨハネの日』である6月24日の深夜に仕込まねばならぬとあった。お茶を摘むなら八十八夜、みたいな話だろうか。
ノチーノを仕込むには、まだ実が小さいのかな。
ノチーノを仕込むには、まだ実が小さいのかな。
宗教的な話はよく分からないが、ようするに収穫にはまだ1か月早いということか。

もしこれで失敗しても挽回のチャンスがあるということだと前向きにとらえ、これで先に進めてみよう。

青いクルミは黒くなる

拾い集めた青いクルミでノチーノを作ることにしたのだが、詳しいレシピはあえて探さず、たぶんこんな感じだろうという予想を立てながら進めることにした。

外国人が梅干しや糠漬けをテイクイットイージに作るみたいな話である。その答え合わせをするかは未来の自分次第。

まず梅酒のように丸のままか、切って漬けるかで迷う。試しに一つを包丁で切ってみると、その断面があっという間に黒くなった。
内臓脂肪多めの人を胴体で輪切りにしたCT画像みたいだが、これが青いクルミの断面である。
内臓脂肪多めの人を胴体で輪切りにしたCT画像みたいだが、これが青いクルミの断面である。
これがクルミであることを忘れる謎の変色。ノチーノ作りのコツは、酸素と反応させて黒くしてアクを抜くことらしいという断片的な情報は知っていたので、この黒くなる変化はきっと正解。

黒くなるとアクが抜けるという理屈がまったくわからないが、きっとイタリアではことわざになるくらい常識なのだろう。
イタリアには「青いクルミは黒くなる」ということわざがあるのでは。
イタリアには「青いクルミは黒くなる」ということわざがあるのでは。
断面が変色するということは、黒くさせるなら切った方が良さそうだ。全部のクルミを半分にして、酸化(でいいのかな)させまくった真っ黒のノチーノを作ってやろう。

こうして作業をした指先が、なんとうかギシギシしている。これが例のアクだろうか。
まだ青いクルミが酸化する様子を動画でどうぞ。
クルミの汁が手につくと、全然落ちないので手袋必須。これがアクなら相当手ごわそうだ。
クルミの汁が手につくと、全然落ちないので手袋必須。これがアクなら相当手ごわそうだ。

ウォッカに漬けてよく振るらしい

日本で果実酒作りといえばホワイトリカー(甲類焼酎)が定番だが、イタリアのノチーノはウォッカを使うらしい。

ズブロッカみたいに香りのあるものよりは、プレーンタイプがいいだろうということで、アルコール度数40度のスミノフを買ってきた。
昔はカロリーオフみたいな意味合いで、スミロンオフって読んでいました。
昔はカロリーオフみたいな意味合いで、スミロンオフって読んでいました。
この時点で氷砂糖を入れるべきか。また香辛料を加えるという説もある。とりあえず足りないものは後から足せばいいだろうということで、シンプルに105グラムのクルミと155グラムのウォッカをビンに詰める。

本当はウォッカをクルミの1.5倍にしようと思ったのだが、ちょっと計算を間違えた。

梅酒作りなら密閉して冷暗所で静かに保管するところだが、ノチーノ作りでは「酸化することに意義がある」ので、フタをしっかり締めてよく振って日向に放置が正解らしい。マジか。いや冷暗所に保管っていうレシピもあるらしいけどさ。
本当に振っちゃっていいのかな。
本当に振っちゃっていいのかな。
何かの拍子(発酵したり発泡したり)に破裂しないようにフタをうっすらと緩めて、ベランダのプランターの横に置く。そして毎日フタを締め直してはシャカシャカと振って、ビンの中で熟成だか酸化だかをさせていく。

異文化過ぎて、「本当に?」と正解を知っている誰かに聞きたいところだが、道しるべのない冒険もたまにはいいだろうと、ノーツイートですすめていく。
切ってすぐウォッカに漬けたので、断面はあまり黒くなっていない。
切ってすぐウォッカに漬けたので、断面はあまり黒くなっていない。
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5月25日 追加分を仕込んでみよう

ノチーノにはやっぱり氷砂糖を入れるべきだったろうか。そういえばクルミの砂糖漬けという食べ方もあるらしい。

青いクルミを使ってもっといろいろやってみたいぞということで、前回とは別の場所をウロウロして、追加分の材料を集めてきた。まだヨハネの日まではだいぶあるが、今回の実は一回り大きいようだ。
川原にはクルミの木がたくさん生えている。これは利用しなさいと言う先人の想いなのだと解釈して、ありがたく使わせていただきます。
川原にはクルミの木がたくさん生えている。これは利用しなさいと言う先人の想いなのだと解釈して、ありがたく使わせていただきます。
まずは氷砂糖入りのノチーノを、半分に切ったクルミ300グラム、ウォッカ500グラム、氷砂糖200グラムで。

クルミが一回り大きくなったことで、黒くなる『素』みたいなものが増えているのか、この時点で少し色が滲んでいる。
断面から見えるクルミの実が、前回のやつよりも大きい。
断面から見えるクルミの実が、前回のやつよりも大きい。
ついでにもう一つ、梅酒と全く同じ作り方でも試してみよう。丸のままのクルミ143グラム、氷砂糖95グラム、ホワイトリカー178グラム。計算ではなく結果論としての実測値である。

これを振らずに冷暗所にしまっておくのだ。さて、どうなるやら。
一人暮らしの大学生が20歳になったら飲もうと初挑戦した梅酒みたいだ。
一人暮らしの大学生が20歳になったら飲もうと初挑戦した梅酒みたいだ。

クルミの砂糖漬けにも挑戦してみよう

もう一品は砂糖漬け。アクが強くて渋いと評判の青いクルミを、どうにかしてスウィーツに仕上げようという無謀な試みである。

さすがに皮は硬いだろうと、手袋をして皮を剥いて四つ割りにする。意外と果汁が多く、その実から汁が滴ってきた。すごく酸っぱそうだが、きっと苦いやつなのだろう。
クルミの殻ならぬ皮を剥く。
クルミの殻ならぬ皮を剥く。
このままでも食べられるような気がしなくもない。
このままでも食べられるような気がしなくもない。
この皮を剥かれた状態を見て、ここまで青いクルミはアクが強くて渋いだろうという前提で作業を進めてきたが、果たしてそれは本当だろうかという疑問が湧いてきた。

もしかしたら日本のクルミは渋くないかもしれない。柿だってドングリだって、渋いのと渋くないのがあるじゃないか。

やはり原材料の味を知らないことには、正しい調理法は導き出せないだろいうということで、試しにちょっと食べてみることにした。
あ、これガチでダメなやつじゃん。
あ、これガチでダメなやつじゃん。
ぐぇ。

食べるところか口内の粘膜に触れた時点で全身が拒絶反応を起こした。シルプブレはフランス語で「お願いします」という意味だが、これはもうシブブプレである。何言ってるかわからないくらい渋いのだ。

渋柿よりも渋い。毒キノコをかじってみたとき以上にやばい。触れたタンパク質がダメになる味。これはタンニン由来の渋さだろうか。だとしたら革をなめせるレベルの含有量だ。

しばらくは口の中のクルミが触れた部分に、歯医者で麻酔をされたような違和感が続いた。この渋さで動物や虫から食べられないようにしているのだろう。やるな、クルミ。

クルミのアクを抜く

日本古来の知識では、山菜などのアクを抜くのに灰や重曹(炭酸水素ナトリウム)が使われる。ただ家に重曹がなかったので、かんすいとして売られている炭酸ナトリウムを使用した。

1リットルの水に15グラムの炭酸ナトリウムを溶かし、その水溶液にクルミを入れて加熱してみたところ、なんだか鮮やかな紫色に変化した。なんでよ。
この前食べたアメフラシの呪いだろうかと不安になる。
この前食べたアメフラシの呪いだろうかと不安になる。
そして煮汁の温度が上がってくると、今度は大量のフワフワしたアクが浮いてきた。豚骨以上のアクだ。

なんだこれは、エスプレッソかカフェラテか。いやメレンゲの気持ちなのか。

もしかしたら甘いかなと思ってしまい(そんな訳ないですよね)、ちょっとこの泡を舐めて、またグエーとなって口をゆすぐはめになる。
どんだけアクが強いんだ。
どんだけアクが強いんだ。
これは本当に食べられるようになるのかという不安と、これを食べられるようにした人類の英知に対する尊敬の念。

能登に猛毒であるフグの卵巣を糠床に漬けて食べる文化があるように、イタリアでは青いクルミを攻略したのだろう。

30分ほど煮たところでお湯を全部捨てて、それでもまだ不安だったので、炭酸ナトリウムの濃度を1%に落として再度煮込む。これぞ二度手間。
もうそろそろアクが抜けてくれてもいいのでは。
もうそろそろアクが抜けてくれてもいいのでは。
もう大丈夫かなと思って食べてみると、歯ごたえはほぼゼロになるほど柔らかいのに、舌がピリピリ、歯がギシギシする程度には残るアク。だいぶマシにはなってきたが、まだ食べ物とは認められない。

しかし、これ以上煮込んだら形がなくなってしまいそうなので、一晩水にさらしてみることにした。もしかしたら炭酸ナトリウムの苦みが残っていたのかもしれないし(かんすいは苦い)。
ここまでして食べる意味があるのかなとか考えてはいけない。
ここまでして食べる意味があるのかなとか考えてはいけない。
そして翌日、水気を切って104グラムとなったクルミを、砂糖50グラム、水50グラムで煮て、ちょっと煮詰まったところで、ビンに詰めて冷蔵庫へ。

もし苦味や渋味が残っていたとしても、時間が解決してくれると信じたい。
野生の食材は、いつだって素材の持ち味をどこまで消すべきかが鍵となる。
野生の食材は、いつだって素材の持ち味をどこまで消すべきかが鍵となる。
ビンに詰めてしまえば、カルディあたりに売っている輸入食材に見えてくる。
ビンに詰めてしまえば、カルディあたりに売っている輸入食材に見えてくる。
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5月26日 ノチーノがやばい色になった

最初に仕込んだノンシュガーのノチーノだが、ベランダに置いて洗濯物を干すタイミングでシャカシャカと振っていたのだが、4日目にはすごい色に育ってきた。
信じてください、ウォッカにクルミを漬けただけなんです。
信じてください、ウォッカにクルミを漬けただけなんです。
これは何色と行ったらいいのだろうか。黒に限りなく近い濃すぎるグリーン。場所がベランダということもあり、2年くらい洗っていない水槽みたいだ。中に入ったクルミが見えない程の透明度である。

そして連日の猛暑のため、ビンがホカホカと温かい。これアルコールが飛んでんじゃないかな。

7月2日 そして真っ黒になった

このベランダに置いた謎のビンを振る生活、いつまで続ければいいのだろうか。そろそろお隣さんから怪しまれる頃に違いない。
あとから仕込んだ氷砂糖入りも真っ黒だ。
あとから仕込んだ氷砂糖入りも真っ黒だ。
やめどきがわからないまま聖ヨハネの日を過ぎて7月に突入。

いつの間にか若いクルミを漬けていた面影といえる緑色の色相は、もはや真っ黒に塗りつぶされていた。醤油よりも黒い。

アクを抜くために黒くしようとしての結果なので、きっとこれで正解なのだろう。それにしても黒いな。
この夏、俺たちは何を目指してビンを振っていたのだろう。
この夏、俺たちは何を目指してビンを振っていたのだろう。
ここから先の工程も謎なのだが、もうそろそろノチーノも太陽に飽きただろうということで、室内に移動してクルミを取り出してみる。
クルミの産毛が浮いていた。黒を通り越してインクのような青さすら感じる。
クルミの産毛が浮いていた。黒を通り越してインクのような青さすら感じる。
ビンの中からは、酸化どころか炭化したような色の、過去には青かったはずのクルミ達が発掘された。
これを食べてみる勇気はなかった。
これを食べてみる勇気はなかった。
ノチーノになったと思われるウォッカをビンに戻し、すぐ試飲しようか迷った末に、冷蔵庫へと移動。

こういうものを一人で飲むのはもったいないし、なんといってもおっかない。

7月15日 ようやく試飲してみる

友人宅でちょっとした集まりがあった日、冷蔵庫にしまわれていたノチーノ(ノンシュガータイプ)と砂糖漬けを持参した。

そして話が一息ついたタイミングで、おもむろにノチーノをロックでいただいてみる。見た目はブラックのアイスコーヒーだ。
カランカラン。
カランカラン。
恐る恐る飲んでみると、あらあら渋さがまったくないじゃないですか。いや嘘、やっぱり渋さは少しあって、すぐに歯がギシギシして舌がピリピリする。でも飲めないというほどではない。やたらと成分が濃い薬草酒という感じ。

アルコールは多少飛んでいるような気もするけれど、まだちゃんと酒の味。これが本当に正解なのかがわからないが、きっとこういうものなのだろう。
本当はもっと寝かせてから飲む酒なんだろうな。
本当はもっと寝かせてから飲む酒なんだろうな。
やはりこういう酒は甘さがあってこそということで、ガムシロップを2つ入れて、さらに牛乳で割ってカフェオレ風にしてみた。カルアミルクならぬノチーノミルクだ。
原田知世は来ていません。
原田知世は来ていません。

これがゴクゴク飲めるうまさだった。やっぱりノチーノに甘さは必要だ。牛乳との相性もバッチリ。ノチーノミルク、うまいじゃないか。最初にあの実を口に入れた時の衝撃が凄すぎたので、ものすごく過大評価しているかもしれないが。

たくさん飲むと口の中にギシギシ感が積み重なってくるが、これもあと半年くらい寝かせれば消えてくれるような気がする。

青いクルミの砂糖漬けにチャレンジ

続いては砂糖漬け。ノチーノのようにエキスではなく、未成熟の実そのものを食べるので、より危険度は高い気もするが、さてどうなっただろうか。
外国土産の頭蓋骨といわれれば、そうかなと思ってしまう正体不明っぽさ。
外国土産の頭蓋骨といわれれば、そうかなと思ってしまう正体不明っぽさ。
こちらも食べてみれば渋さはほぼ感じず、ちゃんと甘いナッツ的なものになっていた。

収獲のタイミングも、きっとあの大きさくらいがちょうど良かったのだろう。これ以上育ってしまうと、クルミの殻になる部分が歯に引っかかる気がする。
こうして手作りのパンに乗せれば、スローライフの風を感じる。
こうして手作りのパンに乗せれば、スローライフの風を感じる。
クルミだと言われなければ絶対にわからない、ホロホロと崩れていく感じが好きだ。渋皮ごと煮込んだ栗が近いだろうか。

市販品にこれよりも美味しいものはいくらでもあるだろうけれど、自分が想像していたよりはずっと美味しいので大成功である。
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7/19 梅酒方式はひどいことになった

ノチーノと砂糖漬けの成功に気を良くして、すっかり忘れていたのだが、そういえば梅酒と同じ手法でつくったノチーノもあったのだ。

ビンを取り出してみると、水出し緑茶を作っているのかというような色合いで、ノチーノとは全く違う透明感だった。
黒くない!
黒くない!
では味はどうかなとストレートで飲んでみると、口に入ってきた瞬間に歯がガチガチと震えて、全身に鳥肌が立つやばさだった。渋いというレベルじゃない。粘膜がやられる。

見た目は小粋な抹茶カクテル、その実体は喉が焼けるほどの危険物。暗殺されるかと思ったよ、自分に。
お茶ですって出されたら死ぬかもな。
お茶ですって出されたら死ぬかもな。
この失敗によって、やっぱり黒くすることに意味があるということを学習した。あの黒さこそが穏やかさの象徴なのだ。

クルミの渋味となっている成分が、空気中の酸素や太陽の力で黒くなることで、結果として不活性化するっていう感じっすかね。

確実じゃない説なので、軽く書いてみたよ。

8月23日 大人な味のアフォガートになった

梅酒方式に絶望した日、氷砂糖入りで作ったノチーノからクルミを取り出し、シナモン(肉桂)とクローブ(丁子)を入れて、スパイス感をプラスしてみることにした。

柑橘類の皮やバニラビーンズなどを入れるというレシピもあるようだ。
クルミをアウトして、シナモンとクローブをインしました。
クルミをアウトして、シナモンとクローブをインしました。
これを1か月ちょっと経ってから飲んでみたところ、前に飲んだシンプルな材料のノチーノよりも、明らかに味に奥行きがでておいしくなっていた。

なるほど、確かにスパイスは必要だ。バニラビーンズや柑橘の香りを足したくなる気持ちもわかる。

サイダーからコーラになったような、ちょっとだけ大人への変化である。あるいは紹興酒から養命酒へ。
これは氷砂糖入りのタイプなので、このままでも程よく甘い。
これは氷砂糖入りのタイプなので、このままでも程よく甘い。
前回のように牛乳を足すか、炭酸で割っても美味しそうだが、ちょっと方向性を変えてバニラアイスに掛けてみることにした。ノチーノアフォガートだ。本来のコーヒー版を食べたことすらないけれど。

そこに残っていたクルミの砂糖漬けをトッピング。さらにベランダでノチーノのビンと隣同志だったバジルも乗せようか。私の中では感動の再会である。
青いクルミの集大成と呼べる一皿が完成。
青いクルミの集大成と呼べる一皿が完成。

これがものすごく合う。バニラアイスの甘さを引き締めるノチーノの深みとアルコール感。そしてアイスと一緒にホロホロと口の中で崩れていく砂糖煮の食感とストレートな甘さ。3口くらい食べたところで齧るバジルもまた良しだ。

川原で青いクルミを見つけたところから不安だらけの日々だったが、きれいに着地してくれてよかった。さらに半年くらい寝かせて、時間経過に伴う味の変化を試してみようと思う。

ノチーノ作り、自分が知っている果実酒作りの常識と全く違っていて、その驚きの連続が味覚以上に心を満足させてくれた。イタリアの人はよくあの渋すぎる青いクルミから真っ黒い酒を作ろうと思ったな。イカ墨パスタ文化のなせる技なのだろうか。

青いクルミを使ってインクを作ることもできるらしいので、来年は暑中見舞いでも書いてみようと思う。
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