特集 2018年9月5日

宇宙すぎるカプセルホテルに宿泊した

宇宙すぎるカプセルホテル
宇宙すぎるカプセルホテル
宇宙すぎる、というか宇宙船のイメージそのままのカプセルホテルに泊まってみた。

ここでいう「宇宙船」とは『2001年宇宙の旅』とか『スターウォーズ』に出てくるような宇宙船を想像していただきたい。
鳥取県出身。東京都中央区在住。フリーライター(自称)。境界や境目がとてもきになる。尊敬する人はバッハ。(動画インタビュー)

前の記事:ホーカーセンターで食べる海南チキンライスはなぜこんなにうまいのかよ

> 個人サイト 新ニホンケミカル TwitterID:tokyo26

スペイシーすぎるカプセルホテル

シンガポールのカレン駅近くにある『スペースポッド@SG』というカプセルホテルにやってきた。
ここが問題のカプセルホテル
ここが問題のカプセルホテル
まずは客室……というか、ベッドをみてほしい。
スペイシー
スペイシー
なんだか、意味ありげな凸凹の壁(ほんとうは特に意味はない)にスペイシーなライトアップの鏡。広さは普通のカプセルホテルほどでしかないが、このケレン味の強さに思わずふき出してしまう。
寝っ転がってみる
寝っ転がってみる
もちろん、カプセル内は、立てるほどの高さはないが、座っているぶんには十分な高さはある。出入り口には、ロールカーテンがあり、引っ張ると外からは見えないようになっている。
どこからどうみてもスペイシー
どこからどうみてもスペイシー
この、秘密基地感はたまらん。スペースコロニーの霊柩車の中はこんなかんじなのだろうか?
この、秘密基地感はたまらん。スペースコロニーの霊柩車の中はこんなかんじなのだろうか?
猫は、狭い場所を好む。あれは、外敵から身を護るため、狭い場所に身を隠す本能がそうさせているらしいが、人間にもそういう一面はある。

こんなに狭い場所は、ひとが本来持っている営巣本能をグリグリ刺激する。そのうえ、SF風の内装である。

スペースシャトルやら、NASAやら、スペースコロニーやら、スターウォーズといった、SFの宇宙=かっこいいもの、という、もはや信仰に近い先入観でもって生きてきた昭和生まれにとってはたまらない。
ちょっとまえに、ブルートレインを再現したホステルに泊まったが、こちらのホテルは、ドミトリーだが、カプセルひとつづつが独立しており、完全な個室となっている。

パネルのスイッチはなんなのか

パネルのスイッチはなんなのか
中国語だ
中国語だ
パネルに書いてある文字は中国語だ。
なんとなくはわかる
なんとなくはわかる
右側のスイッチは、読書灯と天井灯だろうか。てきとうにカチカチ押してみると、やはりそのようである。
読書灯が光った!
読書灯が光った!
宇宙にいっても『かりあげクン』とかはぜったい読みたくなると思うので、読書灯はありがたい。

まんなかのツマミはファンの絵がかいてあるので、おそらくファンの強さを調節するものだと思うが、回しても、まったく手応えがなく、ファンと思しき場所を見ても静かすぎて、果たして動いているのかいないのかわからない。が、あまり気にしないでおこう。

一番右のツマミ。これは、ツマミのまわりに黄とか藍とか白なんて書いてある。クルクルまわしてみると。カプセル内の照明の色が変わった
紫
緑色
緑色
黄色
黄色
「お、おう」という、ネットスラングがあるが、それである。
電視。テレビだろうなー
電視。テレビだろうなー
テレビのボタンもあった。
シンガポールのテレビでもみるかと、ボタンを押すが、抵抗なくヌルっとひっこむだけで、なにもおきない。というか、もとよりテレビのモニタらしきものはなかったのだ。
「もしかして、鏡の部分が光ってテレビになるのかなぁ」と淡い期待をいだきつつボタンを押下したわけだが、そんなわけなかった。

このカプセルを製造販売している中国の企業「米艙科技」のウェブサイトを見てみると、このカプセル本来の姿がわかる。
本来はテレビがついている米艙科技webサイト
本来はテレビがついている 米艙科技webサイトより
どうも、このホテルではカプセルの機能をいくつかカットしているようで、本来は足元にモニタがあり、それがテレビだったようだ。さらによく見ると、パネルの下に金庫らしきものがついているが、それも取り外してあった。
ほんとは金庫があったはず 米舱科技webサイトより
ほんとは金庫があったはず 米舱科技webサイトより
金庫は無いけれど、鍵付きのロッカーは外側にある。
ロッカーは普通に駅にあるやつ
ロッカーは普通に駅にあるやつ
ロッカーは別にスペイシーな感じではない。普通だ。国際宇宙ステーション気分で外にでると、ロッカーで一気に現実に引き戻される。

にじみ出る、アジアの安宿感

ドミトリーの宿泊施設は、相部屋に二段ベッドがズラッと並ぶイメージだが、このカプセルホテルは、その二段ベッドがそっくりそのまま、この宇宙すぎるカプセルとなっているという寸法だ。
宇宙すぎるカプセルが並ぶ相部屋
宇宙すぎるカプセルが並ぶ相部屋

カプセルには大人二人が横になれるぐらい広いタイプのものと、一人用のものと2タイプあった。
一緒に泊まった子供には十分すぎるほどの広さだった
一緒に泊まった子供には十分すぎるほどの広さだった
このホテルは、カプセル以外は、そんなにスペイシーな内装に凝っているわけではなく、普通のドミトリーの宿のベッドをカプセルにしました。というぐらいのものであったので、一歩カプセルを出ると普通のアジアの安宿という雰囲気があった。
普通の安宿だ
普通の安宿だ
共同のシャワー室とランドリー
共同のシャワー室とランドリー
一泊、40~50シンガポールドル(3500円~4000円)ほどであることを考えればまあ、じゅうぶんである。
ホテルとしての設備は、値段相応であったが、ひとつだけ、相部屋共通のエアコンが効きすぎ、めちゃめちゃ寒かった。
夜、布団をかぶってちょうどいいぐらいの寒さで、一緒に宿泊した暑がりの妻が「コールドスリープするわ」というほどであった。
相部屋のエアコンの温度設定を、勝手にいじっていいものか悩んだが、エアコンの設定温度をみると22度とあったので、こっそり26度ぐらいまで上げておいた。

このカプセル、買えるぞ

ところで、このカプセル、どうやらネット通販で買えるらしい。

アリババドットコムをみると、最低6個から、安いものだと1個690ドル、つまり約4150ドル(6個分)ちょっと。日本円で46万円ほどから買えるらしい。
6個からか……
6個からか……
送料などがどうなるかわからないけれど、欲しいという人を6人集めて、共同購入するのもありかもしれない。

日本では神戸にあるようだ

このスペイシーなカプセルホテル。世界各地にあるようで、ぼくの泊まったシンガポールのホテルだけではなく、深センやクアラルンプール、ウラジオストックなどにもあるようだ。

日本では、神戸の「神戸シティガーデンズホテル」にこのシリーズのカプセルに宿泊できるプランがあるらしい。
▽デイリーポータルZトップへ

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ