特集 2018年9月8日

アイドルの話はプロレスの話に翻訳できるか ~文化にも通訳が必要だ~

多様な国の民が集まった
多様な国の民が集まった
あるクラスタの喜怒哀楽が、そのクラスタ間では強烈に共感できるのに外へでるとさっぱり人に伝わらないということはよくある。

20年前、スマッシング・パンプキンズというオルタナティブロックのバンドの解散の報にふれた。

が、事の重大さがその道に通じないわたしにはわからなかったのだ。

結果オルタナ好きでスマッシング・パンプキンズのファンだった友人の悲しみに寄り添えなかったのをもうずっと覚えている。

あのとき、誰かそれを私の解る別のジャンルのなにかに例えて伝えてくれていたら。
東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

前の記事:ビールの造られ方を知る、これが人生最後のチャンスだ

> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

ある2つのジャンルに詳しい人に「通訳」をしてもらう企画です

ちょっとわかりにくい企画なので冒頭に重ねてどういう記事なのかもう一度説明させてほしい。

やることは「文化の通訳」である。あるカルチャーの話を、別のカルチャーの話にたとえる。

例えばこれ、今年の4月20日の私とライターべつやくさん、そして当サイトでは動画制作や大きな道具を作るときに何かとお世話になっている岩沢卓さんの会話だ。
!
EDMというダンスミュージックの1ジャンルがあり私はそのファンである。この日、EDM界の若くして偉大なDJであるAviciiが亡くなり大変なショックを受けた。

しかし居合わせたべつやくさんはメタルの世界で長く生活しダンスミュージックとはあまり縁がなくことの重大さが伝わらない。

そこへやってきたのが岩沢さんだった。
!
岩沢さんの一言で、私の悲しみや驚き、失望がいっぺんでべつやくさんに伝わった。
!
これ、翻訳だ! 通じない言語圏で育った2者の気持ちを一つにしたのだ。岩沢さんは通訳である。

企画の概要を説明するのに死を取り上げるのはどうかと最後まで迷ったのだが、大ショックだったからこそ伝わって救われた部分も大きかったこともあって取り上げた。

EDM←→メタル プロレス←→アイドルを通訳チャレンジ

この、異なるクラスタ間を、両方の世界に精通する通訳の方を通じてつなぐということがもっとできないかと思ったのだ。

今回は2つの翻訳の場を用意した。

1つは上記例の続きとして、あらためてべつやくさん、岩沢さんに参加いただきEDMとメタル間の話を。
岩沢さんはスカイプで参加してくれました。そしてお互いの着ているTシャツがなんなのかぜんぜんわかっていない2人
左からメタルのべつやくさん、EDMの古賀、右下の岩沢さんはスカイプで参加してくれました。それにしてもお互いの着ているTシャツがなんなのか分からない
そしてもう一つ。

アイドルとプロレスというのは文化としてそもそも似ていると聞いたことがある。通訳してもおもしろいのではないかとこちらも各界から有識者にお集まりいただいた。
左から、アイドル語話者のこぢこぢさん、通訳の大坪ケムタさん、写る必要のない筆者、プロレス語話者の玉置標本さん
左から、アイドル語話者のこぢこぢさん、通訳の大坪ケムタさん、写る必要のない筆者、プロレス語話者の玉置標本さん
超手探りの企画ながら、ご参集いただいたことに始まる前からまずは感謝である。
●ここでご案内●

デイリーポータルZはある分野に特化したマニアックな言葉はできるだけ使わない編集方針です。

すべてのひとに等しく楽しんでもらいたいと思って作っております。

が、今回は主旨が主旨なだけに各ジャンルの専門用語や固有名詞がばんばん出てくると思われます。それでもどんな人でもできるだけ興味が持てるように編集しました。

どうかご了承の上、読んでいるみなさまにおかれても「自分が所属しているクラスタでいうところのこういう話かな……」と想像していただけたら本当に本当に幸いです。

LOUD PARKが開催されないショックを共有しよう

ではまずは私(EDM)とべつやく(メタル)さんの言葉をあらためて岩沢さんに通訳してもらうところからご紹介しよう。

※プロレス・アイドル間の通訳を先に読みたい方はこちらへどうぞ
べつやくさんと古賀でそれぞれメタルとEDMの世界から通訳してほしいトピックをいくつか持ってきました。
これ、訛りみたいなのを考慮すると面白そうですよね。

音楽も自分の通ってきた歴史で解釈に訛りがあると思うんですよ。僕はパンク村からハードロック町に出てメタル市に出会い。テクノ半島からエレクトロニカ諸島行ってのEDM街道を通過、という流れです。訛りが酷いです。そう思って寛大に解釈してください。
なるほど、カルチャーの話なので好みや通ってきた道で状況の解釈も変わってくるだろう。

一家言ある読者のみなさまにおかれましてもどうか寛大にごらんいただければ幸いです。
じゃあまずはメタルをEDMに訳してもらうところからいきましょうか。
2018年のLOUD PARK、開催されず
なんだろう。メタルの公園って想像できないですね……。
いきなり両者に壁
いきなり両者に壁
LOUD PARKはヘビメタのフェスです。さいたまスーパーアリーナで毎年やってたんですが今年はやらないらしいんです。だからこれは、Ultra Japanが今年はやらないってことかなーとぼんやりは思ってました。
そうですね、それはもうそういうことでいいと思います。
メタル語「2018年のLOUD PARK、開催されず」

EDM語訳「2018年のUltra Japan、開催されず」
わー、それは一大事だ。Ultra Japanも去年存続危ぶまれたんですよね。でも去年やって今年もあります。チケットとりました。EDMはたくさんフェスあるんですが、個人的にはUltra Japan好きなんですよ。
去年のUltra Japanです
横長のロボみたいな去年のUltra Japanメインステージの写真です
これは岩沢さんが訳す前にべつやくさんがピンときたパターンだった。言語でも、少し勉強していれば通訳してもらえる前に微妙に単語を拾えることがあるだろう。そういう感じだと思う。
ちなみにメタルのフェスは怖いと思われることが多いんですが、荒々しい人はいても、だいたいがおとなしくてやさしいんですよ。

財布落ちてたら「誰のー?」って声かけてくれたり。「メタリカ」って書いてある財布を。
「メタリカ」って書いてある財布かっこよすぎですね……。そうするとフェスはEDMのほうが若干秩序は乱れてるかもしれないな……。ファン層が若いからな……。

通訳は「人選」がむつかしい

SLAYER、次のワールドツアーでツアー引退を表明
わかんないな……。これべつやくさんとしては困るんですか。
アルバムを作るとか音楽活動は続けるってことらしいんですが、それすらもやめるって話もあってそうなると「えー…」ですね。
David GuettaがDJ活動休止してプロデュース業に専念する…みたいな話ですかねこれは。
あっ! それはめっちゃめちゃ一大事だ。
通訳、人選がむつかしいですね……! でもDavid Guettaが話としてわかりやすいと思います。
メタル語「SLAYER、次のワールドツアーでツアー引退を表明」

EDM語訳「David Guetta、DJ活動休止してプロデュース業に専念」
人物をどの人物で例えるか、が翻訳の上では難しいようだ。とはいえやはり「EDMでいうところの誰々みたいなもの」と人物を名指しで例えてもらえると伝わるものは大きい。
SLAYERは長年のヘッドバンキングや重い衣装の影響で体がしんどいらしいんですよ。それで休みたいんじゃないのかな。引退するって言ってもフェスとか、限定のライブではやるんじゃないかとファンとしては勝手に思ってます
David Guettaももし万が一ライブとかツアー辞めるって言ってもちょこちょこフェスとか出てきそうなキャラですね。
ちなみに主に曲を作ってたギターのジェフ・ハンネマンは毒グモにかまれて死にました(正確にはかまれたのが原因で肝不全になり死去)。
スラッシュメタルだからってそんな死因ありなのか。
ヴォーカルのトム・アラヤは笑顔がかわいいので多くのメタルファンに愛されている、そんなバンドです。
どんどんメタルの世界に興味が出てきたEDM
どんどんメタルの世界に興味が出てきたEDM

悲しい話への強い共感

元PANTERAのヴィニー・ポール死去
2004年に射殺されてしまったダイムバッグ・ダレルという人がいて、その死を悲しんでいた兄がヴィニー・ポールです。兄ももう死んでしまうとは。
亡くなった話がまた翻訳難しいですね。EDMはまだ歴史が浅いし関係者がまだ若いんですよね。
デトロイト・テクノの偉い人たちでもまだ50代くらいですもんね。
例えるとDVBBSがどちらも亡くなってしまうみたいなことかな。Vinaiよりも音的にDVBBSの方が近いかも。
わ、私はVinaiとDVBBSだったらDVBBS派だしなるほど……つらい。
仲の良い兄弟だったんですよ。
メタル語「元PANTERAのヴィニー・ポール亡くなる」

EDM語訳「DVBBSの片方が先に亡くなってもう片方も亡くなる」
やはり「活動停止」や「解散」それに「死去」という寂しい話は共有できるとその辛さがわかる。

では、そうではない話題はどうだろう。

他クラスタの「ざわつき」を理解できるか

11月のJudas Priestの東京公演が武蔵野の森総合アリーナでファンざわつく
Judas Priestはメタル・ゴッドと呼ばれているバンドです。なぜ武道館とか東京ドームとかさいたまスーパーアリーナじゃないのかとファンがざわついてます。
メタル界の重鎮なんですよね。そういう意味ではProdigyが意外な場所で単独公演みたいな話ですかね。FAT BOY SLIMあたりでもいいけど、世界観的に。

武蔵野の森総合アリーナはキャパ的には幕張メッセイベントホールとかと変わらないんですが……。
確かにProdigyが武蔵野に来たらちょっとどう「ようこそ」していいかわかんないですね。すごい。通じた。
メタル語「Judas Priestの来日公演、東京会場が武蔵野の森総合アリーナ」

EDM語訳「Prodigyの来日公演、東京会場が武蔵野の森総合アリーナ」
あのアーティストがあの会場に! という、規模×規模のはなしはどのクラスタの間でも鉄板である。

こういう話は今後もぜひ翻訳で共感を味わいたいものだ。
ついでにメタルにポーズを教えてもらうEDM
ついでにメタルにポーズを教えてもらうEDM

通訳しながら情報を得る

メタルの話にすっかり共感ができたので私としてはもう大満足なのだが、自分の話を通訳してもらう体験も、先日のAviciiの件以来もう一度してみたい。

EDMからも1トピックだけ訳してもらおう。
Swedish House MafiaがUltra Music Festivalの本家マイアミの20周年で再結成
個人的には今年前半のビッグトピックスでした。最高に盛り上がりました。
わかんないですね。
これも悩みますね…。マイアミのUltra Music Festivalは、日本でもやっててわかりやすいフェスという意味でOzz Festでいいかなと思うんですが……。パンテラかな……。
大物だ!
ふいに自分とこのビッグネームが出たので笑う。急に話が自分ごとになるのがおもしろい
ふいに自分とこのビッグネームが出たので笑う。急に話が自分ごとになるのがおもしろい
ガンズアンドローゼスは言い過ぎだと思うんですよね。LAガンズでもいいのかな……。
LAガンズは再結成して去年のLOUD PARK出てましたよ。
あ! そうなんですね!
EDM語「Swedish House MafiaがUltra Music Festivalで再結成」

メタル語訳「Ozz Festでパンテラ再結成」
ここでべつやくさんからメタル情報を得た岩沢さん。通訳をしながらにして片方の言語について学ぶってこと、語学の世界でもありそうだ。

やはりやっていることは語学の翻訳に似ているのではないか。
ちなみに撮影に来ていた編集部の藤原はガンダムと哲学のファンで終始なにもわからないようだった。メタルかEDMの話をガンダムか哲学に翻訳できる方がいたらぜひご連絡ください
ちなみに撮影に来ていた編集部の藤原はガンダムと哲学のファンで終始なにもわからないようだった。メタルかEDMの話をガンダムか哲学に翻訳できる方がいたらぜひ翻訳してあげてください
さて、ここまでは筆者が言語の片方の話者として参加した。

しかし次はアイドルとプロレスの話だ。個人的にはどちらの世界にもうとい。

そういう、蚊帳の外だが本人たちは共感でつながるみたいな様相もぜひ目の当たりにしてみたい。
いったん広告です

アイドルの話はプロレスの話に翻訳できるか

冒頭でもご紹介したが、集まっていただいたのはこちらのお三方。
左からプロレス話者 玉置標本さん、筆者、アイドル話者 こぢこぢさん(顔出しふわっとNGのため鼻眼鏡でご登場くださっております)、通訳 大坪ケムタさん
左からプロレス話者 玉置標本さん、筆者、アイドル話者 こぢこぢさん(顔出しふわっとNGのため鼻眼鏡でご登場くださっております)、通訳 大坪ケムタさん
アイドルは坂道まわりを注力して追っているこぢこぢさんと、玉置さんはプロレスを雑誌を中心に文字で楽しんでいるファン(そういうファンがいるのか!)。

まずはアイドルの話をプロレスの話に通訳するところからお願いしていこう。
道合同オーディション終了。約13万人から38人合格。倍率3400倍。
坂道のグループはいま乃木坂46と欅坂46とけやき坂46があって、合同オーディションが行われました。その倍率がすごく高かった。いま48とかのほうは数千人から数名が選ばれるという倍率です。

オタクたちは選ばれた38人から誰はうち(のグループ)に欲しいとかそういう話で盛り上がってます。
「欅坂」と「けやき坂」があるんですか!?
通常、こんな感じで趣味の会話というのは前提が分からないと終了してしまいがちなのだが、今回は違う……!
通常、こんな感じで趣味の会話というのは前提が分からないと終了してしまいがちなのだが、今回は違う……!
全盛期の全女の入門テストみたいなものですかね……? 入ってきた子を極悪同盟に入れるかクラッシュギャルズの付き人にさせるかみたいな。
現代の話に例えると新日本のほうが近いかな。全国から人が来るという意味では。昔はオーディションよりも紹介や直接弟子入り志願が多かったから。80年代くらいからプロレスもいわゆるオーディションというシステムがちゃんとしてきたんです。
アイドル語「道合同オーディション終了。約13万人から38人合格。倍率3400倍」

プロレス語「新日本プロレス入門テストに全国から応募が」
昔は入り方が雑でしたよねプロレスは。メキシコでたまたま知り合ったとか。
入り方の話でいうと、最近の坂道とか、AKBとかもそうですけど元地下アイドルというパターンが増えてきましたよね。下積みをしてメジャーに向かうという。

中学生くらいで地下アイドルをやってある程度スキルがついたところでやめて、大きなグループに合格するっていう。
学生プロレスやインディー団体からメジャーに入るみたいな話が。
これ、普通だったら「『欅坂』と『けやき坂』があるんですか!?」で終わる会話だったのではないか。

自分の国の言葉もわかる通訳の存在によって「全盛期の全女の入門テストみたいなものですかね……?」と止まることなくむしろ自分ごとのようにプロレス側が考出すという展開。

これだ! これが見たかったんだ!

推しメンの卒業をともに悲しめる日がやってきた

欅坂46、今泉佑唯卒業(推しメンの卒業)
この子も地下アイドル出身者です。欅坂では初の卒業メンバーになりました。
推しが卒業するというとすごく悲しいことなんだろうなくらいはさすがに通訳前からわかりますね。
プロレスでいうところの誰にあたるんだろうなあ。下からあがってきて人気があって。翻訳難しいですね! ピタッとはまるのがあるときもちいいんだよなあ。
今回の卒業は、芸能界の引退とは違って芸能活動自体は続けるみたいです。
じゃあプロレスでも「引退」ではなくて「退団」ですかね。
志田?
ああそうですね志田光とか……。
ちなみに志田選手はこちらの記事</a>でライターおおたさんにプロレスを教えてくださった方……!
ちなみに志田選手(写真左)はこちらの記事でライターおおたさんにプロレスを教えてくださった方……!
あとはうまくいって欲しいという意味では紫雷イオかな…インディー団体でデビューしてメジャー団体という共通点もある。
アイドル語「欅坂46、今泉佑唯卒業」

プロレス語「紫雷イオ、スターダム退団」
今泉さんという方は若いんですかね?
多分……20歳いかないくらい?
推しの人でも年齢はちゃんとは覚えていないんですね、意外……!
そう……ですね。あんまり気にはしないですね。誕生日は盛大に祝います。(※通常ファンの方々は年齢もちゃんと覚えてるそうです!)
紳士か。プロレスも年齢って気にしないですか?
プロレスも年齢は気にしないですね。それよりも入門順が大事です。
イメージ通りだ! しびれるなあ。
外野として立ち会ってはっとしたのだが、今回は別々のクラスタの間をつなごうという企画なだけにみんなすごく自分の趣味について丁寧に語ってくれる。

そういうこと、実はあまりないのではないか。すべてが興味深い。

願いを込めての通訳

欅坂46、志田愛佳長期休業。文春砲の影響も。(推しメンの文春砲)
一推しはこっちなんです。初期から完全に推してたんですけど……。

体調崩して休業しているときに地元のちょっとやんちゃ系の男の子たちとお祭りに行っちゃったよという記事が出まして。プリクラが流出したりというのも。
なお、乃木坂で一推しだった伊藤万理華さんも先日卒業されたとのことです…。泣ける
なお、乃木坂で一推しだった伊藤万理華さんも先日卒業されたとのことです…。これは泣ける
これは翻訳解りやすいですね。棚橋が刺されたやつですね。プロレス界随一の男女スキャンダル!

いまトップ選手の棚橋弘至がまだ若手のころに恋愛のいざこざで女性に刺されて刺されたまま病院に行ったという。
背中の筋肉厚かったんで助かって、プロレスファンは湧きました。
男女関係のスキャンダルだったので当時は逆風にもなったんですが、ばん回してトップレスラーになりました。志田さんも頑張ってほしい、という願いも込めての翻訳です。
アイドル語「欅坂46 志田愛佳長期休業。文春砲の影響も」

プロレス語「棚橋弘至、女性関係のスキャンダルで逆風」
翻訳に優しさが注入されるという初めてのパターンが出た。

大坪さんは通訳者として登場していただいてはいるが、言い換えればアイドルとプロレスがどちらも好きで詳しい人なのである。他人事ではないのだ。

ここで攻守交替。続いてプロレスの話をアイドルの話に翻訳していくターンに入ろう。

カルチャーにある「共通言語」

新日本、G1で100年に一人の逸材、棚橋が優勝。1.4東京ドームに向けて、再び主役に躍り出る。
G1というのは新日本プロレスの最大の大会で総当たり戦のことです。
これはAKBで行くとわかりやすいのかなあ。G1をAKBの総選挙として。
オカダ・カズチカがプッシュされてたんですけれども、ここへきて棚橋が優勝というのが!
ちょっとびっくりはしたかなというのはありましたからね。

AKB総選挙で指原が2年連続で1位を獲って。そのあとで渡辺麻友が獲ってそのままいくかなと思ったら次の年また指原が取り返したときに近いかな。
プロレス語「新日本、G1で100年に一人の逸材、棚橋が優勝」

アイドル語「2015年AKB総選挙で指原が首位奪還」
あ~~、なるほど。
これは私にもわかりやすいです!
プロレスにもアイドルにも詳しくない筆者だが、棚橋弘至選手くらい有名だと名前も顔もわかるし、AKBの主要なメンバーの名前や総選挙が盛り上がることも知っている。

カルチャーにも翻訳せずともわかる共通言語みたいなものはある。

なんてためになるんだ今日は

スターダムの紫雷イオがとうとうWWEに挑戦。
WWEはアメリカの一番大きな団体ですね。そこに挑戦…というかスカウトされたという。
これも悩みますね……。WWEというのはアイドルにとって何になるのか。一つ上の壁に行くってことだと思うんですが。

平手友梨奈がこんど映画に主演する、でいいのかというとそうじゃない気もするしなあ……。

BABYMETALでいいのかな……。もともとはさくら学院っていうアミューズのアイドルグループの一員だったんです。中学三年生で卒業するアイドルっていう。BABYMETALはそのなかの部活、軽音部じゃなくて「重音部」という設定だったんですよね。

半分冗談ではじめたらブレイクしてレディー・ガガの前座に呼ばれて海外でも大ヒットして。それと近いかな。最近はアイドルと呼ぶとそれだけで怒られがちなんですけど。
プロレス語「スターダムの紫雷イオがとうとうWWEに挑戦」

アイドル語「BABYMETAL海外でも大ヒット、各国のフェスに出演」
BABYMETALは知ってます! アイドルの部活設定の活動だったとは。なんだ今日は全部ためになるな。
個人的にはそこから同様にWWEから声がかかってる里村がどうするのかも気になってます。
プロレス側からたたみかけてトピックが。
プロレス側からたたみかけてトピックが。

リスペクトされるレスラーとリスペクトされるアイドル

同様にWWEから声がかかってる里村がどうするのか
仙女(仙台女子プロレス)の里村明衣子ですね。女子プロレス界の横綱です。
仙女は小さな団体だからこの人がいなくなると立ち行かなくなるかもしれない。本人にはWWEに行きたい気持ちはすごくあると思うんですよ。でも抜けちゃうと。
女子プロレスはレベルでいえば日本がずば抜けてるんですよね。「JOSHI」って英語で通じるくらい。

海外でも里村はすごくリスペクトされてるんです。そういう意味で、里村はハロプロに近いかなと。
里村明衣子選手→リスペクトされてる→アイドルでいうところのハロプロという通訳におしよせるなるほど感!
里村明衣子選手→リスペクトされてる→アイドルでいうところのハロプロという通訳におしよせるなるほど感!
ハロプロはリスペクトされてますね。
規模はいまではAKBや坂道にとどかないかもしれないけど、アイドルとして圧倒的にリスペクトされてる。里村明衣子は元℃-uteの鈴木愛理みたいな感じかなと。
鈴木愛理がどこから声がかかる思うとしっくりきますか?
うーん、やっぱりハリウッドに当たるのかなあ。
プロレス語「WWEから仙女の里村に声がかかる」

アイドル語「ハリウッドから鈴木愛理に声がかかる」
外野としては、もうただ「ほほう」とひげをなぜるのが楽しすぎるという状況だ。次で最後です!

無理かと思ったものも無事に訳された

東スポの内藤哲也へのファミレスインタビューがすごい
これはプロレスファンがみんな好きなやつなんですけども、東スポの記者がレスラーの内藤哲也にファミレスに呼びだされて内藤が一言いいたいことを語るという連載記事があるんですよ。

内藤が毎回最後食い逃げするんですが、記者の方がすごくおもしろく記事にするという。
内藤と記者が同期なんですよね。そういう信頼関係があるんでしょうね。ずっと見てるから。
でもさすがにこれ、アイドルに同じような話ないですよね……。
番記者じゃないんですけど、似たような感覚はアイドルもありますよ。ももクロとライターの小島和宏さんとか。ちなみに小島さんは元「週刊プロレス」の方ですね。坂道系だと西廣智一さんとか。信頼されているライターの方がいますよね。
あ、いますね!
プロレス語「東スポの内藤哲也へのファミレスインタビューがすごい」

アイドル語「小島和宏さんのももいろクローバーZのインタビューは信頼できる」
はまった……! 納得の会場
はまった……! 納得の会場
プロレスとアイドル、どちらも華やかな業界だ。翻訳によって派手と派手がぶつかり合ってもうてんこもりもてんこもりである。

共感のために文化も翻訳を! とかかげて始めたが、結果的に同席の私としては一つのトピックで二度楽しめる豪華版みたいなありがたい様相であった。

話し合って分かりあって豪華。これが世界の平和ではないか。

人はもっと濃い趣味の話を聞いていい

大坪さん、玉置さんコンビは以前ライターの斎藤充博さんがはじめてプロレスを見に行く記事の案内役もしていた

この記事、はじめてプロレスに行く記事なのだが結果としてプロレスが大好きな大坪さんと玉置さんを見る内容になっていてすごくいい。

何かを好きな人の好きだという話を、私たちは自分には知識がないからと聞くのを遠慮しているのではないか。でも聞けば喜んで話してくれるし面白いことがほとんどだ。

知識のハードルを下げて説明してもらえるという意味で、「通訳」という状況設定は思った以上に機能したと思う。

またやろう。

今度はもっと遠く離れたカルチャーをつなげられないだろうか。盆栽とプリキュアとか、両方お好きなかたどなたかお願いできませんか。
▽デイリーポータルZトップへ

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←
ひと段落(広告)

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ