特集 2018年9月11日
 

みどりの窓口は正確にはアイビーグリーンの窓口

街の中の正確な色を知ってライバルに差をつけろ!
街の中の正確な色を知ってライバルに差をつけろ!
緑色と聞いてどんな色をイメージするだろうか。キャベツのような黄緑に近い色を思い浮かべる人もいれば、カボチャのような深い緑を想像する人もいるだろう。そのくらい色のイメージというのは曖昧なものだ。

しかし世の中にはそんな曖昧なものがあふれている。そして曖昧に気付いてしまったらはっきりさせたくなるのが人である。そう、私たちは既に気付いてしまった。

「みどりの窓口」の曖昧さに。
1992年東京生まれ。普段は商品についてくるオマケとかを考えている会社員。好きな食べ物はちくわです。最近子どもが生まれたので「人間ってすごい」と本気で感じています。

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色の名前を知って膨らむ想像

改めて、今回の記事の趣旨を説明しておこう。世の中には色の名前がついた場所や物がたくさんあるが、例えば「みどりの窓口」と言われても一体どんな「みどり」だか全然分からない。いつだれに「そんな曖昧な言い方しないで!はっきりして!!」と言われるか分からないので、今のうちに正確な色を知っておこうというわけだ。

どうやって正確な色を確かめるのかというと、最近は便利なものでスマホのカメラを向けると対象物の色を自動で判定して教えてくれるアプリがいくつも出ている。信ぴょう性を高めるためにもいくつかのアプリを使って色を確認していきたい。
こんな感じ。スーモは「海緑色」だ。
こんな感じ。スーモは「海緑色」だ。
カメラで撮った画像をもとに色を判定しているため、どうしてもその時の明るさや撮る場所の細かい違いによって色のブレが出てきてしまう。この記事を読んで自分で確かめてみたら違う色が表示された!ということもあるかもしれないが、そこは大目に見てほしい。あとは企業が実際に定めた色の通りというわけでもないので悪しからず。

というわけで、まずはタイトルにもなっている「みどりの窓口」からみていこう。
日本の窓口ともいえる東京駅のみどりの窓口
日本の窓口ともいえる東京駅のみどりの窓口
みどりの窓口はご存知のとおり、JRグループの乗車券発売所である。色の名前がついた場所を考えた時に一番に思い浮かんだのがみどりの窓口だった。そのくらいどこにでもあるものだと思って探してみると、意外と「みどりの窓口」と大きく書かれた駅がない。

調べてみると首都圏ではみどりの窓口を「びゅうプラザ」に統合する動きが10年ほど前から進められているらしく、びゅうプラザの看板の横に申しわけ程度に「みどりの窓口」と書かれていることも少なくない。

このままみどりの窓口が減っていき目にする機会がなくなっていったら、人々はみどりの窓口がどんな緑色だったか思い出せなくなるだろう。そうなる前に「みどり」が何色なのかはっきりさせておかなければならない。
「みどりの窓口」の曖昧さが是正された瞬間である
「みどりの窓口」の曖昧さが是正された瞬間である
アプリによる検証の結果、みどりの窓口の「みどり」はアイビーグリーンであることが分かった。つる性の植物アイビーのような緑ということで名付けられた色名で、深みのある優しい色合いが心をリラックスさせてくれる。みどりの窓口もといアイビーグリーンの窓口から始まる旅行もリラックスしてほしいという意味が込められているのだろうか。

真意はともかく、具体的な色名が分かるとそこに意味を見出したくなる。妄想が捗るぞ。
これからもアイビーグリーンの窓口をよろしくお願いします
これからもアイビーグリーンの窓口をよろしくお願いします

グリーンラインは誰が何と言おうとグリーンライン

他にもどんどん色をはっきりさせていきたい。
定番の集合場所だけどどこにあるのかいまいち覚えられない「銀の鈴」
定番の集合場所だけどどこにあるのかいまいち覚えられない「銀の鈴」
東京駅の待ち合わせスポットとしてお馴染みの「銀の鈴」もよく考えたら銀色という色を謳っている。しかし鈴はだいたい銀色なのでもうちょっと厳密に何色なのか確認しておく必要がある。
今後は「銀鼠(ぎんねず)の鈴」でお願いします
今後は「銀鼠(ぎんねず)の鈴」でお願いします
一気にレア感が増した。ドラクエだったら強めの敵を倒さないと手に入らいらないアイテムだ。

駅といえば「黄色い線の内側にお下がりください」というフレーズを必ず耳にする。黄色い線とはいわゆる点字ブロックのことだが、一度曖昧な色に意識を向け始めると黄色い線が厳密に何色なのか気になってしょうがない。
これからはクロムイエローの線の内側にお下がりいただきたい
これからはクロムイエローの線の内側にお下がりいただきたい
鉄道関係で忘れてはいけないのが横浜市営地下鉄だ。2路線あるがそれぞれにブルーライン、グリーンラインと名前がついている。筆者から言わせれば「正式な色名を調べて!」と言わんばかりのネーミングである。ご所望にこたえよう。
横浜駅を通るほうの路線がブルーライン
横浜駅を通るほうの路線がブルーライン
改めウルトラマリンブルーライン
改めウルトラマリンブルーライン
この調子でグリーンラインもはっきりさせようと車体を見たら驚いた。
まさかの5色使い
まさかの5色使い
なんと5種類もの緑が使われている。すき家のチーズ牛丼だって3種のチーズなのに、5種類も緑を使うなんて贅沢すぎる。ふんだんに使われた緑からは「誰が何と言おうとグリーンラインだ」という強い意志が感じられる。
上からボトルグリーン、ビリヤードグリーン、萌葱色(もえぎいろ)、フォレストグリーン、緑青色(りょくしょういろ)と緑をこれでもかと使用した贅沢な一品
上からボトルグリーン、ビリヤードグリーン、萌葱色(もえぎいろ)、フォレストグリーン、緑青色(りょくしょういろ)と緑をこれでもかと使用した贅沢な一品
5色使いに敬意を表して、グリーンラインは正真正銘のグリーンラインであることをここに勝手に宣言したい。

東京の赤と横浜の赤

「赤」も曖昧に使われがちな色である。赤と言われてまず思いつくのは東京大学の象徴ともいえる「赤門」だ。
東大内には多くの史跡が残るがこれもその一つ
東大内には多くの史跡が残るがこれもその一つ
溶姫のために建てられた門。それにしてもこの看板、斜めり具合がかわいらしい。
溶姫のために建てられた門。それにしてもこの看板、斜めり具合がかわいらしい。
長い歴史の中で汚れてしまっている部分も多くどこの色をもって判定するか悩ましいが、今回は一番明るく赤が残っている部分を抽出した。
結果は鉛丹色。かっこいい響きである。
結果は鉛丹色。かっこいい響きである。
鉛丹はサビ止めや腐敗防止の働きもあり、神社仏閣をはじめとした多くの建物に使われている。また最古の顔料の一つとしても知られ、正倉院に保存されているという。東大に相応しい由緒正しい色が使われており、背筋が伸びる思いだ。
赤門なんて簡単に呼ばずにきっちり鉛丹門と呼んでいこう。東大っぽさが増す。
赤門なんて簡単に呼ばずにきっちり鉛丹門と呼んでいこう。東大っぽさが増す。
「赤」とつく建物といえば横浜の赤レンガ倉庫も外せない
レンガといえば大抵赤いのにわざわざ「赤レンガ」と名付けるところに横浜の「強さ」がある
レンガといえば大抵赤いのにわざわざ「赤レンガ」と名付けるところに横浜の「強さ」がある
赤門もとい鉛丹門に比べると赤みはそこまで感じられないが、こちらもなるべく赤みの強いレンガ部分を選ぶことにした。
日本の皇太子の上衣に用いられる色「黄丹(おうに/おうだん)」
日本の皇太子の上衣に用いられる色「黄丹(おうに/おうだん)」
鉛丹に負けず劣らずありがたい色である。黄丹は昇る朝日の色を写したとされる鮮やかな色だが、朝日に照らされた赤レンガ倉庫も神々しく輝いているのだろう。

ただ「黄丹レンガ倉庫」だと具体的過ぎてオシャレさは半減する。オシャレな雰囲気を出したいときはふんわり表現した方が良さそうだ。

赤いきつねや緑のたぬきは本当にいるかもしれない

ここまで建物や施設の色をチェックしてきたが、コンビニにもはっきりさせたい色が潜んでいる。
レッドブルは「トマトレッド」ブル
レッドブルは「トマトレッド」ブル
紅しょうがは「鉛丹しょうが」
紅しょうがは「鉛丹しょうが」
紅しょうがの紅は赤門の赤と同じという知見が得られたので、東大生と知り合う機会があったら自慢したい。

そして絶対にはっきりさせておかなければいけないのが「赤いきつね」と「緑のたぬき」だ。
きつねは赤くないし、たぬきは緑じゃない。改めて考えるとかなりトリッキーなネーミングである。
きつねは赤くないし、たぬきは緑じゃない。改めて考えるとかなりトリッキーなネーミングである。
都心で生活をしているとたぬきやきつねを実際に見る機会は滅多になく、赤いきつねと緑のたぬきを見かける機会のほうが圧倒的に多い。キタキツネをルールルルと呼び寄せるスキルより、きつねの赤さとたぬきの緑さについての知見を深めておいた方が有利な時代と言えるだろう。
というわけで、「スカーレットきつね」と
というわけで、「スカーレットきつね」と
「マラカイトグリーンたぬき」です
「マラカイトグリーンたぬき」です
色を正確にいうことで正式な品種の名前っぽくなったし、現実に赤いきつねや緑のたぬきがいるような気もしてきた。いつかマラカイトグリーンたぬきを発見する記事を書きたいと思う。

ひと昔前ではこんなに簡単に正式な色の名前を調べることはできなかった。そう考えるとスマホで何でもできる時代だからこそ書ける記事と言えるだろう。

こんな風に文明の無駄遣いをすることで「こんなことに文明つかっちゃっていいんですか、エへへ」とちょっとブルジョアな気分に浸れるので、文明の利器はどうでもいいことにこそ活かしていきたい。
いわゆる町中華の赤色は「臙脂(えんじ)」です
いわゆる町中華の赤色は「臙脂(えんじ)」です
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