「こんにゃくえんま」という寺
東京の小石川にある源覚寺は通称「こんにゃくえんま」と呼ばれる。
なんでもその昔、目を患った老婆がここに祀られる閻魔さまに回復を祈願をしたところ完治、そのお礼に自分の大好物であるコンニャクを絶って供え続けたという言われがあるんだそうだ。
それにしてもエンマに対してコンニャクっていうのはどうなんだろう。相容れない単語のぶつかり具合が勝新太郎さんの「兵隊やくざ」みたいだ。しかし、地下鉄の表示にもきっちり載っていたりして、「こんにゃくえんま」の通称は完全に市民権を得ているようだった。
ここがそうなの?
訪れたのは7月15日。この日と翌日が「こんにゃくえんま大祭」となっている。大祭は年に2回で7月を過ぎると次は1月だ。
さぞ大きく盛り上がっているんだろうと思っていたが、商店街を抜けたところにあったのは意外なほどコンパクトなお寺さん。祭り期間中のはずが、個人の葬儀が行われているようす。
入り口には葬儀の看板が大きくでていて「こんにゃくえんま大祭」とはどこにも書いてない。
何かの間違いかと入ってみると、今度は白いテントの下に作業着のおじさん達が大勢何かを待っている。こんにゃくえんま大祭の関係で集まっているのかと聞いてみたら違うらしい。次の週から行われるという「ほおずき市」の準備に集まったそうだ。
ほおずきの到着が大幅に遅れているそうで、何やらイライラしている皆さん。
「こう暑いところ待たされるとねえ、みんな気が立っちゃっていけねえ」
江戸っ子節で怒っている。火の粉がかからないうちに奥にあるえんま堂へ向かった。
そして賽銭箱の両隣にコンニャクはあった!
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