いなり寿司が好きです。コンビニでもよく「助六」を買います。
会社員だった時も、徹夜仕事をする際に、よく夜中に食べていました。あの優しい甘さで、疲れがふっとぶような気がしていました。
その当時のこと。後輩のMくんが、いなり寿司をかぶりつく私の横で、ニヤニヤ笑って言ったのです。
「大塚さ〜ん、いなり寿司なんか食べてるんですか?」
「うん、好きだから」
「あの〜、むかし、俺の友達がコンビニでバイトしてて、残りの弁当をいつも貰ってたんですけど、いなり寿司って、いっつも売れ残るから、いっつも貰ってて。だから、買って食べてる人を見るの、なんか不思議な感じッス」
「……ええ〜!?」
「いや、マジで」
「そんなに人気ないの? いなり寿司」
「らしいッスよ」
ショックでした。自分の好きなものが人気がない、というのは、非常に寂しいことでした。 それ以降、「私は捨てられる運命にあるような食べ物を、買ってんのか……」と思いつつ、ローテンションで助六を購入し続けました。
で、先日。「東京駅特集」の取材時、駅構内で、「黒いなり」なるものを発見したのです。 |