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コネタ


コネタ220
 
徹夜で若さを実証する

 もう若くないな、って感じることはありますか。と何人かの人に聞いてみた。筆者もそろそろ30代に突入しようとしているわけで、なんとなく体力の低下が気になっていたのだ。すると「最近徹夜ができなくなってきたこと」と答える人が多かった。

そうか。

今回は中高年の苦手な徹夜という壁を克服することで、自分はまだまだいけるぜ、という漠然とした自信を確信に変えてみたいと思います。

安藤 昌教

徹夜といえばファーストフードでしょう

まずは場所探しから

 午後11時。家にいたらそろそろ眠くなる時間だ。筆者は布団を横目にいつでも横になれる状況で徹夜できるほど強靭な精神を持ち合わせてはいない。ということで外に出ることにした。

車を走らせ徹夜できそうな場所を探す。本当は飲みにでも行きたいところだが、酒に頼っては純粋な実力ではないように思った。今回の目的はあくまで己との戦いなのだ。酒は抜きでいきたい。

そうこうしているうちに国道沿いに照らし出された白亜の建物を発見。マクドナルドだ。そうそう、徹夜といえば頼りになるのはやっぱりファーストフードではないか。光に集まる蛾のごとく、一直線に入店した。


コンタクトケースを持参しているあたり、用意周到

セットメニューを注文し、角の席を陣取って持参した荷物を広げる。

これが今回筆者が持参した徹夜セットの全貌。
・カメラ
・コンタクトケース
・MDウォークマン
・手帳
・本
・辞書

今回選んだ本は、ハリーポッターのペーパーバック。英語の勉強になるかと思い買っては見たものの、ハリーが人間の家でいじめられているあたりで挫折してほったらかしていた。徹夜する時間があるならたぶん舞台が魔法学校へ移るくらいまでは読み進むことができるだろう。


いきなり壁にぶちあたる

このマックはなんと朝5時まで営業しているのだ。徹夜族にはもってこいではないか。今日は週末だしこれでは悪いやつらの溜まり場だぜ、と思い周りを見渡すと。

・・・しーん
すでに誰もいないではないか。

現在午前1時。見渡す限り他に客はいない。最初に注文したセットのメニューもとっくに食べ終えてしまった。この気まずい状況下であと4時間くらい居座ることができるのだろうか。


店内には筆者以外誰もいません
なんだこれは世界の終わりか

ゆるやかに流れるBGMを無視してウォークマンでZAZENBOYSを聞きながらひたすら辞書を引きハリーポッターを読む。今のところそれほど眠気には襲われていない。この企画、もしかして余裕なのではないか。筆者の若さだけが実証されてしまい読者の鼻をつく結果にならないだろうか。深夜のマックで自信と不安を同時に抱える筆者がいた。

午前3時。ハリーに集中していたところを突然店員に話しかけられる。
「申し訳ありませんが、清掃いたしますので席を移動していただけますか。」

店員は明らかにじゃまくさそうな顔をしていた。ヘッドフォンを外すと店内はBGMも消え、あたりは静まり返っていた。

食べ物も飲み物もとっくになくなってしまっていたので、席を移るといっても持っていくものは筆者の持参した徹夜セットしかない。なんだか申し訳なかったので撤退することに。


落ち着いた雰囲気が漂います

しぶしぶ場所を変える

次の舞台はガスト。ここなら24時間営業だし気兼ねなく朝までいられるだろう。入り口のドアを開けると客の入店を知らせるチャイムが静かな店内に響き渡った。

ぴろぴろぴろー、ぴろぴろぴろー
「いらっしゃいませーっ!!」

なんだこのテンション。3時過ぎだというのにガストの店員さんはランチタイムかと見紛うほどの元気さだ。たぶんバイトの学生さんだろう。うぬう、負けてはいられない。対抗してサーロインステーキ膳でも注文してやろうかとか思ったが、消化する自信もないのでサラダとドリンクバーで我慢。

それにしても店内は照明が薄暗く非常に居心地がいい。同じ徹夜セットを机の上に広げても、先ほどのマックとは違い偉い人の机の上みたいな空間ができあがる。

柔らかいクッションの椅子に浅めに腰掛けると、あまりの心地のよさに一瞬意識が飛びそうになってしまった。いかんいかん。

ガストでは居心地がいい分、油断するとすぐに睡魔が降りてくる。眠い、すごく。もう自分でもなんのためにここにいるのかすらわからなくなってきていた。


店内にはやはりお客がいません
偉い人の机の上みたいな空間

この感じ、好きです

あと少し、ここが正念場

午前6時。外ではいよいよ夜が白み始めてきた。一応まだ意識はあるが5時を過ぎた辺りから10分に1度くらい意識がとんでいる。なんとかしなくては。

ということで最も早く明るくなる場所、つまり海へ向かうことにした。ハリーは結局魔法学校にはたどり着けなかった。というか途中で英単語が宙をさまよいだし何がなんだかわからなくなった。誰だハリーって。

外へ出て我に返る

外へ出ると空気がひんやりと冷たくて眠気も一気にふっとんだ。ああ、この感覚なんだか懐かしい。そういえば筆者は学生の頃早朝の魚屋でアルバイトをしていたのだ。中央市場から魚屋まで魚を運ぶ途中で毎日たいてい夜が明けた。そのときのなんともいえないすがすがしい感じを思い出す。

見る見るうちに空が街灯よりも明るくなり、新しい一日がやってきた。新鮮な空気の中で背伸びをすると、疲れの中にも達成感がこみ上げてきた。


空が街灯よりも明るくなってきました
朝の空気ってうまいよね

思いは夜を越えて

何度も意識が遠のき、あきらめてしまいそうになった。だけどここで寝たら僕の青春も終わるのではないかと思いがんばった。

次の日は一日体が重く頭はほとんど働かなかった。確かに若い頃に比べて徹夜が体にもたらすダメージは大きくなっているのかもしれない。だけど思うに学生の頃とかって徹夜しても次の日寝ていられたではないか。対して社会に出ると一応昼間は寝ていられない。だから徹夜もしなくなる。要するにそういうことではないだろうか。そんな若さのメカニズムがわかったような気がしたレポートでした。

だけどたまには徹夜して朝を迎えるってのもいいものですよ。なにか得したような気分がします。

 

 

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