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コネタ


コネタ224
 
体験・妊婦や老人になってみる

 街で見かけることのある妊婦さんやお年寄り。やっぱりいろいろ大変そうだなと思いつつも、なかなかその気持ちになってみるのは難しい。

 特に妊婦は男の私の場合、実際にそうなるのは永遠に無理だ。なにかの間違いでも妊娠するということはあり得ない。

 そんな私でもその気分を味わう機会があると聞いた。千葉県・鴨川市の亀田医療技術専門学校の学園祭で、妊婦・老人体験のコーナーが設けられるらしいのだ。

 そういうわけで、体験を通して妊婦や老人としての自分と向き合ってみました。

(text by 法師丸

なじめないくらいにキャンパスライフ
ポップに私をいざなう妊婦体験

●僕をいざなう妊婦の看板

 学校に到着すると、早速学園祭らしくやきとりやチョコバナナを売るテントが目に飛び込んできた。大きな声でお客さんを呼び込む学生さんたちの若さがはじけて、ついつい丸まりがちな自分の背筋までしゃんとなる。

 体験をする前から、老人気分はばっちりスタンバイOKだ。

 校舎に入ると、妊婦・看護師体験コーナーの看板が。結構ポップな感じで私も一安心だ。

 まずは妊婦体験。「男性もどうぞ」とのことなので、担当の学生さんたちに『妊婦なりきり肉じゅばん』を装着してもらう。(正確な名前は不明)

 …う、うーん、なんか窮屈。腕が動かせない。そういうもんだろうか。

 無理やり納得しようとしていると、「あ、これじゃ変ですね」と学生さん。いきなりずっこけたが、ちゃんと着けると思っていたような妊婦スタイルになっている自分がいた。おお、なんだかそれっぽい気持ちになってきた。

な、なんか変じゃないっすかね
こっちが正解。フィット感あり
おお、なぜだかいとおしい
実際生まれちゃうかも

●意外な気持ちが湧いてくる

 思っていたより重かった妊婦肉じゅばん。臨月を想定している重さがずっしり来るが、それより意外だったのはおなかを抱いているとなんだかいとおしいような気持ちが湧いてきたことだ。

 本気モードに入りつつある妊婦体験。自然となでなでしていたりする。

 ベッドにあおむけで寝てみると、ずっしり感がさらに強調されてくる。ああ、私の赤ちゃん!と勝手に盛り上がっていると、「横になると楽ですよ」と学生さんからアドバイスが。

 あ、ほんとだ。だいぶ感じ方が違ってくる。さらに学生さんは「足の間にこれをどうぞ」と、股の間に枕を挟んでくれた。

 おお、これは落ち着く。たぶん、別に妊娠してなくても、股に枕を挟むのは落ち着く。


◎学んだこと
妊婦さんの気持ちとたいへんさ
股に枕をはさんだ時の心地よさ

 

意図せずかもし出ていた具合の悪さ
病人、スタンバイオッケーです
い、いや、そんなつもりは…

●自信満々で患者体験

 続いては看護師体験に挑戦。看護師さんの仕事をするのだとばかり思っていたが、「看護する側にしますか?される側になりますか?」と聞かれたので、看護される側になることにした。

 看護することに自信はないが、病人役なら比較的自信がある。

 別に意図的に演技したわけではないのだが、あとから写真を見ると思った以上に病人っぽさが出ている。自分でも驚きのオーラだ。

 体験の流れは、体を自由に動かせない患者の体を起こし、車椅子に乗せるというもの。看護師さんの仕事としては日常的なものだろう。

 「はーい、体起こしますよ。次、立ちますからこちらに体あずけてくださいね」

 真剣に看護してくれる学生さん。あまり深く考えずに体験してみた私だが、その真摯な姿に本気で心洗われる。

 そして、動きの流れからどうしても体をあずける体勢に。い、いや…、確かにこういう状態が必要になるわけだけども、こんな風になるとは予想していなかったもので……。

 自分の中で言い訳する私をよそに、一生懸命に世話をしてくれる学生さん。私の病める雰囲気が学生さんを本気にさせたのかもしれない。

 言葉を信じてなすがままにされていたが、しっかりと体を支えてくれる力強さには、安心して体をまかせることができた。こういう人に看護してもらえば患者も安心できるんじゃないかと思う。


◎学んだこと
自分のナチュラルな病人っぽさ
学生さんの真摯な姿
かー
ほんと、すいません

 

スパークする老人体験
着々とお年寄り化していく自分
身も心もすっかり高齢者モード

●加速する老人っぽさ

 続いては老人体験。校内の表示にも、「第3講義室に来てネ」となどとかわいく書いてあって、思わずはりきって行ってしまいたくなる。

 現実的にもメンタルな部分では若さから遠ざかりつつある私。フィジカルでもお年寄りの大変さを味わっておくのはよい経験になるだろう。

 室内に入ると、担当の学生さんたちが明るく迎えてくれた。負担をかけるためのおもりや関節バンドを次々と装着してくれるのも手際よい。

 …おお、全部つけるとかなりの重み。立っているだけでも思っていたより大変だ。

 写真ではわかりにくいが、おもりをつけると自然と腰が落ちて背中が丸くなる。自分が街で見かけるおじいさんのようになっているのがわかる。

 そうか、いかにもお年寄りに見える姿勢は、自然とそうなるものだったのか。

 当たり前なのだが、体感してみるとその苦労がよくわかるのが意外だった。筋力の衰えからくる体の重み、間接の曲がりづらさ。単に記号的に受け止めていた老人っぽさには、理由があったのだ。当たり前だったはずのことを実感。

 さらに視野狭窄メガネまでかけると視覚も制限される。これは大変だ。

 体験してみたからか、電車で席をゆずったりするのもこれまでより照れずにできそうな気がしてきた。そして、まだまだ元気にがんばらなきゃ!という、意欲的な内容なのになんだかじじくさくもある気持ちが湧いてきたりもした。


◎学んだこと
お年寄りの苦労の実感
まだまだがんばらなきゃという気持ち
杖のありがたみを実感
車椅子の操作のコツがつかめないまま終わった

窓辺の鉢植えは水のやりすぎで根が腐ってた

ディスカバー・いろんな苦労

 あまり深く考えず、気軽な気持ちで受けてみた様々な体験コーナー。しかし、あくまでシミュレーションとは言え、頭で考えていた以上にいろいろな発見があるものだった。

 わかったつもりでいたそれぞれの苦労だが、一部だけでも体験できて視野が開けた気がしたのが意外だった。モリモリと積極的にお手伝いとまではいかないが、街でそういう場面に出会ったときには、モジモジしないでスカッと明るくできることをしていければとは思う。

 がんばれ妊婦さん、がんばれお年寄り、そしてそれなりにがんばれ自分、とも言ってしまおう。

 無闇やたらとあらゆる方向にエールを送ってしまっている今回のレポート。体験の機会があったらはずかしがらずにやってみては、とおすすめしたいと思います。

 

 

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