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コネタ


コネタ232
 
しばざくらきんたろう

芝居一座の座長の話ではない。
ましてや、あの時代劇の南町奉行の名前でもない。あれは「遠山金四郎+桜吹雪」だ。

では、「しばざくら きんたろう」とは何ぞや?
気になったので、行ってみた。

「行ってみた」??場所か?と、ぜひいちいち疑問を浮かべながら読んでください。

乙幡 啓子

それを最初見つけたのは、住宅地図の上でだった。大田区の地図を、訳あって丹念に肉眼でスキャンしていたら、妙なひらがなの並びが目に入ってきた。「しばざくら?きんたろう??児童公園???」

そう、公園の名前だった。こりゃびっくりだ。なぜって児童公園といえば「羽田5丁目児童公園」やら「なかよし児童公園」などのように、地名や、子供に親しみやすい名前などに限られるのではと思っていたからだ。


長いのでさすがに2行に分けてある。

さっそく行ってみることにした。東急池上線沿線だ。東急の中でも、東京人にさえあまり知られていないような路線だ。それもまたいっそう謎を深めているような気がする。

しかし公園自体にはすぐたどり着いた。しかも、まったく普通の公園。


住宅地の中の、これ以上ないくらい普通の公園。

てっきり菊人形とか、豪華などんちょうの下りた舞台でも置いてあるのかと思っていたが、違うようだ。派手な遊具が、1つだけぽつんと置いてあるのみだ。公園をあっという間にひとまわりしたが何も手がかりはなく、ちょうどそばを通りかかったご近所の人に聞いてみた。「なんでここ、こんな名前なんですかねー」

「ああ、きんたろうさんというのは、ここの町会長さんだった人なんですよ、ちょっとこれ以上はわかりません・・・」

と言ったなり、ささっと立ち去ってしまった。私はまた一人、そこに取り残された。


ここらへんが「きんたろう」か?それとも「しばざくら」のメタファーか?

町会長さんのお名前が「きんたろう」さんだった、というだけで公園の名前になるのだろうか?

しばらくたってから、なおも道行くウォーキング中のおばさんに聞いてみたが、初めて見たのでわからないという。「興味持って調べてんの?えらいわー・・・そういう好奇心、大切よ!」と、ほめられてしまった。えへへ。

このままではいかんのだと区役所に問い合わせたところ、わざわざ調べて折り返しのお返事をいただいてしまった。
「春はそこにしばざくらが咲くんですよ。それで、土地の所有者が『きんたろう』さんだったんです。いや、苗字まではわかりませんね・・・」ということだった。命名者が不明である以上、判明したのはそこまでだ。

謎は解けたような気がしないでもないような気が。いや、意外とこれであっさり解決なのかもしれない。

モノや、土地に名前がつく過程は、もっと堂々としていて正式なもののように感じる。会議で決まったりとかね。がしかし、実際はまぬけなきっかけだったり、茫漠としてよくわかんなかったりするのだろう。そう考えると、面白い地名や名前がもっと他にもあるかもしれない、と、燃えてくるのだった。


 
 

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