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コネタ


コネタ238
 
携帯電子ゲームを手作りで

ニンテンドー DSだ! プレイステーション・ポータブルだ! 2大ゲーム機の発売が近い。ゲームに詳しくない私にまでその盛り上がりのうねりが届いてきているのだからおそらくこれは一大事なんだろう。

実は私、おそろしくテレビゲームに縁がない。初代ファミコンをリアルタイムで買ってもらえなかったという致命傷がずるずるその後の人生に影響している。今うっかりニンテンドー DSを手に入れたとしてもまともにプレイする自信がない。

そんな私にピッタリのとてもシンプルなルールの携帯ゲームを見つけた。わーい、と思ったら何故か半田ゴテを手に自作することに? どうゆうこと? 顛末は本文で! プレイステーション・ポータブルより断然いかすマシンができあがったと自負しております。

(text by 古賀 及子

東京高専の文化祭、椚田祭へ

みなさん販売コーナーにかぶりつき

どう見てもタッパーですが、マイクです

これぞ私の求めていたゲームだ…!

小さな女の子までも半田付け中

こいつらを組み立てる

震える手で作業スタート

ちょっと進むごとにチェックしてもらう

小池先生も作業の手伝いにてんてこまいでいらした

半田付け、完了です

左、設計者の戸津さん、右、教官の渡辺さん
「できてますな」「できてますね」

チャンバラ刀を手に神妙な先生と飯田さん

ブォン! 「おお!!」

体育館ではロボコンもやってたよ

きっかけは傘ラジオ

ことの始まりは、以前特集でお送りしたビニール傘のラジオ制作(詳しくは特集「ビニール傘で受信する2」をご覧下さい)でお世話になった、東京工業高等専門学校の小池清之先生からの文化祭の案内メールだった。

10月30日、31日に行われる学校の文化祭で先生の研究室でも企画展を行うとのこと。研究生の皆さんが自分で設計した電子工作のキットを販売するという。先生や研究生の皆さんと再会できる機会とあって行ってみることにしたのだ。

 

で、なんでゲームなのか

案内をもらった展示室へ着くと、早速傘ラジオが。おお、ここだ、ここだ。しかし、人だかりができているのは傘ラジオよりも販売コーナーの模様。覗いてみると、噂の学生さんによる電子工作が並んでいた。

「超振動ブルコップ」
紙コップを搭載した、ブルブル振動しながらセンサーで右へ左へ動くオモチャ
「カップラーメンタイマー」
カップラーメンの熱を関知して3分測るというタイマー(3分経つと、チャルメラのメロディーが流れる。ぬかりない)
「ワイヤレスマイク」
声をラジオのスピーカーに飛ばすワイヤレスマイク。マイク部分がタッパー
「ブロック崩しゲーム」
テレビにつないでブロック崩しゲームができる装置。こちらも装置部分はタッパー

ツッコミどころを残したような奔放な作品たちだが、その仕組みがどうなっているんだか分からない感は「工作」の粋を出てもはや製品のようである。

プッ、プッ、プッ、プッ、ピロリッ

そんな中、懐かしい電子音が。何かと思って見つけたのが「デジタルアタック」だった。薬のケースを改造したボディーで、携帯できるゲームらしい。

点滅して左から進んでくる光が一番右に来たときにボタンを押す。生粋のゲームオンチの私だ。ゲームボーイはもちろんゲームウォッチすら苦手だった。でもこれなら分かる!

しかも基盤、電池、コードなどがむき出しになっているローテクかつハイテクな感覚がたまらない。最新ゲームコンプレックスの私にぴったりなのでは…。これ、ください!

「ありがとうございます、それじゃあ、組み立ては奥の作業室になりますので、どうぞ」

 

期せずして半田ゴテデビュー

そうなのだ。これらの製品は全部完成品を売っているのではなく、キットで売られている。買った人が、自分で製作するのである。

となりの部屋では学園祭に遊びに来た老若男女が半田ゴテを手に基盤と向き合っていた。なかなか見られない光景。

通された席でキットを開けると、なかからざざーっと色々な部品が出てきた。

 

基盤2枚
単4電池2個
スイッチ3種類
電光掲示板みたいの(セグメントというらしい)1個
カニみたいの(ICというらしい)3個
コケシみたいの(抵抗というらしい)たくさん
あと、なんか青いのとか、光るっぽいやつ(LEDというらしい。発光ダイオードである)いっぱい

 

1つ1つ書き出そうとして自分が余りにも無知なことに気付いた。つまり、何がなんだか分からない部品がいっぱい。大丈夫なのか!?これで本当に作れるのだろうか…。

「小学生の子もやってますんで大丈夫ですよ。研究生がマンツーマンでサポートしますから」

ひるむ私に、この度の展示のリーダーの渡辺さんがついて指導してくれることになった。とにかくゆっくり、1つ1つ確実に半田付けすればゲームは間違いなく動くという。が、頑張ります!

 

全員半田付けに夢中の一室

窓の外では携帯の着メロ当てクイズが行われているらしく、しきりにいろいろなメロディーが流れていた。流行り歌を背にコテを動かす。渡辺さんのテキパキした指導のもと、だいぶ慣れてきた。

「すいませーん、周波数があわないみたいですー」
「ちょっとフラックスもってきて! 新品のやつあったでしょ」
「あ、これ、このままじゃだめだ。吸い取り線は?」
「この基盤、試しに使っていいっすか?」
「次、2時からの回ワイヤレスマイクお二人入ります!」
「そっちデバック完了?」

周りでは各人の作業、完成品の動作確認、製作場所の予約などがめまぐるしく行われているらしく、緊張感のある応答が続く。さながらERのようだ。でも、みんなやってるのは半田付け。楽しい。

「あのー、それ、楽しいですか?」

文化祭のお客さんらしい女の人二人が私の手元を覗いている。なぜか心配そうだ。突然のことにちょっと驚きつつ、すごく楽しいですよ、と答えるとすごくホッとしたようだった。

「あ、すいません。今の母と姉なんです」
渡辺さんがちょと照れて言った。そうか、文化祭ってそうゆう日でもあるんですよね。

 

そして、完成

緊迫した半田付けシーンと親子のふれあいを越え、ドラマティックに私の「デジタルアタック」は完了した。

「半田付け初めてにしてはきれいにできてますよ」

お墨付きをいただき、緊張のうち、スイッチ、オン! ピッ、ピッ、ピッ、ピロリッ…。う、動きました!!

最新ゲームのプレイに自信はないが、ゲームをこの手で作れたのだ。これまでのゲームコンプレックスを一気に解消した気分。一刻も早く荻原さん(デイリーポータルZ、ゲームコーナー「おぎわら遊技場」担当)に自慢したい。

 

来年は刀から音が出ます!

そんなわけで私は世の電子ゲームとすっかり和解できた気分を味わっていた。めでたしめでたし、である。しかし、半田付けの作業部屋で一人めでたし、という雰囲気でない人がいた。研究生の飯田さんだ。

実は、飯田さんは今回「ザ・カタナ」というキットを出品するはずだった。縁日などで見かけるプラスチックのチャンバラ刀に遠心力を関知するセンサーを搭載させ、振り回すと「ブーン、ブーン」というスターウォーズのライトセイバーのような音をラジオスピーカーから発生させるというものだ。

チャンバラ刀に全力で注がれる技術がすばらしい一品だが、最終段階で商品化にこぎつけることができず、文化祭の開催中もずっと一人作業を続けていたという。

文化祭も室内展示の時間は終わり、全体的に片ずけモードに入った頃、ワッと歓声がおきた。

連日の作業疲れで髪もモサモサになった飯田さんがチャンバラ刀を振ると、ラジオスピーカーから振りかぶった強さや速さにちゃんと対応した「ブォン」という音が鳴っていたのだ。すごい!

「今年は残念だったけど、きっと来年はこれを売ります!」と飯田さん。

なんともうまい話があるもので、実は私、テレビゲームに加えて「スターウォーズ」にも疎いというのがコンプレックスなのである。

そんなわけで、「スターウォーズ」との折り合いをつけにまたお邪魔したいと思います。来年もどうぞよろしくお願いします。



 

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